ごめんですむなら、警察はいらない
これ、よく考えたら、
「ごめんなさい」では「すみません」
ということですね。
だから警察沙汰。
「ごめんなさい」では許してもらえない様子……一体なにをやらかしてしまったのか……
-
「すみません」なら許してもらえるの?
「ごめんなさい」も「すみません」も、どっちも謝ってるのに、レベルが違うとか?
「ごめんなさい」の敬語が「すみません」?
どっちも敬語でしょ? だって、謝る時に使う言葉が敬語じゃなかったら、もう絶対許してもらえないじゃん!!
あれ? ……でも、この「すみません」って、謝ってなくない?
……はい、謝ってませんね。
さて、結構しょっちゅう使っている感のある「ごめんなさい」と「すみません」。
どちらを使ってもいいような気もしますが、実はこの2つ、もともとの意味がかなり違うのです。
そのため、人とぶつかってしまった、など、とっさに謝る場合にはどちらを使っても「そっちじゃないでしょ!」のようにはならないかと思いますが、しっかりと使い分けた方がいい場面もでてくるのです。
「ごめんなさい」と「すみません」の意味、使い分け、はたまたこれらは「敬語」として使える言葉なのか等含めまして、2つの違いを解説いたします。
せっかく謝って(という言い方もヘンですが)いるのに「言葉」の違いで、その思いが伝わらないというのはもったいないです。
人間なのでミスはあり。
ミスを犯してしまったら、ちゃんと反省して繰り返さなければいいのです。
まずはその「言葉のチョイスミス」がないことからいってみましょう!
皆さまの「ごめんなさい」「すみません」がお相手にしっかりと届きますよう、そのお手伝いとなれましたら幸いです。
目次
「ごめんなさい」「すみません」の違いはココ!
「ごめんなさい」も「すみません」も、どちらも謝罪の気持ちを伝える際に使う言葉。「すみません」はそれに加えて、感謝やお礼の気持ちを表わす時にも、ちょっとしたお願い事をする場合にも使われます。
「いつもすみません」「ちょっとすみません、通してください」
などですね。
さて、「ごめんなさい」「すみません」はそれぞれ、
- ごめんなさい:「御免」の丁寧語
- すみません:「済まない」の丁寧語
- 御免: 許してください
- 済まない: 人に対して義理が立たない
つまり「ごめんなさい」では「謝る」というより「許しを請う」の意味合いが強いのですね。
小さいお子さんなどは、ですので「ごめんなさい」でいいのです。
-
「ピーマン残してごめんなさい」
→「ピーマン食べなかったけど、許して」
-
「ピーマン残してすみません」
→「ピーマンを残してしまった。作ってくれたママに悪いことをした。ボクのバカ!(でも苦いからムリ……)」
ピーマンは食べられないけれど、ちょっと大人。
このようなことからも「すみません」に比べ「ごめんなさい」は少し子どもっぽい表現ともされます。
「許してほしい」のか「反省の気持ちを表わしている」のか。
ここが「ごめんなさい」「すみません」の大きな違いです。
実際にはどちらも謝罪の気持ちを伝える言葉。
ですが上記の違いにより、どのような場面・どのような相手に対し使うのが適しているのか、が変わってくるのですね。
まずはこちらを押さえておいていただき、ではまずは許してほしい「ごめんなさいについて」から、少し詳しく見ていってみましょう。
「ごめんなさい」とは?
