こんな『違い』があったんだ!

『パスタ』と『スパゲティ』の違いとは? 定義はあるの? 英語だと!?

パスタ
ナポリタンが「スパゲッティ」で、カルボナーラとかが「パスタ」?
で、どうしても「スパゲッチー」って言っちゃう人は大抵「ディズニーランド」が「デズニーランド」になる。

ちなみに後半のは、うちのじいちゃん。

パスタ
おぉ!! わかります!「エー・ビー・シー・デー」ですね。うちの祖母もそうです!

でも、そこじゃないんです。問題は「パスタ」と「スパゲッティ」なんです。

実はこの違い、結構知らない人は多いのです。そして、

    スパゲッティ、食べに行こうよ」
    「えー、あたし今日はパスタ系の気分なんだけどぉ」
    「は? 何言ってんの? カッコつけてんの?」
    「違うよー。スパゲッティの気分じゃないんだってぇ」
    「じゃあ、何食べたいの?」
    「だからパスタ系グラタン食べたいのぉ。マカロニと鶏肉の入った王道のヤツー」
    「……」
    「ん? なにー?」
    「じゃ、グラタンじゃん」
    「えー、だからさっきからパスタ系って言ってるでしょー」
    「…………(よし、ランチ、一人で行こう)」
語尾、伸びてます……が、このような感じのヘンな雰囲気が生み出されてしまうのですね。

語尾の伸びていない女性の方が皆様からの圧倒的支持を得られそうですが(語尾が伸びてないから)、実はもう一人の女性の言っていることも間違いではないのです。


……へぇ、そうなんですか(今後誰かと行くランチから「パスタ」「スパゲッティ」の選択肢をなくそう……)。

!! 諦めてはいけません!!

なぜなら細かいこと抜きに、パスタもスパゲッティも美味しいからです!


「パスタ」「スパゲッティ」の違いをその定義、英語での呼び方等含めまして解説いたします。

どことなく懐かしい響きの「スパゲッティ」、そういえば昔はそんな言葉自体がなかったような気も……な「パスタ」。

2つの違いを知り、ぜひぜひ美味しいランチタイムをお過ごしいただけますよう、少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
目次

「パスタ」と「スパゲッティ」の違いはココ!

例えば「たらこパスタの素」を使って今日のお昼ご飯を作るとしましょう。

さて、あのソースを何に絡めていただくか、です。


♦キューピー CM たらこ パスタソース 2002年
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=A8Q5pkdBbY8&w=560&h=315]

え? 「たらこパスタの素」って書いてあるんだから「パスタ」に、じゃないの?

これ、半分当たりで、半分は「答えになっていない」なのです。

おそらく多くの方が7.8分茹でるタイプの細長い乾麺を使われるかと思います。それが「スパゲッティ」。完成品は「たらこスパゲッティ」です。


ですが中には「あっさり系の味付けのものには、極細の麺がの方がいい」という方もいるかもしれません。

お店にもよりますが、輸入食材などを仕入れているところでは、色々な太さのものが置いてあります。

細ければ茹で時間も短く、楽。これはいい!


なのですが、それでは「たらこスパゲッティ」は作れないのです。
なぜなら「スパゲッティ」を使っていないから。


本場イタリアでは「断面(丸型)の直径1.7mm~2.0mm」のものを。

また日本ではJAS(日本農林規格)により「1.2mm以上の太さの棒状または2.5mm未満の太さの管状に成形したもの(2.5mm以上の物は『マカロニ』に分類)」

この条件に合ったものが「スパゲッティ」です。


ですので「たらこパスタの素」を絡めた麺の太さがこの範囲ではなかった場合、それは「スパゲッティ」ではなく、異なる名称を持つ麺、となるのです。


「スパゲッティーニ」や「カッペリーニ」など、聞いたことはありませんでしょうか。

「スパゲッティ」と同じく細長い棒状の麺ですが、太さが違い「スパゲッティーニ」では「直径1.6mm~1.7mm」
「カッペリーニ」なら「0.9mm(1.2mm以下)」のものを指します。

それぞれに呼び分けられているのです。
(イタリアと日本では規格が違うため、上記「スパゲッティーニ」も日本では「スパゲッティ」と呼んでOK。「カッペリーニ」は厳密には「スパゲッティ」とは呼べません)。



さて、ここで「たらこパスタの素」です。


「たらこスパゲッティ」ではなく「たらこパスタ」を作りたい場合はどうすればいいのか?

