こんな『違い』があったんだ!

「対応」と「応対」の違い! 履歴書はどうする? 敬語になるの?

応対



「対」と「応」、ひっくり返しただけ……

いっそ全然違う漢字で書き表すことはできなかったんでしょうか! もの凄くわかりにくいです!! この漢字の組み合わせを考えた人に会ったら、絶対に文句言ってやります!
応対

……さて「これは『対応』こっちが『応対』」などと考えることなく日常的にくり返しているこの2つの行為。


間違った方を使っても何とかごまかせそうな気もしますが、実はかなり意味合いの違う言葉。「対応する」のか「応対する」のかによって、その行動も違ってくる言葉なのです。

仕事などでの大事な場面では、間違えて使うと話がかみ合わなくなってきてしまったりもします。

履歴書に記載する現在までの仕事内容、これも間違えると変な誤解が生まれます。

間違った方を使って、相手にムッとされてしまったり、敬語のつもりで話しただけなのに、何か怒ってますか? な感じになってしまうことも……


それはイヤだ……


「対応」と「応対」の違いを解説いたします。

皆さまの今後の「対応・応対」とのつき合いに危険が伴いませんよう、お役に立てましたら幸いです!!
目次

「対応」と「応対」の違いポイントはココ!

ある対象に対し何らかのアクションで応じる「対応」と「応対」。


何に応じてどのようなことをするのか、がポイントとなります。

……と、言われてもちょっとわかりにくい。


では、例えば交番のお巡りさんです。


    ※開演の時間ギリギリなのに、どうしても目的の映画館がわかりません。認めたくありませんが、これはほぼ迷子。

    仕方なく、交番で道をたずねます。

    山田巡査は「いやぁ、大変だったねぇ」などと言いながら、ニコニコと話を聞いてくれます。感じいい……警察官への印象が変わりそうです。

    ですが、いつの間にかすっかり話し込んでしまい、ついには開演の時間を大幅に過ぎてしまいました。

    でも楽しかったし、まぁいいか。なぜか恋バナまでしちゃったし……

そしてもう一人、田山巡査部長です。


    ※目つきが鋭くまさに警察官、といった印象。怖いけど仕方がないので道を聞くと、黙ったまま地図を出し、目的地を指さします。あ、けっこう遠い……


    結局田山巡査部長に途中まで案内してもらい、何とか開演時間には間に合いました。

    映画、楽しかったぁ。

さてさて初めの山田巡査、地域の皆さんには「気持ちのいい応対をしてくれる、親切なお巡りさん」として親しまれています。


「応対」とは、相手の話を聞き、それに対し応えること。相手の言葉に対しての受け答えを指します。
ですのでその対象となるのは「人」。

「もてなす」といった意味合いのある言葉です。

「応接間」や「応接室」は訪れた人を歓迎して迎え入れる場所ですね。「応対」にもその精神ありです。


一方こわもての田山巡査部長は「ちょっと不愛想だけど、やることはちゃんとやってくれるのよね」と、その「対応」の良さから「頼りになるお巡りさん」です。

「対応」とは迷子なら迷子、酔っぱらいのケンカならケンカ、その状況に応じて対処すること。行動を伴います。
対象となるのは「現在の社会情勢」であったり「緊急事態」であったり、と「人」には限られません。
何らかの要求があれば、それに応じて柔軟に対処するのが「対応」です。


つまり、

    ◎応対
  • 対象は「人」
  • 電話相手や訪れた人などの話を(真摯に)聞き、それに応じた、受け答えをすること
  • ◎対応
  • 対象は「人」だけでなく「トラブル」や「要望」など、「もの」や「現象」の場合もあり
  • 周りの状況などに合わせ、その問題を解消しようと行動すること
といった違いがあるのです。


まずはこちらを押さえておいていただき、続いてそれぞれについて少しだけ詳しく見ていってみましょう。

「応対」とは?

♦面接対策&ビジネスマナーDVD(電話応対(受信編)「適切な例」)
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「相手がいて、その相手に応じての受け答え」をする「応対」。

使われるのは「電話」や「接客」の相手に対してがほとんどです(対象が「人」なので)。


会社の受付の女性が、来客に対し、丁寧かつ親切に取り次ぎなどをしてくれますが、その場合、相手によって態度をコロコロと変えてしまうのはちょっと問題。
苦手な取引相手でも、密かに思いを寄せているイケメン男性にも、表面上は同じ態度で接することが大切。誰にでも「おもてなし」の精神で受け答えをするのが「会社の受付」をする上では重要なのです。


「応対」とは、このように、相手によって行動が変化することほぼはありません。


会社で電話を受ける、取り次ぐ、などでも同じ。仮に電話相手の声が聞き取りにくかったとしても「少々お電話が遠いようなのですが」のように、相手に不愉快な思いをさせない言い方等、ある程度パターンのようなものもあります。
アドリブはほとんど必要ないのです。

「応対がいい」というのは「接客や電話での態度や言葉遣いがいい」という意味。「合間合間に冗談を言う」や「独特の話し方でセンスを感じさせる」などではないのですね。悪いと、その会社の評価まで下げてしまうこととなるのです。一大事です!


