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この状況になること自体、相当やっかいなのですが……

この違いもなかなかにやっかい……


裁判


事件には「民事」と「刑事」があり、裁判所で下された判決に不服がある場合にとる手続きにも「控訴(こうそ)」と「上告(じょうこく)」(と「抗告」というものも)とがあります。


なんか、いっぱいある……


……いっぱいというか「控訴」と「上告」です……


そこに「民事訴訟(事件)」か「刑事訴訟(事件)」かによる、ちょっとした違いもプラスされるのですね。


刑事事件の被告人になることは何か法に触れるようなことをしない限りありませんが(そしてその確率は通常低いです)、民事事件は案外身近。

普通に暮らしていても、ちょっとしたトラブルに巻き込まれ「被告」にされてしまうことはあり得ないことではないのです。


「なんか、いっぱいある」などと言っている場合ではありません! たった2つです。

いざという時のために(いざという時が一生なくても)この際、違いを知ってしまいましょう。

ニュースなどを見る時の「なるほど度」も上がります。



「控訴」と「上告」のできる期間はどのくらいあるのか、英語ではこれらに違いはあるのか、などなど含めまして2つの違いを解説いたします。


「控訴」「上告」に関する知識が、いつまでも知識のまま実践されることなく毎日が送れますよう、あわせて願いつつ、皆さまのスッキリに少しでも貢献できましたら幸いです。


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「控訴」と「上告」の簡単な違いはコレ!


「簡単」ではない違いが結構複雑なので、ここは本当に簡単に。

  • 控訴: 第一審の判決が不服な場合に、その変更や取り消しを「第一審の判決を下した裁判所」より上級の裁判所に直接求める訴訟(そしょう)手続き
  • 上告: 第二審の判決が不服な場合に、その変更や取り消しを「第二審の判決を下した裁判所」より上級の裁判所に直接求める訴訟手続き

つまり「控訴」して再審理された判決にまだ不服がある場合にさらに「上告」ですね。


日本の裁判制度は、民事・刑事共に「三審制」がとられています。

「三審制」とは、ある一つの事件につき、三回まで審理(事実関係や法律関係について取り調べて明らかにすること)が認められる、という制度。


上記のように不服のある場合には、

    「第一審」→「第二審」→「第三審」

と進んでいくのですが(もちろん第一審で完結するのもあり)、

  • 初めの判決(第一審)の判決に対する不服:「控訴」して「第二審」に再審理を求める
  • 「第二審」の判決も不服なら: 今度は「上告」して「第三審」へ

のようになるわけです。


裁判で出された判決に対し、

その一部もしくはすべてを不服としてもう一度調べなおしてほしい(再審理)場合、その判決を下した裁判所より、さらに1つ上にある裁判所にその旨を申し出るシステムです。


この2つはどちらも「上訴(じょうそ)」と呼ばれるもの。

それを段階で分けて「控訴」「上告」になっているのですね。


つまり

不服を申し立てるのがどの段階なのかが「控訴」「上告」の簡単な違いです。


「裁判で下された判決」とはそもそも、そう簡単に覆されていいものではないはず。

ですが、不満はつきもの。

出された判決内容に不満を絶対に持つなというのもムリな話です。


ですので「控訴」。


また「オレは本当にやってないんだって!!」と否認し続け、ついに勝ち取った無罪判決も「検察側」にとっては納得のいかない結果であれば、検察側から「控訴」が申し立てられる場合もあります。


そしてさらに進んで「上告」。

「控訴」してそこで下された判決にも不満のある場合ですね。


一体なにをやって、どのような刑罰が言い渡されたことに納得がいかないのか、気になるところですが、裁判所がそこまでの間違いを犯すのかも気になります。


ですので、ここで「申し立てる際の条件」などにも違いが出てくるのです。


ではまずは初めの不服申し立て「控訴」から、少し詳しく見ていってみましょう。

「控訴」とは?


さて「控訴」ですが、その前に「民事」と「刑事」の違いを。


「民事事件」というのは、個人や法人間のもめ事のジャッジを裁判所が下す、というような性質のもの。


ご近所トラブルや、金銭の貸し借り、離婚、相続など、個人や法人同士のもめ事が対象です。

訴えられた側は「被告」と呼ばれますが(先に訴えた側が「原告」)、刑事事件の「被告人」とはだいぶ立場も印象も違います。


他方「刑事事件」の裁判の役割はほとんどの場合、刑罰の内容を決めることです。

90%近くの被告人が、すでに罪を犯したこと自体は認めているのですね。

このような裁判を「量刑裁判」といいます。


民事事件では「先に訴えた方」が「原告」です。

が「被告」においても法的な罪を犯したわけではなく、お互いの利益や主張が食い違っているだけなので、最終的にトラブルが解消されればそれでいいわけです。

自分の主張が正しい、ということを自らで証明していくのですが、その程度は緩め。

「こちらの主張の方が、真実だろう」と思ってもらえる程度の証明でいいのですね。


ですが刑事事件は、そういうわけにもいきません。

ただし「犯人と確定するまではまだ無罪」といったような「無罪推定」の考えが根底にあるため、その証明をするのは「被告人」ではなく、検察側です。

「間違いなく有罪」という証明をしなくてはなりません。


さてさて、ここで「控訴」です。


「民事」「刑事」ともに裁判で判決が下されるわけですが(「民事」の場合には「和解」もあり)、上記の違いからもそれを不服とする「控訴」の質もかなり違ってくることがお分かりいただけるかと思います。


