おにぎりの具は絶対「明太子」!
あたし「たらこ」派~~!
オレは「ツナマヨ」!
……そこは「辛子明太子」派と言ってほしかったです……
さてさて、こちらの3つ。共通点はわかるのです。「おいしいこと!」ですね!
ですが、このどれがどれで、その明確な違いって? と聞かれると「……ま、おいしいからいいじゃん! おほほほほぉ!」と全力でごまかしたくなってしまいます。
でも卵だし、あんまり食べたら塩分とかカロリーとか、大変なことにならない?
それもちょっと心配ですね。一度に大量に食べるものではないとはいえ、やはり気になります。
「たらこ・明太子・辛子明太子」の違いやそのカロリー、塩分等、解説いたします。
ちょっとスーパー行って買ってこよう! な気分になっていただけましたら幸いです!
目次
「たらこ」「明太子」「辛子明太子」はココが違った!
ズバリ、これら3つは皆「タラの卵巣」が原料。「辛子明太子」だけは「スケトウダラ」を材料としたもの、との規約がありますが、実際「タラ = 真鱈」の卵巣は大きく硬いため、「たらこ」「明太子」で使われるのも「スケトウダラ」が一般的となります。
ここまでは一緒ですね。
文字だけ見ますと「たらこ」と「明太子」は別物で、「明太子」の辛いバージョンが「辛子明太子」のようにも思えます。
ですが初めに正解を言ってしまいますと「たらこ = 明太子」。これらを「唐辛子を主とした調味液に漬け作ったもの = 辛子明太子」なのです。
えぇ!!
という声がバッチリ聞こえてきます!
ですが、これには色々と事情がありまして……
地域によって、呼び方も変わってくる、といったこともあるため、認識の違いも多々あるのです。
ではなぜ、どういった事情から呼び分けられるようになったのか、それも含めまして「たらこ・明太子・辛子明太子」のそれぞれの事情等、少しずつ紐解いていってみましょう!
「たらこ」と「明太子」の関係は?
「たらこ」は辛くなくて「明太子」は辛い。このイメージが大きいかと思います。
わかります。もう、それでいいんじゃないの? とも思うのですが、そこは我慢です!
まず「たらこ」ですが、単純に「タラの子ども」で「たらこ」。
先程も書きました通り「真鱈(まだら)」の卵巣では大きすぎ硬すぎるため、一般に使われているのは「スケトウダラの卵巣」です。
これを塩漬けにしたものが一般に市販されている「たらこ」となります。
つまり「たらこ = 塩漬け」ですね。
続いての「明太子」。
- 中国語:「明太」=「ミンタイ」
- 韓国語:「明太」=「ミョンテ」
- ロシア語:「ミンタイ」
原料となる「スケトウダラ」はロシア近辺の北太平洋、オホーツク海近辺を生息地とし、日本で収穫できるのは北海道や青森、北の方のみです。南の方にはいないのですね。
ですので収穫できる中国や韓国、ロシアでは上記のような呼び名を与えられているのです。
「スケトウダラの子」だから「明太の子」=「明太子」、「タラ(でも使うのはスケトウダラ)の子」だから「たらこ」とまったく同じ、由来となった言葉が違うだけなのです。
そしてその違いは地域の違いでもあり、関東では「たらこ」、九州を始めとし関西方面では「明太子」。ちなみに北海道では「もみじこ(紅葉子)」です。
要するに本来は「たらこ = 明太子 = もみじこ」のようにそれぞれの地域で、方言としての呼び名が違っていた、というだけのことだったのです。
ですので、当然九州や関西での「明太子」も「たらこ」同様「塩漬け」のものを指しています。
「明太子」と「辛子明太子」はどこが違うの?
一瞬「ふ~ん、そうなんだ」と思いましたが、やはり「明太子」と言えばたらこより「赤くて辛いヤツ」のイメージが拭えません!しかもスーパーなどでも(関東の)「明太子」としてイメージ通りの「辛そうなヤツ」を売っています!
そこら辺、どうなってるんですか!?
……ここら辺、ちょっと複雑なのです。
スーパーなどで市販されている「明太子」は、実は「辛子明太子」。
材料の「スケトウダラ」は同じですが、「たらこ / 明太子」のような塩漬けではなく、唐辛子入りの調味液に漬け込まれた辛い唐辛子味のものです。
「明太子」=「辛子明太子」として売られているわけです。
イメージ通り。よし、納得。
……? あれ?
そうなのです。そうなってくるとほんのちょっと前に書いた「たらこ = 明太子 = 塩漬け」の図があっという間に崩壊することとなってしまうのです。これでは私が嘘つきになってしまいます! 困ります!!
さて、ではすべてを丸く収めていきましょう。
この紛らわしさの始まりは「九州博多」。もう少しさかのぼれば朝鮮半島です。
「辛子明太子」というのはもともと朝鮮半島の伝統料理にあるもの。
今では「辛子明太子」と言えば「博多」のイメージが強いですが、その朝鮮半島の伝統料理「辛子明太子」をリスペクトしつつ日本人の味覚に合うような独自の加工方法を生み出し、広めていったのが「博多のふくや」というお店です。昭和24年のことでした。
もともと「たらこ」を「明太子」と言っていた九州の方たちは「明太子」と「辛子明太子」の区別を「辛くないの」と「辛いの」としたわけです。
そして昭和40年代に入り新幹線の開通などと共に「九州博多の辛子明太子」は全国に広がり浸透していくこととなります。
今まで「たらこ」の認識で食してきたものが「赤く、辛く」なった「九州博多の辛子明太子」を見て関東の人たちはどう思ったか。
ほぼ想像ですが「九州博多のは辛い「明太子」だから『辛子明太子』って名前なのか!うまいぞ、さすが明太子の本場! でもたらこも好きだ! ってやんでぃ!」……こんな感じでしょうか。別物感が漂います。
「辛子明太子」は「明太子」と略されて呼ばれるようになります。こうして関東では「たらこ」=「辛くない」「明太子(本当は辛子明太子)」=「辛い」の認識ができあがっていったわけです。
ですので場所を九州(から関西圏)に移して言い換えますと「明太子」=「辛くない」「辛子明太子」=「辛い」なのですね。
「辛子明太子」の存在がなければ、もしかすると関東のスーパーなどでは「辛いたらこ」や「唐辛子で漬けちゃいましたシリーズ! たらこ編!」などそのままの商品名だったのかも……しれません。
「たらこ・明太子・辛子明太子」3つの関係と違いはコレ!
