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こういうことはまず、それぞれの意味を調べるところから始めるべし。

よし、チャッチャとやっつけよう。

よし…………

……「辞書・辞典・事典」……えっと、どれで?


辞書
PDPics / Pixabay


うーん、強烈なジレンマですね!


「辞書」?「辞典」? この2つって同じ意味じゃないの?

読み方も一緒の「辞典」と「事典」って、もの凄く紛らわしいんだけど、何とかならない?!

「広辞苑」とか「家庭の医学」とか「法律百科」なんかが一緒に入ってる電子版のものは、何て呼ばれるの?

日本語ってヤツは……何でもややこしくしないと気が済まないのか? 英語ならきっともっとズバッとわかりやすく分かれてるはず……ブツブツ……


などなど、確かに調べもののエキスパートたちの名前の違い自体が曖昧、というのは困りもの……

そもそも、何がこれら3つの名称を分けているのか、実際に英語表記ではこの曖昧さが解消されているのか等含めまして「辞書・辞典・事典」の意味、違いを解説いたします。


皆さまのジレンマ対策、はたまた豆知識的欲求が少しでも満たされましたら幸いです!


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「辞書・辞典・事典」はココが違う!


まずは冒頭の問題解決から。

「辞書・辞典・事典」の言葉の意味を調べたい場合に使われるのは「辞書・辞典」。「事典」だけが仲間外れ、となります。


「辞典」が対象を「言葉」としているのに対し、同じ読み方をする「事典」での対象はそれ以外の「事柄」。つまり、

  • 辞書: 言葉や文字(漢字)の意味などを調べたい時に
  • 辞典:「辞書」と同じく言葉や文字について
  • 事典: 言葉や文字以外について調べたい時にどうぞ

調べるものの対象(何についてまとめられたものか)が、これら3つを分けているのですが、何となくわかったようなわからないような……


「辞書・辞典」はほぼ同じですね。

さてさて、一つだけ仲間外れにされてしまった「事典」。


「言葉や文字以外の事柄」って何?


ではその「事典」について、同じ読みの「辞典」との比較を交えつつ見ていってみましょう。

同じ読みの「じてん」。『事典」と『辞典』の違いはコレ!


まずは、どのような「辞典」「事典」があるか、代表的なものを挙げてみます。

  • 辞典: 国語辞典 / 英和辞典 / 類語辞典 / ことわざ辞典 など
  • 事典: 百科事典 / 医学事典 / 動物事典 / 乗り物事典 など


♦学びを広げる学校図書館「百科事典の使い方」



薄っすらおわかりいただけるかと思いますが「辞典」ではオンリー言葉関係、「事典」ではその範囲がかなりバラエティーに富むもの、となっています。


「辞典」の「辞」には「ことば」の意味があり、「事典」の「事」は「できごと、事柄」などを示しています。


例えば上記の「医学事典」とは病名や治療法、症状などに関することについて、様々な解説がなされている書物のことを指します。

同じく「動物事典」でしたら、動物の種類や飼育法、動物に関するものであれば病気についても書かれているもののこと。

それぞれの分野ごとにまとめられ、その説明をしてくれている書物ですね。


さてこのようなことは「辞典」では調べられないのか?


どちらかと言いますと、できないのです。

おかしな表現になってしまいましたが「辞典」で例えば「犬の皮膚病」について調べよう、と思った場合の手段としては、

  • 「犬」について調べる → イヌ科の哺乳類、などといった一般的な「犬」という言葉の意味についての知識を得ることができます。
  • 「皮膚病」について調べる → 犬の、というより「皮膚に生じる病症」など「皮膚病」という言葉の意味についてならバッチリ。

  •  →「犬」「皮膚病」どちらの知識も得ることはできるのですが、「犬」に特化した「皮膚病」は調べることができません。

「辞典」で調べることができるのは「言葉自体の意味」について。

一方の「事典」が対象としているのは「事柄」。つまり「動物事典」でしたら、「動物についての様々なこと」についてが集められ、それらについての説明が載っているわけです。


「動物」に関することなら大抵のことに何らかの答えが出るのが「動物事典」、「医学」に関する疑問を解消したいなら「医学事典」、そしてその言葉自体の意味を知りたい時に引くのが「辞典」ですね。

そして、さらに「国語」の範囲の意味を調べるには「国語辞典」、「古文」を読むには「古語辞典」、英語の日本語訳を調べたいのであれば「英和辞典」といった感じです。


この違いから「辞典」を「ことば典」、「事典」は「こと典」と呼び分けることもあります。


あれ? でもそれって「辞書」でも一緒じゃない?「辞書」と「辞典」って、じゃあ同じもの?


