以下と未満って、どう違うんだっけ? うーん、覚えてない。でも算数で習ったことは覚えてる……肝心なことって、忘れやすいのね~!
肝心なことに限って忘れてしまうのは、まあまあよくあることですが、この際なので、もう二度と忘れないよう、
サクッと思い出してしまいましょう(思い出せそうもない方は、覚えてしまいましょう)!
記号もありましたね。「等号」とか「不等号」とか、名前もついていました。
今考えると、よくそんな面倒臭いことを小学生の時に覚えられたもんだ……と自分で自分を褒めてあげたくなってきます。
「以上・以下・未満」、違いや記号について解説いたします。
半ズボンをはいていたあの頃を懐かしみながら「ほぅ、なるほど。じゃなかった、思い出した!」となっていただければ幸いです!
目次
「以上・以下・未満」の違い。基本のき! 記号を知ると覚えやすい!
小学校の算数で習うこちらの3つ。「3以上7以下」や「3以上7未満」などと表され、そのわかりにくさから、数々の小学生たちが苦悶してきました。というほどではないかもしれませんが、確かにちょっとわかりにくい。
「以上」や「未満」の意味自体がはっきりとわかっていないからなのですね。
例えば基準を100として、答えだけを先に書きますと、
- 100以上: 100も含めた100から上(多い、大きい)
- 100以下: 100も含めた100より下(少ない、小さい)
- 100未満: 100を含めず100より下(少ない、小さい)
では、これを記号で表してみます。求められている数字を仮に「Y」とします。
- 100以上: Y ≧ 100
- 100以下: Y ≦ 100
- 100未満: Y < 100
「>」と「<」、「=」から記号が成り立っています。
「>(もしくは <)」は「だいなり / 大なり(しょうなり / 小なり)かっこ」と読みます。矢印型の開いている方が「大きくなりますよ」ということを示す記号。「Z > 100」なら「Zは100より大きい数」、「Z < 100」なら「Zは100より小さい数」という意味です。
「=」はそのまま「イコール」ですね。
「以上 / 以下」には「イコール」のついた「>」「<」(大なりイコール / 小なりイコール、と読みます)、「未満」のみ「イコール」なしです。
その上で、初めの「100以上 / 以下 / 未満」を言葉だけで表わしたものを見てみると、少しだけ意味がわかりやすくなってきませんでしょうか。
つまり記号として「イコール」も持つ「以上 」は、基準となる数字(ここでは100)とも「イコール(同じ、つまり100)」か「基準より大きい」数、ということになります。『100か、100より上』の数です。
「未満」の記号には「=」がありません。「小さくなる」記号だけですね。よって『 100を含めず100より下』の数、となるのです。
ですので、初めに記号で覚えてしまうと楽なのです。
「イコール」がついているので「以上 / 以下」では「その数も含める」、ついていない「未満」では「含みません」。
……でも、そこ、その記号。どっちがどっちか忘れちゃったら? だって、肝心なことって、ほら……
…………大丈夫です! まだまだ!
では続いて、それぞれの言葉の意味からの違い「こういうわけだから『以上』といったらこう!」などを見ていってみます。
ダブルで覚えれば記憶にとどまる率も高まります。
「記号」という「形で覚えてしまう」の次なる手段「理屈で覚えてしまう」に行ってみましょう!
「以上」「以下」のポイントは?
