錆の中にも色の違いから、それぞれ錆の呼び方が違うときがあります。
呼び方とともに錆の性質は全く異なります。
その中でも、今回は「赤錆」と「黒錆」の違いについてご説明しようと思います。
目次
赤錆と黒錆の違いを一言でいえば♪
鉄を腐敗させていくサビが「赤錆」であり、鉄を錆から守るサビが「黒錆」です。赤錆とは?
鉄が水や酸素に触れることにより発生するサビ。
見た目の通り錆に赤みがかかっており、鉄を腐食させボロボロにする。
一般的に見るのがこの赤錆であり、鉄を劣化させていく。
化学式はFe203。
黒錆とは?
自然に発生することはない。
鉄の表面にできる酸化膜のことであり、その酸化膜の発生により他の錆から保護することができる。
他の錆から守ってくれる良性のサビ。
化学式はFe304。
違いの詳細はコレ
まず初めに
主に僕たちが見ている鉄というものは人工的に作られたものです。
高炉を使い、鉄鉱石にエネルギーを与えることにより炭素は鉄鉱石を鉄に還元します。
なので、人工的に作られた不安定な状態から本来あるべき姿に戻ろうと鉄は自ら酸素や水分などと酸化還元反応、いわゆる「腐食」していきます。
この「腐食」した状態のことを僕たちは「錆」と言っています。
また鉄は「塩化物イオン」(化学式はCl⁻)により腐食が進んでいきます。
塩化物イオンを含んでいる最も代表的なものは海水です。
また、海水の他にも人間の体液(汗や血液や尿など)は少なからず塩化物イオンが含まれています。
酸素や水以外にも人間の手が触れるたびに腐食する速度は上がっていきます。
性質の違い
赤錆は一般的によく見るサビで、鉄を劣化させてボロボロにしていきます。
これが上記に述べた、皆様のイメージのサビ、いわゆる「腐食」です。
それに比べ、黒錆の場合、表面に酸化膜を作ることにより、腐食した錆(通称:赤錆)を防ぐことができます。
発生方法の違い
赤錆の場合、水や空気などに触れることにより、自然に酸化されて赤錆となっていくのに対し、
黒錆の場合、人工的に作ります。
高温に熱するか、メッキにすることで酸化膜を作り、黒錆を発生させます。
種類の違いや化学式の違い
種類にしても、赤錆は「酸化第二鉄」と呼ばれ、化学式はFe203。
黒錆は「四酸化三鉄」に分類され、化学式はFe304となります。
代表的なもの
赤錆の代表的なものは皆様がよくみる鉄の表面に出来るボロボロのサビです。
自動車や海に近いところにある金属、フェンスなどに自然にできるものです。
黒錆の代表的なものは中華鍋や包丁などに活用されています。
中華鍋や包丁の紹介である黒包丁や黒仕上げ、黒打ちなどと呼ばれていてこれらが黒錆の代表的な活用の一例です。
鉄をサビから守る方法
鉄を錆から守る方法のことを「防食」と呼びます。
防食の方法には何種類かあります。
鋼材を有機あるいは向きの被膜で覆い、腐食環境から遮断する方法である「被覆防食」。
これは一番簡単にできる防食方法で塗装や金属被覆といったことで防止する方法です。
他には金属を腐食しない電位にまで変化させて防食する「電気防食」や銅、クロム、ニッケル、りんなどの合金元素を添加して、鋼材自体の耐食性を向上させる方法である耐食材料の使用などもあります。
また、これまでの内容のとおり、他のサビを使って悪性のサビを防ぐ方法ももちろんあります。
中華鍋など、鉄であるのに色が黒いのがあるのはただ単に焦げているのではなく、こういった意味があります。
また、それ以外にも簡単に出来る方法があります。
それは素手で触らないことです。人間の体液に塩化物イオンが多少なりとも含まれているので、サビさせないためには手袋やタオルなどを用いて直接触れることを避けましょう。
また水分がある場合、乾いた布やタオルなどでふき取れば完全に防ぐことはできないとしても腐食のスピードを軽減することができます。
終わりに・・・
赤錆と黒錆はどちらも酸素の働きでできますが、赤錆は一般的なサビで、黒錆は高温の鉄に酸素が結びついたものです。
黒錆は鉄を守り、赤錆はボロボロにします。
一概にサビと言っても錆から守るサビも人工的に作ったりするので、人の化学の実験には驚かされます。
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