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「ご来店いただき、ありがたく存じます。ピッピッピッ……コロッケパンとブリトーと野菜ジュースで375円頂戴いたします。どうぞお気をつけてお帰りくださいませ」


「あ、今日も来たね! パン2個とジュースで375円ね、よろしく! おとといもこれだったけど、飽きないの?」


……どちらのコンビニがいいですか?

先生


……これの中間の、ちょうどいいのがいいです……高級レストランだったら絶対に最初の店がいいですが、でもコロッケパンとか、375円とかって、注文する勇気ないです……


さて、相手に敬意を表す表現としての「敬語」。文字通り「敬う(うやまう)語(ことば)」のことです。


誰が誰に対して話す(または書く)のか、敬意を払う相手は誰なのか、によって「尊敬語・謙譲語・丁寧語」が使い分けられているのをご存知でしょうか?


2007年の文化審議会での答申により、今まで3つ(尊敬・謙譲・丁寧)だった敬語は5つ(尊敬・謙譲Ⅰ・謙譲語IIでもある丁重・丁寧・美化)に分類されることとなりましたが、その中でもやはり大きな違いを持っているのはこれまで通りの3つです。


どうして敬意を表するのに3つ(細かく分ければ5つ)の違った表現方法が必要なのか?

その使い分け方、見分け方は?

というより、なんなの? この違いは?!



などなどの疑問、モヤモヤにお答えいたします!

皆さまの「なんかあの人、インテリっぽいよねぇ!」作りにお役立ていただければ幸いです。


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「敬語」=「敬語」じゃない?! 「尊敬語・謙譲語・丁寧語」って何?


「相手に敬意を表する」つまり「相手を立てる」には、いくつかの表現方法があります。


まずは「です・ます」に代表される「丁寧語」ですね。


友だち同士なら「~だよね」などで全く問題ないのですが、さすがに学校の先生や会社の上司に対して使う言葉ではありませんね。あっという間に「彼の常識は酷すぎるので要注意」の連絡網が回ってしまいそうです。

なぜか?

学校の先生や上司は、尊敬すべき(少なくとも表向きはそうすべきとされている)というのが常識だからです。

先生や上司に限らず、目上の方や取引先の相手など、立てることにより円滑な関係や結果が得られることもあります。

「相手を高い位置に」置くための表現方法、例えば単に来店したお客さんに対し「ようこそ『いらっしゃいました』」と「相手が来てくれた」ことを高める表現が「尊敬語」です。


逆に、来店してくれたお客さんに対し「自分の行動を低く表現」することで敬意を表するのが「謙譲語」となります。

「お待ちしていました」などですね。待っていたのは自分です。


このように「敬語 = 相手に敬意を払った表現」には大きく分けて、

  • 丁寧語:「です・ます・ございます」や言葉の初めに「お・ご」をつけ丁寧な表現とする
  • 尊敬語: 自分より相手を高くするための表現
  • 謙譲語: 相手より自分を低くすることにより、結果的に相手が高い位置に行くようにする表現

があるのです。


日本独特、ならではのものですね。


英語などでは「丁寧な言い方」になるような表現方法はあるものの、このように分かれて存在する言葉はありません。


実際、面倒臭いのです。ですが、日本の文化のようなものでもあるのです。

困りました……


しかしここは母国語マスターのため! 続いてそれぞれの違いをもう少し具体的に見ていってみましょう。

「尊敬語」とは? 「丁寧語」よりココが丁寧!


相手に敬意を払い、尊重している気持ちを表すための言葉「尊敬語」。

言葉の中にも「尊敬」の文字がありますね。

対象となるのは「目上の人の動作・状態」です。自分、または自分の家族や身内には使いません。


例えば上司が何か「話をした」場合「部長がお話になった」「~話された」「~おっしゃった」などと表現することで、「話をした上司」を尊重している気持ちも伝えるわけですね。


さて上の「話す」の尊敬語ですが、これには、

  • 「お話になった」のように頭に「お・ご」をつけ、語尾に「なる」などをつける「お~になる」の型(動詞の前後を丁寧に飾る感じ)
  • 「話された」などの「~れる・~られる・~なさる(上の部長は過去形なので「~れた」)」の型
  • 「おっしゃった」などのように「話した」とは別の言葉で言いかえる型

などのパターンがあります。

どれも、目上の人(ここでは部長さん)の「話す」という「動作」に敬意を払い、高めていることになります。


ただし、注意も必要!


