だからこれは、ゴミじゃないんですって! 全部私にとっては大事なものなんです!
数か月に一度はワイドショーなどで流れる、もはやおなじみのセリフ。
本当に大事なものかそうでもないものかは別として、間違いなく「保存」「保管」の意識には問題のありそうな屋敷がバックには映っています。
大事なものなら、仕舞っときなさいって……しかも家の外に出しとくって……
と密かにツッコんでいる方もおられるかもしれません。
同感です。せめて家の中には入れてほしい……
……さてさて「保存」「保管」です。
上記のものとは若干異なりますが、いかに「断捨離」が熱く語られる昨今にあっても、どうしても捨てられない大事なものは結構あるもの。
小さなころからお気に入りのぬいぐるみ、上京する姉から預かった鍵(ただしどこの鍵かは不明。だからといって捨てたらものすごく怒られそう)、最近集め始めたミニカーのコレクション……etc
また、パソコンなどでも大切なデータにはこまめな管理が必要。これを怠ると地獄を見ます。
「保存」「保管」は大事なのです。
……大事なのですが、どっちがどっちだか、イマイチわからないのです。
だってどちらも大事なものを仕舞っておく、ってことっぽいのですもの……
「保存」「保管」の使い分け、意味等含めまして2つの違いを解説いたします。
大事なものはいつでもまた使えるように、大切に仕舞っておきたい! の気持ちにお応えできれば幸いです。
目次
「保存・保管」はココが違う!
「たとえ今すぐには使わなくとも、後々のために取っておくこと」これがどちらにも共通する意味。
「保存」「保管」を分けているのは「取っておく」その状況です。
簡単に言いますと、「保存」では、その取っておくものの「原状(または現状)を維持」に重点が置かれ、「保管」では「そのもの自体を管理しつつ保持する」ことが重視されます。
「保存」では「状態」をキープ、「保管」では「そのもの」をキープ、といった感じですね。
ですので野菜などの食品は「保管」しません。なぜなら新鮮な状態のままをキープしたいものだから。
逆に預かりものなどは「保管」です。ただ単に「保存」しておくのではなく、返すまでちゃんと管理しながら置いておかなくてはならないからです。
ですので「保存」とは状態をキープ、つまり「状態の変化しやすいもの」に対して使われることの多い言葉。
「保管」とは「状態が変化しないもの」を一定の管理のもと保存しておく場合に多く使われる言葉となります。どちらかといいますと他人や公共のものを預かり、それを管理しながら保持する、といった形で使われる言葉です。
大まかな違いですが、まずはこちらを押さえておいていただき、では続いてそれぞれについて少し詳しく見ていってみましょう。
「保存」とは?
- そのままの状態を保って失わないこと
- 原状のまま維持すること
- コンピュータなどのデータを記憶媒体等に記憶すること
先ほども書きました通り、保存の真骨頂は「状態を保ったまま」というところ。
野菜などの食材も「保存」ですが、重要文化財なども「保存」。
「保存食」といったら「長期間品質が劣化せず、食べることのできる状態を保っていられる食品」のこと、パソコンの「保存」であれば、1文字も変えることなく丸ごと取っておくこと、魚を通常より長く保存しておきたければ、冷凍したり、干物にしたりします。
どれも状態を維持していますね。
状態が変化しないよう注意は払いますが、これらが再び使われるのは今日明日でなくても構いません。
というより、そのために「保存」しておくわけです。
つまり「保存」とは「その対象物の状態を保たせながら取っておくこと」を指す言葉となります。
「保管」とは?
- 大切なものを、壊したりなくしたりしないように保存すること
- 物品を預かって、保存・管理しておくこと
「保存」同様、あるものを大切に取っておいていますが「状態の維持」はそれほど重要視されていません。
状態の変化云々よりも、その対象物をしっかり管理しておく、といった意味合いが強く、また管理しているわけですので、必要時にはすぐに取り出すことができるのも「保管」の特徴。
着物や帯などは「保管」です。放っておいては虫に食われてしまいます。大事に保存しておくだけではなく、ちゃんとした管理も大切。
また通帳や印鑑も「保管」。いざという時にはさっと取り出せる場所に、ですがそのまま放置、などではなく決められたところに置いておく必要のあるものです。
印鑑を保存しておいても仕方がないのです。
歴史的価値のある印鑑、などでしたら「保存」ですね。そのままの状態を保っておかなければ「歴史的価値」が暴落です。
初めの方に書きました「お姉さまから預かった鍵」。これも「保管」。
お姉さまの里帰りなど、いずれ返す時に備え、なくさないようしっかり管理しておかなければ大変なことになりそうです。が、状態を気にしていても仕方がありません。預かっていた鍵が、時間だけを経てそのままお姉さまのもとに戻る、といったイメージ。
大事なのは「壊さず、なくさず」です。そしてそのための管理ですね。
「保管」とは「その対象物を壊したり(損なったり)なくしたりしないよう、管理しながら取っておくこと」を示す言葉です。
ちょっと違う「保存」と「保管」
さてさて、ここでちょっとだけイレギュラな「保存」「保管」について。書類など文書の場合です。「ファイリング」ですね。これはまず何が違うか、といいますと、最終的に向かう先が「廃棄」である、ということ。
一般的な「保存」「保管」はあくまでも「取っておく」ためにしているわけです。「その状態を保たせながら取っておく『保存』」「状態ではなくそのものの存在を保たせるため保存し、管理する『保管』」ですね。
ですが書類などの場合、そんなことを言ってはいられないのです。会社などでの場合、永遠に増え続けていくことに。何年も前の書類は決められた一定期間を経た後は廃棄処分です。
「比較的頻繁に使うもの」「それほど頻度がないため、倉庫や書庫に移しても支障が出ないもの」「取っておく必要のなくなったもの」に分けられます。
簡単にその流れをまとめてみますと、
- 文書が発生 → 使用中のもの・比較的頻繁に使うものは個別フォルダなどに整理 → 使用頻度に合わせキャビネットなど、取り出しやすい場所に移動
➡ ここまでがまだ活用されている文書 - それほど使用頻度のない文書は倉庫などに → 取っておく必要のなくなった文書を廃棄
➡ この間は使用済み文書としての扱い
つまり「文書発生」→「活用中は『保管』」→「使用済みの文章は『保存』」→「保存期間満了のものを『廃棄』」です。
一般的な「保存」「保管」とはちょっと違いますね。
ですがこの流れは仕事、または個人的なことでの整理の上でも作業効率を上げてくれる大事なものなのです。
書類の立ち位置をはっきりさせると、格段に能率もアップします!
