……その日の気分で?
うーん。
半分アタってるんですよね……
でも、半分ハズレ。
会社はたしかに『企業』だし『法人』です。
が!
それだと、
「私は『地球人』だし『日本人』です!」
と言っているのと、あまり変わらなくなっちゃうんです。
『企業・法人・会社』、実はちゃんとある違い。
ここは今のうちに押さえておいてしまいましょう。
── ということで、
『企業・法人・会社ってなにが違うの? どんな種類があるのかも知りたい!』
また、あまり考えたくありませんが、業績の悪化などで会社を休業しなければならなくなった場合の手続きなど、
『企業とか会社とかで、休業届も変わってくるの?』
も含めてのご紹介です。
皆さまのスッキリに少しでもつながりましたら幸いです。
それではさっそくみていきましょう。
目次
『企業・法人・会社』3つの関係は?(ザックリ)
“『企業』の中に『法人』があって、『法人』の中に『会社』がある”
本当にザックリですが、3つの関係はこう。
つまり、
- 会社とは企業であり法人である
- が、企業や法人というのは会社だけを指す言葉ではない
です。
これだけだと呪文なので、もう少し細かく分けていきますね。
それぞれをさらに分解
では、カテゴリの大きい順に。
『企業』はどう分かれる?
- 個人事業主
- 法人
の、2つに分かれます。
経済的な活動、要するに、なにかを作ったりお金を生むような活動をしている個人や団体、組織なら、みんな企業です。
個人事業主とは?
そのまま。
個人で事業をしている人のことです。
居酒屋や喫茶店、町の魚屋さんやフリーランスで働く人、独立した弁護士さんや税理士さんなんかも『個人事業主』。
簡単に言えば、自分で稼いだ分が自分の収入になるスタイルで働く人たちのことですね。
『売り上げ - 必要経費』がその月の収入になります。
法人とは? 個人事業主との違いは?
組織としての人格を『法人格』という形で、法律によって認められているもののこと。
利益や公益のために作られた組織体です。
(※ 公益: 国や社会のための利益)
ちょっとわかりづらい……
ので、町の魚屋さん(個人事業主)と比べてみますね。
“魚屋さん = その魚屋さんのご主人(事業主)の所有物(もの)”
ですよね。
だから、お客さんが喜んでくれそうな魚を仕入れたり、お店で起きた問題への対処など、いろいろなことをご主人が責任を持って行っていくことになります。
権利もある代わりに責任や義務も全部事業主にかかってくることに。
個人のお店だから、全部自己責任。
いっぽう法人です。
法人(たとえば会社)の場合でも魚屋のご主人的存在の経営者はいますよね。
でも法人は『人』と同じように権利や義務を持つことを認められた組織。
なので、
“法人(会社など) = 経営者のもの”
ではなく、
“法人 = 法人のもの”
仮に法人の魚屋さん(魚辰)があったとしたら、魚の仕入れを行うのは法人としての魚辰です。
その魚を食べた人がお腹をこわしたら、訴えられるのも魚辰。
個人事業の魚屋さんだったら、訴えられるのはそこのご主人。
法人では、このように経営者(や会社の所有者)などの個人と法人自体は別物とされているんですね。
個人事業主と同じく、権利や義務、責任を法的に認められている組織が『法人』です。
法人はまだまだ分かれる
- 私法人
- 公法人
に分かれます。
『公法人』はちょっと特殊なので、そちらからみていきましょう。
公法人とは?
公法人が作られた目的は『国家』のため。
国や公共の事業を行うことを目的とする法人です。
大きな範囲で見れば、国家自体も公法人。
公法人には以下のような種類のものがあります。
(※ それぞれの説明はかなりかいつまんでいます)
- 地方公共団体
→ 都道府県や市町村など、そこに住む住民たちのために働く団体 - 公共組合
→ 国民健康保険組合などのように、国がらみの組合(社団法人)のこと - 公庫
→ 政府の金融機関
→ 公共の目的のため、融資などを行っています
→ 現在沖縄の公庫以外は民営化されています - 造幣局(独立行政法人)
→ 国のお金をつくってます
などなど。
(※ 公法人は公法 → 憲法とか刑法も公法 / 私法人は私法に基づいています)
『企業・法人・会社』からかなりかけ離れているので、公法人については、ここでいったんおしまい。
続いて『私法人』についてです。
私法人とは?
