重い体、重い傷、重い症状、ってこと?
で、それって、だからどんなこと?
そうなのです……わかりにくいのです……
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「重体」「重傷」ってどっちがひどいの?
「重症」? あれ? 字、そっち?「重傷」じゃないの?
正確でわかりやすいのがウリのニュース。この言葉たちが出てきた時点でアウト。「重体○○人、重傷○○人」とかって言われても全くピンときません!
同感です!
使い分けの決まりって、なんなんですか?!
「重体・重傷・重症」の意味、定義、また、ニュースなど報道の現場ではどのように使い分けられているのか、などなど、3つの違いについて解説いたします。
痛いのはイヤですが、モヤモヤもイヤ……
皆さまのスッキリのお役に、少しでも立てましたら幸いです!!
目次
『重体・重傷・重症』はココが違う!
事故などのニュースでは、ほとんどといっていいほど、被害にあわれた方は上記、いずれかの状態と報道されています。ですので、そういうことなんだろうなぁ、ということはよくわかるのですが、問題はどの程度の何に対し、どの言葉で表現されているか、ということですね。
さて、この中でも群を抜いて危ない状態なのが「重体」。さらに悪くなると「危篤」です。
「危篤」とは、病気やケガの状態が悪い、というだけでなく、一刻の猶予もないほどに生命が危うい状態。
よって、その一歩前的な状態の「重体」も、病気・ケガ(負傷)、どちらによるものも含まれます。
そして、そのレベルが「生命に関わってくるほどに悪い」状態を指し「重体」です。
続いての「重傷」。これは「ケガ」限定。「傷」の文字も使われていますね。
「重体」と表現するほどではないけれど、かなりの大ケガ。ケガが治ったとしても障害が残ってしまうかもしれない程のものも含め「重傷」です。
ケガが治るのに有するとされる期間が1か月以上のものを指しています。
1か月未満の場合は「軽傷」とされます。
「危篤」ほどではない →「重体」→「重体」ほどではない →「重傷」→「重傷」ほどひどくない →「軽傷」
このような感じですね。
さてさて、ここで「重症」です。こちらはあまり聞かない(文字として見ることが少ない)かもしれません。
これは「病気」「ケガ」どちらであっても使われる言葉ですが、ほとんど医療機関で使われている言葉なのです。
状態としては「全治3週間以上で入院の必要がある」傷病を指しています。
この「重症」がケガのことを指していた場合「重傷」との違いはほとんどないことになります。
じゃあ、どうして1つの言葉にしちゃわないの?
ごもっとも。
では、何が「重傷」と「重症」を分けているのか?
まずはこちらの2つから見ていってみましょう。
「重傷」?「重症」? 違いはコチラ!
「重傷」は「ケガ」、「重症」は「ケガ」と「病気」。ですがニュース等報道で使われているのは、大抵の場合「重傷」の方。
本当なら、事故で酷いけがを負った場合など「重症」も当てはまるはずなのに、なぜ?
これは「どこがその定義を定めているか」による違いなのです。
「重症」での治療に必要な日数を定義しているのは「消防庁」。 「重傷」では「警察」の定義です。
まずは、その定義を。
- 重症(消防): 傷病の程度が3週間以上の、入院を必要とするもの
- 重傷(警察): 命に別状はないが全治30日以上必要とする深い傷や重い怪我
似てますね。
この差は「医療機関」と「警察機関」の違い。
「医療機関(消防)」では救急搬送されてくる患者や入院患者の状態を、つまり病気でもケガの場合でも「症状」と捉え「重症」の用語を、また警察機関では事故現場等、そこで見るのは怪我人の状態のため「重傷」の方が使われているのです。
- 重症: 消防庁定義する「病気やケガの症状」の程度を示す用語
- 重症: 警察の定義する「傷(ケガ)」の程度を示す用語
そしてほとんどの場合、ニュース等マスコミが基とするのは警察からの発表。救急搬送先の病院まで行って、話を聞いてくるわけではないからですね。
よって交通事故などで使われる言葉は、警察の発表による、警察の定義した「重傷」の方、となっているのです。
「全治30日以上」と定義されているため、それに当てはまれば、たとえケガした場所が足の小指でも「重傷」と報道されることも多く、また仮に入院するようなケガでも、1か月以内に完治が見込めるようなものであれば「軽傷」。
厳密には「1か月未満の入院」を「中傷」、「治療のみで入院の必要のない場合」が「軽傷」とされているのですが「中傷」は言葉が悪い、誹謗中傷などとの誤解も招きかねず、また「軽傷」との差がそれほどあるわけではない、として「重傷」の定義に当てはまらない程度であれば、ほとんどが「軽傷」と表現されます。
ですので「え! これで軽傷なの!?」といったケガ、もしくはその逆もあり得るのですね。
一方の「重症」。消防庁ではもう少し詳しく定義されており、
- 重症: 傷病の程度が3週間以上の入院を必要とするもの(前述の)
- 中等症: 入院を必要とするが重症に至らない傷病
- 軽症: 入院加療を必要としない傷病
医療機関での方が、実際のケガの程度を細かく分けているのですね。
「重傷」と「重症」では、判断する基準が違うのです。
また「重傷」は「痛手」「深手」などとも表現されることもあります。
「痛手」はケガというより「物質的・精神的なダメージ」にも使われる言葉。「深手」は和語。昔から使われていた古い言い方です。
「重症」では似たような言葉に「大病」や「重病」などがありますが、こちらの2つは「病気」に対してのみ使われる言葉。ケガには使われません。
「失恋」したなどは「痛手」ですね。ですが「恋の病」でため息ばかりついてしまうようなら、それは「重症」とされるのです。
「重体」とは?
