広告


ご家族や友人が誤認逮捕?!

それは……「保釈」も「釈放」も気になります。


あ、2時間サスペンスの話でしたか……

法廷


ドラマや推理小説だけにとどまらず、ニュースを見れば「有名人の誰それさん」が保釈金を○○千万払って釈放、などというのはよく耳にするセリフ。


お金持ちだからお金を払って釈放されるのか、ズルいぞ! 日本の警察は何やってんだ!


などと勘違いも甚だしいムカっ腹を立てていた時期もあったように思います……すみませんでした、日本の警察の皆さん。


「保釈」と「釈放」、違いをご存じですか?



違い? ……あるんだ?

「保釈金」?「釈放金」?

何千万も払わないといけないの? ドラマの犯人ってみんなそんなお金持ち設定だったの?

釈放(保釈)されるまで、時間はどのくらいかかる? というより、誰でも釈放ってしてもらえるものなの?




保釈や釈放、被疑者や被告人のように、犯罪に関する言葉は身近(本やニュースなどで)なようで、実際にはなかなか知る機会のないものです。


知らないまま一生過ごした方がいい?

関わることのない生活は確かに望ましいですが、一生関わることがないにせよ、知識としては知っておいた方がいいものかもしれません。少なくともニュースでは報道されない釈放までの何日間かの背景、小説内で見事無罪を勝ち取った主人公の苦労などはイメージできます!


「保釈」と「釈放」について解説いたします。


もしも万が一のことがあた場合にも、また特にそんなことのない毎日のちょっとした楽しみに読んでいる推理小説の薬味的にも、お役立ていただけると幸いです!


広告

「保釈」と「釈放」、何が違う?


「釈放」とは、拘束されていた身柄が解放されることを指す言葉です。


ですので「保釈」であっても「釈放」の一種であることには違いないわけです。


では「保釈」とは「釈放」のうち、どんな状況を示しているもののことを言うのか?

違いは正にそこ、その状況の差です。


「保釈」では身柄の拘束はなくなりますが、その期間は永久的にではなく「一時的」。


逃亡や証拠隠滅などの恐れがない、と判断された場合、一時的に許される身柄解放の状況を「釈放」の中でも特に分けて「保釈」と呼びます。


一方の「釈放」。

「保釈」も「釈放」の一種ではありますが、「保釈」ではない「釈放」の場合、その期間は永久的。


また「保釈」では必要となる様々な手続きや決められた時期を経ずに行われます。


「状況からの差」と書きましたが、ではその状況等、それぞれの場合を見ていってみましょう。

釈放とは?


ここでは「保釈」ではない「釈放」について触れていきます。無駄にややこしくなってしまいますので……


まずは「勾留が決定されなかった場合」。


逮捕後、検察に送致されない場合は釈放です。勾留する必要がない状態ですね。

例えば泥酔し大声で騒いでお巡りさんに連行され、さんざん説教をされた後、しょんぼりと帰宅。このような場合も一応「釈放」です。軽い感じですね。でも反省はしてください。


続いて「勾留決定後に不起訴、または略式罰金刑になった場合」。


不起訴には、捜査の結果「嫌疑なし」とされるもの、疑いは残るものの、裁判で有罪の証明が困難と思われる「嫌疑不十分」、犯罪を犯したことは確実なのですがその軽重や、被疑者の境遇、犯罪後の示談などの進捗状況などから裁判官の裁量によって「起訴猶予」とされるものがあります。


また「略式罰金刑」とは、正式な裁判を経ず、略式手続という簡易な裁判手続き(非公開、たいてい1日で終わる)で行われ、その後言い渡された額の罰金を納め、釈放となるもののことを指します。


これらの場合は「保釈」ではなく「釈放」です。


勾留中の事件が略式ではない正式な公判請求を受けると、その時点で「被疑者」は「被告人」に変わります。

ここがポイント。

まだ被疑者である内に釈放されればそれは「釈放」、被告人になった後での釈放は「保釈」となるのです。

勾留の効力が「被疑者」へのものか「被告人」に対してのものか、で「釈放・保釈」も変わってくるのですね。

保釈とは?


さて、被告人に対しての「釈放」である「保釈」。


ではなぜ「保釈」の制度が存在するのか?


これは「無罪推定の原則」によるものです。「推定無罪」、聞いたことはありませんか? こちらでの言い方での聞き覚えがあるかもしれません。

実際に有罪判決を受けるまでは被告人も無罪の推定を受けるべきものだ、といった考え方が根底にあるわけです。


そう考えますと、「無罪推定」の被告人を長期間勾留するのはどうなの? となりますね。肉体的にも精神的にも疲れ果て、社会的な信用にも傷がついてしまいました。

せめて、判決がでるまでは勾留を解いてあげよう、ということでの「保釈」なのです。

こちらは「必要的保釈(権利保釈)」と呼ばれ、上記のような理由から原則的に認められている「保釈」の種類となります。


ですが「原則的には」なので、もちろん認められない場合もあります。
  • その事件が一定の重大犯罪である場合
  • 一定の重罪犯罪の前科がある
  • 常習犯だ
  • 証拠隠滅を行う可能性がある(保釈却下の1番の理由となっています)
  • 証人として出廷するであろう被害者を含めた関係者を脅しそうだ
  • 被告人の氏名や住居が不明
なるほど、ですね。保釈が許可されないのも当然といえば当然のような気もします。