公法人が公の社会活動を目的にしているのに対し、
“行政や公共などのためではなく私的な目的のため”
に設立されるのが私法人です。
で、この私法人がまたさらに分かれていきます。
私法人を分解
- 営利法人
- 非営利法人
次に分かれていくのは『営利法人』のほうなので、先に『非営利法人』のほうからやっつけちゃいましょう。
非営利法人とは?
非営利法人と営利法人の違いは、
“利益を分配できるかどうか”
です。
利益を分配できるのが『営利法人』。
できないのが『非営利法人』。
あくまでできないのは『分配』です。
利益を出すことや収益を上げるために活動することができないわけじゃないんですね。
その分配はできないけど。
給料もちゃんと出ます。
非営利法人には以下のような種類のものがあります。
- NPO法人
→ 特定の非営利事業を中心とした活動を行う法人 - 一般社団法人
→ 業務の内容や活動についての制限はありません - 一般財団法人
→ 同じく制限なし - 公益社団法人
→ 公益を目的とした事業を中心に活動を行う法人 - 公益財団法人
→ 同じく公益を目的とした事業中心
慈善や学術など、公益事業を目的とする社団や財団です。
-
※ 社団: 同じ目的のために集まった人たちの集団(に法人格をあたえたもの)
※ 財団: ある目的のために集まった財産の集合(に法人格をあたえたもの)
公法人が主に国や都道府県、市区町村の団体、公の法人であるのに対し、彼らは民間の法人です。
はじめは『一般社団法人・財団法人』として設立され、1年以上経つと、『公益社団法人・財団法人』になるための認定申請ができる仕組みになっています。
-
※ 一般~は、『非営利型法人』と『それ以外の普通法人』にさらに分かれ、税制面での優遇措置も変わってきます
優遇されるのは『非営利』のほう
でも、これもまた2つに分かれる……
営利法人とは?
利益の分配ができる営利法人は4種。
これが『会社』です。
軽くまとめると、
- 経済活動をしていて =『企業』
- 国や都道府県のための社会活動ではなく、私的な目的のために設立されていて = 法人の中でも『私法人』
- 利益を分配することができる = 私法人2種のうちの『営利法人』
=『会社』
そして、その4つの会社というのが、
- 株式会社
- 合同会社
- 合名会社
- 合資会社
株式会社以外の3つ(合同・合名・合資会社)は『持分(もちぶん)会社』とも呼ばれます。
この中(4つ)で一番有名なのが『株式会社』ですよね。
合同会社や合名会社というのは、まだあまりメジャーじゃないかも。
『会社』についても少しくわしくみていきますね。
株式会社とは?
もっとも世間一般的な会社の形態です。
営利法人の代表格。
株式会社のシステムは、
- 会社を設立したい!
→ 株式を発行して、出資者に買ってもらう
→ それを資金に会社を設立
→ & 事業にも活用
→ 利益が出た!
→ 出資者に分配
こんな感じ。
出資者のためにがんばるのが株式会社。
この『出資者』が『株主』になります。
実際に業務を行うのは会社の所有者(経営者・代表取締役など)ですが、出資しているのは株主なんですね。
当たり前と思うかもしれませんが、これが『持分会社』との違いなんです。
持分会社(合同・合名・合資会社)とは?
持分会社に株主はいません。
では、だれが会社を興す(おこす / 会社を立ち上げる・つくる、のような意味)ための資金を出しているのかというと、
“自分たち”
(※ 設立に必要な出資者は、合資会社が2名以上、それ以外は1名以上ですが、株式会社も1名以上でOKなので……たいてい複数名で出しあうことになります)
つまり、株式会社とは違い、
“出資者 = 実際に業務を行う人(たち)”
また、その会社にとって役立ちそうな技術などの提供も『資金』として扱われます。
でも株式会社のように『出資オンリー・業務には関わらない』というのはナシ。
で、この出資者であり会社の所有者でもある人たちが、
“社員”
と呼ばれます。
紛らわしいんですが。
“普通の従業員 = 社員”
ではなく、
“出資者 = 会社の所有者 = 実際に業務を行う = 社員”
なんです。
利益の分配は?