「パスタ」という名称の麺があるのか?


実は「パスタ」とは、「スパゲッティ」や「カッペリーニ」などのように分類された食材としての名称ではなく、カテゴリとしての名称のようなもの。


小麦粉を水や卵で練って作るイタリアの麺類の総称
さらに広い意味でとらえた場合には、小麦粉を使った粉物まで含め、その生地全般を指す言葉なのです。

が、ここまで範囲を広げてしまいますと、話が全くまとまらなくなってしまいますので、ここでは上記「スパゲッティ」「カッペリーニ」などの総称、としてすすめさせていただきます。

そして何とも懐の深いことに、日本でいうところの「麺の形状」にはこだわりません。
パスタがこだわるのは以下の3つ。

  • 乾燥パスタはデュラム小麦のセモリナ粉(粗挽き)と水で作らなければならない
  • 人口着色料・保存料を使用してはならない
  • 卵入りのものは、デュラム・セモリナ粉100gに対して全卵を5個以上使用しなければならない
ですので、まるで「麺」っぽくない「マカロニ」や「ラザニア」の生地などもすべて「パスタ」です

そしてその「パスタ」は「スパゲッティ」のように細長く管状でない(空洞のない)ものを指す「ロングパスタ」

「マカロニ」や「ペンネ」のような短くカットされた「ショートパスタ」

そして板状の「ラザニア」や団子状になっている「ニョッキ」など「その他のパスタ」に分けられています。



そしてその種類、なんと650以上。
しかも、現在でも毎年のように新しいものが生まれているのです。

さらにはイタリアのご家庭では手打ちの生パスタを作る……もう、数の把握がしようもないほど様々な「パスタ」があるのですね。


「たらこパスタの素」は「ニョッキ」と絡めてもよし、「マカロニ」でもOK。

数あるパスタの中の1種「スパゲッティ」だけにその使用を限定されたものではないのです


だから「たらこ『パスタ』の素」。奥が深いです(ちなみに女性に一番人気のあるパスタは「たらこ / 明太子」使用のもの。男性人気は「ミートソース」だそうです)。



つまり「スパゲッティ」とは「パスタ」の種類の一つ。
そして「パスタ」とは「スパゲッティ」はじめ「小麦粉を水や卵で練って作るイタリア料理の麺類(とはいうもののその形状は様々)の総称」。

ですので「パスタ食べに行こうよ」というのは選択肢を広げる意味では自由度があっていいのです。

が、「昨日はパスタ食べた」ですと、「昨日は小麦粉練ったやつ食べた」となり、具体的なイメージが浮かべられないのですね。

実際には日本では「パスタ食べた」と言われて「さてはラザニア食べたな、このオシャレさんめ!」のように脳内変換されることはほぼありえないです。

パスタ」=「スパゲッティ」のような感覚で使われることも多いのですが、厳密にはこのような違いのある2つなのです。

「スパゲッティ」とは?

日本の規格では「断面の直径1.2mm以上の太さの棒状または2.5mm未満の太さの管状に成形したもの」

で、本場イタリアの分類では「1.7mm~2.0mmのもの」を指していう「スパゲッティ」。


日本での「スパゲッティ」の方がその太さの幅は広いのですね。

イタリアでは0.1mm単位で太さによる分類がなされています。

なぜそんなにも細かく分けているのかといえば、料理により使い分けたいから。さすが本場。パスタ愛が美しいです!


さて、そんな「パスタ」の中でも代表格の「スパゲッティ」。

観光地の喫茶店に入ると、なぜか無性に注文したくなる「スパゲッティ」。

そしてアルミのお皿に乗って出てくるそれは「ナポリタン」、間違ってもペペロンチーノやボンゴレが出てくることはありません。

でもメニューには「ナポリタン」ではなく「スパゲッティ」の文字。もう「スパゲッティ」といえば無条件で「ナポリタン」なのですね。


さてさて、日本がいわゆる「イタ飯ブーム」に沸いたのは1980年代後半のこと。

それまでは上記のようにほとんど「スパゲッティ」=「ナポリタン」でした。

現在のようなバリエーションに富んだ味の展開がなされるのは、まだまだ先のことだったのです。


そこに0.1mm単位で麺の名称を分け、ロングだけでなくショートパスタまでもが多種存在しているような本場から「パスタ」がやってきたわけです。


お馴染みすぎるケチャップ味ではなく、チーズやら生クリームやらガーリックやらの混じり合った何とも複雑な味。

さらにはその形も蝶々のようなかわいらしい形(ファルファッレ)だったり、ひき肉やみじん切りの野菜やチーズなどが生地の中に入っていたり(ラビオリ)と、最早既存の「スパゲッティ(つまりナポリタン)」との共通点が見当たらない……