まずは流れを見ていきましょう。

始めに裁判を受ける裁判所が「第一審裁判所」です。

ここでの判決に不服があった場合「控訴」をして次のステージへ進むわけですが、

    ◎「民事裁判(訴訟)」
  • 第一審裁判所が「簡易裁判所」の場合
     →「地方裁判所」へ
  • 第一審裁判所:「地方裁判所」または「家庭裁判所」の場合
     →「高等裁判所」へ

となり、それぞれ「控訴」を受け再審理を行う裁判所が「第二審裁判所」になるのですね。

そして「第二審裁判所」は「控訴審裁判所」とも呼ばれます。

訴訟の場は1段階ずつ上の裁判所に移っていきます。

    ◎「刑事裁判(訴訟)」では
  • 第一審裁判所:「簡易裁判所」または「地方裁判所」の場合
    →「高等裁判所」へ

第一審裁判所が「簡裁」「地裁」どちらであった場合でも「第二審(控訴審)裁判所」は「高等裁判所」ということになります。


「民事」と「刑事」では、ここも違いの一つです。


ちなみに「刑事裁判」での第一審裁判所は予想される量刑により、決められます。


「簡易裁判所」では罰金以下の罪や大がかりではない単純な窃盗や詐欺、それ以上の罪が予想される場合には「地方裁判所」が最初の公判の場となります。

先ほど書きました通り、被告人は罪を犯したこと自体は認めているので、その重さに合わせ、裁判所の格も上がっていくのですね。


「控訴」は下された判決(原判決)に不服がある当事者であれば、常に提起することができます。

そして「第二審(控訴審)」では、第一審裁判所と同じように事実確認を行います。

基本的な部分は第一審での審理をそのまま受け継ぐ形です。

ですので「第二審(控訴審)」で新たに被告人にとって有利になるような資料などが加えられない限り、なかなか第一審判決が覆されることは難しいのですね。

審理さえ開かれず判決が「控訴棄却」、というケースも珍しくありません。


ですが「刑事裁判」では、刑罰の内容が裁判の焦点なので「その判決はあまりにも重すぎないか?」と「控訴」する例は案外多いのです。


また、最初の方にも書きましたが、検察側が起こす「控訴」もあります。

量刑の軽さや、無罪の判決を検察側が不服とする時ですね。

「冤罪を生む一因」とも言われていますが、そこはとりあえず今回は措いておきます。

が、検察からの控訴もあることはあるのです。


「民事裁判」でも個人と会社、会社同士、など、規模が大きなものであれば「控訴」も十分あり得ます。

が、実際個人間のトラブルなどでは和解を勧められることも多く「控訴」はそれほど行われていないようです。


「民事裁判」では「判決書」の送られた日(実際に受け取った日とは限りません)の翌日から(裁判所で「判決書」を受け取ればその日から)2週間、刑事裁判」でも「判決を言い渡された日」の翌日から2週間が「控訴期間」となります。

「上告」とは?


続いて「上告」です。

「控訴」を経て逆転勝利、となるのもかなりハードルが高いようですが、こちらの「上告」はさらに難易度がアップします。


「控訴」の場合と同じく「上告」の流れを見ていきましょう。

    ◎「民事裁判(訴訟)」

  • 第一審裁判所:「簡易裁判所」の場合 
     →「地方裁判所」が「第二審(控訴審)裁判所」に(控訴)
     →「地方裁判所」から「高等裁判所」へ(上告)
     →「高等裁判所」が「第三審(上告審)裁判所」

  • 第一審裁判所:「地方裁判所」または「家庭裁判所」の場合
     →「高等裁判所」が「第二審(控訴)裁判所」(控訴)
     →「高等裁判所」から「最高裁裁判所」へ(上告)
     →「最高裁判所」が「第三審(上告審)裁判所」


  • ◎「刑事裁判(訴訟)」では

  • 第一審裁判所:「簡易裁判所」または「地方裁判所」の場合
     →「高等裁判所」が「第二審(控訴審)裁判所」(控訴)
     →「高等裁判所」から「最高裁裁判所」へ(上告)
     →「最高裁判所」が「第三審(上告審)裁判所」

