あ、っていうかさ、それ飲む前にちょっといい?
うん、ワインっていうのはさ、かなり昔から飲まれてるものでね、知ってた? それって紀元前からって言われてるんだよ。でさ、ワインって言ったらフランスじゃない? フランス、いいよねぇ、よくない? で、フランスでカキを食べる時って、レモンを絞る代わりに白ワインを飲むわけ。オシャレだよね。でもね、これってちゃんとワケがあってさ。ね、どうしてだと思う?
!! え?! 帰っちゃうの? 今来たばっかだよ!
……「っていうかさ」じゃないんです。長いんです。乾杯したら、ちゃっちゃと飲みたいんです!!
……さてさて「ワイン」ですね。
上の彼氏はかなり面倒くさいですが、ワイン通・ワイン愛好家の方々は「ワインについて」をつまみにいくらでもワインが飲めてしまうとか。確かに味わいも語るべきこともワインとは奥が深いものなのです。
ただし、まぁまぁのワイン好きにとっての「赤ワイン」「白ワイン」は、赤い色のアルコールと白っぽいアルコール。
何となく赤が好き、や、白の方が飲みやすい、健康にいいのは赤って聞いたことがある、くらいの知識でも十分に堪能できる飲み物です。
赤か白かって使ってるブドウが違うからでしょ? 巨峰っぽい色のブドウとマスカット的な色のヤツがそれぞれ原料だからじゃないの?
ですね。これは「赤・白」、ワインの色から薄々想像がつきます。
ですが、それだけではワイン通の皆さまをまだまだ熱くはさせられないのです。
「赤ワイン」と「白ワイン」の味やカロリー、健康面での違い等あわせまして、それぞれの「ワイン」について解説いたします。
ウンチクをうるさく語る人を黙らせるコツは「知ってる、知ってる、それって○○なんだよねぇ」を会話の途中でかぶせていくこと。「うん……そぅ……」とだんだんクールダウンしてくるはず……
いや、そんなことに使わなくても もちろんいいのですが、美味しいワインにますます皆さまが愛情を持てますよう、お役に立てれば幸いです。
目次
「赤ワイン・白ワイン」の違いはココ!
先ほども書きました通り、まずこの2つを分けているものの一つに「使用されるブドウの違い」が挙げられます。「赤ワイン」には「黒ブドウ(赤ブドウではなく)」。これはその名の通り黒っぽい果皮を持つブドウの品種です。
一方「白ワイン」の主な原材料となるのは「白ブドウ」です。こちらの果皮は緑っぽい色をしています。
まさに「巨峰」と「マスカット」のような色味ですね。
ここまでですと、「黒ブドウの果皮の色 = 赤ワインの色」「白ブドウの果皮の色 = 白ワインの色」のように思えますが、正解は「黒ブドウの果皮の色 (種も使用)= 赤ワインの色」「ブドウの果汁(実)の色 = 白ワインの色」。
赤ワインには果皮・種・果汁が使われますが、白ワインは果汁のみが使用されます。
ここもポイントですね。
「原材料のブドウの品種」「果皮・種が使われているか否か」、この2つが「赤ワイン」「白ワイン」を分けている大きな違いとなります。ですので「白ワイン」に「黒ブドウ」が使われることもあるのですね(黒ブドウが黒いのは果皮のみ。果肉は普通に白っぽい色をしています)。
さてさて、これらの違いより「赤ワイン」「白ワイン」の何が変わってくるのか?
まさか色だけ?
では続いて、それぞれのワインごとに特徴などを見ていってみましょう。
「赤ワイン」とは?
「フレンチ・パラドックス」の言葉に聞き覚えのある方もおられるかもしれません。冒頭のちょっと鬱陶しい彼も言っていましたが、ワインの産地として有名な「フランス」。
実はフランス人には心臓疾患や動脈硬化が少ないのです。
ですが「フレンチ」とい言えば、野菜や魚料理中心のあっさりした味付けのものでなく、バターやチーズ、肉などをふんだんに使ったコッテリとした料理のイメージがありませんか? 動物性脂肪が結構多いのが特徴の一つでもあるのです。おまけにフランスでは当時、喫煙者の数も多かったのですね。
なのに、心疾患での死亡率が低い?
なんで?
