さては「敷金2」「礼金2」のパターンですね!
そうなのです。
賃貸契約を結ぶには上記のような「敷金」「礼金」、また、関東圏にお住まいの方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、関西方面では「敷金」の代わりに「保証金」また、「敷引金(敷引き)」「敷金償却」とも呼ばれるものが必要になってくる場合が多いのです。
「家賃の〇か月分」といった形での支払いとなり、それは不動産屋、物件等により様々(「0」の場合もあり)。
契約時にしっかり確認しておかないとトラブルのもと、実際に返却金をめぐって裁判になったケースまであるのです。
え!? 返却金? 返ってくるの? 不動産屋さん、太っ腹!! ……あ? いやいや、でも、だったらはじめっから払わなくてもいいんじゃ……
いえいえ、設定されている場合は、払っといてください!
しかも、何もかもが返ってくるわけではありません!
「敷金・保証金・礼金」の違いについてわかりやすく説明いたします。
皆さまの新しい生活の第一歩、ザ・引っ越し。
トラブルのない楽しい毎日が過ごせますよう、併せて祈っております!!
目次
「敷金・保証金・礼金」の違いはココ!
冒頭の青年の心を折ったように、引っ越しには「家賃」の何倍かの初期費用がかかるのが一般的。先ほども書きました通り、関東では「敷金・礼金」。関西では「保証金・敷引き」がそれにあたります。
例えば関東の「敷金」「礼金」。
大きな違いの一つは
「退去時に返却されるものか否か」というところです。
結論から言いますと、「敷金」は一部返却されることが多く、「礼金」は返ってきません。
そして関西では「保証金」が関東での「敷金」に当たります。返ってくるのですね。
さて問題は「敷引き」です。
タイトルにはないものですが、これが結構重要になってきます。
関東ではあまり一般的ではありませんが、導入している場合もありますので、一応押さえておいた方がいいシステム。
関西方面では「礼金」の習慣がないため、ほとんどの場合、支払うことはありません。
「敷引き」はその「礼金」に近いものでもあり、また性質的には「敷金」にも似ている部分もあるもの。
そして「絶対に返ってこない」とあらかじめ約束されているものです。
返却の有無で分けた場合の違いになりますが、
- 返ってくるもの:「敷金」「保証金」
- 返ってこないもの:「礼金」「敷引き」
- 関東:「敷金・礼金」システム
- 関西:「保証金・敷引き」システム
うーん。イマイチわからない……モヤモヤが増殖……
……
では関東での「敷金」「礼金」の違いから、もう少し詳しく見ていってみましょう。
「敷金」とは?「礼金」との違いは?
「敷金」は返却され、「礼金」は返ってこない。何で? 何が違うの?
それぞれの役割による性質が違うのです。
「敷金」とはいわば「保険」。「礼金」は文字通り「お礼(謝礼)」。
賃貸契約なので、いずれその部屋は貸主(家主)に返すことが条件ですね。
ですが、生活していれば、その部屋は少なからず汚れますし、どこか、例えばドアに傷をつけてしまう、などといったことは十分にあり得ること。
また、大家さんにしてみれば「家賃滞納」や、最悪こっそり借主がいなくなる、などといった不安もあります。
「敷金」はそのようなことへの保険。
退出時、元通りに部屋を戻す修繕の費用に充てられたり、家賃滞納など、借主の債務(なすべき義務)が滞った場合に備え、家主が一時金として預かるシステムです。
ですので家賃の滞納などもなく、部屋も極力きれいに使っていれば返却される額も多くなるのですね。
先ほどの青年の「家賃5万円 × 2か月分」の敷金、つまり10万円のうち、修繕費として例えば2万円しか使われなかった場合は、退去時には8万円が返却される仕組みです。
ただし、10万円を上回るほどの損傷箇所などがあった場合、追加請求もあり得るので、注意が必要。というより、そこまで乱暴な住み方はどうかと思いますが、アクシデントはつきものです。
また、たまにある「敷金0」の物件。
入居時の費用は当然少なく済みますが、修繕分などをあらかじめ家主に預けていないので、それらの費用は退去時に別途請求されることとなります。
家賃の滞納などに対しても、敷金を預けている場合に比べ、退去への家主の対応は厳しいものになることも。
家主側の保険でもありますが、借主にとっても、いざという時、頼りになるのも「敷金」なのです。
一方の「礼金」。
これは、「住む場所を貸してくれてありがとね」の気持ちを金銭で表わしたものです。
もともと、戦後に習慣化したシステムで、それが現在まで続いている感じですね。ですので、最近の物件では「礼金0」というものも増えています。
今は賃貸物件があふれています。が、戦後は住む場所を確保するのも大変だったのです。
現在ですと「お金払って住んでるんだから、何でそれにプラスしてお礼までしなきゃなんないわけ?!」と思われる方も多いかと思いますが、「これで明日からは雨風がしのげる……ありがたい……」から始まった「礼金」。当時は金銭だけでなく、お礼の品を贈ったりもしていたそうです。
退去するからといって「お礼の金品返して」というのはおかしな話。ですので返ってこないのです。
じゃあ大家って新しい入居者が入ってくるたび、ボロ儲けじゃん! だったらオレも頑張って大家になる!