丁寧に言うぞ! と意気込むあまり「部長がおっしゃられた」や「部長、お昼はもう召し上がられましたか?」などとなってしまうのはNGです。


わかりにくいかもしれませんが「おっしゃられた」「おっしゃる」という尊敬語と「~られた」という2つの「尊敬語」が繰り返された「二重敬語」と呼ばれるものです。「お召し上がり」と「なられ」で、後者の例も同様ですね。「おっしゃった」「召し上がりましたか」でいいのです。


この「二重敬語」を使ってもいいのは天皇に対してのみ。普段の会話では使うと「間違った敬語」になってしまうので気をつけてくださいね。


けれど、例外もありです。こういうことは紛らわしくなるのでぜひダメならダメで統一してもらいたいところですが、例外はあるのです……


「お召し上がりになる」「お召し上がりください」や「お伺いする」、また一つの文章が2つに分けられたような言い方の「お書きになって いらっしゃる」や「ご説明 申し上げる」などです。


確かに、特に前者3つに関しては他にどう言えばいいのかわかりません。

このようにあまりにも当たり前に使われているものの中には「二重敬語だけど、まぁよし!」とされているものもあります。

ややこしいですが、2つの敬語が使われていないか、他の表現はできないか? と考えながら話す癖がつけば、いずれ自然に「これ、なんかしゃべってて気持ち悪い感じがする」などとわかってくるものです。


高度な言い回しで間違った敬語になるよりは(大尊敬! となる表現は必要ないのです)、随所随所でポイントを押さえた普通の正しい敬語の方がずっといいのですね。


さて、では「丁寧語」とは?


これは説明するのが逆に難しいほど、当たり前に使われている言葉。「それ、取って → それ、取ってください」や「明日、どこ行く? → 明日、どこに行きますか?」など、これらが「丁寧語」です。あ、今の「これが丁寧語です」の「です」も「丁寧語」ですね。

もう、丁寧語だらけです。今まで書いてきた文章のほとんどに「丁寧語」は使われています。


この文章を読んでくださっている皆さんが実際にどんな方なのかを私は知り得ませんが、年上でも年下でも目上でも目下でも関係なく、何なら飼い主さんと一緒に文字列を眺めているペットのネコさんであろうとも、文章自体を丁寧に伝えたい、または敬意を伝えたい場合に使われるのがこちらの「丁寧語」。

丁寧に伝えたい、という気持ちには少なからず相手に対する「敬意」も含まれているのですね。

他の敬語と合わせて使われることも多く、最も多用されている「敬語」です。


初めの方でも触れましたが「~です・ます・ございます」などを語尾につけるパターンと、言葉の頭に「お・ご」をつけて丁寧な表現とするもの、とがあります。


「お・ご」のパターンでは「自分が今飲んでいるお茶」などにも「お」をつけてOK。

相手に対してのみ使われる言葉ではなく、自分に対しても使っていい言葉です。


「おい、なにボサッと突っ立ってんだ! さっさとお皿運んで来い!」いいですね。全然丁寧じゃありません。でも「お皿」は「丁寧語」なのです。面白いですね。


また、5つに分かれた「敬語」のうちの「美化語」、こちらは「丁寧語」をさらに細かく分けたものとなり、上記の「お皿」ように「誰かへの敬意」を表したものではなく、単に言葉遣いを丁寧にするための「お・ご」、また「トイレ」を「お手洗い」とするなど、言葉自体が変わるものの2タイプがあります。


大体普段何気なく使っている方の敬語が「丁寧語」、多少緊張を伴った会話などに使われているのが「尊敬語」となっているはずです。


以下、普通の正しい敬語、よく使われる「尊敬語」の例を、いくつか挙げてみます。何となくのパターンが掴めるかと思います。

  • 「~する」:「なさる」「される」
     → 「お風呂にする? それともご飯先にする?」➡「お風呂になさいますか? 先にご飯を召し上がりますか?」

  • 「言う」:「おっしゃる」
     → 「会長の言ってることってわけわかんない」➡「会長のおっしゃっていることはわたしどもには理解不能です」

  • 「行く」:「いらっしゃる」「行かれる」
     → 「田中んち、何時に行くの?」➡「田中さんのお宅に行かれるのは何時でしょう?」「~にいらっしゃるのは何時の予定ですか」

  • 「食べる」:「召し上がる」
     → 「エクレアとプリン、どっち食べる?」➡「エクレアかプリン、どちらを召し上がりますか?(どちらかひとつだけです!!)」

  • 「来る」:「おいでになる」「お見えになる」「お越しになる」「いらっしゃる」
     →「ぼくんち来るの、何時?」➡「私の家にお越しになるのは何時になりますか?」
     色々な表現で表されていますね。「行く」の時と同じ「いらっしゃる」も入っています。どれを使っても間違いではありません。一番しっくりくる言葉を使ってみてください。そして田中さんの家に先生が着くのは4時頃になるうそうですよ。

「謙譲語」とは? 「丁寧語」との違いはこちら♪


「これが一番苦手!」という方も多いかと思います。


「謙譲」とは「自分の能力や功績等を人前で誇らず、相手を立てること」の意味。「謙譲語」もまさしくそんな言葉です。


相手に敬意を払うため、あえて自分を低くする言葉です。へりくだって見せる言葉ですね。

ですので、その対象となるのは「自分の行動」です。また、自分の家族など身内にも使います。そしてここが少し複雑なところなのですが、社外の人に対し、社内の自分の上司のことを話す時にも使われる言葉となっています。