前述の通り「ごめんなさい」は「御免」を丁寧にいった言葉。- あやまち、非礼を詫びる言葉
また、誰かの家を訪問したり、その帰り際などのあいさつの言葉としても使われます。
「ごめんください」
ですね。
丁寧語なので一応は「敬語」。
「花」を「お花」、「明日行く」を「明日行きます」などとするのと同じです。
さらに丁寧にいえば「ごめんなさいませ」となります。
さて、そんな「ごめんなさい」。
こちらは実は女性向きの言葉ともいわれています。
これにはかつて男性と女性がまだ平等でなかった男尊女卑の時代が絡んでくるのですが、上記の「ごめんなさいませ」、この言葉を使うことができたのは当時は女性だけでした。
「ごめんなさい」は男性も使ことはできましたが、
-
「女性向きの言葉 」を目上の人に対して使うのは失礼になる
-
「ごめんなさい」は仕事上、または目上の人には失礼
つまり「ごめんなさい」はビジネスシーンでは適切ではない、とされているのです。
「適切でない」とされているのであれば使わないのが確かに無難ではあるのですが、こちらはあくまでも「原則」のようなもの。
絶対、何がなんでも使ってはダメ、というわけではありません。
実際「すみません」に比べ「ごめんなさい」にはフランクな印象があります。
「許しを請う」という元の意味を知らなくても、本気で「ごめんなさい!!」と言われれば「一生懸命謝ってるなぁ。激しく反省しているなぁ」といったイメージもあります。
「すみません」より、気持ちが伝わりやすい場合もあるのです。
ただし、大切なのは相手を選ぶこと。
「ごめんなさいOK」のハードルはかなり高いです。
大抵の場面ではNG。
「一緒に健康ランドに行くレベル」「家族ぐるみで食事などもするレベル」など、上司というより、頼れる兄貴的な上司、または取引相手などでなければ「ごめんなさい使用」は危険です。
- 「ごめんなさい」はビジネスシーンではNG。
- よっぽどの信頼関係、もしくは親しい間柄の上司・先輩などにはかろうじてOK。
「ごめんなさい」はあくまで「丁寧語」。
「丁寧語」は敬語ではありますが、「尊敬語」や「謙譲語」とはその重みが違うのです。
単に丁寧にいっただけの言葉。
では、謝りたい時には何と言えばいいのか?
代わりとなるのは
「申し訳ありません」「申し訳ございません」
です。
あれ?「すみません」じゃないの?
はい。
「すみません」じゃないのです。
では続いてその「すみません」。
こちらについても見ていってみましょう。
「すみません」とは?
こちらの「すみません」は「済まない」の丁寧語。- 謝罪、恐縮などの気持ちを表わす時に使う言葉
こちらも「丁寧語」、一応は「敬語」の括り。
しかも「自分の過ちを認め反省している気持ち」を表わし、「相手に対して義理が立たない」と反省しています。
相手の許しも請わず、男らしい(女性も使いますが)。
さてさて、「済まない」とは、何が「すんで」いないのか?
ここが「済まない」のちょっと面白いところなのですが、「すまない」には「済まない」の他「澄まない」の文字も当てはまりますね。
そしてこの「済まない」「澄まない」はなんと読みの音だけでなく、根源となっているものも一緒なのです。
つまり、一つの言葉が2つの漢字を当てられ分かれただけ。
ですので「すまない」には「終了する」という意味の「済む」、「濁りも混じりけもなく澄みきる」の意味の「澄む」、どちらの意味も含まれているわけです。
「すみません」には前述の通り、いくつかの使われ方があります。
その中でも「ごめんなさい」同様「謝罪を表わす」場合には、「すんでいない」のは自分の気持ち。
「澄まない」の意味が強く、
-
「相手に失礼なことをしてしまった。このままでは自分の気持ちが澄みきらない」
そして「いつもすみませんねぇ」など「感謝の気持ち」を表わす場合には、その感謝の裏にも「謝罪あり」、となります。
-
「いつも良くしてもらっているが、こちらはまだ何もお返しができていない……このままでは自分の気持ちが……」
「謝罪」の意味で使われるようになってから、その範囲を「感謝」の場合にも広げた、といった感じですね。
そして「依頼・呼びかけ」での「すみません」。
こちらに含まれる「謝罪」の意味はもっと軽めのものとなります。
「すみません」とは「すんでいない」のです。
つまり「気持ちがおさまる」「気持ちが澄みきる」がまだ「完了(済む)」していないのですね。
だから「義理が立たない」。
なのですが、よくよく考えてみますと、過ちを認めて反省している「すみません」ですが、その基準となっているのが「自分の気が済むかどうか」です。
自分本位といえば自分本位。
では相手がどう思おうと、自分の気さえ済めばいいのか?
