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「酒の肴に鮭」……「さけの肴にさけ」……よくわかんないことになっちゃうから「しゃけ」の呼び名ができて、で、「サーモン」は「さけ」の外国の方言?

鮭


いや、英語とかって「方言」ではないですから……

「酒の肴に」の方も間違ってますけど……何となく、それはそれで正しい気もします……



さてさて、食卓に上る率も高い「鮭」。

ですが「さけ」の他、「しゃけ」「サーモン」などの呼び名もあり、せっかくホカホカごはんと共に登場した「鮭」に「えっと、えっと、これってどれ?」のような若干のイライラが伴うことも……ごはんも冷めます。


また、日本食の代表格の「お寿司」。

それなのにどうして「さけ」ではなく「サーモン」とわざわざ英語読みとなって提供されるのか。そもそも高級寿司屋には「サーモン」なんて置いていないのはなぜ?


そして、謎の「しゃけ」呼称。

もの凄く普通に使っているけれど、なんで「さけ」じゃなくて「しゃけ」って言うの?


などなどなど……「鮭」、謎だらけです……

謎が解けるまで、しばらく朝ごはんの「鮭」を「サバ」に変えるか……


いやいや、鮭がいいです!



「さけ・しゃけ・サーモン」について、使い分けや「本当に方言なの?」など含め、その違いを解説いたします。

食卓のアイドル「鮭」(ただし、地味)。

皆さまの美味しい鮭ライフが今後もスッキリと続きますよう、そのお手伝いとなれましたら幸いです。


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「さけ」?「しゃけ」?「サーモン」? 違いはココ!


「鮭」大好き。そして私の家では、伝統的に「しゃけ」呼称です。

なぜなら「さしすせそ」がうまく発音できない、という江戸っ子の特性を丸ごと踏襲している一家だから。ちなみに「ひ」と「し」の区別もあやふやです。ついでにいえば「サーモン」でもなく「シャーモン」……


……そこはさておき「さけ・しゃけ・サーモン」です。

♦鮭の遡上(そじょう)



鮭は川で生まれ、やがて大海原へと繰り出していく魚。

そこで回遊しながら成長し、やがて時期が来れば、また生まれた川へ戻ってきます。

そして命がけで上流の産卵場を目指し、卵を産み、その一生を終える。オスもメスも力尽きます。

壮絶ですね。


さて、そんな鮭の身は赤いのが特徴の一つ。

ですが、実は鮭は「白身魚」なのです。


もうこの時点で謎の深さがとんでもないことになっていますが、かつての日本では「サケ科の魚」を全部ひっくるめて「鱒(マス / ○○マスのように)」と呼んでいたのですね

「マス」も「サケ科」。サケ目サケ科です。

そしてその中でも現在「シロザケ」と呼ばれる1種類だけが「サケ」と呼び分けられてました。


サケ科の鱒」「サケ科の鮭」みんな「マス」。「サケ科の鮭」のうち、とくに「シロザケ」だけが「サケ」です


サケ科なので「マス」を「サケ」と呼ぶのかと思いきや、逆なのですね。

「サケ」も「マス」に含まれている感じになっています。

紛らわしいです。


ともあれ、かつての話ではなく、現在の生物学上の分類でも「鮭」と「鱒」は一般的に違いのないもの、とされています。

いわゆる「サケ」ではないサケ科の魚をまとめて「マス」

……紛らわしさはあまり変わっていません。


では「サケ」と「マス」は何が違うのか、といいますと、一生を過ごす場所が違ってくるのです。

前述の通り、サケは生まれてしばらく経つと海へと下ります。

そこで泳ぎ回り、エサを食べ育っていくことで「マス」とは決定的な違いが生まれます。

それが体の色。

甲殻類を中心に食べることにより、身の色がピンクになっていくのです。


一方の「マス」は一生を淡水域の川や湖で過ごす魚。

ですので、身の色は白。見た目通りの「白身魚」です。


よって本来白身魚の「マス」と生物学上同じとされる「サケ」の体は、白身魚でありながらピンク、となるのです


タイトルとは関係ありませんが、一応「マス」「サケ」は生物学上、同じ分類。

そして、そのうち海に出るものが「サケ」、出ないものが「マス」、ここも押さえておいていただけますと何かと助かります。


さてさて、そんな「サケ」ですが英語では「サーモン(salmon)」。単純に言えばそれだけの違いなのですが、実際にスーパーなどで売られている「サケ」「サーモン」事情は、のちに詳しく触れますがちょっと変わってきます。