頑張るのは構わないのですが、実はボロ儲けではありません。
入居を決めたのはなぜか、と考えてみるとわかりやすかと思いますが、賃貸情報誌や不動産屋などへの広告費が結構かかっているのですね。それが決め手となり皆「ここに住みたい!」となるわけです。
「礼金」という名目の金銭ではあるものの、実際には多くがそれらの支払いに充てられています。
大家さんも頑張ってくれているのです。
「保証金」「敷引き」ってなに?
さて、関西方面では一般的な「保証金」。関東でいう「敷金」と基本的には変わりません。
退去時の修繕や家賃滞納などのため、あらかじめ家主に預けておく金銭です。
そして「敷引き」ですね。
これはあらかじめ決められている「退去時に支払うべき修繕費の最低ライン」のようなもの。
契約の時にその額をすでに決めてしまう、というシステムです。
例えば「保証金」が10万円で、「敷引き」が契約時の段階で「2万円(または「家賃〇か月分)」と決められていた場合、
実際に原状回復にかかった費用がいくらであっても、その「2万円」は何があっても返ってきません。
その費用を請求しない代わり、その金額は返済しないことが、あらかじめ決められているのですね。
一般的にはこれですむことがほとんどですが、室内の状態により、さらなる修繕費がかかる場合は今度は「保証金」から差し引かれ、残りの額が返ってくる(余れば)ことになります。
面倒な手続きや返却額に関してのトラブルがないシステム、とされているのですが、実はこの「保証金」が高いのです。
相場がだいたい「家賃の6~8か月分」、個人で借りている場合の「敷引き」はその「2~3.5か月」まで。
冒頭の青年のアパートの家賃が5万円が、関西では最大40万円の「保証金」を支払わなければ借りられないことになります。
非常に高額になってしまいますが、関西方面では「保証金」の中には「礼金」的なものも含まれている、と考えられているのですね。
ですので関東での「礼金0」のように「保証金0」「敷引き〇か月分」などということありです。
また、「更新料がない」というのがこのシステムの一般的なスタイル。ここも「敷金・礼金」システムとは異なる部分となっています。
長期間住むのであれば「敷引き」「更新料」ともにメリットになる場合もありますが、短期間しか住まない場合にはちょっと痛いシステムかもしれません。
それほど部屋も傷んでいないのに、長期にわたり住んでいる人と同様の金額を退去時に取られ、また「更新」に関しては数年ごとなので、そこまで日数が至っていなければ関係なし。
そんなことを言ってもそういうシステムなので仕方がないのですが……(現在ではこれらの問題に注目が集まり始め、上記の相場や状況から考えてもあまりにも高い設定等に対し裁判で争われ、貸主側が返還を求められた(敷引き分が無効とされ、借主に返ってきた)ケースも増えているようです)
関東から関西に、または関西から関東に引っ越してきた方たちは、この初期費用の違いに、皆カルチャーショックを受けるとか。
また「敷金」と同様、「敷引き0」の場合ですと、退去時に修繕費が別途請求されます。
「敷金」と「保証金・敷引き」の役割は似ているようで少し違うのですね。
特に「敷引き」に関しては注意が必要。
「これって高すぎじゃない?」などの場合には、契約時に納得いくまでしっかり説明を受ける、話し合う等、してみてください。
「敷金・礼金・保証金」の違いのまとめ♪
引っ越しにはやたらとお金がかかる。なぜなら、それが引っ越しってものだから…………と考えていましたが、それぞれちゃんとした役割のあるお金だったのですね。
確かに「0」で入居すると、出ていくときがかなり不安かも……
ではここでもう一度、「敷金・礼金・保証金」と「敷引き」も含めまして、その特徴、違い等のおさらいです。まとめていってみましょう。
何のために支払うの?