な気もしてきます。
あくまで上記のものは語源。
実際に使われる時にはこのようなことを考えながら「すみません、オレの気持ちが」などと使われるわけではありませんが、何となく、先ほどまでの「潔い反省」の部分が薄れていくような……
そこは置いておくにせよ、実はこちらの「すみません」もビジネスシーンではあまり歓迎される言葉とはなりません。
(※「すいません」はもっとダメ。これは「すんません」などと同じ。いわば方言のようなもの。当てはめる漢字も存在していません。友だち同士での軽い話し言葉としてお使いください)
仲のいい先輩などと話す場合には許されますが、文書などでは完全にアウト。
「ごめんなさい」同様、「謝罪」の意味での「すみません」は
「申し訳ありません」「申し訳ございません」
となります。
自分に非がある場合の「すみません」ですね。
「感謝」を表わす「すみません」の代わりには「恐れ入ります」。
「依頼」の場合も同様。
自分に非があるわけではないので「申し訳ありません」ではないけれど「お願いしなけならない」ことによって相手を煩わせてしまうので「恐れ入ります」ですね。
「恐縮ですが」といった感じです。
硬い文書には「恐れ入ります」ではなく「恐縮ではございますが」などをお使いください。
そして「申し訳ありません」「恐れ入ります」をごっちゃにしてもダメです。
特に謝る場面で「恐れ入ります」はある意味、「ごめんなさい」というより失礼。
- 申し訳ありません: 自分が悪い時に使われる言葉
- 恐れ入ります: 自分が悪いわけはなく、相手の心遣い、または相手を煩わせることに対し「恐縮」する意味で使われる言葉
ここ、本気で注意です。
さて、ではビジネスシーンで「ごめんなさい」「すみません」の代わりとなる「謝罪」の言葉「申し訳ありません(ございません)」とは、どのような言葉なのか。
少しだけ寄り道です。
「申し訳ありません」についても軽く見てみましょう。
★「申し訳ありません」について
「ごめんなさい」は「御免(許す)」を「なさい(してください)」。「すみません」は「澄む」ことが「完了していない」。
では「申し訳ありません」では、何が「ありません」なのか?
「申し訳」が「ありません」なのです。
「申し訳」とは、
- 言い訳、申し開き
自分の行動について、その理由を説明すること、弁解のことですね。
それが、ないのです。
例えば仕事上の大事な約束に遅刻をする。
いや、理由はあるのです。間違いなく寝坊です。
ですが、それは言い訳にはならない。
「だって、2度寝しちゃったんだもん。しょうがないじゃん」
……口が裂けても言えません。
ですので「申し訳ありません」。
「弁解の余地もありません」「言い訳のしようもありません」なのです。
「すみません」も許しを請わず潔かったのですが、こちらの「申し訳ありません」ではもう、「いかなる罰であろうと受け入れます」感がたっぷり。
それだけ自分のしでかしたことを反省しているのですね。
誰かに迷惑をかける原因を作ってしまったり、ちょっとしたミスをしてしまった場合でも「言い訳」するのはカッコよくない。
「すまない! 本当に申し訳ない! 許してくれなくていい、とりあえず『ごめん』とも言わせて!」
の気持ちを込め「申し訳ありません」なのです。
(※「申し訳」には「申し訳程度のお礼」などといった使われ方もあります。これは「かろうじて言い訳できる程度のお礼」という意味。
「申し訳」は「わずかばかりの」の意味も持ちます)
「ごめんなさい」と「すみません」のまとめ ♪
冒頭の「ごめんですんだら」の「すんだら」は純粋に「済んでいない」、つまり「完了していない」だったのですね。つまり「許してください」程度では「完了しない」ので警察行きです。
おそらく「申し訳ありません」でも警察行きのレベル。
そういうことをしてはダメです。
お巡りさんにみっちり叱られてきてください……
さてさて、ではここでもう一度おさらいです。
それぞれに適した場面等、振り返りつつ「ごめんなさい」「すみません」の違いをまとめていってみましょう。
どんな時に使われる? それぞれの意味は?
- ごめんなさい: 自分の過ちや非礼を詫びる時に使われる言葉
- すみません: 謝罪、感謝、恐縮などの気持ちを表わす時に使われる言葉
伝えたい気持ちは?
- ごめんなさい: どうか「許してください」
- すみません: どうしよう、このままでは相手に対して「義理が立たない」
これって「敬語」?