♦フライパン一つで簡単!たらこクリームパスタの作り方 | How to make Tarako Cream Pasta
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=OHQHlrk-tNQ&w=560&h=315]イメージと実際の違い、ちょっと衝撃です。
ですが、本来の呼ばれ方と「関東」・「九州 / 関西」での呼び分けから、
- たらこ= 明太子
- 「たらこ・明太子」を唐辛子を主とした調味液でさらに漬けたもの = 辛子明太子
- 辛子明太子 = 略して「明太子」と呼ばれている
では、こちらを押さえていただいた上で、もう一度3つのあれこれの違いをまとめていってみましょう。
原料は何?
- 一般にはすべて「スケトウダラの卵巣」。卵です。
→ 規約まであり「スケトウダラの卵巣」が原料のもの以外は名乗れないのは「辛子明太子」のみ
何漬け?
- たらこ: 塩漬け
- 明太子: 塩漬け
→ でも関東の方のイメージでは「唐辛子ベースの調味液漬け」。 - 辛子明太子: 唐辛子を主とした調味液に漬けたもの(関東での「明太子」)。
焼いたり生だったりで、名前は変わる?
-
変わりません。加熱、非加熱、どちらのものもあります。
→ ですがコンビニやスーパーなど(関東)では焼いたものを「たらこ」、生のものを「明太子」とし、おにぎりの具などを表記しているところがほとんど。関東では本来の名前より、色々なイメージが重視されているようです。
辛子明太子が広まったのはどうして?
-
もともと朝鮮半島の伝統料理だった「辛子明太子」。
それを日本人のお口に合うよう加工方法を開発したのは昭和24年「九州博多の『ふくや』」の創業者の「河原俊夫」さんです。
→ 全国に浸透していったのは昭和40年代。新幹線の開通が一役買った、と言われています。
おいしいけど……でも卵だからカロリーとか高いんでしょ?
- たらこ(明太子)生: 140㎉ / 100g
- たらこ(明太子)焼き: 170㎉ / 100g
- 辛子明太子: 126㎉ / 100g
ちなみに一般に一食で食べる量は共に25g程度。2分の1腹です。
同じくごはんのお供の納豆のカロリーは一パック90㎉前後です。一度に食べる量を考えれば「それほどでも」ですね。他の食材の組み合わせなど、ちょっとした注意をするように心がけていれば大丈夫。ですが「卵」なのでカロリーは決して低いものではありません。
怖くて聞きたくないけど……もしかして塩分もお高め?
お高めです。- たらこ(明太子)生: 4.6g / 100g
- たらこ(明太子)焼き: 5.3g / 100g
- 辛子明太子: 5.6g / 100g
ですが塩分の1日の目標量は6g。
たらこ(明太子)、辛子明太子共に、一日30g程度に押さえておくのが目安です(他の食材からも塩分を摂取するため)。血圧の高めの方にはちょっと注意が必要な食べ物かもしれませんね。
じゃぁ、美容やダイエットの敵なの?
そんなことはありません!!結構優秀ですよ!
ビタミンB12 / ナイアシン / ビタミンE / ビタミンC などなど、特にビタミンが豊富なのも特徴の一つです。
美肌効果や老化防止、便秘予防などにも役立つ成分がたらこ(明太子)にはたくさん含まれているのです!!
3つの共通点は?
冒頭にも書いてしまいましたが「おいしい」ことです!スーパーなどで売られているのはほとんどが一度冷凍したもの。
それでも十分においしいのですが、いわゆるブランドもののたらこ(でも明太子でも辛子明太子でも)を食べてみると、本当にびっくりするくらいおいしいそうです。
一度は食べてみたいような、食べてしまったらもう二度と普通のたらこには戻れないようで怖いような……ですがやはり一度は本場の明太子やたらこを食べてみたい……もうこれは小さな夢の一つです(本当に小さいですが)!
終わりに……
うーん、おにぎり食べたい……焼きたらこもいいけど、やっぱ生のも捨てがたい……
日本での呼び名と大陸からやって来た呼び名。それぞれの地域での伝わり具合で呼称も変わっていたのですね。南の方ではスケトウダラが獲れないので、渡ってきた呼称「明太子」。なるほどです。何となく深いです! おいしいだけじゃなかった!
たらこや明太子に限らず「卵」は栄養豊富。まるごと命だからですね。
おいしいだけに留まらず、感謝も込めて頂きたくなってきました。
「たらこ・明太子・辛子明太子」の違い、いかがでしたでしょう。
「今日は明太子という名の実は『辛子明太子』のパスタにしよう」など、お食事の際に、薄っすらとでも思い出していただければ嬉しいです!
関連記事はこちらになります。
コメント