株式会社では株式を多く持っている人(多く出資してくれた人)により多くの利益を分配しますよね。
でも、持分会社は場合によっては『技術の提供』なんていう出資のしかたもあるので、そこらへんのことはみんな(社員 = 出資者)で話し合って自由に決めることができます。
出資額ではなく、会社のためにたくさん働いてくれた人に多くの利益をお返し、などもあり。
また、いちいち株主総会を開いて、ではなく、社員たちの会議でこれらを決定することができるので、効率よく業務がこなせるのも持分会社の強みになっています。
さらに、組織内の構造が実にシンプル。
監査役だとか参与とかのややこしい役割分担が必要ないため、これもスピードの速さにつながってきます。
ついでにいうと、株式会社では最長10年となっている役員の任期などもありません。
もろもろ自由度が高いのが持分会社です。
そのほかの特徴は?
設立のための費用も株式会社に比べ、かなり安く済みます。
一般的な株式会社設立にかかる費用はおおよそ25万円。
持分会社(合同会社の場合)の場合は6万円です。
手続きなども簡単。
いいことだらけのような気しかしませんが、その分、会社としての信頼度は若干低めになってしまうんですね(とくに現状では)。
いろんなハードルをクリアして設立された株式会社と、けっこうあっという間にできてしまう持分会社。
比較すると、信頼度が高いのは圧倒的に株式会社、イメージだけだとしても世間はそう見ます。
しかも、持分会社という会社形態が日本に登場したのは会社法が新しくなった2006年。
まだまだ認知度も低いんです。
増えてるんですけどね。ちゃんと。
ただ、現在勢いがあるのは『合同会社』のみ。
ほか『合名・合資会社』は新規の設立がほとんどありません。
(※ こちらの2つに関してはたぶん、今後もあまり増えないといわれています)
あと、当たり前といえば当たり前なんですが、持分会社は『株式上場』はできません。
株式、発行してないので。
そしてもう一つ特徴的なのが、
-
■ 合同会社
有限責任社員からのみ
■ 合名会社
無限責任社員からのみ
■ 合資会社
有限責任社員・無限責任社員から
この謎の『有限・無限』の社員の存在です。
有限・無限責任社員ってなんだ?
たとえば、全然関係ないですが引っ越しのときの敷金で考えてみますね。
きれいに使っていれば、敷金は全額返ってきますが、修理箇所などがあれば、そこから差し引かれますよね。
では、もし敷金分だけでは足りないくらいな状態(窓ガラスがバキバキとか)になっていたら?
-
■ 無限責任社員の場合
足りない分は無制限にしっかり払いきる責任が生じます
→ 出資額関係なく、すべての責任を負います
■ 有限責任社員の場合
はじめに払った敷金以上に支払う義務は生じません
→ 出資した額を上限として責任を負います
会社の場合はこの敷金が『債務』。
法人としての会社が抱えている借金や未払い金などですね。
これらの支払いに対しての責任が『無限』にある社員か『有限(出資額まで)』の社員か、の違いです。
有限責任社員の場合、出資した額は戻ってきませんが、それ以上の借金を背負う義務はありません。
ただ、有限責任社員だけだと、貸す側も不安ですよね。
なので、有限責任社員には融資の際などに、連帯保証人などをつけるのが普通。
それはそうなるだろうね……と思います。
── ということで、
『企業・法人・会社の違いと、その種類』
については、ここで終了です。
お疲れさまでした。
さて、こんな感じで設立させた会社やらお店やらですが、どうしても経営がうまくいかなくなることもあります。
経営者の方の体調が悪くて、しばらく働けそうにないとかも。
廃業か休業か……
悩みますよね。
そして、
“うーん、ここはいったん退却だ! でも、必ず近いうちに復活してみせるから待ってろよ!”
で、『休業届』です。
続いて、
“休業届ってどうやって出すの? 提出するとなにがどうなる? メリットはある?”
などなどについてのご紹介です。
休業届に違いはある?