これが「フレンチ・パラドックス」。そして、その答えとなったのが「フランス人はワインを飲んでいるからだ」というものでした。
そして、それをきっかけに「赤ワインブーム」が巻き起こるのですね。
ワインの健康効果に注目が集まったわけです。
さて、そんなワインブームの火付け役ともなった「赤ワイン」ですが、前述の通り、果汁だけでなく果皮と種も一緒に漬け込んで発酵を行います。
その間に果皮から色素成分が果汁に染み込むことで、あのきれいなルビー色ができあがるのですね。
そしてこの色素成分である「アントシアニン」、また種にも含まれる「タンニン(渋みの主成分)」「カテキン」などが「ポリフェノール」と総称される(1つの物質ではなく、約300もの種類が確認されています)「抗酸化物質」です。
これはブドウに限らず植物や果物に多く含まれ、動物には存在しない成分。植物から体内に取り入れていくしかないのです。
上記の「フレンチ・パラドックス」で注目されたのもこの成分。「フランス人はワインを飲んでいるからだ」、つまり「ポリフェノールを多量に摂取しているからだ」という報告がなされたのです。
期待される効果も様々で、その代表的なものを挙げますと、
- 美肌効果(紫外線から細胞を守る物質のため)
- 血栓症や動脈硬化の予防(血液の流れをよくするため)
- 悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす働き
- 老化防止(物忘れ防止も含め)
- 生活習慣病やがんの予防 などなど
このほかにもブドウに含まれる成分はワインにほとんどそのまま受け継がれています。
ですのでミネラルやビタミンなども豊富。
さらにワインから摂取したこれらの成分の体内への吸収率は100%と言われています。これはすごい! 通常ですと、これらを食品から吸収できる率は多くて40%程度なのです。
赤ワイン、ブームになるわけです。
さて、そんな赤ワインですが「まだ若い」や「十分熟成された深みのある味」などと表現されることもあるように長期熟成できることも魅力の一つです(熟成に向かないタイプのものもあり。また飲み頃になるための熟成期間はワインによりまちまち)。
熟成の段階により味わいと香り、また色合いなども変化していき、複雑で奥深い味わいとなっていきます。
一般的な赤ワインには辛口しかありません。室温で味わわれるのも特徴の一つです。これは苦みを抑え、香りを高めるため。あえて冷やさずに飲むのですね。
こちらの渋みについてはラベルの裏に記載されている「ライトボディ」「ミディアムボディ」「フルボディ」が目安になります。順に渋みがレベルアップです。お好みの渋みをぜひ見つけてみてください。
ブドウの種類や産地にもよりますが、若いものほど軽く、熟成されたものほど どっしりとした重みのある味わいとなっています。
赤ワインは赤い。
そして渋みがあり、冷やさず室温で飲む、黒ブドウの果皮・種・果汁を発酵させて造られた、ポリフェノールに代表される抗酸化作用などの期待される、通常のものは「白ワイン」よりアルコール度数も高めの醸造酒。
長いですが一言で強引にまとめると、このようなお酒になります。
「白ワイン」とは?
何となく「赤ワイン」に押され気味でイマイチ存在感の薄い「白ワイン」。ワインといえば「赤ワイン」のようなイメージもありますが、実は「白ワイン」もなかなか優秀なのです。
さて、前述の通り果皮と種を取り除き、発酵が行われる「白ワイン」。使用されるブドウは主に「白ブドウ」です。
ですが、果汁のみ使用のため「黒ブドウ」が使われることもあり。何とも懐が深いです。
果皮を一緒に漬け込んでいないため色が移らず、あのような透き通ったレモン色になるのですね。
そして「ポリフェノール」。残念ながらこの含有量は赤ワインには敵いません。
豊富に含んでいる果皮や種を取り除いているからですね。
ですが、その分渋みの成分である「タンニン」も微量となるため、飲み口はさっぱり、渋み苦みもほとんど感じられません。
その味はよくフルーツに例えられるほど。桃やリンゴに似た味わいのものが多く、ワイン初心者の方には飲みやすいタイプです。
ダメじゃん、白ワイン! ちょっと飲みやすくて美味しいだけじゃん!
いや、そもそもワインは嗜好品。美味しいだけで十分な気もするのですが……それはさておき、白ワインもナメてはいけません。
赤ワインとはまた違う結構な健康効果を持っているのです。
まず一番に挙げられるのが白ワインの抗菌作用です。
これは赤ワインに比べても高く、2倍に薄めたものでも、赤ワインの2分の1の時間でサルモネラ菌、大腸菌、赤痢菌などを死滅させることができるのです。
ですので冒頭のうるさい彼氏が言っていたことは本当。
フランスでは昔から「生ガキ」を食べる際には白ワイン(シャブリ)も一緒に飲む、という習慣があるのです。
どうしてだと思う?
