「警視庁」「警察庁」「検察庁」の違い?
よくわかんないけど……どこにもお世話になりたくない……
気が合いますね! 私もです!!
でも、刑事ドラマとか、結構好きです……
さて、ドラマや推理小説などでも(もちろん、現実でも)大活躍か、探偵の引き立て役になっている「刑事」さん。
「警視庁」の人?「警察庁」の人?
裁判で活躍するのが「検察庁」の人で、合ってる?
何となく曖昧です。曖昧でも、特にドラマの筋には関係ないので、曖昧なまま……
この際、覚えてしまいましょう!!
それぞれのトップは誰? その中でも一番偉い人は? 階級ってどうなってるの? などなど、組織図的なことも含めまして「警視庁・警察庁・検察庁」の違いを解説いたします。
曖昧をスッキリ解決させ、探偵役(小説やドラマの)より先の事件解決に、お役立ていただければ幸いです!
目次
「警視庁」「警察庁」「検察庁」の違いはココ!
何となく連想できる言葉は「犯人逮捕」や「事件捜査」、「法廷」「キャリア」「たたき上げ」などでしょうか。「検察庁」だけは、ちょっと毛色が違うような……
まずは、その立ち位置や関係等から見てみましょう。
- ○○県(または道府)警察本部: その道府県を管轄しているいくつかの警察署のまとめ役(管理監督)のような中央実施機関です。いわゆる「所轄」に対する「本部」。例えば新潟や京都などでしたら「新潟警察本部」「京都府警察本部」となります。
- 警視庁: 各都道府県に置かれている警察本部の内の「東京バージョン」。「警視庁」という名称ですが「東京都警察本部」のようなものと、とりあえずは捉えておいてください(東京の場合は「警視庁」となるため「所轄」に対し「本庁」)。
→ 東京都の警察のまとめ役。各道府県本部と同じく「地方機関」のひとつです。 - 警察庁: 全国の警察組織のまとめ役的組織 →「警視庁」も「警察庁」にまとめられる組織のうちのひとつ。
- 検察庁: 警察が逮捕した被疑者等を、裁判にかけるか否かを判断する、法務省の特別機関である官庁
この中では「警察庁」が一番わかりにくいかと思います。
警察組織をまとめてるって……実際、何やってるところ?
謎です。それなのに何となく、とても「偉い人たち」がいそうな気もします。
では、続いて「警察庁」。「警視庁」との比較も含め、見ていってみましょう!
「警察庁」とは?「警視庁」との違いはコチラ!
♦「強くしなやかな警察を確立」警察庁の新長官が抱負(16/08/10)
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=FRnxQy7Ey8U&w=560&h=315]さて、謎の組織「警察庁」です。
具体的にどのようなことを日々しているか、といいますと「国家公安委員会の庶務を取り扱う事務部局としての職務」のほか、
- 警察に関する制度(刑法などの法律の解釈や、防犯対策、捜査手法、全国的な刑事制度など)を企画立案
- 国の公安にかかわる警察の運営
- 緊急事態に対処すべき計画、またはその実施
- 警察教育施設などに関することも担当
- 特異な事件、大きな事件など、社会的に注目される事件などでは、それを管轄する都道府県警察を指揮したりもする
上記のことについては都道府県警察を指揮監督する立場にありますが、捜査や逮捕の権限は持ちません(内閣総理大臣が緊急事態の布告を行った時のみ可能)。警察組織に関する仕組みなどを作ったり研究したりする事務的なもの、内勤が主となります。司令塔のような存在ですね。
「国家公安委員会の庶務を取り扱う」とあります通り「警察庁」は「国家公安委員会」の管理下にあります。
「警察庁」のトップ、「警察官長官」を任命するのも「国家公安委員会」。
さらに、その「国家公安委員会(委員長は国務大臣。委員は5名)」を管轄しているのは「内閣総理大臣」。
スケールが段々大きくなっていきます!
つまり「警察庁」とは、国家公安委員会のもとに置かれた「特別機関」、国の行政機関の一つであり、そして全国の警察をまとめる機関でもあるのです。
ちなみに「警察官長官」は「階級のない特別な警察官」とされています。「いち警察官」ではなく「長官」という身分になるのですね。
さてさて、では「警視庁」は?
こちらは「東京都を管轄する警察本部」ですが、なぜ特別扱い? なぜ「本部」ではなく「庁」なの?