『会社』は『企業』でもあり『法人』でもあるので、会社と法人の休業届は一緒。
少し違ってくるのは企業は企業でも『個人事業主』の場合です。
まずは『法人の休業届』からみていきましょう。
法人が休業する場合
法人は国や都道府県、市町村などに毎年税金を払っていますよね。
なので、これらの機関に休業したことを伝えます。
『異動届出書』
- 税務署
- 都道府県税事務所
- 市町村役所(23区の場合都税事務所のみ)
税務署には『休眠届(休業届のこと)』がありません。
なので代わりに『異動届出書』に休業中であることを書いて提出してください。
(※ 異動事項等の欄に『休業』/ 異動年月日の欄に『休業した日付』)
都道府県税事務所や市町村の役所では、場所により『休眠届』の置いてあるところもありますが、ない場合には税務署同様『異動届出書』を提出です。
『給与支払い事務所等の開設・移動・廃止届出書』
- 税務署
休業することで給料を支払うことがなくなる場合です。
休業してから1か月以内に直接持参、または郵送でもOK。
異動届出書を出すときに一緒に出してしまうのが一番手っ取り早いです。
『健康保険・厚生年金保険適用事務所全喪届』
- 年金事務所(日本年金機構)
社会保険の被保険者が休業によっていなくなる場合に提出。
郵送でもOKです。
『健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届』
- 年金事務所(日本年金機構)
こちらも同じく。
被保険者がいなくなる場合に提出または郵送してください。
登記は?
会社がなくなったわけではなく、あくまで一定期間お休みの形をとるだけなので、登記の必要はありません。
今まで出てきたいくつかの届出書をまとめて『休眠(休業)届』です。
休業届を提出するとなにが変わる?
廃業届を出した場合には、会社は完全になくなります。
解散ですね。
いっぽう、休眠(休業)の場合は単に事業活動や営業活動を一時的にストップしているだけの状態。
上にも書きましたが、法人登記もそのままになっています。
再開するときが楽!
廃業との一番の違いはコレ。
しかも準備さえ整えば、好きなタイミングで再開することもできます。
でも、廃業届を出してしまうと、一から開業のための手続きやら許認可が必要になり……もちろん会社設立時にかかった費用も再度必要に。
会社を解散(廃業)するときには費用がかかる!
かかるんです、けっこうな額が。
たいてい専門家に頼ることになるかと思いますが、仮に自分たちで清算のための手続きをしたとしても十数万はかかります。
でも、休業の場合、その費用はゼロ。
法人所得税がかからない
法人の所得、つまり会社(非営利法人の場合でも)の利益に対して課せられるのが法人税です。
(※ 所得 × 税率)
休業するということは、事業・営業など、活動がすべてストップしている状態。
なので利益はゼロ。
ゼロにはいくら税率をかけてもゼロなので、法人税もゼロです。
法人住民税の均等割りが免除または減免されることも
均等割りというのは、企業が置かれている都道府県や市町村などからの地域サービスに対して支払う税金。
なので、本来なら企業の業績がよくても悪くても関係なく均等に課せられるものです。
が、休眠会社の場合、自治体によっては、全額免除・減免になることも。
(※ いっさい減免などはナシ、という自治体もあります)
再開後、引き続き青色申告の特典が受けられる
青色申告にはいくつもの特典がありますが、
“欠損金の繰越控除(くりこしこうじょ)”
これがかなりありがたい。
企業の赤字(欠損金)を10年間繰り越すことができるんですね。
- 休眠する
→ 繰越期間がある間に再開
→ 黒字になった(会社の所得が増えた)!
→ この黒字分から、これまでの赤字分が差し引かれる
→ 全体の所得が減ることに
→ 節税!
おそらく経営者の皆さんは、会社等設立のときに、
“青色申告の認証申請書”
も提出していることと思います。
これを再開後にまた引き継ぐことができるのも休業のメリットのひとつです。
でも届を出すだけじゃダメ!
“休眠届、ナイス!”
はい。
もうどうにもならない状態なら廃業もありですが、いつか必ず再開を! と思っているなら休業にはメリットがたくさんあります。
が!! が!!
この『休眠届』、とりあえず出しておけば安心、というわけではないんです。
毎年ごとの確定申告は必須!
