こんな『違い』があったんだ!

会社の『成立』と『設立』の違いとは? 法人の場合はどうなの?

会社

夢の「マイ会社」をついに立ち上げたのだが……これは「会社成立」になるのか「会社設立」になるのか……

マズい……悩みすぎて偏頭痛が……


会社
それは、大変です!

ですが、

「成立」「設立」── 確かに、どちらでもいいような気がするほど似ています……



個人事業を始めるのに比べ、複雑で面倒な手続きも必要となってくる「法人」。

(※ 個人事業の場合は、税務署に「開業届出書」を提出すればほぼ完了です)



果たしてその煩雑な手続きは「会社成立」のためのものなのか?

「会社設立」のためのものなのか?



などなど、法人として新しく誕生した会社の第一歩、「成立」「設立」について解説いたします。 (※個人事業では「成立」「設立」ではなく「開業」)


皆さまのモヤモヤ(と偏頭痛)が少しでも薄れましたら幸いです。
目次

会社の「成立」?「設立」?

さてさて、例えば何人かが集まり会社組織のようなものを立ち上げたとします。

が、立ち上げたからといって、世間一般に「会社」として認められるわけではないのですね。



「何をしている会社なのか、誰が代表者なのか、どこにあるのか、そもそも会社の名前(商号)は何なのか?」


こういった情報をまったく知らない相手の勧める商品を買ったり、取引をするのはかなり不安。

ですので、



「うちの会社は、こんなことをしているこんな会社です」


についての情報を世間に対し、知ってもらう必要があるのです。

社会的にも信用ができ、上記のような不安を与えることなく、取引などもできるようになる。



そのために必要な手続きは結構大変なのです。


代表者の印鑑証明を取得したり、定款(その会社での規則のようなもの)や、上記の事柄(商号や所在地、代表者名等)について記載した書類も作成しなければダメ。

「会社」的な組織は存在していても、まだ実際にはその前身、「会社の卵」のような存在です。


そこで「法人登記」。

世間一般にも「会社」として認めてもらうため、その情報(法律で定められた事項の)を記載した書類を法務局に提出します。

そうすることで「法人登記簿」に、上記の会社の商号や代表者名などが記録されることになるのですね。


これにより、みんなで集まってワイワイやっていた組織が「法人」に昇華。

「会社の卵」からの「正真正銘の会社デビュー」です。


ですので
「登記簿への記載」をお願い(登記申請)するため法務局へ必要書類を提出しに行った日が「会社誕生の日」となる。

ここに使われるのは「設立」の方。

この日が「会社の設立日」となります。



が、これは同時に「会社としての成立日」でもあるのです。


いくつもの面倒な手続きを経て、やっと「法人」として成り立った日。

「会社を設立」したことで、



「その前身ではなく、会社として成立することができた日」


── つまり「会社成立の日」なのです。



……もう……

理屈っぽいわねぇ。

早い話が、どっちも同じ日ってことでいいんじゃないのよ……



はい。
でも、でも……



登記申請のための書類は「『設立』登記申請書」なのですが、登記完了後に取得できる「登記簿謄本」に記載されている文言は、

「会社『成立』の年月日」
使われている言葉が違うため、混乱してしまうのです。

「会社成立の年月日」とは?

── 今までの面倒くさい手続きは一体何だったんだ……

「会社設立」のために頑張って書類を作って申請したのに「会社成立の年月日」?

「設立」したオレの会社はどこ行った?!



大丈夫です!

登記簿に記載されている「所在地」にちゃんといます!



会社の「設立」と「成立」の関係は前述の通りなのですが、ここで会社にまつわる法律「会社法」を見てみましょう。

  • 会社法第49条
    「株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する」
── 難しそうに言っていますが(法律だから)、かみ砕いてしまえば、



「会社の設立登記をすることで会社は成立しますよ」

「会社を成立させたかったら、まずは『登記』をしてくださいね」



のような感じです。


会社が「成立」するにはその会社が「設立」していることが前提。

そして「会社を設立」させるには「法人登記簿」への記録が必要。


だから設立のための登記を申請。

そして、その日こそが「会社の設立日」ですね。


この時点で「設立」はしているわけです。

ただし、先ほど書きました通り、受け付けられた「登記申請」が実際に「法人登記簿」へ記録されるまでにはおよそ1~2週間かかる。

(※ 法務局が込み合う時期は「登記完了」までにもう少し時間がかかります)


この1~2週間を経て、書類等の不備を知らせる法務局サイドからの連絡がなければ「申請」は無事通ったこととなります。

「設立、問題なかったですよ」ということで「登記簿謄本」等の取得が可能に。


登記申請の際に「登記完了日」の案内があると思うのですが(張り紙や掲示板にその日にちが書かれていたり、メモを渡してくれるところもあるようです)、その前後にこちらから確認を取るのですね。


そして、特に問題がなければ「登記完了」。

「登記簿謄本」を受け取りに行く。


このように「登記申請」、つまり「会社の設立日」と実際の登記完了日には1~2週間程度のタイムラグはあるのです。

(※「補正日」といって、書類や申請内容に不備がないかを法務局の方たちがチェックしている期間に当たります)


が、遡って考えますと、提出書類等に問題さえなければ、設立のための「登記申請」を法務局に受け取ってもらった時点で、既に設立が約束されているようなもの。


ですので、会社法に照らし合わせてみても、

  • 「株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する」
    →「登記申請日」=「会社の設立日」=「会社成立の年月日」
同じ日付となるのです。


── 面倒くさいことを言えば上記の通りなのですが、



「登記をしたのだから会社も成立した」

「だから会社の『設立日』と『成立日』は同じ」


「というより『会社の誕生日』についての表現方法が違うだけ」



のように考えていただいて構わないかと思います。


会社

法務局への「設立登記」の申請は直接行かなきゃダメ?

