え! レクター博士って、お祭りと関係あったの?!
……「カーニバル」です。「ハンニバル」が祭りだったら、この世がおかしなことになります……沈黙していてください……
さてさて「フェスティバル・カーニバル・祭り」ですね。どれも楽しそうです。
どれも楽しいイベント、ということでいいような気もしますが、これらは大昔から使われている言葉。
なかなか歴史のある言葉たちなのです。
せっかく歴史があるのに知らないのはもったいない……
……とか、特に思わないけど、、とりあえず普通に違いを教えといて!
了解です!
今ではどれも同じように使われている感のあるこれら3つ。
盛り上がるのには理由はいりませんが、それらに使われている言葉には、ちゃんと意味や違いがあるのです。
皆さまの「ほほう、なるほど」に少しでも近づけますよう、本来の意味、そこから転化した現在での使い分け等、「フェスティバル・カーニバル・祭り」の違いについて詳しく解説いたします!
少しでもスッキリしていただければ幸いです!
目次
「フェスティバル・カーニバル・祭り」は何が違う?
ミュージック・フェスティバルやサンバ・カーニバル、三社祭などなど、どれも賑やかで正に「お祭り騒ぎ」といった感じ。非日常感も満載で羽目を外したくなるようなものばかりですね。ですがこの中では「カーニバル」だけ、実はちょっと仲間外れなのです。
!!!サンバ・カーニバルとか、もの凄い盛り上がってるのに、仲間外れなの?! 仲良くしてあげればいいのに!!
いや、仲が悪いわけではないのですが……「カーニバル」とは、ある「特定の祭り」を指している言葉。「フェスティバル・祭り」は「祝祭」「祭典」など、単純に「祭り」のことを指し、特定の何かを指す言葉ではありません。
「フェスティバル・カーニバル・祭り」の一番の違いはそこ。
「フェスティバル・祭りグループ」と、その「フェスティバル」や「祭り」と呼ばれるものの中でも「特定の祭り」を指す「カーニバル」か、ですね。
まずはこの違いを押さえておいていただき、ではその「特定の祭り」を指す「カーニバル」について見ていってみましょう。
「カーニバル」とは?「フェスティバル」との違いはココ
そもそも「カーニバル」とは「後に始まる苦行の前に、目一杯楽しいことをしておこう!」といった目的により催されるもの。日本語に訳せば「謝肉祭」のことを指しているのが「カーニバル」です。
……「謝肉」? やっぱり「レクター」……
違いますから。「羊たちの沈黙」から、少し離れてください。
「謝肉祭」とはローマ・カトリック諸国で四旬節(しじゅんせつ / または受難節ともいいます)直前の3日、もしくは1週間にわたって(多くは日、月、火の3日間)行われる民族的なお祭りのこと。
イエス・キリストの復活を記念して行われる祭儀が「復活祭(イースター)」。そしてこの日までの46日間(平日の40日間)が「四旬節」と呼ばれ、過去の罪や生活を悔い改め、正しい信仰へ心を向ける期間とされています。
肉を断つことと、その他苦行が義務となるのですね。
ですので、そうなる前にお肉をたくさん食べて、楽しく盛り上がろう! というのが本来の「カーニバル」の趣旨。
「カーニバル(3日間もしくは1週間)」→「四旬節(46日間の肉断ちや懺悔の期間)」→「復活祭」
このような流れですね。
「カーニバル」では、仮装や張り子の偶像などを伴ってのパレードが行われます。もう、路上の宴会のようなものです。その後に苦行が待っているので、熱狂ぶりの想像もつきます(現在では四旬節の厳しさもかなり緩和されています)。
これが「謝肉祭」。つまり「カーニバル」の本来の姿です。
ですのでキリスト教徒ではない多くの日本人にとっては「カーニバル」は無縁のもののはず。
なのですが、実際には華やかなパレードを指し「○○カーニバル」と呼んだりもします。
元の意味の「カーニバル」での熱狂と仮装行列などの雰囲気から転じ、現在では「踊ったり歌ったり参加して楽しむお祭り」も含め「カーニバル」とされることも多いのです。
というより、そもそも「謝肉祭」の習慣のない私たち日本人にとっては「カーニバル」と言えば「参加型のイベント」を指すものとして使われる言葉となっています。
先ほども出ましたが浅草などで催される「サンバ・カーニバル」も、本当はそういった意味で宗教的なお祭りだったのですね。こちらは世界的にも名高い「リオデジャネイロ(ブラジル)」のカーニバルを模したもの。現在では観光化されてはいるものの、熱狂部分にかつてを伺えます。
また「神事」でもある「盆踊り」や「お神輿(みこし)」「ハロウィン(キリスト教の万聖節の前日のお祭り)」なども広い意味では「カーニバル」に当たることとなります。
さらにカトリック教国であっても、現在では豊作や幸運の祈願の際に催されるようなもの、また「謝肉祭」でないばかりか、宗教的な背景さえない祝祭でも「カーニバル」とされることも多く「謝肉祭」から転じた「お祭り騒ぎ的」な催し物にも多く使われているようです。
さて、ではもう一方の「フェスティバル」は?