続いての保釈は「裁量保釈」と呼ばれます。

文字通り、裁判官の裁量によって保釈が許される場合ですね。


上記の「必要的保釈」の条件に当てはまらない場合でも、被告人に通院の必要があったり、その犯罪に情状酌量の余地があるなど、保釈の必要性・相当性が考慮された保釈のことを指します。


最後は「義務的保釈」

勾留が不当に長引いた場合、本来なら保釈を認めなければならないことになっているのですが、残念ながら実際にはなかなか実行されにくい状況のようです。


さて、保釈が許可される場合とされない場合があるようですが、それは一体なぜか?


そこで登場するのが「保釈金」です。

正式には「保釈保証金」、これは裁判所に支払うものではなく、預けるもの


つまり「逃亡・証拠隠滅などを防止」するため、また「裁判所への出頭を確保」するための担保のようなものなのです。


そのため保釈を許可された場合にも、以下のような守るべき条件が与えられます。
  • 身元引受人の住所に居住すること
  • 外泊または住所変更の際には、あらかじめ裁判所の許可を取ること
  • 3日以上の旅行にも許可を
  • 裁判所からの出頭命令には速やかに従うこと
  • 共犯者と接触しない
  • もちろん、公判を有利にしようと関係者を脅すことも禁止
  • これらに抵触しなければ仕事をしたり通学などは自由

……それはそうですよね。


これを破れば(違反すると)、保釈が取り消されることもあります。

保釈金も没収です。没収金(法的には「没取(ぼっしゅ)」は国庫に帰属し、税金などと同様に扱われることとなります。

保釈金の金額に相場はある?


♦山口組No.2 保釈金15億円で保釈


さて、こうなってくると俄然気になってくるのが「保釈金の相場」です。


何千万円も払わなければ保釈されないのなら、保釈の制度はほとんど機能しないものになるのでは……?

保釈制度なんて幻なんだ、お金持ちへの優遇制度なんだ……



……大丈夫ですよ。


何千万も納めるのは一般的なことではありません。

通常の目安としてはだいたい150~200万円。最低ラインが100~150万円、と言われています。

この金額は誰にでも一律ではなく、事件の重大性などによっても変わってきますが、被告人の生活状況なども考慮されています。

ですので、同じ罪名の事件でも、請求される金額に差が出てくるのです。


先ほども書きましたが「保釈金(保釈保証金)」は「保釈中の逃亡・証拠隠滅」などを防止するため、また「裁判所への速やかな出頭」を確保するための担保として預かるものだからです。

保釈金の額は、被告人それぞれの経済状況にとって、保釈の条件でもあるこれらを守る上でのプレッシャーとなる額になればいいのです。


それでも支払えない時には有価証券や被告人以外の方の「保釈保険証書」の提出で代替とすることも可能です。また立て替え業者なる業者さんも存在しています。弁護士さんに相談してみてください。


さらに、先ほどから「預ける」と書いている通り「保釈金」は全額返還されます(逃亡等の違反がなかった場合)。

保釈中の行動などの条件を守ることへの担保なので、保釈中でなくなればその効力は失われることとなります。判決が言い渡された後は、例え有罪でも全額返還です。手数料なども発生しません。


では次に、逮捕されてから保釈金を一旦支払い、見事保釈されるまでの流れやそのため必要となる期間(時間)等、見ていってみることにします。

保釈までの流れとそれぞれにかかる時間


「保釈」されるのにまず必要なこと、それは「起訴される」ことです(逮捕・勾留を経て起訴となりますが、起訴前の釈放は「保釈」とは異なります)。


簡単に流れを追ってみましょう。

    逮捕 → 10日~20日間の勾留期間を経て → 起訴 → 当日から保釈請求可能 → 弁護士さん裁判官と面談 → 裁判所のお休みが間に入らなければ通常3日後(遅くとも一週間以内) → 保釈許可(もしくは不許可)が決定→ 保釈金を納付(持参するのは一般に弁護士さん・保釈の許可さえ出ていれば、納付期限は決められていません)→ 納付の通知を受けた検察官が保釈を指揮 → およそ1~2時間後 → 解放(釈放)

保釈請求が可能となるのは起訴された当日から。

裁判所は検察官から意見を聴取、弁護士は裁判官と面談を行います。


ここで許可が出れば、裁判所の出納官史に現金を持参、保釈金を納めるわけですね。


納付が確認されると検察官に通知が行きます。それを受けて検察官は刑事施設の職員に保釈を指揮。

こうして被告人は留置場(または拘置所)から保釈され、裁判所で定められた自宅等の住居へ帰ることができるのです。

もちろん裁判の日も自宅から裁判所へと向かいます。裁判が終わるまで、ずっと自宅からです。


つまり、起訴されてから判決が言い渡されるまでが「保釈」が可能な期間、ということですね。


なお、保釈金の納付は裁判所の会計課窓口が開いている時間(AM8:30 ~ PM5:00)でないと受け付けてもらえません。また裁判所自体の業務も土日祝はお休みとなります。間に休日が入っていた場合、その日は「1日」としてカウントされませんのでお気をつけください。