“だって、休業中だから売り上げとかもゼロだよ!?”
と思われるかもしれませんが、しなきゃダメです。
白色申告に比べ、多くの特典がつくのが青色申告のポイントですよね。
でも青色申告は、
”2期連続で期限内にしなかった場合、取り消されちゃいます!”
”1回取り消されたらその後1年間、再申請できなくなります(白色のまま)!”
再開を考えての休業の場合、これはイタい。
実際には事業収益は0なので、
- 申告書(B)の目立つところに『休業中』と書き
- そこに代表者印を押し
- ”申告所得ゼロ”と記載し提出
再開するまで毎年これが必要になってきます。
役員変更登記も必要!
たとえば株式会社の場合です。
取締役や監査役の任期は最長10年。
ということは、10年に1度は必ず会社から変更登記が申請されるはずですよね。
でも、『休眠中だし』と、手続きをしないまま放っておくと、法務局(登記をするところ)では、
“変更がない → 休眠会社か? → みなし解散”
こんな感じの流れができてしまいます。
なので休業中に役員の満期満了、または辞任や解任等があった場合には、登記の変更手続きもお忘れなく!
『みなし解散』ってなに?
『解散』したと『みなされる』ことです。
休眠会社、または休眠一般法人には定義のようなものがあって、
- 休眠会社: 最後の登記から12年を経過している株式会社
(役員の任期: 最長10年) - 休眠一般法人: 最後の登記から5年を経過している一般社団法人または一般財団法人
(理事の任期: 最長2年 / 監事: 最長4年)
特別に休眠の手続きをとらなくても、上記の期間が過ぎるとかってに『休眠会社(一般法人)』扱いされてしまうんですね。
そして、法務局から、
”変更登記がないんですが、廃業ってことでいいんですか? よくないなら『まだ事業を続けてますよ』、という届出を出してくださいね”
といった感じの内容の通知がきます。
で、この通知がきてから2か月以内に手続き(役員変更の登記申請)をしないと、
”やっぱり解散してたのね”
となり、法務省の登記官が勝手に『解散』の登記を行ってしまうんです。
普通に事業を行っている会社(や法人)が単に忘れているだけの場合は通知が来た時点で気づきますよね。
会社宛てに届くので。
でも休眠中の会社の場合、この通知に気づかないことも……
一応、この解散登記された日から3年以内であれば、登記を復活させることもできるんですが、手続きが泣くほどややこしくなってきます。
最悪専門家に頼まないとお手あげレベル。
再開を目指して休業している場合は、ここまで放置することはないかと思います。
でも、ホントに面倒くさいことになりますので、本気で気をつけてくださいね。
(※ 廃業するより再開が楽、という休業の大きなメリットの意味がなくなってしまいます!!)
合同会社の場合は?
そうなんです!
実は(というかさっきちょこっと書いた)合同会社など持分会社の業務執行社員や代表社員に任期がないんです!
休眠会社としてあてはまるのは、
“一定期間内に必ず変更登記事由が生じる会社、法人”
に対してのみ、なんですね。
その判断とされるのは、登記上の問題。
実際に活動しているかどうかは関係なしです。
役員の任期がない持分会社の場合、普通に業務を行っていても、法律上、何十年も変更登記がないのが当たり前。
なので、休眠会社やみなし解散の適用がありません。
また、
- NPO法人
- 医療法人
- 社会福祉法人 など
については、理事の任期はあるものの、休眠会社に関する法律がないんです。
休眠届を出し、不注意などから登記の変更申請を忘れ『みなし解散』→ 3年放置でどうしようもない状態に……というのは、
- 株式会社
- 一般社団法人 / 財団法人
だけ。
持分会社が休眠中にすることは、
- 毎年の確定申告(青色申告が取り消されないように)
- 会社の住所を移転したり、代表者の自宅住所が変わったりしたときなど、登記事項に変更が生じたときには登録内容の変更手続きを
になります。
※ みなし解散については株式会社などとの違いがありますが、それ以外の休業のための手続きは同じです
個人事業主の『休業届』
はじめに『開業・廃業』をするときの法人と個人事業主との違いをみてみますね。
-
■ 開業時
- 個人事業主: 開業届の提出(『個人事業の開業・休業・廃業等届出書』)のみ
- 法人: 定款を作成・登記の必要あり 6~25万円程度の費用
(※ 定款 / ていかん: その会社等の目的や業務執行に関する基本ルールを記載した文書のこと) - 個人事業主: 廃業届(『個人事業の開業・廃業等届出書』)の提出のみ
- 法人: 解散登記等 数万円の費用
※ 個人・法人ともに、おそらく『青色申告の承認申請書』も一緒に提出していると思います
■ 廃業時
個人事業主は開業も廃業も法人に比べビックリするくらい手続きが簡単。
個人事業主・休業のメリットは?
