こんな『違い』があったんだ!

栄養士と管理栄養士の違いとは?給料や面接はどうなる?

食事
この料理、考えたのって栄養士さんらしいよ!
えぇ、すごいじゃん、間違いないじゃん


と無条件に信用してしまう「栄養士さん考案」という一言。


……管理栄養士?
栄養士さんを管理している人? 管理人的な?

食事

……多分、大部分間違っています。

栄養士さんと管理栄養士さんの違い、面接での傾向や気になるお給料まで、まとめてご紹介いたします!

将来「食」に対しスペシャリストとして歩んでいきたい皆さま、また身近な食のスペシャリストさんをよりよく知りたい、という方々の、少しでもお役に立てましたら幸いです!
目次

栄養士と管理栄養士、ここが違う!

どちらも「食事や栄養についてのアドバイスをする」といった共通点を持つこちらの2つ。

その対象が、

  • 栄養士:「主に健康な人」への栄養指導や給食運営
  • 管理栄養士:「病気を患っていたり高齢者などで食事がとりづらい方、その他、色々なニーズにより一人ひとりに合わせた」専門的な知識と技術での栄養指導、給食管理
と異なってきます。


また、どちらも国家資格であることは同じなのですが、

  • 栄養士: 厚生大臣が指定した栄養士養成施設、学校等で所定の単位を取得した者に対し「都道府県知事」が与えた国家資格
  • 管理栄養士: 管理栄養士養成課程のある大学、または管理栄養士養成施設等卒業後、国家試験を受け合格した者に「厚生労働大臣」が与える国家資格
この違いにより「栄養士は国家資格ではない」という説も流れているようです。しかし、栄養士も国家資格です。

なぜなら「国家資格」とは国の法律に基づいて能力や知識が判断された結果、その仕事に従事してよし! と証明された資格であり、「栄養士免許」は「栄養士法」という法律に基づいて与えられた資格だからです。名称独占資格の一つですね。


つまり栄養士と管理栄養士の違いとは、


  • 主に健康な人を対象とした「栄養士」と、様々な症状や状態の人、一人ひとりが対象の「管理栄養士」
  • 国家試験に合格しなければ与えられない「管理栄養士」と、栄養士養成学校等必要単位を修得し卒業すれば与えられる「栄養士」
  • そして、その国家資格(免許)を与えるのが、

  • 「栄養士」は「都道府県知事」
  • 「管理栄養士」では「厚生労働大臣」
ということですね。


それぞれの立ち位置としての違いは上記のようなものとなります。

では続いて、実際にどのような仕事を任されているのか、など、少し詳しく見ていくことにしましょう。

栄養士ってどんな仕事? 面接はどんな感じ?

♦栄養士が絶対に買わない4つの食品!
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=0TIc6FPcscQ&w=560&h=315]
栄養士の主な仕事は「食のスペシャリスト」として栄養指導や食事の管理をすること。

例えば病院や福祉施設、学校、保育園、社員食堂など、食事を提供する場所でのお仕事ですね。


最近では、各施設に派遣され、そこでそれぞれの給食業務につくといった形をとる「委託給食会社」での募集も増えているようです。


盛り付けの工夫や、献立作りを「この人の必要としている栄養は何か?」と考えながら行う「給食運営」。また「その人にってどのような食事を摂ることが望ましいのか?」といったカウンセリングを行ったりもします。「栄養指導」ですね。


「断続的に1回100食以上、一日250食を提供する特定給食施設」には必ず職員のうちに「栄養士」の資格を有する人がいなくてはいけない、という配置規定もあります。


ただし「食事を管理する」というよりは、もっと直接的な、調理の現場に近い仕事と言えるかもしれません。
あれこれ考えることももちろんですが、実際の調理現場でも「栄養士」さんたちは活躍しているのです。


さて、そんな「栄養士」さんたちの面接ですが、まずは「志望動機」、これには特に力を入れて、答えるようにしてください。おそらく、ここを聞かない面接官はいないかと思われます。

他、よく聞かれるものとして、

  • これまでに学んできたことは何か
      → 新卒の方なら、卒論のテーマなどを聞かれることもあります。
  • 真剣に取り組んできたことは何か
      → 地域の活動やボランティア活動など、何かに参加していると有利であったりもします。
  • 自分の長所や短所はどこか
      →「短所」部分は、逆の見方をすれば「長所」に転じることもあります(口数が少なくて無口、なら余計なおしゃべりは苦手だが、やるべきことはきっちりこなす、実行力には自信あり、とか)。
などが挙げられます。

あまり「栄養士」として特別なことは聞かれないようですが、がんばってくださいね!

管理栄養士とは? 面接で聞かれるのはこんなこと!

