こんな『違い』があったんだ!

『ミス』と『間違い』の違いとは? 類語は? 英語だと?

エラー
うーん、やっぱりビールには唐揚げ!これぞ 最強、この組み合わせに間違いなし!!

……あれ? でも「ミスのない組み合わせ」だと、なんかヘン……違いって、そういうこと?


エラー

はい! 違いって、そういうことです!

そもそも「ミス」とは「ミステイク」の略。

それほど違いのあるはずのない2つの言葉なのですが、やはり微妙な違いはあるのです。


なぜ「間違いない組み合わせ」はしっくりきて「ミスのない組み合わせ」だとちょっと座りが悪い……となってしまうのか。

「ミス」と「間違い」の類語、英語での表記(ミス・ミステイクとさっき書いてしまいましたが、もう少し詳しく)等含めまして違いを解説いたします。


微妙なくせにちょっとは違う、は面倒くさいですが、その小さな違いがわかると、思いのほか気持ちがいい……そんなスッキリのお手伝いとなれましたら幸いです!
目次

「ミス・間違い」は何が違う?

では初めに、一つの例を。


2つの同じように見える絵の違う部分を探す「間違い探し」。最後の1個だけ、見つけるのがやたらと難しいアレです。


探すのが「間違い」ではなく「ミス」だったら? と考えてみますと、何となくですが本題である絵の中の違いより、問題文の誤字脱字や絵を囲んでいる棒線のかすれ具合などのおかしな箇所の方を探したくなってきませんでしょうか?



間違い」には「事実と違うこと」「正しくないこと」の意味もあり、一方の「ミス」は「うっかりして失敗すること」「注意不足で間違える」などの意味合いで使われることの多い言葉だからです。


「うっかりミス」などとよく言いますが、何か重大な問題を起こした人が「うっかり間違えました」などと言えば、限りなく印象は悪くなります。


事故や信じられないような出来事にも「間違い」は使われます。

目の前で地面が陥没……「何かの間違いかと思った」ですね。もはや「何かのミス」があったどころではない状況です。「何かのミス」で済まされるのは「ちょっとした手違い」程度のアクシデントまで。


「間違いなく届けます」。信用できます。「ミスなく届けます」……多少ミスがあってもいいので間違いなく届けてほしくなります。ミスのないことも大事なのですが、そこじゃないのです。確実に届けることを約束してほしい……


と、このようにニュアンス部分でもかなり伝わるイメージは変わってくるのです。


さてさて、冒頭の「そこら辺の違い」が、これらのニュアンス的な違いです。


では続きまして「ミス」「間違い」それぞれについて、意味や類語などからも、その違いを見ていってみましょう。

「ミス」とは? 類語・英語は?

まずは「ミス」の辞書的な意味です。

  • 失敗すること
  • 過失
  • やり損なうこと / し損なうこと
  • 誤り
  • 落ち度 / 手違い
辞書は端的すぎるのか、意味の輪郭しかわかりません。


ですがどちらかといえば「正しくないことをした」というより「正しいことができなかった」に近いでしょうか。

また「ミスマッチ」「ミスキャスト」など「うまく合わない」という意味でも使われる言葉です。


「ミス」の類語として「エラー」が挙げられますが、ともに共通しているのは「失敗をする」ということ。


うまくボールをキャッチできなかったことなどを「エラー」と言います。スポーツではよく使われる言葉ですね。

これが「ミス」ですと、本当なら取れたはずのボールを、よそ見をしていたためキャッチし損ねた、などといった意味になります。

「エラー」は頑張って追いかけてはみたものの、力及ばず届かなかった、のような感じですね。


どちらもボールを取ることには失敗していますが、チームメイトから、より白い目で見られるのは「ミス」でボールをキャッチできなかった方の人。

できるはずのことを不注意で「失敗」しているからです。

パソコンなどでも「エラー」はよく起こります。

パソコンはミスを犯しません。ミスしているのは使っている側の人間です。

それに応じパソコンがエラーを出すのです。


さてさて、英語にも「ミス」という言葉は存在します

表記は「miss」。独身女性を表すのと同じ綴りなのですね。


「miss(独身女性ではない方の)」の意味をサラッと見てみましょう。

日本語での「ミス」とちょっと違います。


    (標的・目標を)逃す、外す、~に当てそこなう / それる、外れる / 見落とす、見逃す、見誤る / 間に合わない / 聞きもらす /(事故などを)避ける / 免れる / ~しないで済む /(約束や義務を)守れない、果たせない など
そしてかの有名な「I miss you」の「~がいないことに気づく / さみしく思う」です。


「miss」の前半はまだわかる気がしますが、後半「事故などを避ける・免れる・~しないで済む」というのは想定外。

「I miss you」もガチガチの日本語的解釈では、まったく意味の分からない言葉になってしまいます。


どうして? どっちも読みは「ミス」なのに?