(イラッ!)……食中毒の原因となる細菌への殺菌作用があるからですね。レモンと同じ効果、酸味も感られる白ワインは、その代用とされたのです。
なるほど。オシャレの中にも技ありです。
また、白ワインは殺菌(抗菌)作用ばかりではなく、以下の効果も期待されるお酒、こちらもかなり優秀なのです。
- カリウムによる体内のナトリウム排出作用(高血圧の予防・デトックス効果)
- 上記、抗菌作用
- 含まれるミネラル成分のバランスが良い(骨を丈夫に)
- 腸内環境を整える「有機酸(果物や野菜により作られる酸)」を多く含む(便秘解消効果)
- 物忘れ防止の効果(ペプチドA)
栄養価では若干の差で赤ワインに軍配が上がりますが、白ワインには白ワインなりのまた違った効果があるのですね。
さて、赤ワインでは味を複雑に、奥深くしてくれていた「熟成」。
長期熟成するタイプの白ワインは赤ワインに比べ圧倒的に少数派。
熟成を続けるには、そのための栄養素が必要。それが前述の渋み成分「タンニン」なのです。
果皮や種に多く含まれる成分ですね。
白ワインではこのどちらもをすでに取り除いていしまっています。
ですので白ワインは長期熟成には向かないのですね。
赤ワインも同様ですが、ワインは長く熟成させればすべて美味しくなる、というわけではありません。
そもそもの飲み頃を過ぎてしまえば、あとは劣化していくだけ。
ですので「長期熟成タイプ」「早飲みタイプ」、それぞれの飲み頃に合わせて飲むのがベストなのです。
アルコール度数も赤ワインに比べれば低いものが多く、甘口から辛口まで、その幅の広さも特徴の一つ。
また、赤ワインのように室温でなく、冷やして飲むのが一般的です。
白ワインは白い(レモン色、またはレモングリーン)。
そして渋みはほとんどなく、酸味のあるものもあり、冷やして飲むのが一般的な、白ブドウの果汁のみを発酵させて造る、高い抗菌作用を持った、「赤ワイン」よりアルコール度数が低めの醸造酒。
またまた長いですが、まとめるとこのようになるお酒が「白ワイン」です。
「赤ワイン」と「白ワイン」の違い!! からだが喜ぶのはどっち?
どちらもそれぞれに魅力的。飲むと健康になるアルコール。ミラクルです!!
と、思い込みたい気分ですが、さすがにそのようなお酒はありません。
飲みすぎは普通に体に毒ですし、二日酔いにも襲われます。
「赤ワイン」「白ワイン」ともに、「毎日グラス1,2杯を継続して飲むと効果があらわれる」とされているのです。
昨日は飲まなかったから、今日はその分飲もう! などではほかのお酒を飲むのと、さほど変わらないのですね。
1日1,2杯……逆にストレスが溜まってしまうような気もします。存分には飲めないのですね……
とはいえ、やはり何度も言いますがアルコールとは嗜好品なのです。
美味しいと思って飲むのが一番。
さらにワインは食中酒です。みんなとワイワイやりながら(一人静かにでもいいです)、食事と一緒に飲むお酒なのです。
ではここで、それでも美味しさ的には問題なく魅力的な「赤ワイン」「白ワイン」について、その効果なども含めつつ、違いをまとめていってみましょう。
何から作られる?
- 赤ワイン: 黒ブドウ
→ 果皮・種も果汁と一緒に漬け込まれ発酵が行われます - 白ワイン: 主に白ブドウ
→ 果汁のみを発酵させ造られます(ですので果肉自体は白い「黒ブドウ」が使用されることもあります)
それによって何が変わる?
-
◎赤ワイン
- 果皮の色素成分「アントシアニン」によりルビー色に
- 種にも含まれる「タンニン」により渋みが生まれる
- 熟成時の栄養素でもある「タンニン」により長期熟成が可能に
- 「アントシアニン」「タンニン」「カテキン」など抗酸化作用のある「ポリフェノール」を多く含む ◎白ワイン
- 果皮を取り除いて発酵させるため、色素が移らず透き通ったレモン色に
- 果皮・種に含まれる「タンニン」の成分も移らないため渋みがほとんど出ない
- 熟成時の栄養素「タンニン」が微量にしか含まれないため長期熟成には適さない
- 赤ワインに比べ、ポリフェノール含有量では少ない(果皮・種を取り除いて造られるため)が代わりに優れた抗菌作用を持つ
味の特徴は?