実はここが一番絡まっている部分。

実際「狭義(狭い範囲で捉えた場合)」では2つは同じ意味を持つ言葉でもあるのです。
でもちょっと違う。

では続いて「辞書」です。

「辞典」と比較しつつ、その違いを見ていってましょう。

『辞書』とは?『辞典』との違いはココ


まずは言葉の意味を比べてみましょう。

  • 辞書: 言葉を集めて一定の順序に並べ、発音・表記・意味・用法などを説明した本、字引、辞典
  • 辞典: 辞書に同じ。「事典」「字典(漢字を集めて一定の順序で配列。その字形や音訓・意味などを説明した本、字書、字引 / もじ典)」と区別して「ことば典」とも

同じですね。

ですがここで注目すべきは先ほども出ましたが「ことば典(辞典)」「こと典(事典)」「もじ典(字典)」といった別称の存在です。


「辞書」にはないのです。


さらに「辞書」をもう少し掘り下げていくと、

  • 「辞典」の他「字典」も含めたもの
  • パソコンやワープロ、自動翻訳システムにおいて、漢字・熟語・文法などを登録してあるファイル

このようにいわゆる書籍としての「辞書(これが『辞典』と同じ部分)」の他にも「言葉や文字」を対象とし、その意味や用法などが順序立ててまとめられたデータベース全般を指し「辞書」なのですね。


パソコンで利用される「ユーザー辞書」や日本語入力システム、または日本語変換に必要となるデータを収めた「辞書ファイル」、これらが「○○辞典」と呼ばれることはほぼあり得ません。

また、逆に「国語(英和)辞典」などは「国語(英和)辞書」とはならず、どうしても「辞書」と言いたい場合には単に「辞書」ですね。

さらに若干イレギュラ感もありますが「国語辞典」「英和辞典」等の言葉や文字に関したものはもちろん「食の医学」や「日本の文学300選」などまで入っているような便利な「電子版」も「電子辞書」です。

これは、

  • 「事典・字典」などの総称として「辞典」または「辞書」という場合もある

ため。

本来「辞典」「辞書」には明確な使い分けの基準、とされるものがないのです。


ですが、傾向、またはイメージとしては「辞書」からさらに分類・特化されたものが「辞典」。ただの「辞書」より「ことわざ辞典」で調べた方がそのことわざについては詳しく調べられる、といった感じです。なぜなら「ことわざ辞典」は「言葉」の中でも特に「ことわざについて」がまとめられた「辞書」、つまり「辞典」だからですね。


「辞書」 → 「辞典」 > 「事典・字典」


あくまで一般的な使い分け、となりますが、上記のように「辞書」からさらに分岐・特化し、限定的なものについてまとめられたものが「辞典」。「事典・字典」とは役割は違いますが、この2つを含んだものも「辞書」または「辞典」と呼ぶ場合もある、といった関係になっています。

そしてパソコン等の機械類ではほぼ「辞書」。「辞書」には書籍だけではなく、言葉や文字についてデータベース化されたものを指す、という意味もあるためです。


さて、ここで英語表記を見てみましょう。

「事典」も含め、3つの表記は以下の通り。「辞書・辞典」関係がさらにわかりやすく示されています。さすが英語!

英語表記での違い!