「応対」には、相手のことを思う、丁寧なもてなしの気持ちと、そのことが伝わるような態度や言葉遣いが求められています。

「対応」とは?

「その時その時の求められている状況に応じて対処し行動」をする「対応」。
少し難易度が上がったような気もします。


例えば「応対」した社員さんから電話を取り次いでもらった「クレーム担当」の課長。

その会社の何かに対し、不信感を持ってしまったお客さんの話をしっかり聞き、その内容にあった担当者にバトンを渡すまでが「応対」。


ここからが「対応」、クレーム担当課長の出番となります。

クレームの電話をしてきたお客さんは、別に愚痴を聞いてもらいたいわけではありません。「なんとか」してほしいのです。

それは思った以上に音の大きかった掃除機に対してかもしれませんし、営業に来た社員の強引さに対してかもしれません。

とりあえず「クレーム担当課長」に求められるのは、それについての何らかの対処です。

購入した商品に関してであれば、他の商品と交換する、または返品してもらい全額返金する、社員の態度についてなら、まずはそちらのお宅まで謝罪に行く、などなど、その人の怒り加減、内容などの状況に応じて、対処の内容も変えていかなくてはいけません。


いずれにしても、そのお客さんの要求に応じる必要があるのです。

また、謝罪に行くことになったけれど、今日はちょっと考えられないくらいの大雨、などの場合には「大雨で電車がストップしてしまった場合の対応策」を立てる必要も出てきます。


クレーム一つ一つ、また、クレームに限らず色々な要望、予想外の出来事についても、同じ方法で切り抜けるのはムリ。アドリブだらけです。


「対応」には、様々な問題それぞれに対しての具体的な対処、対策を立てることのできる柔軟さも求められているのです。

「対応」と「応対」はこんなに違う!

相手に対するもてなしの気持ちを表す「応対」での言葉遣いや態度。

相手の要望、また人に限らず、立ちはだかる壁を突破すべく対抗策を講じる「対応」。


……ここまで大げさではないかもしれませんが、2つのスタンスの違いが何となくでもおわかりいただけましたでしょうか。


では続いて「対応・応対」のあれこれのおさらい、また「履歴書」等に書く際の使い分け、はたまた、敬語として使うにはどのような表現をすればいいのか、などなどに行ってみましょう!

職務経歴書に書きたい今までの仕事内容、それって「応対」?「対応」?

転職の際、今まで頑張って働いていた仕事については履歴書にしっかりとアピールポイントとして記載したいところ。


でも「私の得意なのって、応対だったっけ? あれ? 対応?」……そんな間違いで「あらら、この子ダメだ」などとなってしまってはもったいないです!!


前述の「応対・対応」それぞれの意気込みを思い出してみてください。

  • 「応対」のお仕事: 電話を受ける、訪問者への受付や案内   → コールセンター、電話オペレーターなどの電話応対に特化した仕事の他、事務職などでも「電話応対」「来客応対」などの仕事はあります。「一般によく使われる言い回し」や「決まり文句」、電話応対でしたら「3コール以内には取る」など、ある程度の知識と経験を持っていることになります。「もてなしの気持ちを言葉遣いや態度」で表し、相手と接するような仕事内容でしたら「応対」です。
  • 「対応」のお仕事: 電話への対処、クレーム処理など、何かに対する具体的な策を取ること   → クレーム担当、等でなくても、仕事をしていれば何かと問題が出てきます。それに対し臨機応変に対処できることが「対応力のある人」です。色々なことに対しての「対応」を任されていたのであれば、かなり仕事のできるイメージがあります。単に来客などへ受け答え、またはその取次ぎではなく、その来客の要求に応じ、対処するような内容のお仕事でしたら「対応」です。

  •  ➡ 苦情、クレーム等に対しては「応対」での誠意ある受け答えと、納得してもらえる具体的な「対応」策が大切になります。どちらかだけではダメなのですね。

    今まで「応対」を褒められた、や「対応力」に定評があった、などが伝えられる、読みやすい的確な文章でまとめてみてください。

「応対・対応」は敬語として使える?

もてなす気持ちから出る言葉遣いや態度。頼りになる臨機応変な対処。


さて、それらをしてもらったら?