今度は日本語です。算数がどこかへ行ってしまっていますが、数式の問題を文章問題として脳内変換してみるとわかりやすくなるのと一緒です。「3+2=5」は「お母さんからリンゴ3個、お父さんからリンゴ2個もらったら全部でいくつもらったことになる?」と同じなのです!「以上 / 以下」は「以」の「上か下か」です。
「『以』って何?」からいってみましょう。
辞書的な意味はたくさんありますが、とりあえず関係のなさそうなものを除き、まとめると、
- ある時や場所、地位、順序、年齢、価値、等級などを起点にし「それより~」
- 「~でもって」「~を用いて」
「それより~」。「以上 / 以下」っぽくなってきました。
また「以」は「もって」と読ませる場合、「持つ」に「て」をつけた「~を、も(持)ちて」といった意味で使われることの多い言葉でもあるのです。
さて、続いてはズバリ「以上 」の意味です(「以下」ではその逆)。
- 数量や優劣、程度などを比較し、それより上の範囲であること
→ これは「以上」一般。ですが数量に関しては「基準を含んでそれより上(「以下」なら下)」となります。 - それより前に述べていたこと(「以下」ではそれより後に述べること)
→「以上、○○君の武勇伝でした!」「以下同文」などです。 - 代表となるものを「含んで」それに関連するすべてのこと(これは「以下」の方)
→ 「工場長以下、従業員一同より」などと使われます。
- 「~をもって上(下)とする」
- 「基準となる数字を起点としてそれより上(「以下」なら下)」
→ つまり基準を「始まりの起点」として考えるため、起点から含むことになります。「基準を含んでそれより上(「以下」なら下)」ということですね。
先ほどの「それより~」に近いですね。
そして上記の「以上」の意味。
例えば最後の「工場長以下、従業員一同」に「工場長」は含まれるか? と考えればわかりやすいです。含まれなかったら「工場長」という言葉を敢えて出した意味がわかりません。
「○○君の武勇伝」も「以上」部分を含まないのであれば、武勇伝自体が消えてなくなります。
数学的な「~より」「~から」をそのまま当てはめてしまうと逆にわかりにくくなってしまうかもしれませんが「以」「以上(以下)」「数学的なもの」すべての意味を混ぜて考えると「もう、基準(起点)を含めない『以上 / 以下』なんてあり得ない……100を含めない『以上(以下)』なんて……!」な気分になってはきませんでしょうか。
…………!! あれ?
それでは最終手段「こうなったら語呂合わせ的に覚えてしまえ」も、付け加えておきます!
これは皆さん案外ご存知かもしれません。
「以」が「もって」と読めることから、
- 100以上 / 100以下: 100も一緒に「もって(持って)」行く = 100も含む
「未満」の特徴はこれ!
取り敢えず「違い」部分重視で覚えてしまいたいのであれば、奥の手があります(そろそろ弾切れです)。唯一「記号」で違った表記をする「未満」について徹底的に覚え込み、その逆を「以上 / 以下」とする方法です。
「=」なしの「>」「<」で表す「未満」。
「未だ(いまだ)」「満ちず」です。まだ、満ちていないのです。そこまで到達していないのですね。
「100に未だ満ちず」つまり、そこまで達しておらず、なり切れていないので、100は含まれません。
「100未満」なら「99まで(小数点など含まない整数であれば)」となります。
また「以上 / 以下」同様「~より下」とも表現することができます。
ですが「未満」の場合には、そのまま「基準の数より下」の意味。「起点である基準の数」は含まれません。
選挙権を持てる年齢が変わり、今までの20歳からの権利が18歳に引き下げられました。
つまり「20歳以上」が「18歳以上」に変わったのですね。
さて、これを「未満」で記すと、若干否定的な意味合いになります。
「20歳未満は選挙権がありません」になるわけです。
「20歳」の方は戸惑ってしまいそうですね。一方では「あり」と言われ、もう一方には「まだダメ」と言われています。
紛らわしくしているのは「以上」と「未満」の違いです。
- 「20歳以上」には先ほども書きました通り「20歳」も含まれます。
- 「20歳未満」では記号に「イコール」がつきません。「= 20歳」にはならないのですね。 →「未満」はまだ満ちておらず、20歳に達していない年齢、ということになります。
よって「20歳未満」と記された場合は19歳の方、そして19歳より下の年齢の方々が当てはまり、言い換えれば「19歳以下」の方々、となるのですね。
「もうすっかり満ちて」いて、すでにその基準に達していて、さらに「上や下」もプラスされるのが、文字に「未だ」の入っていない「以上 / 以下」です。
「以上・以下・未満」あれこれの違い♪
♦日建1分クイズ №006 宅建編「法律用語~以上・以下・超える・未満~」
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=RCjh10pt244&w=560&h=315]さて、長々と書いてきましたが、ここで一旦おさらいです。
ポイントをまとめていきましょう!
Q.「3以上7以下」「3以上7未満」、当てはまる数字「Y」は?
最初の方に出てきましたね。-
◎3以上7以下
- 日本語に訳すと: Yは「3も含めた3より上」で「7も含めた7より下」
- 記号で表すと:「3 ≦ Y ≦ 7」 →「Y」は「3,4,5,6,7」となります。
-
◎3以上7未満
- 日本語に訳すと: Yは「3も含めた3より上」で「7を含まない7より下」
- 記号で表わすと:「3 ≦ Y < 7」 →「Y」は「3,4,5,6」ですね。
記号の読み方は?