そして「しゃけ」ですね。

辞書などで「鮭」について調べる場合、こちらの「しゃけ」では調べられません。

調べるなら「さけ」です

では「しゃけ」は間違いなのか、と言いますと、間違いというより「正式な名称ではない」といった感じ。呼び名の一つです。

「シャケフレーク」「シャケ缶」「塩ジャケ」などの方が「サケフレーク」「サケ缶」「塩サケ」より、一般的かもしれません。


なぜ「さけ」が「しゃけ」になったのか。


これにはいろいろな説が盛りだくさんなのですね。

結構面白いのでこれも後ほどご紹介させてください。


ではまずは「さけ」と「サーモン」の違いから、その使い分け等含めまして見ていってみましょう。

「さけ」とは?「サーモン」とはココが違う!


「サケ」を英語でいうと「サーモン」。


そうなのですが、例えばよく聞く「サーモントラウト」。

これは「サケ」ではありません。

「サーモン」とあるのにその魚は「ニジマス」。

先ほどの「マス」がやっぱり出てきました。


「マス」は英語で「トラウト(trout)」。

「サーモントラウト」は本来淡水魚である「ニジマス」を海で養殖したもののことを指しています。

ですので、この名は魚の種類としてのものではなく「商品名」になるのですね。

「サーモントラウト」という種類のお魚がいるわけではなく、種類でいえば「ニジマス」です。

ニジマス」なのですが、海で育つため身もピンク。ですので「サーモントラウト」。ただの「トラウト(マス)」ではないのです

他にも、「サーモン」として流通しているものには、

  • キングサーモン
  • アトランティックサーモン

があり、「サケ」として出回っているのものでは、

  • シロザケ
  • カラフトマス(青マス)
  • 銀鮭
  • 紅鮭
  • サクラマス(本マス)

の(上記「サーモントラウト」を含む)8種類が流通しているいわゆる「さけ」の基本。

サーモン」と名の付くものと「○○サケ」「○○マス」のものとに分かれています


何で? 語呂とかノリとか?「キングサケ」「サケトラウト」、なんかウケる~~!


……違います……「サーモン」と名にあるものは「輸入物」または「養殖」、「サケ」「マス」とあるものは基本「国産」「天然」という違いがあるのです。


この中でもよく登場するのが、お寿司のネタなどでもおなじみの「キングサーモン」。

「サーモントラウト」より高級なお皿(回転するお店の場合)に乗ってくるのがこれです。

「キング」というだけあり、脂身も豊富で美味しいお魚ですが、日本産のものはほとんどなく、日本で流通しているものはほぼ輸入品。日本産のものは「マスノスケ」と名前が変わります。

「キング『サーモン』」なのに「マスノスケ」、「マス」強し。


そしてかつて「サケ」の呼称を欲しいままにしていた「シロザケ」。現在でも定番商品の一つです。

スーパーなどで売られている切り身はほとんどがこれ。塩鮭や燻製として、食卓に上る率の一番高い「サケ」かと思います。

日本ではこの「シロザケ」を時期により「秋鮭(秋に捕れる)」「時鮭(ときしらず / 5月~6月にかけて捕れる)」と呼び分けています。


これらは基本すべて天然ものです。

ただし「銀鮭」に限り、国産で天然のものがかなり稀となるため、現在流通しているのはチリ産の養殖物がほとんど。売られるときには「チリ銀」などと呼ばれます。

安価であり脂も乗っていることから、おにぎりやお弁当、飲食店などでも提供され、こちらも登場率の高い種類の「サケ」です。

あまり見かけることはありませんが、国産のものであれば「天然」となります。そして高いです。


サーモンのもう一つの種類「アトランティックサーモン」は、お刺身としてスーパーなどで市販されているものの代表格。

ノルウェイ産のサーモン、日本では「養殖サーモン」といえばこれ、というくらいポピュラーな「サーモン」です。


つまり
「さけ」と「サーモン」との違いは「国産・天然」であるか「輸入・養殖」であるかが大きな分かれ目となっています。


そしてもう一つ、本来「さけ」の生食は不可でした。

なぜなら、天然の「さけ」には「アニサキス」と「サナダムシ(これは少ないようですが)」という寄生虫がいるから


……!!!