実はここがかなりややこしいところなのですが、英語では「間違い」や「失敗」など、日本語での「ミスをした」といった意味合いで「miss」を使うことはないのです。

初めの方にサラッと書きましたが「ミス」とは英語の「mistake(ミステイク)」からできた言葉。略され「ミス」です。英語の「miss」とは同じではないのですね。もう、ほとんど日本語のようなもの。和製英語です。


ですので、日本語での「ミス」感覚で英語の「miss」を使うと、


「なんでこの人は、失敗して恋しがってるんだ?」

のような感じで、話が全くかみ合わないことになってしまうのです。


英語でも「miss」という言葉は存在しますが、日本の「ミス」とは意味が違う、ここ、要注意です


「mistake」の略なら「ミス」って、ほぼ「間違い」じゃん。

……まぁ、そうですね……言い換えても、それこそ間違いにはなりません。

でもでも……先ほどから書いているようにニュアンスが違うんですって……


ではとりあえずその「mistake」、「間違い」です。

続いて「間違い」について、「ミス」と比較しつつ見ていきましょう。

「間違い」とは?「ミス」との違いはココ!

まずはこちらも辞書的な意味からいきましょう。

  • 事実と違うこと、誤り、間違え
  • しくじり、過失、過ち
  • 異常な出来事、事故
  • 男女間の不道徳
何となく「ミス」より重い気がしますが、共通する部分も多いようです


テストで「名前を書くのを忘れた!」 などは単純な「ミス」ですが、答えが「間違い」ではバッテンです。

ちょっと下世話ですが、有名人の不倫報道などでは「情報の流出」等、諸々は当事者同士の不注意、つまり「ミス」からくることかもしれませんが「不倫」自体は人として間違った行為。

謝罪会見などで「すみません、ミスってしまいました」では「うっかりしてて、バレちゃいました」になってします。「間違いを犯してしまい、申し訳ありません」であれば「不倫」そのものを悔いていることだけは、とりあえず伝わります。


上記の意味の中にもある「誤り(あやまり)」「過ち(あやまち)」は「間違い」の類義語でもあります


「誤り」とは「本来あるべきものと食い違っている」こと。「誤謬(ごびゅう)」とも言います。

本来間違えるなんて考えられない「弘法」さんも筆を誤っています。


また「過ち」は「悪気があったわけではなく、偶然に犯してしまった罪」などという意味、「過失」の「過」ですね。


また「道徳などに反している行動」も「過ち」です。先ほどの謝罪会見では「間違い」の代わりに「過ち」でもいいのですね。


「間違い」も含め、いずれにせよ「正しくない状態・結果」を示す言葉です。


さて、冒頭の「ビールと唐揚げ」、確かにこれは間違いのない組み合わせ。期待を裏切りません。


では「ミスのない組み合わせ」とはどんな組み合わせなのか?

あまり聞かない言葉なのでイマイチ想像がつきませんが、おそらく居酒屋などで、

    「生ビールと唐揚げお願いしま~す」と頼んで、新人店員さんが「ハイボールと唐揚げ」を運んできてしまい「これ、違うよ」の後「申し訳ありません!!」とベテラン店員さんが「ビール」を持って登場「そうそう、これこれ! やっぱりベテランさんは注文通りミスなく持ってきてくれるよね!」
……ちょっと強引ですが、こんな感じでしょうか。


「間違いない組み合わせ」とは意味が全然変わってきてしまいますね。


ビールと唐揚げの組み合わせが美味しいという事実に間違いはない」が「注文したものはビールと唐揚げで間違いない」のようになってしまいます


そして英語では「mistake」ですね。「誤って(mis)取る(take)→ 思い違い」がもともとの意味です。


間違い・勘違い・手違い・思い違い・誤解」などの意味で使われます。


ですが「間違える」と動詞として使うことはあまりなく、間違ったことをした結果、つまり名詞での「間違い」として使われることがほとんどです。


また、上記のものであれば、

  • しくじり、誤り、過失、手違い、失敗などの意味: failure / error
  • 事故: an accident
  • 困ったこと: trouble
  • 男女間の不道徳: an indiscretion / misconduct
などと表わされることも。


また「mis」にはそのあとの言葉の意味を付け加えたり、文法上の変化をつける働きがあるため、失敗した行為等の前に「mis」をつけ、例えば「misread = 誤解する・読み違える」というように表されることもあります。


「ミス」が「ミステイク」の略、と考えますと両者の垣根は相当低いことになります。


「ミス」も「間違い」もどちらも失敗や誤り、過ち、などが同じく類義語とされていますが、どちらかと言いますと「間違い」の方が、より「事実」や「正しさ」との隔たりが大きい場合に使われる言葉。そして「ミス」に比べ「うっかり」からは遠くなります(ただし、それは日本語での場合。英語の「mistake」は「ミス」と同様「不注意や知識不足などによる」ものに使われます。深刻な間違いに使われるのは「error」の方です)。


「間違い(mistake)」から派生した「ミス」は同じような失敗でも「うまくいかなかった」「不注意で失敗した」、の意味合いの強いものとなります。まさに「ミスった!」的な使われ方の多い言葉となります。


また、事故や思いもかけない出来事、反社会的かつ反道徳的なものをいう「間違い」を「ミス」と言い換えることはほぼあり得ません。

「ミス」と「間違い」の違いアレコレ♪

でも、どっちも「間違い」でしょ?