「特別扱いされてるから」なのですね。
東京は他の道府県と同じく「一つの地方としての東京」のほか「日本の首都」という側面も持ちます。
よって「警視庁」には「東京の警察をまとめ、東京の治安維持に努める」役割の他、「日本の首都を警護する」役割もあるのです。
そのため、
- 天皇、皇族の警護
- 立法府、行政機関、駐日大使館、総理官邸など、重要な施設の警備
- 内閣総理大臣等、要人の警護
確かに……ちゃんとしないと大変なことになりそうな重大な役目ですね。
このような「警視庁」のトップに君臨しているのが「警視総監」です。
ここでも警視庁は他道府県に差をつけているのですが、その前に「警察での階級」について少し寄り道です。
警察の階級と役職
全国数万人に及ぶ警察組織のトップに立つのは「階級のない特別な警察官」とされている「警察庁長官」。以下、警視総監 → 警視監 → 警視長 → 警視正 → 警視 → 警部 → 警部補 → 巡査部長 → 巡査
となっており、これらの階級により「警察庁」「警視庁」では役職が変わってくることとなります(例えば警察庁で「警視」の階級を持つ役職は「課長補佐」、警視庁では「管理官」や「課長」など)。
「警察官」になるためには各都道府県の「警察官採用試験」に合格する必要があり、また「警察庁」の職員は「国家公務員試験(Ⅰ~Ⅱ種)」に合格したものの中から採用されます。
「警視正」以上の階級を持つ警察官は国家公務員、つまり「警察庁」の職員となり、さらに「Ⅰ種試験合格者」の中から警察庁が採用するのが、いわゆる「キャリア」と呼ばれるエリート。未来の長官や警視総監の卵ですね。
限られた管轄はなく全国に及ぶため、警視庁も含む各都道府県警察の署長に赴任、などといった形で、警察庁と行き来することとなります。
そこが少しややこしい所なのですが、ですので「警視庁」には「警察庁」から出向しているキャリアもいる、ということになるのです。
ドラマなどで面白おかしく「キャリアとノンキャリア(たたき上げ)との対立」的な表現が好まれるのは、ここからきているのですね。
★話、戻りました!
というわけで「警視庁」です。管理下に置いているのは「東京都公安委員会」。
その「東京都公安委員会」は都知事が管轄下に置かれています。
ですので、出向してくる警察庁の職員が国家公務員であるのに対し、それ以外の警視庁職員は地方公務員(東京都の職員)となります。他道府県の警察官と同じですね。
では、他道府県とはどこが違うのか。
他の警察本部のトップは「警視監」。
「警視総監」は全国どこの警察本部を探しても、警視庁にしかいないのです。
このようなことからも伺えます通り「警視庁」は単に「東京都の警察本部」であるだけでなく、法律では「東京都の警察は都警察」とされ、「警視庁」は「警察の本部に該当する、警察庁の直接の監督下にあるもの」とされています(「北海道警察本部」も、同じく「警察庁の直接管理下」とされています)。
また、戦前は日本初の近代警察組織としての国家機関だった、という経緯もあるのです。
「検察庁」ってどんなとこ?「警察」との違いはコレ!
名探偵が(普通に刑事さんでもいいです)捕まえた「犯人」。大抵ここで「めでたしめでたし」となりますが、あれ? その犯人って、その後どうなるの?
そこで登場するのが「検察庁」。
「検察庁」とは所属する検察官の行う事務を取りまとめている(統括)ところです。
警察によって逮捕された「被疑者」は検察へと身柄が送られます。「検察官送致」といい、法律上、このことはすべての事件において定められています。逮捕後48時間以内に事件記録と一緒に送致しないといけないのですね。
つまり警察ができるのは、捜査、逮捕、取り調べ。その後の処罰については「検察」へとバトンタッチです。
警察から事件を送られた「検察」のすることは「起訴、不起訴の判断」。
-
★警察が捜査を始める → 逮捕・取り調べ → 検察官送致 → 検察官「被疑者」を取り調べる → それにより裁判所に裁判を起こす訴えを起こすか否か(起訴か不起訴か)を判断 →(起訴なら)裁判に →(有罪なら)有罪判決
裁判所に裁判の訴えを起こすことができるのは「検察官」のみ(「起訴」または「公訴提起 / こうそていき」と言います)。
また、起訴、不起訴の判断のため、被疑者の取り調べや事件関係者からの事情の聴取、訴えを起こすためのそれら供述や証拠物件などの準備も行います。
捜査に関しては「警察が一次的、検察は二次的」とされるのが一般的ですが、警察ではなく、検察が始める捜査もあり、その流れは、
-
★検察、捜査を開始する → 逮捕・取り調べ → 起訴(以下、起訴だった場合) → 裁判 → 有罪判決
これには、
- 政治家の汚職事件など、政治犯
- インサイダー取引や脱税事件など、証券取引監視委員会または国税庁などから告発を受けた事件
- 巨額な詐欺事件
- 大規模な組織的収賄事件
警察捜査よりも検察の得意とする「高度な法律的判断」が必要、あるいは資料の分析等が捜査の主眼となるような事件では、検察官が直接捜査を行うのですね。
検察の階級も!