さて、このあと裁判で判決が出るわけですが、それから(判決言い渡し後から)数日から一週間ほどで保釈金は返還されることとなります(保釈金を納付した際、指定していた口座へ振り込まれます)。
判決が有罪であってもそれは変わりません。
つまり、
  • 実刑判決が出た場合: 刑が確定し、保釈の効力が失われた
  • 無罪または執行猶予判決の場合: 勾留の必要(勾留状の効力)がなくなった
という理由から、保釈を保証する理由がなくなり返還される、というわけです。


ですが、万が一却下されてしまった場合、もう万事休すなのでしょうか? チャンスは1回きり?


いえいえ、保釈が不許可となった場合でも「不服申し立て」ができます。


保釈を却下した裁判官とは別の裁判官の判断を、再度仰ぐことができるのです。

ここで認められれば「保釈」は許可されます。


もしそれでも不許可だったら……?


今の状況では却下、ということですので、今後事情の変わることがあれば、何度でも保釈請求をすることは可能です。


また、保釈条件でもある「身元引受人の有無」ですが、同居する人がいない場合でも、雇用主や友人など、保釈中、出された条件に責任をもって対処してくれ、公判期日に出頭させる等の約束をしてくれる方がいれば「身元引受人替わり」に立てることもできます。

やはりここも弁護士さんとよく相談の上、善処してみてください。

広告

「保釈」と「釈放」はこんなに違った!


似たようなイメージがありましたが、かなり違うものだったようです。

ではここで、2つの比較等をしつつ、それぞれのポイントを見ていってみましょう。

どんな状態の事を指す?

  • 保釈: 起訴後~判決までの間に請求、許可を得て身柄の拘束を一時的に解かれている状態
  • 釈放:(保釈も釈放の一種だが)保釈に必要な手続き等一切不要。身柄が完全に開放された状態

対象となるのは?

  • 保釈: 被告人段階
  • 釈放: まだ被疑者の段階 
      → 嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予での不起訴処分となった場合

これを支払えば、とりあえず!

  • 保釈: 保釈金(正確には「保釈保証金」)
      → 一般的な経済力の被告人であれば150~200万円が目安です。あくまで「逃亡・証拠隠滅」等の抑止力となるべくプレッシャーを与える額となるため、被告人の生活状況などにより一律のものではありません。

  • 釈放: ありません。それをやったら、新たな犯罪となってしまいます。

保釈・釈放、どのくらい時間がかかるもの?

  • 保釈: 「起訴」されていないものには「保釈請求」が出せません。起訴されるまでに10~20日の勾留期間があります。起訴された当日から請求は可能。大体2~3日で許可・不許可は決定されます(遅くとも一週間)。その後許可されたなら保釈金を納付。納付から数時間後には保釈されます。

  • 釈放: 手続きの段階、または原因に左右されることなく身柄は解放されることとなります。

条件はある?

  • 保釈: たくさんあります。

    ▲身元引受人の住居に住むこと
    ▲外泊・3日以上の旅行・住所変更などはあらかじめ裁判所に許可を得ること
    ▲共犯者と接触したり、公判を有利にするため、関係者を脅さないこと
      → これらに違反すると「保釈の取り消し」「保釈金の没収(没取)」です。 

    △仕事や通学等、条件に抵触していないことは認められています

  • 釈放: ありません。早く普段の生活に戻れるといいですね!



★保釈が許可されにくいパターンは?

  • 薬物で起訴された場合
      → 入手ルートなどの問題もあります。正直に自白しても「人」単位ではなく「事件」として括られることが多いため、困難な場合があります。

  • 共犯事件で起訴された場合
      → 証拠隠滅の問題ですね。単独での犯行と比べると難しい状況となります。

  • 事件を否認している場合
      →「吐いちまえよ、家族に会いたいだろ」のパターンです。やっていないからやっていない、と言っているだけなのですが、反省の色がうかがえない、まだ何か隠しているのでは? 証拠を隠滅する気だ、などの理由により保釈のハードルは上がります。本当にやっていないのだとしたら、何とかならないものなのか、と思ってしまいますが、実際には狡猾な否認もあるので仕方のないことなのでしょうか。

広告

終わりに……


いかがでしたでしょう。


知ってしまえば「なるほど」な違いやルールなのですが、仕事に行く前のニュースなどで耳にするだけでは、なかなか突っ込んで知ろうとはしない違いですね。


あのドラマの酔っぱらいはどんな説教をされて釈放されたのか、お気に入りの小説の敵対役、あの犯人の保釈請求はぜひ何度でも却下してほしい! などなど、ちょっとだけ面白くなってきませんか?


いざという時にも、また一生いざという時がない場合でも、何かのお役に立てていたらうれしいです!


広告