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「ともに」と「ともに」と……「ばんに」?

疑問


確かに「伴に」はあまり見かけないかもしれません。

ひらがな表記での「ともに」もありますね。


これ、もしかして使い分けのルールとかあったりする? もの凄く面倒臭そうな予感がするんだけど……



いや、それほど面倒臭くはありません。ちょっと面倒臭い程度です。

日本語にはこのような紛らわしい言葉が結構あるのですね。

ですが、その言葉の意味するところを知ると「なんとも風情豊かで美しいじゃないか!!」となったりならなかったり……します。


この際「供に・共に・伴に」の違いを知ってしまいましょう!!

3つの「ともに」について、わかりやすく解説いたします。

皆さまの「日本語って……美しい……」に少しでも繋がれば幸いです。


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「共に・供に・伴に」は何が違う?


「お供え物」などとも使われる文字「供」、「共学」や「共通」の「共」、「伴奏」「伴走」などの「伴」。

これらプラス「に」で、いずれの文字も「ともに」と読みます。

そしてその意味もほぼ同じ。


……? じゃ、なんで3つ?


ですね。日本語マジックです。


簡単に3つの関係をいいますと「供に」は「共に」の当て字。「伴に」は「共に」のもう一つの言い回しといった感じ。


つまり「供に」の文字はすべて「共に」と書き表わすことができ、また「伴に」はマイナーな「共に」の書き方のため、「伴う(ともなう)」の意味を前面に出したい場合、使っても構いませんがやはり「共に」に書き直しても、まったく問題のない言葉なのです。

みんな一緒。


一般的なものが「共に」。それと同じ意味で言い回しが違うのが「伴に」。「共に」の当て字として存在している書き方が「供に」ですね。


さてさて、先ほども書きました通り、これらの他にも「ともに」はひらがなで書かれることもあります


ひらがなバージョンは子供向けの書き方?


だったら楽なのですが……

ではまず「供に」と「共に」、そしてひらがなの「ともに」について、どんな場面で登場する言葉なのかを見ていきましょう

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「共に」?「供に」?「ともに」の使い分け


一般的な書き方の「共に」。

辞書的な意味には、

  • 一つになって、一緒に、同じく
  • 同時に(あわせて)

などがあり、たいていの辞書には「倶」の文字がバツ印付きで一緒に載っています。「バツ印」は「常用漢字ではない」ことを表わす記号なので、よっぽどの理由がない限り使われることはありません。ですのこの文字に関してはスルーでOKです。


続いての「供に」。

これは辞書には載ってないのですね。


辞書にあるのは「供 = とも / キョウ・ク・グ」としてです。

そしてこちらの意味は、

  • 神仏などに捧げそなえる
  • 差し出して役立てる
  • 事情を述べる
  • (饗の代用字として)酒食で人をもてなす / (キョウ)

  • 神仏などに捧げそなえる
  • 人のおともをする / (ク・グ)

  • 人に付き従う、後ろに従って行く
  • とも / (とも・ども)

後半は「共に」に少し近い感じになっていますが、厳密には「供に(ともに)」の形で使う文字ではないのです。

よって「供に」は「当て字」とされるわけですが、「人偏(にんべん)」が付くことにより、「人と一緒」の印象は強化されています。

ですので「共に」を「供に」としても間違いとはならない、でも当て字、でも「人偏が……」という絡み合ったループ状態となっているわけです。


「ともに」ではなく「とも」で考えてみますと、「供」の字で真っ先に思い浮かぶのは「子供」。これは逆に「子共」とは書きません。ですが、ほとんどは「供養」や「試供品」など「ク」「キョウ」としての意味合いでの登場の多い文字となります。


さて、その「子供」です。

こちらは「子ども」と表されることもありますね。

「供」の「供える」などの意味から「いや、こどもは供えちゃマズいだろ」等の考えもあり、あえて「とも」とひらがなで書く、という方もおられるかと思いますが、実は公用文では「ともに」についてはこちらのひらがな表記で、とされているのです。

ですので「子ども」でもいいのですね。


また、一般に使う場合にも「共に」と「ともに」には一応の住み分けがあり、前述の「共に」の意味のうち「一緒に」の意味合いで使う場合には「共に」を、「~と同時に」の意味で使う場合には「ともに」とひらがなで書くことがより一般的となります。


「ともに戦おう!」=「一緒に戦おう!」のような場合には「共に」、「茹で上がりとともにソースを絡める」=「茹で上げるだけでなく、それと同時にソースも絡めていく」のような場面では「ともに」、ひらがな表記です。


また「夫婦ともに」や「男女ともに」のように複数を表わす言葉(名詞)の後に付け「夫も妻も」「男性も女性も」みんな同じ状態ですよ、の意味で使う場合にもひらがなの「ともに」。


「共に」「供に」では「共に」が一般的な表記ですが、全体的に見てみますと、一番多く使われているのはひらがな表記の「ともに」なのです
(※「ともに」だらけの文章でちょっと、グッタリしてきてしまいました。皆さまは大丈夫でしょうか。もう一つ「伴に」も控えております。疲れていたら、少し休憩してください)


「伴に」はいつ使う?