さてさて「重傷」よりも「重症」よりも重い「重体」。ニュース等でこの用語が使われた場合には「意識不明」であったり「大量出血」があったり、と、かなり危険な状態。心配です。
こちらは報道機関・医療機関の区別なしに、どちらも「命に関わるほどの重い病気、負傷のこと」を指す場合に使われる用語となっています。
単純な骨折などでも、全治1か月以上であれば「重傷」と報道されますが「重体」はレベルが違います。
脳や内臓の器官など、生命の維持に深く関わっている部位に損傷を受けた状態、または病気などの場合でも、生死に関わるほど危険な状態を指して「重体」です。
全治期間1か月以上、とされてはいますが、それはそうだろう、というか、もはや期間云々はあまり関係なくなっている状態。命に別状があるのです。
「重体」とはケガや病気の程度を示したものではなく「生命の危険」について使われる用語となります(「重態」と表記されることもあります)。
『重体・重傷・重症』はこんなに違う!!
なんとなくどこかが痛いです……ニュースなどではあまりダイレクトに言ってしまっては与えるショックが大きいと懸念されているのか、本当にわかりにくい用語がたくさんあります。
ですが「定義」とされるものもあるため、知ってしまえばかなりわかりやすく聞くことができるのも事実。
ではここで、もう一度3つのあれこれを比較しつつ、違いをまとめていってみましょう。
言葉の意味は?
- 重体(重態): 病気・ケガ(負傷)の様態が重く危険なこと。生命に危険があること
- 重傷: 重い傷、大きな負傷、大怪我、深手
- 重症: 重い病気、重い症状(ケガについても)
「じゅうしょう」の定義を決めているのは?
- 重傷: 警察
→ 命に別状はないが、全治30日以上を必要とする深い傷や重い怪我 - 重症: 消防
→ 傷病の程度が3週間以上の入院を必要とするもの
「報道用語」としての使い分けは?
- 重傷: 全治1か月以上と診断されるもの
- 重体: 全治1か月以上で、生命維持に関わる部位に損傷を受けている状態(後遺障害の残る恐れあり)
伝えたいことは?
♦手術代を支払い、重症の犬を保護した女性。その後、犬が彼女の人生を豊かにしてくれた。
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=lCN25x7mjbA&w=560&h=315]- 重傷: 命には関わりませんが酷いケガです!
- 重症: 命には別状ありませんが、病気もしくはケガの状態は重いです!
- 重体: 病気・ケガどちらの場合でも、生命が危険な状態です。
終わりに……
「重傷」「重症」を分けているのは、示すものが「ケガ」なのか「病気」も含むものなのか、また、それらの治療に必要な日数を定義しているのが「警察」か「消防」か、さらにニュース等報道が基にするのが警察発表のため「重傷」の表記が使われる……なるほど、とも思いますが、やっぱりややこしい……
「重体」は一つ抜き出てわかりやすいのですが、その状態を思うと、何とも言えない気分になってしまいます……
ですが、それでも伝えようとしてくれている報道機関。用語の違いを知り、しっかりと受け止めることで感謝を示したい!
いかがでしたでしょう。
「重体・重傷・重症」、その違いや定義等、多少なりともスッキリのお手伝いになりましたでしょうか。
ケガや病気と戦っている方々の、少しでも早い回復も併せて願っております!!
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