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あいつ、ついに行っちまいやがった……オレの代わりに山が泣いてるぜ……景色がかすんで見えらぁ……

……!

って、言ってる場合じゃないほど煙ってきたんだけど!
ねぇちゃん! 一旦戻ってきて!! せめてオレ家まで送ってから買い物行って!!


霧


霧ですね……そしてお姉さん、上京とかではなくて買い物ですか……人騒がせな……


空気中に半透明の幕が張ったような感じで視界が悪くなる現象、少しくらいの濃さであれば、何とも幽玄で幻想的な雰囲気なのですが、これが濃くなってくると、そうも言っていられなくなってきます。

一寸先は闇、ではなく、ほんのちょっと先が白い幕で遮られる感じですね。歩けないかも……


「霧」と「もや」「ガス」って違うものなの?

うちのじいちゃんが、山見て「今日はガスっとるなぁ」って言ってた。「ガスる」って何?

どうやって「霧」って生れるの?

「霧」「もや」「ガス」、一番濃いのはどれ?



などなど、そう言われてみれば、確かに何となくしか知らない3つの「煙っぽいもの」。

「霧・もや・ガス」の発生原因、その濃さ等含めまして3つの違いを解説いたします。


皆さまのモヤモヤもすっかり晴れますよう、少しでもお役に立てれば幸いです!


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「霧・もや・ガス」の違いはコレ!


「霧」と「もや」は濃さが違い「ガス」はその発生場所による「霧」の別称。


簡単に言いますと、3つの関係、違い部分はこのようになっています。


ふーん。簡単に言われ過ぎて、ちっともわからない……


では、もう少し詳しくです。

  • 霧: 発生すると1キロメートル未満までしか先が見えない
  • もや: 発生しても1キロメートル以上、10キロメートル未満までなら見える
  • ガス:(これには色々な意味がありますが「霧・もや」と呼応する意味での「ガス」では)海上に発生した霧。または濃い霧、濃霧

つまり「霧」と「もや」では「霧」の方が濃く、「霧・もや」の発生場所が「海上」だった場合「ガス」と呼ばれることもある、といった感じですね。


これらの発生原因は「雲」と同じ


では、なぜ「霧・もや・ガス」は雲のように空に浮かばず地面に接して発生するのか?



まずは「霧」と「もや」の違いを比較しつつ、その発生のメカニズム等も見ていってみましょう。

「霧」とは?「もや」との違いはココ!


「霧」「もや」ともに一般用語として使われることもある言葉ですが、気象観測でいう場合のこれらは、それぞれに前述のような決まりがあり「水平視程(水平方向に見て、ものの輪郭がはっきりと識別できる最大距離)が1キロメートル未満のものを『霧』、以上は『もや』」とされています。


視界の悪さでの違いですね。


「もや」が濃くなっていき1キロメートル先までも見にくい状況になると「霧」と名前を変えるわけです。

「霧」と「もや」の違いは、これだけなのです。


では、「霧」または「もや」が発生するのはなぜ?


先ほど発生原因は「雲」と同じ、と書きましたが、そもそも「雲」とは、空気中に含まれる水蒸気が上空に昇っていくことにより、冷やされできたもの


一定量の空気の中に存在できる水蒸気の量には限りがあり、その量を超えると飽和状態を迎えることになります。

こうなると「水蒸気」も気体であることを保っていることがキツくなってきます。

そこで限界量に達した「水蒸気」は、空気中にある小さな塩の粒(海水の飛び散ったもの)や火山の噴煙・工場などからのばい煙などを雲の核とし、それらにまとわりつき、大きくなって液体である水の粒へと変化、ついにはそれらが集まって「雲」となるのです。


つまりは空気中の水蒸気が「雲」の始まりです(かなり大雑把に言うと)


「霧」「もや」もこの出来上がる仕組みは同じ。

「雲」は空中に浮かんでいますが、地表や海面付近で浮遊しているのが「霧・もや」なのですね。


山などに雲がかかっている場合、登っていきその中に入れば、そこは「霧(もや)の中」になるわけです。


ただし地表や海面付近は上空ほど気温が低くないため、雲ほど簡単に「霧・もや」は発生しません

ですが、発生する時はします。


「霧(もや)」にはいくつかの発生条件(原因)があり、それぞれに「放射霧」「移流霧」「蒸気霧」「前線霧」「滑昇霧(上昇霧)」などと呼ばれます。


興味のない方はスルーしてくださって構いませんが、一応、以下にその発生状況を簡単に挙げていきます。

※「霧」の分類


    ◎「放射霧」
  • 晴天の日、日中に暖められた地表が、日没後熱を放射 → 地面が冷え気温も下がる →(この時地面が適度に湿っていると)→  雲発生の時同様、地面に接している空気中の水蒸気が一定量に達し(飽和状態に)→「霧」発生

  • ◎「移流霧」
  • 暖かく湿った空気が水温の低い海面や陸地に移動 → 下から冷やされる → 同じく空気中の水蒸気、限界 →「霧」発生

  • ◎「蒸気霧(または「川霧」とも)」
  • 冷たい空気が水温の高い川などに移動 → 混じり合うことで →「霧」発生

  • ◎「前線霧」
  • 温暖前線付近で雨 → 湿度アップ → 雨が落ちる → 雨粒から水蒸気が蒸発 →「霧」発生

  • ◎「滑昇霧(上昇霧。または「山霧」とも)」
  • 湿った空気が山を上昇 → 冷却され →「霧」発生

どの場合も冷やされることにより「水蒸気」が「気体」から「液体」へと変化することで生まれています。

「雲」と同じですね。


そして、水蒸気からできた小さな水粒の濃度が濃いものを「霧」、薄いものが「もや」。濃い霧の中にいれば、雨ほどではありませんが、体もかなり濡れてきます。

そして、先ほども書きました通り2つを分けるポイントは「1キロ」。1キロ先が見えないような濃さなら「霧」、1キロ先から10キロ程度まで見通せるような状況であれば「もや」と呼び分けられています(気象用語では)。 

「ガス」とは?「霧・もや」とはココが違う!


