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「一級河川」「二級河川」── はて? 川のレベルの違い?

川

「レベルの違い」……まぁ、そうと言えないこともないのですが……


「一級河川 ○○川」

「二級河川 △△川」


などと書かれた看板の下に流れる川。


うーん。

眺めているだけでは、どの部分が「一級」なのか、どこがどうして「二級」と呼ばれているのか、さっぱりわかりません。


「二級河川」── 頑張ればいつか「一級」に進級することはできる?

そのためのクリア条件とかってある?

そもそも「一級」「二級」って、何の「級」なの?


……謎だらけではないですか。


万が一、橋が1本でも落ちたら自宅にたどり着けなくなってしまうような地域(下町)に住んでいる身としては、非常に気になります。


気になったままなのは、イヤだ……


「一級河川」「二級河川」とは何なのか?

何を基準に分けられているのか、定義等含めまして2つの違いを解説いたします。


日本には大小合わせて河川がたくさんあります。

この違いを知ったら、全国の「河川巡り」をしたくなる……ことはないかと思いますが、近くを流れている川の看板に書かれた「〇級」くらいはきっと確認したくなるはず(たぶん)。


皆さまの「一級河川」「二級河川」って何なの!! へのモヤモヤが少しでもスッキリしますよう、そのお手伝いとなれましたら幸いです。


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「一級河川」「二級河川」の違いはココ!


これらを決めている(定めている)のは「河川法」という法律。

凄いですね。

「川(河川)」に法律が適用されているのです。


── さてさて、ですがなぜわざわざ「川」を法律で取り締まる必要があるのか。


「河川」とは、想像以上に私たちの生活に重要な役割を持って係わっているものだからです。


例えば洪水が起きる、または台風や低気圧による海水面の異常な上昇、暴風や津波などなど、想定される災害も多くあります。

また、普段の生活に欠かせない生活用水の他、工業に使われる用水、田畑に水を引くための灌漑(かんがい)用水、発電などでも水は使われています。

国土を安全に保つためにも、日本の経済にとっても「河川」の責任は重大。


ですので、これらの役割を担っている河川の中でも、特に重要なポジションにあるものを「国」が指定する。

そして指定された河川をどのように守っていけばいいのかを決めておく。


そのための法律が「河川法」です。

  • 上記の災害等からの国土の保全(保護して安全を保つこと)と開発、また国民の生活にとっても重要な、国が管理すべき河川を指定(国土交通大臣により)
  • それら河川の水害を防ぎ、利用しやすくするための整備や管理について

などなどについて定めているのですね。

そして、その「国が管理すべき」として政令により指定されているのが「一級水系」です。

「水系」とは、河川の単位


「川」は始まりである上流(源流)部から下りながら海へと向かっていくわけですが、この間にいくつかの川が集まって、徐々に大きな流れを作っていきます。


このいくつも集まる小さな川の流れを「支川(しせん)」、集まってできる大きな流れを「本川(ほんせん)」といいます。


まだまだ小さな流れ(支川)だった上流部から大きな流れ(本川)に至るもの、その全体を指し「水系」です。


日本にいくつもある「水系」のうち、全国で109の水系が「一級水系」に指定されています。


そして、

この「一級水系」に含まれるいくつもの「支川」「本川」の中でも、特に重要な部分が「一級河川」

と呼ばれる区間となります。

少しややこしいので、まとめてしまいましょう。

  • 河川: たくさんの「支川」が集まり「本川」になる
    (※ 途中で「本川」と分かれて、そのまま海へ流れ込む「派川(はせん)」という流れもあり) 
  • 水系: 一つの河川の成り立ち全体を指す
  • 一級水系: 全国にいくつもある「水系」の中でも、国土保全や国民経済上、特に重要とされ、政令により指定された「水系」のこと
  • 一級河川: 指定された「一級水系」のうち、国が直接管理する、主な川の部分の一定区間
    (※ 国土交通大臣が直接管理する「大臣管理区間」と、国土交通大臣にその管理を委任された都道府県知事が管理している「指定区間」の2つがあります)