  • 辞書: a dictionary
  • 辞典: ~dictionary(国語辞典: a japanese dictionary / 人名辞典: a biographical dictionary)
  • 事典: encyclopedia(百科事典) / a dictionary of ~

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「辞書・辞典・事典」の違いアレコレ♪


書籍でも、データベース化されたものでも「言葉や文字」の意味や用法をまとめたものが「辞書」。こちらの自由度はかなり高めです。

そして、そこからそれぞれの分野ごとに分かれ特化されたものが「辞典」。ですので「辞書」より「辞典」の方が詳しく書かれていることが多いのです。一点(分野)集中タイプのものですね。明確な決まりはありませんが、データベース化されたもの等、書籍以外にまとめられたものについて「辞典」が使われることは、まずあり得ません。

同じく一分野に特化しているものの中でも「言葉・文字」以外の事柄をまとめて、説明しているのが「百科事典」に代表される「事典」。

そして「辞典・事典」はそれぞれの対象から「ことば典(辞典)」「こと典(事典)」とも呼ばれている、3つの関係はこのような感じになっています。

では、ここでもう一度、おさらいも兼ねましてそれぞれの特徴、違いを振り返ってみましょう。

何をまとめたもの?


  • 辞書: 言葉
     → 言葉を集めて、一定の順序で並べ、発音・表記・意味・用法などを説明した本。あるいはこれらをデータベース化したもの全般を指しています。

  • 辞典: 言葉
     →「辞書」とほぼ同様な使われ方もしますが、一般的には一つの分野について特にまとめたもの。データベース化されたものに使われる言葉ではありません。ほとんどが本(書籍)の形をとります。
     → 国語辞書 / 英和(和英)辞典 / 類語(対義語)辞典 / ことわざ辞典 など

  • 事典: 事柄(事物)
     → 事柄を表わす言葉を集めて、それらに対し解説をしてくれています。
     → 百科事典 / 医学事典 / 乗り物事典 / 絵画事典 などなど、言葉以外のもの

  • 字典(おまけ): 漢字
     → 漢字を集めて、一定の順序で並べ、その字形・音訓・意味などを説明した本。
     → 漢字字典 / かな字典 など

  • 図鑑(おまけ②): 図・写真などを中心に事物を系統的に解説している書物

何天?


……その文字だと、天ぷらかお好み焼きになってしまいます……「典」です。

  • 辞書: 特になし

  • 辞典: ことば典
     →「辞」は「ことば」の意味も持っています。

  • 事典: こと典
     →「事」が示しているのは「事柄・できごと」など。

  • 字典: もじ典
     → そのままですね。

英語では?


  • 辞書: a dictionary
     → これが大もとになっています。

  • 辞典: ~dictionary(国語辞典: a japanese dictionary / 人名辞典: a biographical dictionary)
     →「~の」辞書、が「辞典」といった感じ。

  • 事典: encyclopedia(百科事典) / a dictionary of ~
     →「百科事典」に関しては「辞書・辞典」と一線を画しています!

簡単に分ける方法は?


  • 本でないものなら: 辞書
  • 何か特定のものに関しての書物で、かつその特定されたものが「言葉・文字」に関するものなら: 辞典
  • 同じく、それが言葉以外だったら: 事典

→ イマイチ曖昧な「辞書」と「辞典」を分けている現在の傾向としては、書籍化されていて、なおかつジャンル分けされたものを指し「辞典」、それ以外を「辞書」とする場合が多いようです。

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終わりに……


何かを調べるのって、思った以上に大変なのね……


色んな意味でそう思います……


ですが、いくつもの「調べるアイテム」が存在している、というのは裏を返せば、それだけの物事を知りたい人たちがいて、それ以前に、自分にはまだまだ知らないことが山ほどある、ということ……なのでしょうか。エライことです。


「辞書・辞典・事典」、それ以外にも「字典」や「図鑑」など、全部揃えたくなってきました。持ってるだけで頭が勝手に良くなりそうです!


さて、いかがでしたでしょう。


それほどの違いでもないと思っていましたが、例えば「空前絶後」の意味をどれだけ必死に「事典」で調べても出てこない……なるほど、この違いは結構大事かも……

などなど、皆さまに少しでも思っていただけ、モヤモヤの解消のお役にも立てていましたら嬉しいです!


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