祝祭、祭典はもちろん、定期的に行われるような記念祭など、こちらはいわゆる「お祭り全般」に使われる言葉です。
また、もはや祭りというより、どちらかと言えば「催事」、日本でいえば「音楽やグルメ、文化を味わう」的なもイベントにも現在では「フェスティバル」の名がつけられています。もう少し限定的な地域での「○○町フェスティバル」などといった催し物などもありますね。
本来は宗教的な上記のものを指す言葉でしたが、現在ではもう、神事や宗教は関係なし(「謝肉祭」でなければ関係あってもいいのですが)。「フェスティバル」という名の「イベント」といったノリです。
ですが「謝肉祭」のみを指すはずの「カーニバル」さえ、現在ではそれに限らず、となってくると、その境は一体……?
現在での2つの一般的な使われとしては、
- カーニバル: 踊る、歌うなどを中心とした華やかなパレードのような「参加型のイベント(お祭り)」に
- フェスティバル: 人の集まるイベント等「眺めて楽しむ系」のものに
やはり「謝肉祭」強し、ですね。その時の仮装パレードなどを彷彿とさせるようなイベントやお祭りには「カーニバル」。それ以外の祭りが、催し物も含め「フェスティバル」とされているのです。
じゃあ「お祭り」って「フェスティバル」なの?「謝肉祭」じゃないし。
うーん。確かに「祭り」を英語で言えば「フェスティバル」で間違いないのですが「祇園フェスティバル」「三大神輿(みこし)フェスティバル」……なんか違う……
じゃあ「お祭り」って、なに?
では、続いて「祭り」です。
金魚を掬ったり、綿あめを買ったりの楽しい「祭り」について見ていってみましょう。
「祭り」とは?
こちらの「祭り」も宗教的なもの。神様と人が融合するための儀式であったことが、始まりでもあり一般的でもある本来の役割です。ですので日本に限らず、祭儀とは「霊的存在に祈願して健康や安全、繁栄などを求めるもの」を指して使われる言葉。
ですがやはり、広い意味では宗教とは関係のない賑やかで盛大な行事も含め「祭り」として捉えられているのです。
こうなってくると、前述の2つと、ほとんど同じようにしか思えませんが、日本の祭りで中心となっているのは「稲作儀礼」です。
「カーニバル」のキリスト教的なものとは、また別物なのですね。
農耕を始める春に行う「祈年祭」、収穫が終わり田の神様を山に送る秋には「感謝祭」など、またお盆にはご先祖様を祀る行事もあります。これらが本来の意味での「祭り」。
「祭り」の古語は「まつらふ」です。
もともとは神様を招き、御供えを捧げ海や山からの幸に感謝を表し、慰め、悪いことや病気などを退け、福をもたらしてもらえるよう祈ることを指していました。
これが現在の神社のお祭りの起源。「大祭」「祭礼」「神幸際」と呼ばれます。
神様(神霊)をお迎えするために体を浄めたり、旗や幟(のぼり)、柱等で飾り、送迎には神輿、山車(だし)などでの神幸行列が行われます。行列、といった部分で「カーニバル」的要素もあり、また実際「カーニバル」にも劣らないような盛り上がりをみせますが、そもそもの目的が違います。神輿や山車は、神様が氏子町内を巡るための乗り物なのです。
また「フェスティバル」は、日本語では確かに「祭り」となるのですが、日本古来の祭りに限って言えば、やはり「祭り」であって「フェスティバル」とは違うもの。伝統文化でもあるのです。
ただし、本来のものではない「賑やかな行事」的なものは「フェスティバル」とほぼ変わりはありません。