- 敷金: 退去時に、住んでいた部屋等を修繕する費用として、または家賃滞納などがあった場合に備え、家主があらかじめ預かっておくため。
- 礼金: 部屋を貸してくれた家主に対するお礼のため。実際は家主はそれを、入居者が決まるまでに使った広告費などに充てることが多い。
- 保証金: 敷金と基本的に同じもの。が、家主に対するお礼的な側面も含まれる(ですので「敷金」に比べ高額)。
- 敷引き: 退去時の修繕費、家賃滞納などを想定し、先にそれらを支払っておくため。
返ってくる?
- 敷金: 修繕等に使った分を差し引いた額が(余れば)返ってきます。敷金分で足りなければ、追加請求もあり得ます。
- 礼金: 住む場所を提供してくれた家主に対する「お礼」の金銭のため、返ってきません。
- 保証金: 敷引き分を除き、ほかに追加請求額がなければ残りが返ってきます。
- 敷引き: 修繕費にいくらかかったかには関係なく、丸々戻ってきません。一般的には契約時に決められた一定額以上請求されることはありませんが、あまりにも損耗がひどい場合にはまれに追加請求もあり得なくはありません(「保証金」がある場合にはそこから引かれます)。
修繕費(原状回復費)の額って、いつわかる?
- 敷金・礼金システムの場合: 退去するときの部屋の状態によりその額が異なってきます。また「敷金」の返還には不動産や建物を先に明け渡しておく必要があるため、退去後に。
- 保証金・敷引きシステムの場合:「保証金6か月・敷引き2か月」のようにあらかじめ決められています。基本的には、その一定額以上はかからないため、契約時に。
「0」の物件ってどうなの?
- 敷金0: 預けているお金がないため、退去時に修繕費等を自腹で支払うことになります。「敷金あり」の場合にはいくらか返ってくるか、もしくは追加請求の場合でもあらかじめ預けてある「敷金分」を差し引いた金額ですみますが、それがないので結構大変な場合も。
- 礼金0: 初期費用が安くすみます。
- 保証金0・敷引き0:「保証金0」で「敷引き」はある場合ですと、単純に「保証金分」を預ける必要がなくなるため、初期費用が抑えられます。「敷引き0」の場合は、退去時「敷金」がない場合と同じく自腹。また「保証金」のみの場合には、そこから修繕費が引かれ、残りは返ってきます。
どんなトラブルがある?
- 敷金・礼金: 原状回復をどのくらいまでしなければいけないのか、など修繕の程度を契約時にしっかり確認をしておかないと、その範囲をめぐり、後々トラブルになることもあります。
- 保証金・敷引き: もともと初期費用が多くかかることが特徴。それでも相場や状況を考えても多すぎの場合、または追加請求などをめぐりトラブルも起きています。 → 契約時の確認、退去時にかかる費用の想定などもしっかりしておくことが、トラブル回避には大切です。
終わりに……
新しい生活は何かとワクワクしますが、結構な額の金銭が初めに動くのですね。あまり引っ越しの回数が増えると、それだけで引っ越し貧乏になりそう……
しかも、そのほかにも引っ越し屋さんを手配したり、お隣さんに持って行くあいさつの品を買ったり……
……当分ここで暮らそう……
さてさて、いかがでしたでしょう。
関東と関西でシステムが違うとは知りませんでした。しかも、関西の初期費用、予想以上に高いです。皆さん、どうやって引っ越し代を捻出しているのでしょうね、完全に余計なお世話ですが。
家主さん、借り手側、両方安心なシステムでもある「敷金・保証金・礼金」。
皆さまの新しい生活がトラブルのない楽しいものでありますよう、また、モヤモヤ解消のお手伝いにも少しは役立てていましたらうれしいです。
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