法人が休業届を提出することで得られるメリットは、
- 再開するときの手続きが楽
- 会社解散のための費用がかからない(廃業と比べ)
- 法人所得税がかからない
- 法人住民税の均等割りが免除、または減免される場合がある
- 再開時に青色申告の特典が引き続き受けられる
この中で個人事業主にも関係してくるメリットは『青色申告』だけなんですね。
個人商店などの場合、
- 開店休業状態(店を開いてるのにお客さんが来ない)
- 本当に休業中
この違いがとくにありません。
また、売り上げ(から必要経費を引いたもの)が収入に直結しているので、それがイコール事業所得ということになりますよね。
個人事業主にも『事業税』は課せられていますが、これも所得が290万円を超えた場合に限り、です。
そして今は状況的には『休業』同然の状態。
従業員数5名以内なら、社会保険の負担もありません。
『廃業届』さえ提出しなければ、事実上『休業』していることになるんですね。
では、なぜ廃業届を提出しないかといえば、
- 一時的に休むだけで、(体調がよくなったら、など)近いうちに再開するメドがついている
- しばらく休業するが、再開後も青色申告の特典を引き継ぎたい
なんですが、その青色申告、
- 欠損金の繰越控除 → 企業の赤字(欠損金)を10年間繰り越すことができる
これが法人バージョンですよね。
個人事業主の場合、この期間が3年になります。
もしも長期休業になってしまう場合、この特典もなくなってしまう……
また、事業を手伝ってくれているご家族に支払う給料を『必要経費』として認めてもらっている方も多いかと思います。
(※『青色事業専従者給与に関する届出書』の提出が必要)
扶養親族や配偶者控除などの所得を控除される額よりも給料のほうが高ければ節税になりますが、
“休業 = 事業所得ゼロ”
の状態だと、逆効果になっちゃいますよね。
(※ ご家族への給料が必要経費として認められた場合、扶養控除などは受けられなくなります)
なので、すぐにでも復帰のメドがついているなら、
”廃業届を出さない”
長期の休業が予想されるなら、
”廃業届と『青色申告の取りやめ届出書』も提出”
休業状態でいることが必ずしも多くのメリットを連れてきてくれるわけではないのが法人との違いです。
でも短期間の休業の場合は、毎年ごとの青色申告は忘れないでくださいね!
2期連続で提出しないと取り消されてしまうのは、法人も個人も同じです!
終わりに……
純粋な(?)会社の業績不振などによる『休業』ではなく、新型コロナウィルスの影響を受けて休業せざるを得なくなっている企業も増えてますよね。
厚生労働省の助成金である、
“雇用調整助成金”
の特例措置も実施されています。
-
※ 雇用調整助成金: 従業員にやむを得ず休業してもらうときの『休業手当』の一部を政府が負担してくれる制度
特例では事業所自体の休業も
5月10日現在では6月30日まで
どんどんその内容も拡大&充実中。
個人事業者に対して100万円の持続化給付金が支給されるのも初めてのこと。
(※ 法人は200万円)
今回の内容とは少し話がズレてしまいますが、コロナ関連で休業を考えている、または休業要請の出ている事業主の皆さまも、がんばって乗り切ってくださいね!
── ということで、『企業・法人・会社の違い』と『休業届』についてのご紹介でしたが、いかがでしたでしょうか。
皆さまの『なにが違うの?』のモヤモヤが少しでも薄れていたらうれしいです!
ではでは。
最後までおつき合いいただきありがとうございました。
関連記事はこちらになります。
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