- 求める値は「Y」基準は「100」として、
- 以上: Y ≧ 100
→ Y「だいなり(大なり)イコール」100 - 以下: Y ≦ 100
→ Y「しょうなり(小なり)イコール」100 - 未満: Y < 100
→ Y「しょうなり(小なり)かっこ」100
➡「=」は「等号」、「 < 」などは「不等号」と呼ばれます。
覚えやすくなるポイントは?
-
◎記号の形で覚える
- 以上 / 以下: 記号の中に「=」の入っているものが「以上 / 以下」。「=」がついているので基準となっている数も含む。
- 未満:「=」なしが「未満」。 ◎言葉の理屈で覚える
- 以上 / 以下:「以」は「ある時や場所を起点として、それより~」という意味を持ちます。また「~をも(持)ちて」の意味合いで使われることの多い言葉。これらの意味から数学では「~から」「~より」といった意味で使われています。起点となるその数から見て大きい(小さい)数ということなので「基準の数も含む」となります。「1から10」なら「1も含めて10まで」となるのと同じです。
→「2名様以上利用可」なら、一人で使うのはダメ、ということになります。2人「から」それより多くの人数での利用が可能。 - 未満:「未だ(いまだ)」「満たず」です。まだ満ちていないので起点となる数に届いていません。よって「基準の数は含まれない」ことになるのです。 ◎語呂合わせ的に覚える
- 以上 / 以下:「以」を「もって」と読むことから「基準の数字も一緒にもって(持って)いく」、だから「基準の数も含まれる」と覚えます。他にもうまい語呂合わせがあるかもしれません。自分で語呂合わせを作ってしまえば、忘れない度マックス、となります。
- 未満: 語呂合わせはあまり聞かないです……ですが反対の意味となる「~を超えて」(「以下」に対しての「未満」のように、「以上」に対しては「~を超えて」。「未満」的な使われ方をします。すみません、ちょっとわかりにくいですね)もその数を含まないため、「超えて通り過ぎているのだから起点は遥か遠く。だから含まない」などと「~を超えて」の使われ方を覚えてしまい、それと同じ使われ方をするもの、と捉える、という手もあります。 ➡さて、「2名様以上お断り」なら「一人で使ってください」という意味。2人より少ない数で頼みますね、と言っています。よって「1名様以上利用不可」などはあり得ません。
……と言いたいところなのですが、このような表記は結構よく見かけます。「2名様以上お断り」が「2人までならOK」の意味で使われていたり「1名様以上利用不可」なら「1人だけで使うこと限定」などとして、ですね。
なぜ??
実は数学以外でこれらの言葉を使う場合には、上記の法則に当てはまらない使われ方もアリなのです。というよりも、今までの法則通りに従っているのは「数学」や「法律」の場合だけ。この2つだけは曖昧さが許されないからなのです。さすが数の学問です!
ポイントとなるのは?
- 基準となる数を「含む」か「含まない」か
→ 記号で言えば「=」ですね。入っていれば含み「以上・以下」となり、入っていなければ含まず「未満」となります。 - ~より上(または下)
→「以上・以下・未満」どれも「~より上(下)」を示していますが「以上・以下」では「基準を含んでそれより上(下)」、「未満」では単に「基準より下」となり「基準の数は含まれ」ません。
「友達以上恋人未満」と「友達以上恋人以下」だと数学的にはどういうこと?
- 友達以上恋人未満: 友だちかそれ以上の関係で、恋人ではない間柄
→ よく聞く言葉ですが、案外脈薄な感じになりますね。 - 友達以上恋人以下: 友だちかそれ以上で、恋人ではないかもしれないけれど、恋人かもしれない状態
→ 聞いたことのない言い回しですが、これ、なんかイライラしますね。はっきりしてください!
➡ これはあくまで「数学的」な「以上・以下・未満」で訳すと、といった感じのものです。数学的ではない本当の関係は当人同士にしかわかりません。
終わりに……
いかがでしたでしょう。算数・数学だけでも苦手なのに、そこにわかりにくい言葉まで加わってしまうと「もういいいや、よし、ここはキッパリ諦めよう! 」などとなってしまいます。
ですが「こういうわけで、こう」といった意味がわかると「国語・数学」がいっぺんにクリアされます! 気持ちがいいです! 数学は国語的に読み解くこともできるのですね!
「以上・以下・未満」、3つの違い、記号、表している意味等、多少は理解しやすくなりましたでしょうか。
「以上で、解説を終わりに~」と書きたかったのですが、何となくシャレを言っているようで恥ずかしくなってきましたので、それでは、これにて、解説を終わりにいたします(に変えました)。
皆さまのお役に少しでも立てていたらうれしいです!
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