大抵の場合「お願い」する相手は「上司」です。
間違った方の「けっさい」の漢字で「あ、彼は漢字に弱い社員ね」と、変な烙印を押されたら大変です!
「決済」と「決裁」、その意味や違いをご解説いたします。
颯爽と使い分け「あぁ、彼はなんて漢字に強いんだ! よし、昇給!」などとなる確率は低そうですが、何かとポイントはアップするはずです。
2つの「けっさい」の違いに、少しでもスッキリしていただければ幸いです。
目次
決裁と決済、どこが違う?
- 手形や現金等「お金」に関する承認を得る場合に使われることの多い「決済」は、売買取引を済ませること
- 「決裁」は、それ以外の承認を求める場合など、案件の可否を決めること
決裁とは?
辞書的に言いますと「権限のある立場の者が部下の提出した案の可否を決定すること」を指す「決裁」。会社などで、何かの企画等、通したい案がある場合に社長さんなり会長さんなりの「決裁」を仰ぐこととなります。
決裁がおりれば、その企画などを進めることができたり、また何かが決定事項として確定されるわけですね。
ちょっと雑な言い方かもしれませんが「GOサイン」とお考えいただければイメージしやすいかと思います。
決済とは?
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[youtube https://www.youtube.com/watch?v=8f_Jw3gyODk&w=560&h=315]こちらも辞書的には「売買の取引を終えること」、つまり支払いや商品の受け渡しをし終えることです。
「清算」「決算」「精算」などの類義語を持つ「決算」。これ(決算)をすることで金銭のやり取り、つまり売買取引が終了、成立、となるわけです。
電車に乗る時など、乗り越し精算が必要な場合があります。
ちゃんと精算しないと改札から出られません。もしくはキセルです。捕まるとけっこう面倒くさいです。
ビジネスの上でも「売る、買う」のバランスよく、滞ることのないよう取引するため「決算」は必要となるものです。
決裁と決済、意味やあれこれの違いは?
なるほど。言葉の意味は分かってきました。
- 決裁: 決定権のある人に案件の可否を決めてもらう
- 決済: 金銭に関すること。代金や証券・商品などの受け渡しにより、売買取引を終了すること
ではここでダメ押しを。
ビジネス以外の場では、この2つの「けっさい」、一体どのような位置づけとなるのか、具体的な例を挙げ見ていってみましょう。
場所はご家庭のキッチン。
夕食のメニューにどうしても「たらこクリームパスタ」が食べたいお子様と、もう今日のメニューは「サバの南蛮漬け」と決めていたお母様が揉めている、とします。「決裁」と「決済」は、それぞれどのように行われるのでしょう。
決裁・キッチン編
魚・野菜・酸っぱい、お子様にとっては「嫌いなもの漬け」とも言える「サバの南蛮漬け」、一大事です。何とか阻止して、憧れの「たらこクリームパスタ」を勝ち取らなければなりません。そこでお子様は、
- 宿題をごはん前に終わらせる
- 日曜日には部屋の掃除をする
- 今日はゲームは30分に短縮する
- サバの南蛮漬けはあさって食べる(明日はイヤだ。心の準備が必要)
栄養がたくさん摂れる「サバの南蛮漬け」をなんとか食べてもらいたいお母様でしたが、最後の「あさって食べる」が功を奏し、なんとか了承。
「決裁」がおりた瞬間ですね。
キッチンの最高権限者「お母さん」の承認を、キッチンにおいては位の低いお子様ですが、得ることができたのです。
決済・たらこクリームパスタへの道
お子様も、のんびりでき上るのを待っているわけにもいきません。作る代わりにお母様にお買い物を頼まれてしまいました。
仕方がありません。「サバの南蛮漬け」と「たらこクリームパスタ」、かぶる食材がまったくないのです。
とりあえず、近くのスーパーへ。
後でちゃんと返すから立て替えといて、というお母様の気が変わらないうちに、お子様はお家を飛び出していきます。背後からはお母様の「あんまり高いもの、買ってこないでよ!」の声がかかります(お子様はすでに角を曲がっていました)。
牛乳は家にありましたが、生クリームやたらこ、コンソメなど、メモを見ながらお子様は手際よく買いそろえていきます。
会計を済ませ、ダッシュで帰宅。なんと15分もたっていません。すごいです! やればできる子です!
こっそりシュークリームを食べていたお母様は慌てて、でも何食わぬ顔で食材とレシートを受取り、目を通していきます。
「あんた、このたらこ、特売じゃない方買ってきたでしょ! もぉ!」などと言いながらもお財布を取り出し、お子様に約束通りお買い物代を返しました(さっきのシュークリームがちょっと後ろめたかったのかもしれません)。
これで「たらこクリームパスタ」に関しては「決済」されました。頼まれた食材とその代金との取引終了です。
あとは作って食べるだけですね!
繰り返しになり恐縮ですが、
- 決裁: 決定権のある人に案件の可否を決めてもらう
- 決済: 金銭に関すること。代金や証券・商品などの受け渡しにより、売買取引を終了すること
ちょっとまとめてみましょう
手形や現金、債務など、金銭に関することについては「決済」が行われ、それをもって終了となり、上役など権限のある人に案件等、物事の決定を委ねる場合には「決裁」です。異なる漢字部分の「済む」と「裁く」の違いがそのまま、意味の違いともなります。
売買取引を、商品・代金などの受け渡しにより済ます「決済」と、権限のある人にその物事が是か非かを裁いてもらう、つまり適切に判断し処理してもらう「決裁」です。
また、どちらの「けっさい」にも「電子」が付くものがありますが、以上のように考えると、
- 電子決裁: 書類ではなくパソコンなどのシステム上で承認を得ること(判子などを押す紙面でのものでなく、「OK」ボタンを押し送信、のような形を取ります。押印には電子印鑑が使われることが多いです)
- 電子決算: いわゆる「電子マネー」での支払い。Suicaやプリペイドカードのようなものでの精算
また「決裁がおりる」と言いますが、なんで「おりる」なの? と疑問に思ったことはありませんか? 権限のある人の決定のどこに「おりる」要素があるのか? 不思議な気もします。
これは「下された決定」というところからできた言い方です。判決や命令を下す、の「下す」ですね。
下された決定が上(の立場の人から)おりてくる = 決裁がおりる、となったわけなのです。
終わりに……
ビジネスシーンでは欠かせない「決裁」と「決済」。似たような文字、全く同じ読み方の2つですが、それぞれの言葉に与えられた役割は、かなり違います。
日本語にはこうした「同音類義語」が多く存在しますが、ありがたいことに大体使われている漢字部分で、何となくの違い、また使い分けが予測できるものも多くあります。
面白いですね! すごく面倒くさいですが!
いかがでしたでしょう。
「決裁」と「決済」、皆様のスッキリのお役に、少しは立つことができましたでしょうか。
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