- 赤ワイン: 熟成度の若いものほど軽い口当たりで熟成が進むにつれ、複雑で奥深い味わいになります。渋み、苦み、コクを感じられる重い飲みごたえです
- 白ワイン: 比較的あっさり。渋みもなく、桃やリンゴなど果物に似た味のものも多く、総じてフルーティーな印象
それぞれの代表的な健康効果は?
- 赤ワイン: 抗酸化作用
→ 美容に対し敏感な方には「赤ワイン」がおススメ - 白ワイン: 抗菌作用
→ 便秘気味の方や胃腸等、内臓が気になる方には「白ワイン」がおススメ
カロリーだって気になる!!
- 赤ワイン:(一般的なもので)100mlあたり 73kcal
- 白ワイン:(一般的なもの)100mlあたり 73kcal → どちらも同じです。
効果的な飲み方は?
-
どちらも「食事と一緒に毎日グラス1,2杯を継続して」
→ 長く飲み続けるのであれば、ポリフェノールについても、赤・白の効果の差はそれほど変わらなくなってきます。好みの味の方を無理せずに飲んだ方が長く続けられるので、最終的にはそこで選んでみてください。
ですが、しつこいですが「ワインは嗜好品」。健康効果も気になりますが楽しく飲めること、これがワインの一番素敵な飲み方です。
今さらだけど「抗酸化作用」って何?
簡単に言いますと「体の酸化を抑える作用」のことです。人間には酸素が必要。生きていくのに必要なエネルギーも作ってれているのですが、その時に一部が「活性酸素」というものになってしまいます。
細菌などを排除してくれる役割もあるのですが、増え過ぎると細菌ではなく普通の正常な細胞も傷つけてしまうのですね。
この状態がいわば「酸化」。
これにより引き起こされると言われているのが動脈硬化や生活習慣病です。また、しわやシミの原因にも。
そこで有効となるのがワインでいえば「ポリフェノール」ですね。
「抗酸化作用」を持つ彼らの働きにより、体の酸化が抑えられる、と期待されているのです。
冒頭の彼氏が言ってたけど、ワインがかなり昔から飲まれてたってホント?
よく覚えていましたね!!本当です。
キリないほど古い話ですが、そもそもの始まりは「木から落ちた実が地面に落ち、それが発酵」。これが原点と言われています。しかも、それはまだ人類の誕生以前の話。
……確かめようがありません……
人類が「よし、ワイン、造ろう」のコンセプトのもと製造を始めたのは紀元前4000年ごろ。メソポタミア文明の時代です。メソポタミアです! 人類最古の文明!
遺跡から果汁を絞る石臼が発見され、ワイン用のブドウも栽培されていたことが確認されているようです。
太古の昔も、結構楽しそうですね。
……あれ? フランスじゃないんだ。っていうより、ヨーロッパですらないのね……
そうなのです。
そちら方面に向かうのはまだまだまだ先の話なのです。が、それを書き始めると本が一冊出来上がってしまうような量になってしまうため、今回は泣く泣く割愛させていただきます。
冒頭の彼は間違ったことは1個も言っていなかったのですね。
ですが、間違っていないなら鬱陶しくてもいいワケではないので、結果アウトなのですが。
終わりに……
ワインは奥が深い。ワインを語る人は熱い。そして一歩間違えると一人で飲むハメに陥る……うーん。ワイン、侮れません。
完全にビール党の私ですが(他のアルコールを飲むと、気づかないうちに意識がどこかに行ってしまう)深夜のコンビニにワインを求めに行きたい気分に、現在押しつぶされそうです。
ワイン、恐るべし!!
さてさて、健康効果は魅力的ではありますが、その効果もあくまで「予防」です。
悪いところを治してくれるわけではないのですね。
でもでも、どうせなら体にいいもの飲みたいじゃないの……
で、結局、赤白、からだが喜ぶのはどっちなの! そこなのよ、そこ!!
飲んで美味しいと思った方です!!
これは本当です。
薬は別ですが、美味しいと思われて体に入ってきたものは、適量であることは条件ですが、必ずその思いに応えてくれます。
赤・白、継続して飲む場合には、効果にさほどの差は出ません。
であれば、ぜひぜひ、ご自分の好みのタイプで、美味しく楽しい時間をお過ごしください!!
皆さまのワインに対する熱い思いと、それを薄めてしまうモヤモヤ。
いい感じのバランスになるお手伝いとなれていましたら嬉しいです!
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