「一級水系」の数は前述の通り全国109。

その中でも「一級河川」に指定されている区間は、およそ14,000ほどにものぼります。


国土の安全のためにも、国民の経済にとってもしっかり管理していかなければ困ってしまう河川が「14,000」です(2回言ってしまいました)。


大した数です。


管理をぜひぜひよろしくお願いしたいです……


そして「二級河川」ですね。

こちらは「一級水系」ではなく「二級水系」に属す、その一定区間のこと。


端折(はしょ)るわけではありませんが、基本的な部分は「一級水系」と「一級河川」の関係と変わりません。

「一級水系」で持ち出された「国土保全」「国民経済上」といった文言が「公共の利害」に重要な関係のあるもの、とされたのが「二級水系」。


「二級河川」も同じく、その中でも「河川法により管理が必要とされ、区間を指定された河川」となります。


指定するのは「一級河川」では国土交通大臣でしたが、「二級河川」では都道府県知事。


「一級水系」に指定された河川は「一級河川」でなくても「一級水系」であることには変わらず、また、「二級水系」でもそこは同じです。

ですので「二級水系」に属す「二級河川」が段々大きな流れとなったため「一級河川」として管理される、というようなことはありません。


さて「公共の利害に重要な ──」といった部分ですが、「国土保全」「国民経済」への利害と、内容的にはほとんど同じことを言っています。

災害等が起きた際に及ぼされる影響は同レベルでも、若干規模の小さめのもの。

質ではなく量的な差異です。


「二級水系」は全国に2700以上、「二級河川」は7000強。

「一級水系」より「二級水系」に指定されている水系はドンッと多くなりますが「二級河川」に指定されている区間は「一級河川」に比べ少なくなっています。


……それにしても、かなりの数です。


── 国土保全、国民経済への影響を考え、重要とされる「水系」を国が指定。

そして、指定された「水系」の中でも特に重要な区間が、それぞれ「一級河川」「二級河川」と呼ばれ「河川法」による管理等の対象となる。


といった感じですね。

以上が「一級河川」「二級河川」の大きな違いです。


── というより、もう、ほぼこの違いくらいなのですが、せっかくなのでそれぞれの「河川」の定義について等、少しだけ詳しく見ていってみましょう。

まずは「一級河川」についてです。

「一級河川」とは?


★「河川法第4条第1項で、国土保全上、または国民経済上特に重要な水系で政令で指定したもの( =「一級水系」)に係る河川で、国土交通省が指定したもの」

「一級河川」の定義が、こちらです。


何となく小難しく聞こえますが、

「一級水系に属す河川のうち、国土交通省が指定したもの」

もっと簡単にいえば、

「国土交通省が指定した、系列的には一級水系の河川」

のような感じです。


定義の前半部分は「一級水系」についての説明ですね。

なぜ国土交通省が「指定」したのか、が二段構えになっています。

    ① 洪水等の災害が起こった場合、人命・財産への被害が大きくなると想定される河川(水系)である

    ② その河川を利用することで得られる利益と、利用できなくなることで被る損害が、ともに大きい河川(水系)である
    (※ 一つの地方の経済に留まらないほどの規模が想定される)

     → よって「国」単位で管理等を行う「一級水系」として指定。

    ③ 「一級水系」に属す河川の中でも、特に重要な区間を「一級河川」に指定

     → よって、その区間には「河川法」による管理が必要とされる。


ですので「一級河川」は基本的には複数の都府県にまたがる大きな規模の水系となるのですね。


さて「河川法」によれば、基本的には河川名は源流から河口、または合流点する地点まで、同じ名前で統一することが定められています。

上流部から河口に至る間にコロコロと名前を変えられては、管理する上でも紛らわしくてたまりません。

(※ 長野県に入ると「千曲(ちくま)川(がわ)」と名称を変える「信濃(しなの)川(がわ)」など、地元であまりにも認知されすぎている川に関しては例外もあり)


