兄弟なら「brother」、姉妹なら「sister」。
お兄さんだろうと弟だろうと、お姉ちゃんでも妹でも、関係なく一括りで言い切ってしまう英語。すごく潔いです! 楽です!
日本語はその点、結構面倒。何かと色々な呼び方(書き方)があります
「伯母」と「叔母」の使い分けをご存知でしょうか?
呼ぶ分にはどちらも「おば」なので「違いはありそうなのは知ってる、でもどっちがどっちかは知らない!」だったり……しませんか?
書く機会はあまりないかもしれませんが、大人になればなるほどその機会は増えてくるものです。
いざという時に「ひらがなでいいか」と悲しい選択をしないため、今のうちに覚えてしまいましょう!
皆さまの「いざという時対策」に役立てていただけましたら幸いです!
目次
「伯母」と「叔母」は何が違う?
まずポイントはご自分の「ご両親」。「伯」の方の「伯母」か「叔」の方の「叔母」かを考える際の基準となるのは「ご両親との関係」です。
- ご両親のご姉妹のうち「姉」なら → 伯母
- 「妹」なら → 叔母
まずはココを押さえておいてください。
というより、押さえるポイントはほぼココです。
では続いてそれぞれの「おば」について、少しだけ詳しく見ていってみましょう!
伯母とは?
「伯」の「伯母」、ご両親の「お姉さん」です。これは母方・父方には左右されません。
お父さまの「お姉さん」でもお母さまの「お姉さん」でも「伯母さん」でOK。
ちょっとだけ潔いです。
ではご両親の兄弟の奥様の場合は? 血のつながりのない場合ですね。
旦那さん、奥さんのご両親であれば「義父・義母」となりますが、「おば」に「義理」はつける必要はありません。
そして基準となるのはやはり「ご両親」とその「ご兄弟」との関係です。
- ご両親の「お兄さん」の奥さんなら → 伯母
- 「弟」なら → 叔母
ここでもう一つの潔いポイント、「奥さんの年齢は気にしない」があります。
例え奥様の年齢が自分の両親より若くても、ご両親の「お兄さんの奥さん」なら「伯母」、逆にご両親より年上でも、ご両親の「弟の奥さん」なら「叔母」の方を使います。
案外よくあることです。
つまり前者の場合「一定(兄弟間の年の差)以上、年下の奥様とご結婚」、後者では「同じく一定以上、年上の奥様とご結婚」ですね。
……あることです。ですが、ここで「どっちだったっけ?」と悩むのもよくあること。
義理の「おば」に関してのポイントは「年齢に惑わされない」、「基準となるのは実際の兄弟の、兄か弟か」です。
叔母とは?
ご両親の姉妹のうち「妹」の方、またご両親のご兄弟の配偶者では「弟」の奥さんの方を指します。さて、どうして「伯」と「叔」なのか?
……えぇ!どうしてそんな面倒臭いこと言うの⁉
気になりませんか……ではサラッと書いてしまいます。
この「伯」や「叔」という呼び分けは中国の「儒教」から来たもの。
子だくさん時代の中国では「年齢の序列は大切に!」ということで上下関係には厳しかったのですね。
そして「字(あざな)」の風習です。
親からもらった名前は軽々しく名乗るものではない、といった考え方から、ある程度の年齢(家や個人により差がありました)になると「字(あざな)」と呼ばれるもう一つの名前のようなものを与えられるのですね。
その中に「伯仲叔李(はくちゅうしゅくき)」という代表的な文字があり、
- 伯: 最年長
- 仲: 二番目
- 叔: 三番目
- 季: 末っ子
日本でいう「一郎・二郎・三郎・留吉(?)」のようなものです。
絶対にこの文字を使わなければいけない、というわけではありませんでしたが、この文字が入った「字(あざな)」を名乗れば自ずとその兄弟編成などがわかったわけです。
ですので「伯」を使った「おば」には最年長、つまり「姉」という意味が与えられています。
そして「叔」ですが、この文字には「豆を拾う」の原義があり、そこから「豆を拾うのは若い人 → 小さいもの」といった意味を持つようになったのです。
「伯仲叔李」では「三番目」を表していますが、文字としては「小さいもの」を指す言葉、よって「妹」に当てはめられるわけです。
しかし、実際にはこの「伯仲叔李」は男の兄弟のみの場合に使われるもの。
男女合わせた兄弟姉妹では「孟仲叔季」となります。
「孟母さん」……
きっと「伯父さん」なので「伯母さん」ということなのですね。
「叔母さん」には問題がなくてよかったです。
★もしかしたら英語ではやっぱり……
はい……お察しの通り「同じ」です。どちらの「おば」も「aunt」で表されます。
やはり英語の潔さにはちょっと敵いません……
「伯母」と「叔母」の詳しい違いと使い分け♪
今まで「親戚のおばさん」だった方々の背後に、それぞれ「伯母」「叔母」の文字が見え始めてきましたでしょうか?それほど複雑な使い分けではありませんね。
ではここで「伯母・叔母」の違い、使い分けのポイントなどをまとめてみることにします。
基準は誰?
◎ご自分のご両親が基準です。→ ご両親のご姉妹のうち
- 姉 → 伯母
- 妹 → 叔母
ご両親のご兄弟の配偶者だったら?
- お兄さんの奥さん → 伯母
- 弟さんの奥さん → 叔母
お父さんの妹・お母さんの妹、父方・母方での呼び分けは?
◎父方・母方も関係なしです!→ ご両親の「姉」なのか「妹」なのか、だけで使い分けてください。
じゃあ「小母」さんて誰?
◎魚屋のおばさんや近所のおばさん、友だちのお母さんなど、親族関係にない(親戚ではない)女の人です。→「おねえさん」と呼ぶことも可。どちらかというとその方が喜ばれます。
さっきの「孟(伯)仲叔李」、3人だったら? もっとたくさん兄弟姉妹がいたら?
あ、ちょっとだけ気にしてくれていたんですね! 嬉しいです!◎3人なら「孟仲李」となります。
→「李」は4番目、というより「末っ子」の意味。
◎ですので4人以上の兄弟姉妹の場合では
→「孟(伯)」「仲」「叔」……何番目かに限らず一番下の兄弟に「李」となります。
英語で「伯母」「叔母」は?
「aunt」だけ。一緒です。- 「伯父 / 叔父」も「uncle」のみ
- 兄弟も「兄 / 弟」ともに「brother」
- 姉妹も「姉 / 妹」の区別なく 「sister」
ちなみに「義母」「義父」は「mother in law」「father in law」ですが、大抵ファーストネームで呼ぶか、実母・実父と同じように「Mom」「Dad」です。習慣の違いも大きいですね。
「伯母」「叔母」は何親等?
◎「三親等」です。→ 自分の両親(一親等)→(両親の親の)祖父母(二親等)→(祖父母の子供である)伯母 / 叔母(三親等) となっています。
終わりに……
いかがでしたでしょう。もともとは上下関係を重んじるために使い分けられた言葉だったのですね。
「日本語ってめんどくさい~~!」
です! 同感です!
でもちょびっと面白かったりもします。
日本語は繊細なんだ!そして自分も繊細! と思えば、少しは面倒くさい母国語に親しみが湧いてくるでしょうか?
イヤでもそれが母国語なのです……
「伯母」と「叔母」の違い、今は豆知識のようなものかもしれませんが、いつかきっと「いざって時」はやってきます(断言)!
その時に「そういえば……」と思い出していただければうれしいです!
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