-
どちらも「丁寧語」という「敬語」の一種です
→ ですがビジネスの場面などでは適切な言葉とはされていません → ただし「あえて使い」も稀にあり。ですが相手を見て使い分ける必要もあり。よほど親しい間柄でない場合での使用には危険度が上昇します。注意!!
じゃあ、なんて言えばいいの?
- ごめんなさい: →「申し訳ありません(ございません)」
- すみません: →「申し訳ありません(ございません)」
→「感謝」や「依頼」の時には「恐れ入ります」。硬い文書では、それを「恐縮」に置き換えてください。
ボクと付き合ってください!
- 「ごめんなさい!」
→ それはできません。こんな選択をした私を許して! - 「すみません!」
→「断る」なんて、ひどい。そこはわかってます……
今回は「煮物」ですか……大家さん、いつもありがとう
- いつも「ごめんなさい」
→ いつもいつも、手間かけさせちゃって……料理のできないオレを許して……
→ ネガティブすぎです! - いつも「すみません」
→ いつも頂いてばかりで……近いうちに何かお返ししますからね。
→「すみません」でも構いませんが「ありがとうございます」の方が、もっと気持ちを伝えられるかもしれません。
じいちゃんの大事にしてる盆栽とサッカーボールが衝突。サッカーボールの完全勝利……
- ごめんなさい: はい、正解。
→ 心をこめて謝りましょう。 - すみません: 間違いではないですが「孫」っぽくないです。
→「ごめんなさい」でおじいさまには十分反省していることが伝わるかと思います。
訪問先のご隠居さんの盆栽と私のバッグが衝突。バッグの勝ち……
- ごめんなさい: おじいさまと親しければかろうじて許されます
- すみません: 同じく
→ ここは「申し訳ありません」ですね。
あれ? この道、確か30分前にも……
はい。それを「迷子」と呼びます。- ごめんなさい: 道を聞こうとしている相手が相当忙しそうであればこれもあり
→「ごめんなさい」は「許してほしい」のです。そうでない場合には、むやみに謝る必要はありません。 - すみません:「呼びかけ」& 道を教えて、の「依頼」ですね。
→ その人を呼び止め、道を聞くことで、相手の時間を少し拘束してしまうことになるため「軽い謝罪」の意味を込め「すみません」ですね。
→「恐れ入ります」でもOKです。
終わりに……
「すみません」には「謝罪」の気持ちを表わす以外にも使われ方もありますが、「ごめんなさい」と呼応する形で使われる場合には、「許してほしい」気持ちが前面に出るのか
あるいは
「相手の許し」を求めるのではなく、罪を認めたうえで「反省しなければ到底晴れない自分の気持ち」を表わしているか
の違いがあるのですね。
そしてどちらも「敬語(丁寧語)」であることには違いはないのですが、仕事などでの先輩・上司・取引先などとの場面においては適切な表現とはされない。
その代わりに使われるのが「謝罪」の意味では「申し訳ありません(ございません)」。
「すみません」の「感謝」「依頼」「呼びかけ」では「恐れ入ります」です。
いわゆる「バイト敬語」と呼ばれるものもありますね。
「~でよろしかったでしょうか」や「~円からお預かりします」などなど。
冷静に考えればおかしいのはわかるのですが、「マニュアル」という絶対基準のようなものに反するわけにもいきません。
ビジネスシーンでの言葉選びも、ですので通常の会話とは若干異なってくるのですね。
「ごめんなさい」は素直でいい言葉です。
「すみません」はあまりにもいろいろ場面で使われる言葉なので、ちょっと食傷気味。
友だちに「申し訳ありません」と言われたら、ほとんどパニックです。
距離感がすごい。嫌われるようなことをしてしまったのか、とむしろ悩んでしまいます。
言葉とは本来マニュアルがあるものではないのです。
ですが、言葉遣いのチョイスミスだけで「この子ダメな子」とされるのは、完全に不本意。
だから「違い」を知っておく方がよりいいのですね。
さてさて、いかがでしたでしょう。
「ごめんなさい」「すみません」のもともとの成り立ち、そこからくる使い分け(特にビジネスシーン)等の「なんて言っとけばいいの?」に対するモヤモヤは少しは薄れましたででょうか?
「ちょっと薄れた。でも『ありがとう』『ごめんなさい』とかも、それなりに使いたいかも」
などと思っていただけていましたらうれしいです。
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