加熱処理をするか、いったん凍らせたものを、半解凍の状態にする「ルイベ」という調理法で寄生虫対策をするのが「さけ」を食す際の常識だったのですね。


でも大丈夫。最近では冷凍技術も進み「さけ」、つまり天然のものも「生食可能」になってきています

ですので、もともと日本には「さけ」を生で食べる習慣はなかったのです。

料亭などでも生の「さけ」は提供されませんでしたし、そもそもお寿司のネタでもなかったのです。現在でも「キングサーモン」や「サーモントラウト」が一般的。


そして魚屋さんですら、これら「サーモン」を売るのを避ける傾向にあります。

養殖ものだからですね。天然の「さけ」を売りたいのです。

スーパーは、魚屋さんではないので、そこら辺のこだわりは薄いのでしょうか。売ってくれて助かります。家でも食べたいです、美味しいから。


つまり「さけ」と「サーモン」は、日本にあるのものとしていえば「国産・天然」であるか「輸入・養殖」のものであるかが、基本的な違い。

生食の可否での線引きは、最近ではあまり大きなものではなくなっています


が、一般的な食べ方、使い方の違いとして、やはり日本料理的焼き魚や鍋などには「さけ」です。

また、産卵のため川に戻る途中の「秋鮭」など脂の乗っていないものはフライやムニエルなどにするなどの工夫で「さけ」本来の味を楽しむことができます。

そして「サーモン」はやはり濃厚な脂。

お刺身は日本食ですが、「さけ」の脂が乗りきっていない時には「サーモン」などと使い分けるのがおススメです。


焼き鮭、美味しいです。

でもお寿司のサーモン(サーモントラウトなので、結局海中養殖のニジマスですが)も美味しい……どっちもいてくれて、本気でありがたく思っています。

「しゃけ」って方言?「さけ」との違いはなに?


さてさて、問題の「しゃけ」です。

「しゃけ」という魚はいません。「さけ」の別称のようなもの。ですので、意味や指している魚などに違いはありません。


そして「しゃけ」の浸透率もかなりのものです。

ある調べによりますと、全国の対象男女1000人のうち、実に60%以上の方々が「さけ」よりも「しゃけ」呼称を多く使う、と答えているそう。


自分がそうだからか「『しゃけ』とは江戸弁」と勝手に思い込んでいましたが、全国60%をも「江戸っ子」が占めているはずもなく……


ですが、各種入り乱れる諸説の中には「江戸弁説」というものも確かに存在しています。

しているのですが、「しゃけ」呼称を多く使う地域はかつての江戸弁地域に限ってはおらず、中部・近畿・中国・九州地方の一部にまで及んでいるのです


もはや「江戸弁説」、盤石ではありません……


その他「生きているものが『さけ』、食べ物になると『しゃけ』」説。

これはかなり説得力があるようにも思えますね。

牧場で牛を見て「あ、牛肉さん、たくさんいる~~」などとは言いません。

「鮭」同様、不動の人気を誇る「ツナおにぎり」も、もとを正せば「マグロ(一部カツオ使用もあり)」ですが、「ツナの一本釣り」……絶対に言いません。水族館のツナ……たぶん怒られます。


英語で考えると、もっとわかりやすいですね。

生き物としての豚は「ピッグ(pig)」ですが、豚肉としてなら「ポーク(pork)」、羊は「シープ(sheep)」、でも食べるのは「マトン(mutton)/ ラム(ram)」などに変わります


ですので、泳ぎ回っている「さけ」、捕まってしまった「しゃけ」、といった感じですね。


また、同じく食材となったものでも「生のままの切り身」などでは呼び方もそのまま「さけ」、フレーク状にされたり、塩鮭など「加工」されたものが「しゃけ」、の説。


もう、ここまでくると「そのときの気分で呼び分ければよくない?」な気分にもなってきます。


さらには「アイヌ語」語源説。

「夏の食べ物」を意味するアイヌの言葉に「サクイベ」「シャケンベ」があります。

そこから「さけ」「しゃけ」になったのでは?…… というものですが、実は「サクイベ」「シャケンベ」は「マス」を指した言葉。

ここでもまた「マス」。翻弄されています。

「鮭」は「シイベ」または「カイムイチェプ」というそう。

「さけ」「しゃけ」要素がどこにも見当たりませんが、「シロザケ」以外「マス」と一括りにされていた過去を鑑みると、この説もなかなか捨てがたいものがあります。


そして初めに戻りますが「さ・し・す・せ・そ」の発音が苦手な江戸っ子たちの方言説ですね


どれもありそうで、どれであってもいい。

鮭は美味しければ、もう、何と呼ばれようといいのです。

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「さけ・しゃけ・サーモン」の違いを比較!!