このことからも、

「一級水系」= すべて「一級河川」

のように思われがちなのですが、細かいことをいえば「河川法」が適用されるのは、あくまで「河川法に基づき指定された部分」にのみ、なのです。

ここがミソ。


ですので、上流域などの小さな河川(細流)については「河川法での未指定部分」。

つまり「河川法」の適用を受けない河川として扱われます。


これらは「普通河川」と呼ばれるもの。

  • 源流域等:「普通河川(河川法適用外)」

     →「準用河川(普通河川のうち市町村長が区間を指定した河川のこと。河川法の一部を準用)」

     →「一級河川①(国交大臣に委託された都道府県知事が管理する『指定区間』)」

     →「一級河川②(国交大臣が直接管理する『大臣管理区』)」

     → 海へ

といったイメージです。

(※ 原則的には「本川」が「一級河川」として指定されていれば「支川」であっても「一級河川」になります。
「準用河川」「普通河川」の区間は「一級水系」「二級水系」にかかわらず設定されています)


つまり「一級河川」とは、

「国が災害などによる被害、経済を支える上での重要性から『一級水系』と指定した水系に属す河川」

であり、

「その中でも特に重要な部分としてさらに指定され、河川法に基づき国が管理している区間」

のこととなります。

「二級河川」とは?


さて「二級河川」です。

こちらも「定義」から見てみましょう。

★「河川法第5条第1項の『前条第1項の政令で指定された水系( =「一級水系」)』以外の水系で、公共の利害に重要な関係があるもの( =「第二水系」)に係る河川で都道府県知事が指定したもの」

何とも……ややこしくしてくれています。


が、一級水系の時同様に訳(?)せば、

「一級水系以外の水系で、『第二水系』に属す河川のうち、都道府県知事が指定したもの」

「都道府県知事が指定した、系列的には第二水系の河川」

ですね。


なぜ都道府県知事に指定されたかといえば、

    ① 災害に見舞われた時の被害、また、その河川を利用することで得られる利益、利用できなくなった場合の損害が「第一水系」での場合に比べ、その規模は若干小さくなるものの、同程度の内容の被害を及ぼす恐れのある河川である

     → よって政令によりその水系を「第二水系」と指定

    ② 「二級水系」に属する河川の中でも、特に重要な区間を都道府県知事が「二級河川」に指定

     → よって、その区間には「河川法」による管理を適用

「一級河川」の時と、ほとんど同じです。

想定される利害(利益と損害)の規模だけが少し小さい。

ですのでこちらの「二級河川」は、一つの都府県内で完結していることがほとんど。

(※ 北海道のみ例外。他の都府県にまたがりようがないため、道内で完結している「一級河川」「二級河川」、どちらも存在しています)


一級河川と同じく、厳密には「二級水系」のすべてが「二級河川」となるわけではありません。

源流から河口にかけ、

  • 「普通河川」→「準用河川」→「二級河川」→「海」

  • といった感じですね。

    もともと「都道府県知事」が指定し、その管理者ともなっているため「大臣管理区」もありません。


    「国が災害などの被害、または経済上の重要さにより『二級水系』と指定した水系に属す河川」

    「その中でも特に重要であるため、河川法に基づき、都道府県知事の管理が必要とされている区間」

    です。


    どうしても「二級河川」についての解説が雑になっているような気がしてならないのですが、実際に「一級河川」と「二級河川」の違いは、それほどいくつもないのです。


    法律が難解な言葉で、ややこしくしているだけ。

    要するに、

    • 河川法の「水系を指定する政令」に基づき、まずは「一級水系(第4条第1項による)」「二級水系(第5条第1項)」を指定
    • これらに属す河川のうち、色々な面で重要となる区間が、災害時の被害の規模等の違いにより「一級河川」または「二級河川」と指定され、「河川法」による管理が行われる

    ということなのです。

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    「一級河川」と「二級河川」の違いをまとめる!


    法律め……面倒くさいぞ……


    では、最後にまとめです。

    「一級河川」「二級河川」について、なるべく面倒くさくならないように違いを比較していってみましょう。

    どのくらい重要な「河川」なの?