「敬語」として使うには、その前後が重要。

誰に対してのお礼か、または何に対するお礼か、によって「応対・対応」を使い分けるのはもちろん、どのようなシーンでそれらをしてもらったのか、というのもポイントです。

「製品についての説明をわかるまで親切に教えてくれた(応対)」や「少し無理を言って納期を早めてもらった(対応)」など色々あります。


前者の「応対」でしたら「忙しいのに、面倒がらずに納得できるまで丁寧」に応対してくれたこと。
「お忙しいところ、ご丁寧に応対してくださり大変感謝しております」などと気持ちを伝えましょう。


後者「対応」なら「無理を言って、早めに納品してもらった(そのための対応をしてくれた)」ことですね。
「無理を申しまして誠に申し訳ございませんでした。迅速な(ご)対応感謝いたします」などとなります。
ただし、丁寧にしようとするあまり、「ご迅速なご対応」「ご丁寧にご応対」のように敬語を重ねるのはNG。二重敬語となってしまいます。


また、何かイレギュラな対応をお願いする場合などには「恐縮ですが」的な言葉を入れたり、「○○をお願いします」といったニュアンスではなく、あくまでも「可能かどうか訊ねる」感じで問いかけるようにするのがベスト。要は、相手にちょっとでも嫌な思いをさせないように考えながら話せばいいのですね。自分はこう言われたらムッとするかな、などと置き換えてみるとわかりやすいです。


さらに、今度は自分が「応対・対応」をする場合。

「対応」の言葉には、何かの問題に対する、といったイメージがあります。実際そうです。トラブル等に対処するのが「対応」だからですね。

「一体どうなってんのよ!!」とクレームを持ち込んだお客さんなどに「私が対応させていただきます」ですと、結構微妙な感じになってしまいます。対応するのはその商品などの問題点についてなのですが「何? 私自身が問題だって言うの!」ともなりかねません。


この場合は「承ります / ご説明申し上げます」などの方が無難。

問題となっている商品名などを挙げ「(あなたではなく)○○の件に関しましては」などの言葉をつけるのも、方法の一つです。


これは「応対」にも当てはまります。


「応対」は相手の話を聞いて受け応えること。ですので「お話を伺います」や「ご案内致します」などと言った方が柔らかく、わかりやすい印象となります。

そして相手のしてくれた「応対・対応」には「感謝『いたします』(謙譲語)」「丁寧に応対して『くださり』~(尊敬語)」「迅速に対応『いただき』~(謙譲語)」などをつけ「敬語」として成立させてください。


自分がする「応対・対応」には「謙譲語」(もしくは「丁寧語」)で。
「対応させていただきます」「応対いたします」でも構いませんが、できれば先ほど挙げましたように「ご説明『申し上げます』 / ご案内『いたします』」などと使ってみてください。

相手をたて、自分をへりくだってみせる「尊敬語・謙譲語」との組み合わせで、相手にとって面倒な依頼や、本気の感謝が伝わりやすくなります。ここでの敬語の使い方が逆だったりすると、場の雰囲気が一気に張り詰めますのでご注意ください。

「応対」「対応」の違いをもう一度!!

対象は誰?

  • 応対:「人」   →「電話」や「来客」に対する「受け答え」「取次ぎ」「接客」には『応対』です。
  • 対応:「人」ではない場合もあり   →「事象・事件・苦情・要望」などなど、とにかく何らかの問題、または要求があれば、それに応じた対処や行動が『対応』です。

見られているのはどんなとこ?

  • 応対:「電話・接客」などでの態度や言葉遣い   →「応対がいい」とは、態度や言葉遣いが丁寧で気持ちのいい受け答えをしてくれることです。相手が誰か、ということでその行動が変わることはありません(言い回しや決まり文句的なパターンが、ある程度あります)。
  • 対応: トラブルや問題など、何かしらの出来事が起こった場合の対処能力   →「対応がいい」なら、臨機応変に具体的な策を講じてくれる頼もしさが感じられます。行動は常に変わります(パターンなどと言っていられないほど、巻き起こる様々な問題の範囲は広くなります)。

何に応じてる?

  • 応対:「相手」に応じています
  • 対応:「状況」に応じています

終わりに……

イヤになるくらい似ている2つの文字ですが、使われる場面など、イヤになるくらい細かい違いがありました。

ですが「応対」では「応じる」ことに「対応」では「対する」ことに重点が置かれている、と考えると「どっちがどっちだっけ?」となった時、思い出しやすいかもしれません。


「応じる」は「応接間」や「応接室」、相手を歓待し迎え入れる場所と同じ漢字を持ちます。

一方「対する」では「敵対」「対峙」など、少しだけ緊迫感も感じる言葉と同じ文字。でも「対処」の「対」でもあります。「トラブル等と戦っている感」が垣間見え……ませんか?


どんなこじつけでもいいので、一旦覚えてしまえば、なかなか忘れないものです。

どちらの「応じる(対する)」も大変で大切なことですね。

仕事に限らず、近所の方やお散歩中のちょっとした事件などにも、親切で冷静な「応対・対応」ができたら、きっと毎日が少し楽しくなるような気がします!


皆さまの「応対・対応」についてのモヤモヤが、少しでも晴れていましたら嬉しいです!

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