栄養士さんの管理人的な、ではなく、難しい国家試験をクリアした管理栄養士さんに求められるものは様々。高度な専門知識と技術を伴うお仕事です。

栄養士さんと同じ仕事の他に、

  • 行政機関
  • 学校
  • 民間企業(事業所、工場、寮など)
  • 教育養成機関(教育研究の場)
  • スポーツ栄養の分野
などでも、その知識と技術が求められることとなります。

また、公務員として、学校、病院、老人福祉施設、保育所、福祉事務所、市町村役場、保健所などでの採用も行われています。

これらの現場での直接の業務はもとより、管理栄養士により強く求められているのは「それら業務の統括」「労務管理」などのまとめ役的なお仕事です。
それにプラス、「栄養指導」「集団の食事への栄養の管理・指導」となっています。


また、先ほどの「配置規定」では「特別給食施設のうち、1回300食以上、一日750食以上を提供するところ」には栄養士のうち、少なくとも一人は「管理栄養士」を置くよう「努める」となっています。


さらに「1回300食以上、一日750食以上を提供する」特別給食施設が「医学的管理」を必要とする場所である場合には、管理栄養士は「必置」です。絶対に、少なくとも一人はいなくてはいけません。

「1回500食以上、一日1500食以上で特別な栄養指導が必要な特別給食施設」でも「必置」


つまり、多くの給食を提供、または特別な栄養指導を必要としている施設では、管理栄養士さんを熱く求めているわけですね。

こうしてみてみると、栄養士さんより管理栄養士さんの需要の方が多い気もしますが、そんな「管理栄養士の面接」、傾向などはこちら。

  • 志望動機 → やっぱりこれは確実
  • 転職であれば → その理由、これまでの職務経歴
  • 初めて、または学生さんの場合には → アルバイト経験、国家試験には合格できそうか、得意分野など
  • 勉強会や栄養士会に入っているか
  • 他に持っている資格はあるか、または今後取りたい資格は?
  • 得意料理や家族構成
  • 専門知識を質問されることも
  • 管理栄養士として何がしたいか
などが挙げられます。
もちろん内容は決まっているわけではないので、上記のもの以外の質問がされる場合も大いにあり得ます。


しかし、それぞれ現場ごとに求められている資質、というものがありますね。

例えば給食委託会社であれば「みんなとの輪を乱さず、協調性を持って仕事に当たれる人材」であることが大切となってきますし、一般企業での面接なら「食のスペシャリストとして、その会社に有益な人材であることのアピール」など、その現場で求められていることに応じられるような受け答えが必要となってきます。

専門用語を多用して自分の知っている知識を語るのではなく、知ってもらうべきは、相手のまだ知らない「あなた自身」についてです。
未経験であっても、必要以上に臆することはありません。仕事をしていけば必ず経験者にレベルアップするのです。

前向きな姿勢で、がんばってくださいね。

栄養士と管理栄養士、お給料もさらっと比較!

さらっといきます!

栄養士になるには「栄養士養成課程のある大学の卒業」「栄養士の専門学校(養成施設)・短大」がありますが、お給料もそれにより多少の差があり、またそれ以外にも能力や経験の差、どの現場で働くか、によっても変わってきます。

以下、あくまで一般的な平均、として挙げておきます。

  • 病院: 18~27万円
  • 老人施設等、福祉施設: 18~25万円
  • 給食会社: 18~22万円
  • 保育園: 18~20万円
初任給はどこも18~20万円程度。
職場によっては資格手当として2000~5000円がプラスされることもあるようです。


管理栄養士の場合ですと、大体「栄養士さんのお給料に手当として5000~20000円ほど上乗せ」といった感じになるのが一般的な目安となります。


「管理栄養士」の皆さん曰く「責任に比べて給料が軽い……」や「人との付き合いが結構大変」などなど、不満部分もある様子。


ですが「時間を自分で考えて使える」「残業がほぼゼロ」「厨房職員さんと相性が良ければラッキーな仕事」といったご意見もあります。


他の職種の方々とも一緒に働く現場となるため、そこが吉と出るか凶と出るか? の分かれ目でもある感じですね。


もうここは腹をくくっちゃってください!

ちょっとついでに「栄養士」「管理栄養士」になるまでにかかる学費も

あくまで「栄養士」と「管理栄養士」の学費の比較としてお考え下さい。

    ◎栄養士
  • 2年制栄養士養成施設・短大: 200~300万円
  • 3年制栄養士養成施設: 250~350万円
  • 4年制栄養士養成施設: 350~400万円
    ◎管理栄養士
  • 500万円を超えます
    → その後、管理栄養士の国家試験受験費用に6,800円(6,800円がものすごく安く感じます!)
  • (学ぶ内容も多く、また実習なくしては得られない資格のため「栄養士」「管理栄養士」共に、夜間や通信教育はありません。通信講座等は、管理栄養士を目指し、所定の大学や施設を卒業した方向けのもの。まずは通学、卒業が必須です)

栄養士と管理栄養士はこんなに違う!