      一級河川
    • その河川による水害はかなり深刻。その防止には国単位で力を入れていきたいレベル
    • 上水道、工業用水、灌漑用水、水力発電などによる利益、または使えなくなった場合の経済的な損失が、河川の流れている地方だけに、ではなく、国にとっても大きなものとなるくらいに重要

      → このような河川の全体が「一級水系」として河川法により国から指定される
      → その中でも特に力を入れて管理や整備を行いたいため「国土交通大臣」が直接管理するほど重要な河川
      (※ 一部区間は国交大臣に委託された「都道府県知事」により管理されます)


    • 二級河川
    • 災害時等、「一級河川」と同じくらいの利害が想定されるレベル

      →「一級河川」による規模に比べれば小さな被害(もしくは利益)が想定されているため、国が「二級水系」として指定
      → その中でも重要な区間であるため、河川法に則った管理が必要。
      → ただし、国交大臣でなく「都道府県知事」に頑張ってもらうが、それなり以上に重要な河川

    「水系」って何でしたっけ?


    源流から河口までの「支川」「本川」(「派川」も)を含めた、その河川の成り立ちに係る全体のことです。


    「一級水系」「二級水系」にかかわらず「市町村長」または「市町村」が(実質的には)管理する「準用河川」「普通河川」は設定されます。

    「河川法」が適用されるのは、どの河川まで?


    「一級」「二級」河川までです。

    • 一級河川: 河川法の「一級河川」の規定が適用される
    • 二級河川: 河川法の「二級河川」の規定適用
    • 準用河川: 河川法の一部を準用(ですが「普通河川」のうち市町村長が区間を指定した河川となるため、「法的外河川」となっています)
    • 普通河川: 河川法は適用されない

    「一級河川」「二級河川」は全国でどのくらいあるの?


    • 一級河川: 14,000以上(一級水系は109)
    • 二級河川: 7000超え(二級水系は2700以上)

    ── 多いです。

    じゃあ、進級って……?


    「進級」というと、どうもしっくりこないのですが ──


    これら「一級河川」「二級河川」「一級水系」「二級水系」などの指定は1965年に施行された「河川法」によるもの。

    ですので「二級河川」と指定された後でも、この河川法に基づいた判断により「一級河川」に指定しなおされることはあり得ます(逆も)。


    また、「河川法」の改正自体は1997年にもされているのですね。

    河川の環境をこれまで以上に整備し安全に保っていくことが目的とされました。


    水(河川)の利用が増え、また河川の開発などにより環境がどんどん悪くなっていったため、保護意識の高まりとともに生まれた法改正です。


    ですが、2008年には、

    「複数の都府県にまたがっていない一級河川」の管理(例外についての条件はあり、それ以外河川について)は「国ではなくその都府県で管理してくれ」

    といった表明も当時の国土交通大臣から出されているのです。

    反対意見も多く、実際にはまだ「予定」とされている段階です。


    今後「進級」とは別に、その管理管轄者などが変わってくることはあるのかもしれません。わかりませんが。


    ── 国が管理する場合には、その費用は「国持ち」。


    穿ちすぎかもしれませんが、この部分がその表明の裏にどれほど影響を与えているのか、とついつい……


    何か災害等あった場合には「一級河川」はかなり、「二級河川」でも結構な被害が想定されます。

    やはり、その予算も含め「都道府県」より「国」の方が防災対策には有利な面が多い。


    個人的には、この表明通りになってしまうのは何となく不安 ── な気がしていますが、これに関しましては、まぁ、個人的意見ということで完全にスルーしてしまってください……

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    終わりに……


    災害が発生した時のニュースで、よく「川の様子を見に行った方が ──」のようなことを聞きますが、これ、本当に危ないのですね。


    特に「一級河川」は国家レベルで守っていかなければマズいほど「怖い川」でもある……


    「二級河川」、またはそれ以外の河川であってもそうですが、「豊な恵み」と何かあった時の「甚大な被害」が共存しているのが「川」。

    そこに流れているので、どうにもならないのですが、危険な時には絶対に近づかないよう、本気でお願いしたいです。


    さてさて、いかがでしたでしょう。

    「一級河川」「二級河川」の謎は、多少なりとも薄まりましたでしょうか。

    皆さまのスッキリにほんの少しでも貢献できていましたらうれしいです。


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