ダメじゃないです!


ただし、一番確実で「設立日」がはっきりしているのは「直接行く」になります。

◎「郵送」もOK!

ですが、


「どうしてもこの日を会社の設立日にしたい!」

の場合はちょっと危険。

危険、というと郵送してくれる人たちに失礼になってしまうのですが……


到着する日にちがイマイチはっきりしません。


これは結構重要なのです。

郵送で送った場合「法務局に届いた日」が「会社の設立日」となるからです。


日付指定などでの郵送、またはいつ届いたかがわかる(追跡機能つきなど)郵送法で送ればある程度と安心かと思いますが、その後の流れも少し面倒になります。


直接法務局に出向く場合には、前述の通り「登記完了日」を(あくまで目安ではありますが)その場で知ることができます。

が、郵送ですと提出した法務局のHP上で確認しなければならない。


いうほど面倒ではありませんが、万が一ということもあります。


「え? そのような申請書類は届いておりませんが……」


申請のために揃える書類は多くて複雑なのです。

ガーン!! となること間違いなし。


また、直接行った場合には書類の不備等、その場で確認してもらうこともできるのですが、郵送ではそれはムリ。

どうしても時間がとれない場合には郵送もアリかと思いますが、できれば直接行くことをおススメします。

◎「オンライン申請」という手もある!

これはそのまま。

オンライン上での申請です。


もの凄く便利で楽な気もするのですが、

  • 「申請用のソフト」をダウンロードする
  • 申請者の情報を登録(サイト上で)
などのステップがあり、その後、

  • 申請書類を作成(先ほどダウンロードしたもので)
  • オンラインで申請
── そこそこ面倒です。


また「オンライン最大の弱点」が、提出書類のひとつである「印鑑届出書」を提出できないこと。

ここは結局「郵送」となるのですね。


提出書類のチェックをその場で受けられないのも「郵送」の時と同じ。

「登記完了日」も、同様に管轄法務局のサイト上で確認することとなります。


申請書類に不足等なければその日が「会社の設立日」。

「郵送」に比べれば、そこははっきりしていますね。


やはりおススメは「直接提出しに行く」ですが、ご都合に合わせた方法で提出することが可能となっています。

会社の「成立」「設立」についてをまとめる!

よくよく考えれば「会社を作る!」ということは結構な一大事なので、大変な手続きを踏むのは当然といえば当然。



でも「成立」「設立」くらい統一してくれてもいいのに……

ただでさえ複雑なのだから……



まぁ、そうなのですが……仕方ないです。


さてさて、

  • 登記申請は「会社設立」のため
  • 登記完了後に取得できる登記簿謄本に記載されているのは「会社成立の年月日」
でも、

    →「結局のところ『同じ日』」
の「成立」「設立」ですが、ここでもう一度おさらいです。

2つの「誕生日」についてまとめていってみましょう。

会社の「成立」「設立」、本当のところはどんな意味?

「設立」
  • 法人などの組織を新たに作ること
  • 組織、機関、制度などを新しく作ること
  • 会社という一つの団体としての形を作り上げ、法人を成立させること(ここでも「成立」と絡んでいますね)
「成立」
  • 成り立つこと
  • 取り決めなどがまとまること 
「会社の設立」
  • 会社について、法律で定められた情報を記載した書類を法務局に提出
    →「法人登記簿」への記録を申請する(設立登記申請)
    → この申請により、会社は「設立」したことに
    → その日が「会社の設立日」に
「会社の成立」
  • 会社法第49条に基づき「会社の設立登記」により「成立」するとされるもの
  • 設立のための「登記申請」を行うことで「会社の前身」のような存在から、その会社が「法人組織」として成立
    →「登記申請」の提出書類等に不備がない場合は、無事「会社設立」となるため(登録完了後)、申請のための書類を法務局が受け取った日を「会社成立の年月日」として登記簿謄本に記載
➡ 手続き上の日にちはどちらも同じ、となります

書類提出の方法は?

「直接法務局へ届けに行く」の他、

  • 郵送
  • オンライン申請
があります。

こちらの2つでの場合も、法務局に届いた日が「会社の設立日」に。

謄本にもその日が「会社成立の年月日」として記載されます。

★設立日は縁起のいい日にしたい!!

土日祝祭日、年末年始(12月29日~1月3日)は法務局が業務を行っていません。

それ以外なら可能です。


ただし「郵送」の場合は、日付指定などで送る必要があります。


また「郵送」「オンライン申請」では、書類の不足などがないよう送る前に入念なチェックを !

(直接届ける場合には窓口でチェックしてもらうことが可能です)


不備があった場合には法務局から電話連絡がくることになります。

指示に従って、補正をして再提出。


担当の方が案外丁寧に教えてくださるので、不備を修正すれば大丈夫なのですが、忙しい時期に当たるかと思いますので事前のチェックはしつこいくらいにすることをおススメします。

終わりに……

今回は会社設立への簡単な流れしか書いていませんが、



「成立でも設立でも、どっちでもいい。もう、それどころじゃないんだって !」


となるくらい、その手続きはかなり大変。


会社を立ち上げた皆さま、本当にお疲れ様です……

そして、多くの登記申請書類のチェックをされている法務局の皆さまもお疲れ様です。


苦労して立ち上げた会社が軌道に乗り(または苦労して申請書類をチェックした会社が)、順調に業績を伸ばしていかれることを、ここから秘かに願っております……



さてさて、いかがでしたでしょう。

会社の「成立」「設立」についてのモヤモヤは少しは薄まりましたでしょうか(偏頭痛も……)。

皆さまのスッキリ! に少しでも貢献できていましたらうれしいです。


最後までおつき合いいただき、ありがとうございました。

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