はい! 見てみましょう。最高位となるのは「検事総長」、以下、
次官検事 → 検事長 → 検事 → 副検事
となり「検事総長」「次官検事」「検事長」は合わせても10人ほど、ほとんどが「検事」です。
司法試験合格者は「検事」からのスタートとなり、「副検事」とは検察事務次官だった方が、試験を受け合格した場合のスタート地点です(その後一定の期間を経た後、さらに試験を受け、クリアすれば「検事」に)。
2つの組織が入り乱れることもないため「検察庁」の階級は比較的あっさりしていますが、こちらの「検事総長」、とんでもないです。
検事の最高位である「検事総長」は、各省次官と同じクラスとされており、もう「法務省のトップ」と言ってしまってもいいほどの地位。
この地位が与えられるためには、なんと「天皇の認証」が必要となる「認証官」と呼ばれるものなのです。もの凄く偉いのです!
★また話、戻りました!
さてさて、検察庁には「最高検察庁(責任者は検事総長)」「高等検察庁(検事長)」「地方検察庁」があり、それぞれに必要に応じて支部が置かれています(区検察庁もありますが、支部はありません)。同じく「最高」「高裁」「地裁」のある裁判所に対応する形で、各検察庁の検事が担当となります。また、検察には「特別捜査部(特捜部)」と呼ばれるものが、東京、大阪、名古屋の3つの地方検察庁に設置されています。
これは、先ほど挙げたような「政治犯」などに対し、直接の捜査をする機関となります。
検事(検察官)になるため突破すべき「司法試験」合格者には「弁護士」や「裁判官」もいます。
法律の専門家なのですね。
【警視庁・警察庁・検察庁】はこんなに違う!
「the 曖昧……」な部分が、多少は薄れてきましたでしょうか?ではここで、これら3つの「庁」、違い等のおさらいも兼ね、もう一度まとめていってみましょう!
どんな組織?
- 警視庁: 東京の警察をまとめている「東京都の警察本部」であり、日本の首都を守っている(首都警備)「本部」でもある組織。
- 警察庁: 警察に関する中央の機関。警察行政を統括しています。事務等の内勤が主。警察組織の司令塔的組織。
- 検察庁: 検察官の行う事務を取りまとめる行政官庁。「検察官」は犯罪の捜査、起訴・不起訴の判断、それによる公訴提起(起訴)と公判の維持等を行う、法律の専門家。
「○○庁」を管轄してるのは?
- 警視庁: 東京都知事の管轄下に置かれる「東京都公安委員会」の管理下。ただし管区警察局(東京と北海道を除く府県に7つある、警察庁のお手伝い的地方機関)の管理下にはおらず、警察庁直接指揮下の首都警察機関でもある。
- 警察庁: 内閣総理大臣の管轄下に置かれた「国家公安委員会」の管理下にある、国の行政機関。
- 検察庁: 管轄する法務省の特別機関である官庁。
トップは誰?
- 警視庁: 警視総監
- 警察庁: 警察庁長官
- 検察庁: 検事総長
3つの「庁」、関係は?
- 警視庁: 犯罪の捜査や逮捕、取り調べなどのアクティブな実働系
- 警察庁: その「警視庁」の行う捜査の手法や、警察組織に関する制度の企画立案、警察の教育施設なども担当する、内勤が主となる司令塔的存在
- 検察庁:「警察庁」の立案した制度や手法などを受け、「警視庁」の刑事さんたちが逮捕に至った「被疑者」を、起訴に持ち込めるかどうかの判断をし、その結果により、裁判所に裁判を訴え、公判を維持し、判決まで戦う
警察と検察は、本来なら双頭組織です。
一番偉いのは?
立場や階級からなら、検事総長(検察庁トップ) > 警察庁長官(警察庁) > 警視総監(警視庁)
となりますが、上記の通り、みんなそれぞれに偉いです。
階級が低い「巡査」や「副検事」も、その志は高いので、やっぱり偉いのです。
終わりに……
3つの「庁」、違いはもとより、その役割分担がはっきりしているのですね!捜査のプロ、システム作りのエキスパート、法律の専門家、タッグを組めば、凄まじい最強の集団になるような気がしてきました。
いかがでしたでしょう。
このどこもが「暇だ……もう半年以上、仕事がないよ……」などという日がくればいいのになぁ、と密かに思っています。
皆様のスッキリに、少しでも役立てていましたら嬉しいです!!
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