そして、それらの総称としての「パスタ」という響き。ニューウェーブです!

ナポリタン」=「スパゲッティ」、「今まで食べたことのない味 & 見たこともない形のもの」=「パスタ」のように思えてしまうのにも頷けます。


イタ飯屋(イタリア料理店)で出された、本当は「スパゲッティ」を使って作っていたかもしれない「今まで食べたことのない味」のものも、もはや「ナポリタンではない」という理由で「パスタ」。オシャレだから「パスタ」。


この流れが現在までも残り、それほど食にこだわらない方たちにとっての「スパゲッティとはパスタの一昔前の呼び方」のような誤解にも繋がっているのですね。


「スパゲッティ」も「パスタ」であることには変わりはないので、間違っているわけではないのですが、それとはちょっと話が違ってくるのです。

「スパゲッティ」とは「パスタ」の中の1種類、「管状ではなく棒状の細長いロングパスタ」なのです。

「パスタ」とは?

現在もその種類を増やし続けている「パスタ」。

特にショートパスタは種類も多く、また見た目も楽しいものばかりです。

ですが、そのどれを取ってみても、ソースに絡みやすいことを考慮して作られた形状。もう愛以外感じられません。

一口に「パスタ」といっても、そこには650種以上の様々な形や太さなどがあり、その中のたった一つが「スパゲッティ」なのです。

そう考えると「スパゲッティ」も何か特別のものに思えてきました……



さて、そんな「パスタ」ですが、全部はとても紹介しきれないため、代表的なものを以下にいくつか紹介させていただきます。

    ◎ロングパスタ
  • カッペリーニ(Cappellini): ロングパスタの中で最も細い種類
     →「髪の毛(capelli)」の意味。天使の髪のようなとも称される
  • フェデリーニ(Fedelini): 1.4mm~1.5mm
  • スパゲッティーニ(Spaghettini): 1.6mm~1.7mm
     →「より細いスパゲッティ」の意味
  • スパゲッティ(Spaghetti):1.7mm~2.0mm
     「スパゴ(spago)」 =「紐(ひも)」が語源
  • リングイネ(Linguine): 断面が楕円形のパスタ
     →「舌(lingua)」が語源
  • フェットチーネ(Fettuccine)または「タリアテッレ(Tagliatelle)」: 卵も一緒に練り込まれおり、7~8mmの幅に切り分けられているパスタ(平打ちのパスタ)  などなど
  • ◎ショートパスタ
  • マカロニ(Macaroni)/ 正確には「マッケローネ(Maccherone)」: 穴の開いた管状のパスタ。直径2.5mm~5mm程度
  • ペンネ(Penne): 筒状で斜めの切り口(ペン先のような)が特徴的なパスタ。
  • ファルファッレ(Farfalle): 蝶の形をしたパスタ  などなどなど
  • ◎その他のパスタ
  • ラザニア(lasagne)/ 正確には「ラザーニェ」: 板状のパスタ
  • ニョッキ(gnocchi): 団子状のパスタ  など
……これが永遠に続き650種以上です。気が遠くなります。

しかもそれぞれに合った料理がある、と来た日には「みんなまとめてパスタでいいや」という気にも もの凄くなります。

ですがいかに専門店といえど、全種類を網羅していることはありえないので、置かれているものだけでも見比べてみるのはかなり楽しそうですね。


また、日本での分類は(JASによる)、前述の「スパゲッティ」の定義(1.2mm以上の太さの棒状または2.5mm未満の太さの管状に成形したもの)。

これに加え、
  • 「1.2mm以下の太さの棒状に成形したもの(イタリアの定義からすればカッペリーニ)」を「バーミセリ」
  • 「2.5mm以上の太さの管状、またはその他の形状(棒状または帯状のものを除く)に成形したもの」が「マカロニ」
  • そして「帯状に成形されたもの」を「ヌードル」としています