「しゃけ」についてはいろいろな説がありすぎ、またその始まりを辿りようがないのですが、「さけ」と「サーモン」の違いは知っておいても損はないかも……得はしないかもしれませんが、損ではない……


ではここでもう一度おさらいです。

「さけ・しゃけ・サーモン」の違いや使い分けなどについて、比較しつつまとめていってみましょう。

食用として流通している「さけ・サーモン」の種類は?


    ◎さけ(○○マス 含む)

  • シロザケ: 塩鮭の定番。切り身としてよく見かけるタイプ。春に海で捕れる「シロザケ」は「時鮭(ときしらず)」、秋に川に戻るものが「秋鮭」と呼ばれます。

  • 銀鮭: 安価で脂も乗っているため、コンビニのおにぎりやお弁当などでも大活躍。ただし国産のものはかなり稀。出回っているのはチリ産などの養殖ものがほとんど

  • 紅鮭: 国産・天然のものは最近あまり見かけなくなったよう(でも存在はしています)。アラスカやロシア産のものが多い

  • サクラマス(本マス): 富山県の「鱒寿司」はこちら。それ以外はあまり流通していません。「サクラマス」の海に出ない魚バージョンはなんと!「ヤマメ」

  • カラフトマス(青マス): 若いカラフトマスが「青マス」として市場などに並びます(5月から8月頃にかけて)

  • ◎サーモン

  • キングサーモン: 高価ですが良質な脂がたっぷり。お寿司などでは定番。カナダ・アラスカ、ロシア産の輸入ものがほとんど
     → 国産・天然のものは「マスノスケ」と呼ばれます。

  • アトランティックサーモン: 養殖サーモンの代名詞的サーモン

  • サーモントラウト:「ニジマス」を海で養殖したもの

スーパーに並ぶ「さけ」と「サーモン」の違いは?


  • さけ: 基本国産・天然のもの
  • サーモン: 輸入物、または養殖ものが基本

使い分け・食べ方の違いは?


  • さけ: 天然物のため、産卵の時期との関係で脂の乗りが変わってきます。現在は生食も可能ですが、やはり定番の焼き物、鍋物、脂の少ない時期のものは、油を使った調理法(ムニエルやフライなど)がおススメ

  • サーモン: 何といっても安定の「脂乗り」。お刺身などの生食、またはスモークにしたりいろいろと楽しめます

どうして、魚屋さんや高級料理屋では「サーモン」を扱うところが少ないの?


国産ではなく、輸入物・養殖であることを嫌うからです。

で、結局「しゃけ」ってなんなの? 方言?


方言的な始まりだったかもしれませんし、アイヌ語を語源とする言葉かもしれません。

また、「鮭」が生き物として見られているか、食材として扱われているか、が理由かも。加工品を指す言葉なのかもしれません。


「しゃけ」ってなんなの……といわれたら「さけ」のこと、というしかないのですが、
「しゃけ」といっても間違いではなく、むしろ「しゃけ」呼称の方が多いにもかかわらず、辞書に載るような正式な呼び名ではないものが「しゃけ」。

「さけ」の別の呼び名です。

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終わりに……


まさか「マス」まで関係してくるとは思わなかった……


ニジマスも「サーモントラウト」になりますが、ヤマメも「サクラマス(本マス)」になるのですね。

海、すごいです。そして「マス」、最強です。


お肉もいいですが、お魚もいいですね!


難しいことを考えずに、ただただ純粋に美味しいサーモンが食べたい。一皿100円の回るヤツでもいいから……

そして朝ごはんには切り身の塩鮭、あぁ、日本人でよかった……あ、サーモンって輸入か……まあいいか……


さてさて、いかがでしたでしょう。

「さけ」派か「しゃけ」派かと問われれば、断然「しゃけ」派ですが(うまく言えないから)、今まで好んで食べていたのは「サーモン」の方でした。

お寿司屋さんで「シャケください!」というのは、ちょっと違うのですね。

言う前に違いを知ることができてよかったです。

皆さまのスッキリ、そして今後も続く鮭との日々が、ますます美味しいものになりますよう、切に願っております!


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