はい。どちらも「間違い」です。「正しくはない」なのです。

その「正しくない状態や結果」を表す語として「間違い」、「本来ならできたはずなのにうっかり間違ってしまい、結果的に正しくはないこと」を指し「ミス」といった感じですね。

微妙な違いであることは「間違いなし」なのです。


ではここで「○○の時はどうしてミス(または間違い)」の方がしっくりくるのか、など「ミス」と「間違い」の違いを比較を交えまとめていってみましょう。

痛恨の『○○』!

    「ミス」!! 
  • 「痛恨」=「ひどく残念に思うこと / 非常に悔しがること」だから

    → 彼が何をやってしまったのかはわかりませんが、これだけ悔しがっているところを見ると、本当にどうでもいいようなことで大失敗、の様子がうかがえます。こんな場合は「ミス」=「本当ならできていたはずなのに……」の方になります。

何でも言うこと聞くと思ったら『○○』よ!

    「大間違い」よ!
  • 「何でも言うことを聞くと思っていることは事実と大違い」だから。つまり彼女は言うことを聞く気なんてないのです。とりあえず、すごく怒ってるようです。

    → 何をお願いしたのでしょう。お金貸して、とかでしょうか……。いずれにしても事実と違っていることは「ミス」ではありません。うっかりや失敗などではなく、事実間違っているので「間違い」の方。

帰るコール(古い……)があってから、もう2時間も経つのにまだ帰ってこない……何か『○○』があったのでなければいいのだけど……

    何か「間違い」があったのでなければ……
  • この場合は、いつもと違う「異常な出来事」として「間違い」が使われているパターン。いつもは電話の後、きっとすぐに帰宅、なのですね。

    → いろいろな意味で心配です。電車で寝過ごして終点まで行って、さらに折り返して反対の終点まで……のループなどでしたらまだいいのですが、不埒な方の間違い(男女間の不道徳バージョン)だったらただではすまなそうです。ですがその場合でも使われるのは「間違い」の方

ライダースの下にそのシャツって、おまえ……

    「ミスマッチ」!!
  • 「うまく合っていない」の意味で「ミス」が使われます。

    → 決して「間違い」ではないのです。でもバランスが悪いというかヘンというか……要するにチョイスミスです

どうしてかけ算になると毎回「間違えるの」or「ミスするの」!

    2通りの解釈があるバージョン
  • 「ミスする」バージョン: 焦ってしまうのでしょうか。単純ミスをしてしまうのですね。
  • 「間違える」バージョン: もしかしたら「かけ算」のやり方や仕組みがわかっていない、または「2×2=5」などと、完全に勘違いしたまま覚えているのかもしれません。
  • ➡ これは「かけ算」に限らず、うっかりなら「ミス」。焦らずゆっくりと解くクセなどをつけていくことで正解にたどり着くことができるようになりますが、根本的に間違って覚えている、もしくはやり方(解き方・書き方など)がわかっていない場合には、怒らず気長に一から教えてあげてくださいね。

終わりに……

「間違い」を英訳したのが「ミス」なのかと思っていましたが、それは「ミステイク」の方。

しかも英語の「miss」「mistake」と日本語の「ミス」「間違い」はイコールではない……


うーん。ややこしい…… 

ですが「間違い」一つに「mistake」の他「error」や「failure」「accident」「indiscretion」など、意味により使われる単語もそれぞれに分けられている英語に比べれば、まぁ……楽なのでしょうか。


いや、たくさんの単語に分かれている英語の方が曖昧さが回避できていいような気もしますが……


ですがこれが日本語(「ミス」も和製英語)、母国語です。

うまく使い分けるのも日本語ネイティブたるものの宿命なのです!



さてさて、いかがでしたでしょう。


別にどっちだってそんなに変わりないじゃん……

ということをあえて違う言葉で表現する日本語は、それだけ繊細な言葉なのかもしれません……間違いなく繊細なのです!


皆さまの「結局面倒くさい」の思いが「日本語もこだわってんなぁ」の方に少しでも傾いていただけていればうれしいのですが……

関連記事はこちらになります。

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