「保存」と「保管」の違いアレコレ♪
普通の使われ方と違う、文書の「保存」「保管」で少しややこしくなってしまいましたが、ポイントさえつかめていればこの2つの使い分けや違いは結構はっきりしています。特にこちらの2つの言葉を意識することなく、けれど普段から何かを大事に取っておいたり、食品等、冷蔵庫に仕舞ったりはしているのです。問題は、それが「保存」なのか「保管」だったのか、ですね。
ではここでもう一度2つの違い、使い分けのおさらいです。
色々な場面ごとに見ていってみましょう。
これは「保存」ですか?「保管」ですか?
-
◎小さな頃から愛用のタオルケット、これがないと眠れません! でも修学旅行にはさすがに持っていけません!!
- 「保管」 → 結構ボロボロですね……古くなって汚れが目立ってくるのは仕方がありません。ですが、留守中に丁寧に洗濯してもらい、飼い猫に引っかかれたりしないよう大事に保管してもらっておけば、帰ってきてからもまだまだ使えそうです。 ◎あ……! 今まで書いてた文章が!!(PC編)
- 「保存」 → これは痛いです。しばらく動けなくなるほどに痛いです……だからこまめに上書き保存なんですって…… ◎疲れた……続きは明日にしよう……(原稿用紙編)
- 「保管」 → 風で飛ばされないよう重しを乗せておく、お子さんに落書きをされないよう机の鍵をかけるなどしてしっかり保管です。 ◎冷蔵庫の奥にまだ食べられる納豆発見。もうないと思って買ってきちゃった……冷蔵庫に計6パック……
- 「保存」 → 大丈夫です。納豆は冷凍保存できるのです。食べる30分~1時間ほど前には自然解凍させましょう。そして次回からはもうちょっとちゃんと冷蔵庫を確認しましょう。 ◎お出かけの際は、お部屋に備え付けの「貴重品入れ」をぜひお使いくださいませ(ホテル編)
- 「保管」 → 貴重品などは金庫に入れ、自己管理です。 ◎つ、ついに手に入れたぞ! 幻の一冊!
- 「保存」 → 何の本でしょう、気になります……「保存用」と「読みたおす用」と本当は2冊あるのが理想なのですが…… ◎お財布を拾ってしまった……交番に届けるべきか、悪魔に魂を売るべきか……
- 「交番」!! →「保管」ですね。お巡りさんに持ち主が現れるまでしっかり管理しておいてもらいましょう。
「保存」「保管」わかりやすい違い・使い分けは?
- 保存: そのままの状態を保たせることに重点の置かれたもの(そのものの状態をキープ)
→ つまり時間が経つにつれ、何らかの変化が現れるものに対して用いられることが多い言葉です。
→ 文書の場合には「使用済みのもの」など、すぐに取り出す必要がないため書庫や倉庫にある状態。 - 保管: 大切なものを壊したりなくしたりしないよう、管理し保存しておくこと(状態ではなくそのものをキープ)
→ 時間の経過によっての変化が見られないものに多く使われます。
→ 文書の場合では「活用中のもの」。使用頻度が高く、取り出しやすい場所に整理しておかれます。
終わりに……
何か大事なものを、どこの部分に重点を置き取っておくのか、で変わる「保存」と「保管」。まぁ、どっちでもそれほど変わりはないか……
……!!
確かに「保存」のつもりで「保管」していても、誰が困るわけでも、目的さえ果たせているなら自分でさえ困らないのですが……
でもでも、大事なものに関することだからこそこだわりたいではないですか!!
さてさて、皆さまはこだわりたい派、とりあえずゴミ屋敷っぽくならなきゃ言い方なんてどっちでもいいじゃん派、 どちら派でしたでしょうか。
こだわらない派でも、問題のなさそうなこれら「言葉の違い」。
ですがこだわりたい派にはたまらない細かい違い。
できることならどちらの派閥の方々にも「まぁ、納得」と思っていただけていましたらうれしいです!
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