さて、仕事内容も違えば、資格を取得するまでの費用にもずいぶんと違いを見せる「栄養士」と「管理栄養士」。

では、「栄養士養成施設」を卒業し「栄養士」となったら、もう「管理栄養士」にはなれないのか? また一から「管理栄養士の養成課程のある大学」や「養成施設」に入り直さなければならないのか?


……それはイヤです。

そんな酷なことはありません! 大丈夫です。
働きながらの勉強は大変かと思いますが、

  • 2年制卒業の栄養士 → 実務経験3年
  • 3年制 → 実務経験2年
  • 4年制 → 実務経験1年
で「管理栄養士」の国家試験の受験資格が得られます。


ということは、つまりそういうことなのです。

管理栄養士は大学でも養成施設でも4年制となっています。

一方の栄養士養成施設・短大・大学の場合、その就学年数プラス実務経験で必要となるのは5年です。


同じ4年制であっても、さらに1年の実務経験を積まなければ、管理栄養士養成施設や養成課程のある大学を出た方と同じ「国家試験受験資格」を得る、というラインには立てないわけですね。

「栄養士」と「管理栄養士」にはそれだけの違いがその過程にもある、ということが感覚的にでもおわかりいただけるかと思います。


そこを踏まえた上で「それでも目指すは栄養士! やっぱり働くのは現場が一番!!」「なら、もう少しだけ頑張って管理栄養士にチャレンジだ!」などそれぞれの目標のために、2つ違いを比較も交えてもう少し詳しく見ていってみましょう!

学費の高い「管理栄養士」。「栄養士」とそれほどお給料が変わらないのに頑張って資格を取る意味ってある?

ここ、気になります!

実は管理栄養士と栄養士、「求職率」に結構な違いがあるのです。

医療現場

法的には「管理栄養士でなければならない」などといったことはありません。
「栄養指導」はどちらにとっても重要な業務。ただし、こんな違いが出てきます。


  • 栄養士:「ダイエットとか言ってないでちゃんと食べなきゃダメだよ、成長期なんだし。病気に負けちゃうぞ~! ほら、豚肉にはね、ビタミンB1がたくさん含まれてるから、リハビリで疲れた体を元気にしてくれるんだよ」
    → アドバイス、ありがとう!
  • 管理栄養士:「ダイエットは必要ありませんよ、BMI値20、理想的です。リハビリでの疲れには、今日の献立で言いますとこの「生姜焼き」の豚肉。ビタミンB1、疲労回復に非常に効果があります」
    → 「管理栄養士の行う栄養指導」として、保険点数が病院側に入ります。
実際にはこんな感じではないのですよ。でもニュアンスとしてはこう。


つまり栄養士の行う栄養指導は「アドバイス」的に扱われ、病院側に金銭的な利益を特にはもたらしません。

一方の管理栄養士の栄養指導は「法律で規定された通り」に行えば「保険診療報酬」として病院側に還元されるのです。


また、患者さん一人ひとりの症状や体質などを考慮した栄養指導や栄養管理には、高度な専門知識と技術を持った「管理栄養士」が必要とされます。


同じ時期に応募があった場合、病院側がより求めるのは「管理栄養士」であることは明確です。

医療系に強い理由の一つですね。

社員食堂・学校食堂の現場

どちらも在籍していた場合、献立作りは「栄養士」「管理栄養士」のどちらも行いますが、総合的に管理するのは「管理栄養士」。実際の調理現場などでより直接的な業務を行うのが「栄養士」です。

大規模な特別給食施設

どちらもいなくてはいけませんが、大規模でかつ「栄養士」がすでに在籍していた場合、そのうえで求められるのは配置規定からも「管理栄養士」ということになります。

その他、スポーツの現場や研究・教育機関などあれこれ

「栄養士」さんでもいいのです。ですが求人を募る立場からすれば、「管理栄養士」さんのより高度な知識や技術が魅力的に映るのは、もうどうしようもありません。


また「管理栄養士」は栄養士さんに対しての「将来の管理栄養士への育成」なども手掛けています。

終わりに……

現場主義を貫くか、堅いことを言わず、知識や技術を管理・統括の面からも提供するか、資格取得までに掛かる費用も随分と違います。ですが目的がしっかりとあるのなら、どちらも「食のスペシャリスト」であることにまったく違いはありません。

「管理栄養士」さんは「現場を分かってない、理論ばっかり優先してるんだから!」などと思われることも多いようですが、その意見を知ったからにはそうならずに済みます。


目指す理由はそれぞれです。

色々な違いもありますが、やはり一番大切にしたいのは、ご自分の目標ですね!

いつか、体にも良くて、太らなくて、見た目も良くって、安く作れて、夏でも冬でもおいしく食べられて、大人からも子どもからもリクエストされて……などなど、私の大好きな味の料理を考案したら、ぜひぜひお知らせください(セロリとナス以外の食材でお願いします)!


皆さまの素敵な将来を願っております! 頑張ってくださいね!!


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