「共に」と同じく「一緒に」「同時に」といった意味で使われる「伴に」。

ほとんどが「共に」で表されます。


さて、先ほどの「共に」の意味に一旦戻りましょう。

バツ印付きで記載されていた文字は「倶」。ですが「共に」ではなく「共」で見てみると、一緒に記載されている文字が「▽」付きの「伴」の文字に変わります


「▽」は「常用漢字ではあるが、音訓表に示されていない」文字を表す記号。

つまり、「伴」は常用漢字としては範囲外の読み方、となります。「とも」とは読めないのです。


「伴」は「伴う(ともなう)」ですね。

または初めの方にも書きましたが「伴走」「伴奏」または「同伴」など「ともなう・連れだつ・付き添う」といった意味合いで使われる言葉。


確かに「一緒に」にも似ています。

例えば「伴走」などでは「つきそって・ともなって」走る、という意味ではありますが「一緒に」走っている、との思いも強いもの

こういった場合には「伴に」=「ともに」でいいのではないでしょうか。


公用文ではすでに「ともに」とされているため、もはやここまで来たら個人のセンスです。

テストではバッテンになるかと思いますが(「ともに」を「伴に」と書いた場合)、個人的な文章では思い入れを込め「伴に走った」「伴に舞台に立ち演奏した」はむしろ情景が浮かびます。


どのような場面でも当てはまる文字ではありませんが「そういうことなら」といった言葉では「伴に」もあり。

ただし正確を期する場合には「ともに」もしくは「共に」です。


さて「伴に」ですが、上記の場面以外でも「ともに~する」という形ではなく「お伴する」などの若干変則的な使い方ならOK、という裏技も持ちます。


妹と共に出かける」を「妹を伴に出かける」に、「ごはんと共に明太子を食べる」は「ごはんのお伴に明太子を食す」のような感じですね。

「妹と一緒に出かける」のではなく「妹を従えて」のような感じ、「ごはんと一緒に食べる」のではなく「ごはんを食べるためのアイテムが明太子」といった意味合いに変化します。


使う場面次第で、ちょっとニュアンス的にどうなのよ、と思われる変化を遂げてしまうこともありますが、きれいな表現にするためあえて使う「伴に走る」などの他にも、名詞・動詞的な使われ方もあるのですね。

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「 共に・供に・伴に」の違いをいろいろ比較♪


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「~と一緒に」または「~と同時に(あわせて)」の「供に・共に・伴に」。そしてついでにひらがな表記の「ともに」。


繊細な日本語、美しい日本語、でも目一杯面倒くさい日本語……うーん。もはや日本語でさえないコンピュータ用語なんかと比べればまだマシか……いや、ほぼ互角か……


さてさて、ではここでもう一度おさらいも兼ねまして「ともに」×4の違い、使い分け等をまとめていってみましょう。

それぞれの意味は?


    ◎共に(×倶に)(「共」だと「▽伴」)
  • 一つになって、一緒に、同じく
  • ~と同時に(あわせて)

  • ◎供(キョウ・ク・グ / とも・ども)
  • 差し出す、用立てる
  • 申し立てる、述べる
  • もてなす

  • 人のおともをする、人の後ろに付き従って行くこと、主人に仕え、付き従うこと

  • ◎伴(ハン・バン)
  • 連れ
  • ともなう、連れていく

それぞれの関係は?


  • 供に:「共に」の当て字
  • 伴に: 通常「共に」で表されることの多い「一緒に」「同時に」の意味で使われる言い回し。ただし「伴に」の形で使われることは稀。「~の伴、お伴」のように用いるのが一般的(でもたいていは「共」と書かれる
  • 共に: 辞書的な意味のうち、特に「一緒に」といった意味合いで使われる
  • ともに: 公用文ではこちらのひらがな表記。辞書的な意味のうち、特に「~と同時に」の意味合いで使う場合には公用文でなくても「ともに」とするのがより一般的

使って安心なのは?


  • 「ともに」か「共に」です
     → どの文字を使っても間違いにはなりません(漢字のテストなら「共に」。公式な文書ですと厳密には「ともに」ですが、あくまでそれは役所側の話なので、仮に「共に」と書いた場合でも「書き直し!」などということはありません)が、「伴に」は「伴う」的ニュアンスのあるものでないと違和感がすごいことになります。「供に」はどうしても「供える」がイメージとして定着しているため、使う場面を選びそうですね。

終わりに……


「共に」かひらがなの「ともに」に統一しちゃえばいいじゃん……



そういうことを言ってはいけないのです!!
思っていても言っちゃダメです!


漢字以外でも「ひらがな」「カタカナ」をあえて使い、表現したいことを伝わりやすくする、といった手法もよくとられています。

「鞄・かばん・カバン」「綺麗・きれい・キレイ」など。ずいぶんと印象が変わってきます。

個人的な文章であれば、どのタイプを選択するかは、自由。一つの文章内を「これ」と決めた表記で統一すれば問題ないのです。


……といいつつ、これからは無難に「共に」か「ともに」でやり過ごそう、と思ってはいますが……


さていかがでしたでしょう。

「共に・供に・伴に」のモヤモヤは少しでも薄れましたでしょうか。

「別に美しいとは思わないけど、そういうことなら、まぁいいか」などと思っていただけましたらうれしいです。


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