国が違えば、その信仰の対象となるものも、考え方も違ってくるので、同じ「祭り」であってもそれぞれの国ごとに、様子の違った形式が取られることとなるのですね。
「祭り」とは「霊的存在に祈願し、健康や安全、繁栄などを願い、一般的に集団により行われる儀式」のこと。
現在の日本では「神仏や祖先の霊をまつる儀式」であり「賑やかで盛大な行事(催し)」も含めたものを「祭り」と呼んでいます。
「フェスティバル・カーニバル・祭り」の違いアレコレ♪
賑やかなお祭り騒ぎの中にも歴史あり、ですね。自分が日本人だからでしょうか、「祭り」の始まりを知ると、なんでもかんでも「祭り」と呼んで盛り上がるのもいいのですが……少しだけ厳粛な気分にさせられてしまいました。でも、楽しいのも盛り上がるのも、好き……
さて、ではここでもう一度それぞれの特徴等、振り返りつつ、3つの違いをまとめていってみましょう。
辞書的にはどんな意味?
- フェスティバル: 祝祭 / 祭典 / 祭り / その催し物 / 定期的な記念祭 / お祭り気分
- カーニバル: 謝肉祭 / 一般に華やかさを強調した催し
- 祭り: まつること / 祭祀 / 祭礼 / 祭典 / 記念、祝賀、宣伝などのために催す集団的行事
特に分けられる部分は?
- フェスティバル: お祭り全般を指すこと / 中でも「見て楽しむ」お祭りやイベント
- カーニバル: お祭りの中でも「謝肉祭」限定であること / 転じてお祭り騒ぎ、その中でも「参加して楽しむ」お祭りやイベント
- 祭り: 神社でのもの等、日本の伝統文化であること
目的の違いは?
- フェスティバル: 人を集め、あるテーマに沿った催し物やお祭りをすること(または「謝肉祭」以外の祭りを催すこと)
- カーニバル: その後に続く肉断ちや苦行(四旬節)の前に、肉を食べて楽しく盛り上がっておくこと
- 祭り: 神仏、先祖の霊をまつること。奉仕し慰め、鎮魂し、感謝や祈願をすること
ちなみに「日本の三大祭り」ってどんなもの?
- 三大祭り: 京都「祇園祭」 / 大阪「天神祭」 / 東京「神田祭」
- 三大神輿祭:「神田祭」/「三社祭」/「鳥越祭」(「深川八幡祭」など諸説あり / どれも東京)
- 三大夏祭り: 京都「祇園祭」/ 大阪「天神祭」/ 東京「山王祭」
終わりに……
現在ではその限りではありませんが「フェスティバル・カーニバル・祭り」、本来すべて「宗教的な」お祭りを指す言葉です。そして「カーニバル」はその中でも「謝肉祭」のみを指し、「フェスティバル」はそれ以外のお祭りを、「祭り」も同じですね。
本来の意味から転化した使われ方が多くなったため、ちょっとややこしくなっているのですが……
ちなみに展示即売会、デパートなどで開催されるあれは「フェア」です。これは元の意味からして全く「神事」関係なし。
ですが、やはり「フェスティバル」と名称を変えても間違いではない……曖昧というか何というか……やっぱりややこしいです。
いかがでしたでしょう。
もう無条件にワクワクしてしまう「フェスティバル・カーニバル・祭り」。
今後、これらのどれかに参加する時には、昔の姿を思い浮かべ……なくてもいいですが、全力で楽しんでくださいね!
皆さまのスッキリのお役にも、少しは立てていればうれしいです!!
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