「上告審」となるのは原則「最高裁判所」です。


ただし、民事裁判の第一審が「簡易裁判所」だった場合のみ「高等裁判所」が「上告審」となるのですね(「簡易裁判所」から始まる民事裁判の場合、どうしても最高裁に「上告」したい場合には例外的に「特別上告」で上訴することができます)。


こちらの期間も「控訴期間」と同じく、

  • 民事: 判決書の送られた日の翌日から2週間(実際に受け取った日とは限らない)
  • 刑事: 裁判で判決の告知された日から2週間

です。

そして、「上告」とは、

「第二審の判決が不服な場合に、その変更や取り消しを「第二審の判決を下した裁判所」より上級の裁判所に直接求める訴訟手続き」

であることに間違いはないのですが、最高裁が上告審の場合「上告」できる理由が、

  • 憲法解釈の誤りがあること
  • 法律に定められた重大な訴訟手続きの違反事由があること

に限られているのです。

単純に「刑が重すぎる!」などの不服では「上告」できないのですね。


また「高等裁判所」が上告審であった場合には、上記のものに加え、

  • 判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があること

も理由とされます。

これは最高裁特有の制度でもある「上告受理申立」に当たるもの。

最高裁では「上告理由」とはまた別のものとされてます。


ちょっとややこしいですが、要するに「上告審」でなされるのは「法律問題」に関する審理です。

ですので、「控訴」と違い基本的に

「事実認定」についての再確認は問題視されません。


原判決を事実とした上で、あくまで憲法解釈の誤り、訴訟手続きの違反など法に基づいた不服のみが争点です。

ですので「上告」しても審理の対象にすらされないものが多いのですね。


日本の裁判制度は「三審制」を採用しているものの、実際には最高裁まで争われるケースは稀です。

裁判には費用面、生活面、精神面ともに大きな負担のかかるもの。

弁護士さんと協力して挑まないと、結構きついのです(協力していて挑んでいてもきついと思います)。

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「控訴」と「上告」の違いを比較!!


裁判……疲れそう……


はい。実際相当疲れます。

「控訴」「上告」の仕組みを見ていっただけでも、すでに疲れています……


さてさて、ここでもう一度おさらいに行ってみましょう。

ちょうどキリもいいので、グッタリ気味な方は、いったん休憩をどうぞ。

甘いものでも補給してください……



復活しましたか?

ではまとめていきましょう!

「控訴」「上告」は何のためにするの?


  • どちらも裁判所の判決に不服がある場合に、その取り消し・変更を求めるため
     → どちらも「上訴」の一種。使われる段階により呼び分けられます

その「段階」の違いは?


  • 控訴: 第一審の判決が不服な場合に
  • 上告: 第二審の判決も不服な場合に

申し出る条件は?


  • 控訴理由: その事案や第一審での判決により異なりますが、第一審の中で異議のある部分について、そのどこが誤りであるかなど、具体的なもの
     → 認定された事実が誤りであること / 法律的に誤りがあること / 新たな証拠を主張  などが一般的

  • 上告理由: 憲法解釈に誤りがあること / 法律に定められた重大な訴訟手続きの違反事由があること
    → 法に基づいた不服のみ

それぞれを英語でいうと何?


どちらも「appeal」なのです!

     △「上訴」をそれぞれの言葉で分けている都合上、名前が違った方がその段階がわかりやすいから
     △「控訴」では事実認定も争点だが、「上告」では法律の解釈についてのみが争われるため、その性格上名前を分けているから
     △日本の法律用語は海外からのものを直訳していたため、同じく「控訴」「上告」の2つを違う言葉で表わしていた(おそらく)ドイツ語の直訳を採用したのではないか

    ……などなどといわれています。

「控訴」「上告」のタイムリミットは?


    ◎控訴
  • 民事裁判: 判決書が第一審裁判所から送られた日の翌日から2週間
  • 刑事裁判: 判決が言い渡された日の翌日から2週間

  • ◎上告
  • 民事裁判・刑事裁判とも「控訴」の場合と同じ

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終わりに……


と、以上が「控訴」「上告」の違いなのですが、様々なケースがあるため細かい部分はいろいろと変わってくることもあります。

知識として、ではなく実践で「控訴」「上告」の違いや仕組み等が必要な場合には、弁護士さんと細部の調整をお願いします。


刑事事件に関しては多分被害者になることはあっても加害者になることは、一生ないような気がしてきました。

なぜなら、裁判のシステムをもう一度おさらいするのが心底面倒くさいから……


こんな気分にさせることで世の中を平和にしようと、法律用語はやたらとややこしいのでしょうか……?

……まぁ絶対に違うと思いますが、法律関係のお仕事の方々はこのようなことを日常的にこなしているのですね。すごいです。アスリート並みに過酷なお仕事です。


さてさて、いかがでしたでしょう。

皆さまのモヤモヤ解消と、犯罪撲滅へのお手伝いにも、少しは役立ったようならうれしいのですが……


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