まずは一般用語としての「ガス」ですが、これには色々な意味がありますね。


「気体」「燃料用の気体」「ガソリンのこと」「毒ガスの略」「おなら(これも「ガス」です)」などなど……
そして「濃い霧・濃霧」という意味を持つ言葉でもあります。


また「霧」の地方名として北海道東部の太平洋沿岸で使用される言葉、また季語として使われる場合には「海霧」と書いて「ガス」と読ませる、山岳用語では「山中で発生する霧」のことを「ガス」と呼ぶ、などなど、かなり使われ方は自由。

山の上では「雲」と「霧」の区別がつきづらいのですね。

山麓あたりで見上げていた「雲」に標高が上がるに従い近づき、ついにはその内側に達する。「あれ? 雲? 霧? どっちだ? いや、ならばもうこれはガスだ」のような感じでしょうか。わかりませんが。


気象上の言葉としてなら「海上の霧」を指し「ガス」と呼ぶのが基本。

ですが、もちろん「海上の霧」=「霧」でも問題なし。


「ガス」とは「濃霧」であり「海上の霧」であり、山岳用語では「山の中の霧」、「地方名として」または「季語としての『海霧』の読み」などなど、「霧・もや」ほどキッチリと決まりのない言葉なのです。


ですが、この場合の「ガス」は「霧・雲・もや」と発生原因は同じ。

やはり空気中の水蒸気が冷やされることにより生まれたものを指しています。


冒頭の「ガスってる」とは、つまり「霧が出てる」ということ。


天気予報などで「今日の○○山の山頂ではガスにまかれることでしょう(ガスっているでしょう)」とは間違っても言われませんが、登山家さんたちの間では、なんの違和感もなく使われる言葉なのですね。

海上を行き来する船乗りさんたちなどでも、また然り。「明日はガスが立ち込めそうだ。しまっていこうぜ」ですね。


「ガス」とは「濃霧」という意味も持ちますが「○○キロ未満(もしくは以上)」などといった設定のある言葉ではありません。

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「霧・もや・ガス」のまとめ♪


♦霧に浮かぶ摩天楼・・・けさ東京都心に濃霧(15/11/27)



何となく、今、霧っぽい何かに出現してほしい気分です……そして、言いたい!「お、これは珍しい!『もや』かぁ。え? だって、あの看板、まだ見えてるだろ?」


……いや、やっぱりそれほど言いたくありません……


さてさて、ではここで、もう一度「霧・もや・ガス」の生まれる仕組み、違いなどをまとめていってみましょう。

3つが生まれるポイントは?


  • 「水蒸気」です。
    → 水蒸気を含む空気が上昇し冷やされることにより飽和状態に達し、気体から液体(小さな水の粒)になり、それらが集まり、地表や水面付近で発生。煙のように立ちこめます。

どうして空気は上昇するの?


  • 太陽で暖められた空気が軽くなり上昇(冬場のエアコンを想像してみてください。暖かい空気は天井付近に溜まり、足元だけスースーしませんか? これは「暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へ」という性質があるため)
  • 冷たい空気と暖かい空気が出会い、結果暖かい空気が上昇
  • 低気圧に向かって空気がぶつかり、そのまま上昇気流がおこる
  • 風にあおられ空気が山の斜面を昇っていく
  • 大気の状態が不安定になり、上昇気流ができる

などのパターンにより、上昇していきます。

そして上昇と共に、空気に含まれる水蒸気が飽和、水の粒になり……と続き「霧・もや・ガス」が発生です。

それぞれ、どんなもの?


  • 霧: 水平視程が1キロメートル未満のもの(1キロ先が見えないほど濃い)
  • もや: 水平視程が1キロメートル以上10キロメートル未満のもの(1キロ以上先が見えます)
  • ガス:  海上の霧(ただし、山の中で発生する霧、濃霧、などの意味で使われることもあり)

  • ➡ 濃さは「霧 > もや」

発生原因の違いは?


    3つに違いはありません
     → が、その発生の仕方により「放射霧・移流霧・蒸気霧・前線霧・滑昇霧(上昇霧)」などと分類されています。

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終わりに……


「霧」「もや」は見通せる距離の違い、つまり濃さの違い、「ガス」だけが色々な専門用語(山岳用語や季語など)での呼ばれ方とも混じっているような印象ですね。


どちらにしても、煙のようなもの、雲の地表・水面に接しているバージョンであることには変わりません。


「雲の上を歩きたい」といった子どもの頃ならではの夢も「霧(もしくは『もや』や『ガス』)の中」を歩くことで叶うのか……微妙なところです……


さてさて、いかがでしたでしょう。

「もや」から「霧」へ、さらには「濃霧」へと変化する前に、冒頭の少年が無事に帰宅できることも祈りつつ、多少なりとも皆さまのスッキリのお役にも立てていたらうれしいです!!


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