会社の「内・外」で考えると、社内の人間は例え上司であっても、社長でも会長でも「同じ会社の身内」となるわけです。
ただし、社内では上司の言動に謙譲語を使って伝えるのはダメです。「課長、部長が企画書を早めに提出するように申しておりました」。絶対使っちゃダメです。

「身内」であるためには「身内でない社外の人間」の存在が必要なのです。


同じように尊敬するご両親に対しいくら謙譲語を使っても(「母さんの作ったお料理はいついただいてもおいしいですね」など)、尊敬語の「お父様・お母様」で呼ぼうと構いませんが、一歩家を出たら途端に「お父様・お母様」は「父・母」になります。


つまり「謙譲語」とは、目上の人に対し自分の行動を控えめに表現すること、相手を敬って自分がへりくだるためのいい方です。

間違った使い方をすると、逆に相手を低めてしまうことになってしまうのです。

自分にも相手にも使える「丁寧語」とは違い、自分もしくは家族などの身内限定で使える敬語、また相手を高い位置に置くのではなく、自分の行動をへりくだって伝え低めることで、結果的に相手が自分より上の位置に来るような表現が「謙譲語」となります。

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「尊敬語・謙譲語・丁寧語」はここで見分ける! それぞれのポイントはココ!


♦間違いやすい敬語1_尊敬語&謙譲語


何となく、違いが掴めてきましたでしょうか?
では、それぞれのポイントごとに「尊敬語・謙譲語・丁寧語」の3つを比較していってみましょう。

ポイント①: 誰の行動や状態に使われる敬語?

  • 尊敬語: 目上の人等、敬意を表したい相手
  • 謙譲語: 自分または自分の家族などの身内
  • 丁寧語: 相手を選ばず

ポイント②: 使うとどうなる?

  • 尊敬語: 目上の人等の行動・状態が高められ、その人を立てることができる
  • 謙譲語: 自分や家族などの身内の行動・状態をへりくだって言うことで、結果的に相手を立てられる
  • 丁寧語: 相手を問わず、丁寧な表現で伝わる

ポイント➂: 代表的なパターンは?

  • 尊敬語
  • ◎動詞の前後に「お・ご」「~なる」などがつくパターン

    △「お~なる」→「お越しになる」「お話になる」など
    △「~れる」「~られる」→「おいでになる」「話される」など
    △「お・御」をつけた表現 →「御社」「ご主人」など

    ◎言葉自体が変わるパターン

    △「来る → いらっしゃる」「話す → おっしゃる」「見る → ご覧になる」など

  • 謙譲語
  • ◎動詞の前後に「お・ご」「~する」などがつくパターン

    △「お~する」「ご~する」→「お伺いする」「ご招待する」など
    △「お~いたす」→「お気持ちお察しいたします」など
    △「お(ご)~させていただく」「お(ご)~していただく」→「ご依頼の件は間違いなくこちらでご解決させていただきましょう!」「わざわざ手土産までお持ちいただきありがとうございます」などなど

    ◎言葉自体が変わるパターン

    △「行く → 伺う」「話す → 申し上げる」「見る → 拝見する」など

    ◎独特な言い回しで表現するパターン

    △「自分の家 → 拙宅」「自分の会社 → 弊社」「渡す品物等 → 粗品」「私たち → わたくしども」などなど

  • 丁寧語
  • ◎「お・ご」を言葉の頭につけるパターン
    →「お花」「お箸」など、特に敬意をこめないもの
    △ 相手の「お子さん」「ご主人」などの場合には「尊敬語」の「お・ご」となります。

    ◎「です・ます・ございます」のパターン
    → つまり「です・ます・ございます」です。

ポイント④: 見分け・使い分けのポイントとなるのは?

    ◎誰がそれをしているのか?
    → 相手なら「尊敬語」自分または家族など身内の行動であれば「謙譲語」。これらに合わせて「丁寧語」の「です・ます」などが組み合わさることが多いです。

    ◎相手はさておき、言葉自体を丁寧にしたいなら?
    → とりあえず「丁寧語」です。

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終わりに……


いかがでしたでしょう。


……それぞれの違いがわかっても、自然に話せるようになるのはまた別じゃない?


その通りですが、大丈夫ですよ!


英語やフランス語をマスターするよりは圧倒的に早く身につくはずです! 何といっても母国語ですし、普通に生活していればイヤでも耳に飛び込んでくる言葉です。ボーっとテレビを見ているだけでも、ニュースに限らずドラマの俳優さんの敬語も耳に入ってきます(台本、ありますから! 間違った使い方はしていないはずです)。


「私はまだまだ敬語外国人」などと思いながら、気長に習得を目指してみてくださいね。わからないことは聞くのが一番です。


何かを教えてもらう時の敬語は「お教えいただけませんか?」や「教えてくださいませんか」「ご指導ください」「ご教示ください」などです!


皆さまの「敬語」への苦手意識が少しでも解消されていたらうれしいです!


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