当てはまるものの幅がイタリアに比べ広いせいか、その分若干わかりにくいです。

ですが日本の多くのメーカーは、商品名を「スパゲッティ」表記に統一しています。

代わりに太さを表示
することで違いを表わしていることが多いです。

それによる茹で時間の目安も書かれているため、たとえ本場イタリアでは何と呼ばれているパスタなのかを知らずとも、問題なく美味しいパスタを作ることができるのですね。


上記の分類された名称は本来イタリア語(英語でも同じ表記なので英語化されたイタリア語でもあります)。発音が難しい……

イタリアのように0.1mm単位で名称を呼び分けなければならない、となると、誰かにお買い物を頼むのにも苦労しそう……
幅広設定、ナイスです!

「パスタ」と「スパゲッティ」の違いをアレコレ比較!!

「スパゲッティ」は数ある「パスタのうちの1種」。
そして「パスタ」は麺の太さ、またはロングかショートかにかかわらず「小麦粉を練って作られたイタリア発祥の麺の総称」。

これに尽きるのですが、それにしてもイタリアの方たちのパスタに対する情熱はすごい。

敬意を表しつつ、もう一度「パスタ」「スパゲッティ」についてまとめていきましょう。


パスタのこだわりは?

  • 乾燥パスタはデュラム小麦のセモリナ粉(粗挽き)と水で作ること
  • 人口着色料・保存料を使用しないこと
  • 卵入りのものは、デュラム・セモリナ粉100gに対して全卵を5個以上使用すること
  •  → これらを満たしたものであれば「麺としての形状」にはこだわりません。

そのパスタを大きく分けると?

  • ロングパスタ: 細長いパスタの総称  → 25cm程度の長さのもので、棒状・管状に成形したものが一般的。太さにや形状により分類される
     → スパゲッティ、スパゲッティーニ、カッペリーニ、リングイネ……etc
  • ショートパスタ: 短いパスタの総称  → 長さは数cm程度で、形状は本当に様々
     → マカロニ、ペンネ、ファルファッレ……etc
  • その他のパスタ
     → 板状のラザニアや団子状のニョッキなど
  • ◎これらの総称
  • パスタ(pasta)/「練ったもの」の意味
     → 広い意味では小麦粉から作られた練り製品の総称

スパゲッティの定義は?

  • イタリア:「断面が丸型で、直径1.7mm~2.0mmのもの」
  • 日本:「 1.2mm以上の太さの棒状または2.5mm未満の太さの管状に成形したもの」

パスタでは?

  • イタリア料理に使う、小麦粉を水や卵で練った食品の総称で、粉物やペースト状の食品の全般(広義)
  • イタリア料理に使う、麺類の総称(狭義)

それぞれの英語表記は?

  • パスタ:pasta
     →「練りもの」の意味。英語の「ペースト(paste)」、フランス語では「パテ」に当たる
  • スパゲッティ:spaghetti
     → イタリア語の「紐(spago)」が語源。「紐のように長いもの」の意味

終わりに……

まさか「パスタ」が「練りもの全般」の意味まで持っていたとは思いませんでした。

確かに「パスタ」と「ペースト」、似ているといえば響きも似ているかも……


こうなってくると、うかうか「パスタ食べたい」とは言えない気もしてきます。

とはいえ、日本ではそう言ってもだいたい「= スパゲッティ」として通じてしまうのも事実。オシャレな感じがするのもまた事実。

それほど目くじらを立てて「パスタじゃないでしょ! そこはスパゲッティって言いなさいよ!」などとなることでもないのですね。


ですがこの2つは根本的に違うもの。

「総称か個別の名称か」の違いがあることだけは知っていた方がいいですよ。

なぜかといいますと、高級イタリアン、もしくは本当にイタリアに行った際に「ホワット!?」扱いされずに済むことも確かなことなので。



さてさて、いかがでしたでしょうか。

私は、すっかりお腹と頭が「たらこスパゲッティ」モードになってしまっています。夜中なのに……

……それはさておき、皆さまの疑問解消のお役に、少しでも立てていたら嬉しいです!

関連記事はこちらになります。

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