ちらりと見えた車内にはシャンパングラスが並び、広々とした空間には静かにクラシックが流れ……
お金持ちです!! 映画などにはこんな絵にかいたような贅沢をしている人物がしばしば登場します。
……はぁ、こっちは終電逃して、泣く泣くタクシーで帰宅なのに……
いや、確か、あそこまで凄くなくても『ハイヤー』ってやつがあったんじゃなかったけ?
高いイメージあるけど、お金さえ払う覚悟があれば、自分も乗れるのか? っていうか、普通に街中走ってる? 手、挙げれば乗せてくれるの?
謎ですね! そういわれれば、ハイヤーってタクシーと何が違うのでしょう。
乗車料金が高いだろうことは何となく想像できるのですが……
『タクシー』と『ハイヤー』、料金等も含め、違いを紹介いたします。
どうぞ、次回映画でお金持ちの主人公に出会った際には、画面越しにうんちく等、教えてあげてくださいね!
目次
タクシーとハイヤーの違いを超簡単に
「道路運送法」では『タクシーの一種』とされている『ハイヤー』。法律上では「ハイヤーとはタクシーと違い、こういうものである」といった定義はないものの『特別な時にはハイヤー(だって高そうだから)』『普段乗りにはタクシー』、というイメージをどなたもお持ちなのではないでしょうか。ではそれを分けている違いとは?
なぜ『ハイヤー』が特別なおもてなし用、として『タクシー』と分けて呼ばれているのか。『タクシー』『ハイヤー』、2つの特徴、違い等を比較しつつ探っていってみましょう!
タクシーとは?
◇タクシードライバーの仕事とは 【日立自動車交通】
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=5FTzFNJ3Y9c&w=560&h=315]駅前で乗車客を待っていたり、または街中で手を挙げれば、近づいてきてくれ目的地まで運んでくれるタクシー。
電車やバスに比べるとちょっと贅沢な気もしますが、案外気軽に利用できる、公共交通機関の一つです。
車体にオレンジや緑、黄色等、派手めの色が使われていることが多いのは『タクシーを探しているお客さんが見つけやすいように』という理由から。確かに目立ちますね。
初乗り料金が数年ごとに上がっているように感じますが、そこはさておき、その初乗り料金プラス、乗った場所から目的地、降りる場所までが乗車料金(利用料金)となります。乗車の時間、距離を車内に設置された「メーター」で測り、それに合わせた料金を払うシステムです。
……何だか、当たり前のことを書いているような気がしてきましたが、次はちょっとだけマメ知識。
タクシーの誕生は1912(大正元年)8月5日。日本で自動車が走り始めたのが1899年なので、それから13年後のことです。
本社のあった数寄屋橋(東京都中央区銀座5—1—1)は、1958年に外堀が東京高速道路の建設のため埋め立てられ、取り壊されてしまいましたが、現在では「数寄屋橋公園」に、橋があったことを示す碑が建っています。また、晴海通り、外堀通りの交差点名としても残っています。
「誕生地」のその後の歩みも、何ともタクシー会社らしいですね!
ハイヤーとは?
『ハイヤー(hire)』には賃貸、雇用などの意味があり、海外で車を指し「ハイヤー」と言っても通じません。海外での正式名称は『ハイヤー』ではなく、『リムジン』です。リムジン!! あの、例のヤツですね!目立つ色の車体で走る『タクシー』と違い、ハイヤーの色はほとんどが黒です。街中を走り乗車客を拾う「流し営業」は行わず、会社や営業所で待機、電話などでお客さんに呼ばれて初めて出庫、といった営業スタイルのため、車体を見つけやすい色のものにする必要はないのですね。
黒塗りの高級車、派手さはありませんが、落ち着いた重厚感があります。
また、こういった営業スタイルのため、お客さんがどこで乗りどこで降りるか、に関わらず、料金は出庫時から帰庫まで。『ハイヤー』とは「hire」の意味通り、「車と運転手さんを時間で雇う」形で利用するもの、となります。
営業許可を取るため、「メーター」をつけることは条件の一つですが、ハイヤーでは乗客からは見えない位置に設置されています。ドアの開け閉めも、ドライバーさん自らがやってくれます。
車種にはハイブリットカーやセダンタイプが多く使われていますが、ワンボックスカーやミニバンもあります。そして数としては少ないものの、中には後部座席を広げ、TVモニタやサラウンドオーディオシステム、シャンパンクーラーなどを備え、贅沢感満載のハイヤーもあるようです。
映画の世界に近づいてきましたね!!
飛行機や客船など観光にも使われるものではなく、純粋な移動手段、として考えるなら、ハイヤーは「最も高い付加価値」を持つもの、とされています。
タクシーは公共交通機関ですが、ハイヤーは『個別輸送機関』、また『サービスコミュニケーションの場』でもあるのです。
ですので「ハイヤー乗務員」さんも、安全教育、英会話など、定期的な教育体制の下、日々努力を続けているわけです。
『ハイヤー』とは「各会社・営業所から雇った乗務員(運転手)さん付きの貸し切り乗用車」のこと。ここまでくると、もう高くないとおかしい! と思えてきます。
では、続いて『タクシー』と『ハイヤー』それぞれの特徴等から違いを比較しつつ、気になる料金なども見ていってみましょう!
タクシーとハイヤーの詳しい違いと料金は?
もはや違いを聞かれて「だってハイヤーもタクシーの一種なんでしょ? ちょっと高いけど、同じじゃない?」とは言えないレベルになってきた2つ。一体ハイヤーを利用する人とは、何者なのでしょうか?
こんな使われ方をしています!
- 役員車・社用車として(利用頻度や送迎区間、時間帯、乗務員の条件などを相談の上)
- 通勤使用(たぶん、役員さんや大物の)
- ゴルフ使用(一日貸し切りの形で)
- スポット使用(一時間または15㎞など、会社によって決められた距離で計算)
タクシーにできてハイヤーにはできないこと
- 流し営業(道を走りながら乗りたいお客さんを見つけ、乗せる営業法)
→ ハイヤーでは「流し営業」はNGです。 -
駅前で乗車客を待つ
→ ハイヤーは駅前で待つ代わりに会社や営業所でお客さんから依頼の電話を待ちます。 - 後部座席からメータを見て、乗車料金をチェック
→ ハイヤーのメーターは、乗客から見えないところに設置されています。また仮に見えたところで、料金システムが違うためどうにもなりません。
料金システムの違いって?
- タクシー: 乗ったところから降りる場所までを現金、またはカード等で、その場での支払い(タクシーチケットを契約すると、後払いでの清算や、利用者の部署別に請求書の仕分けをしてくれたり、複数の支払処理なども一括して代行してくれる等のサービスも受けられます)。
- ハイヤー: 依頼を受け、出庫から帰庫までの完全予約制。料金は1か月ごと、月末など決められた日に締め、翌月にまとめての支払いとなります。
サービスの違いは?
◎ドアの開閉- タクシー: 運転手さんが車内から操作の自動ドア。
- ハイヤー: 運転手さんが車内から外に出てきて、自ら開け閉め。
- タクシー: 利用客が見つけやすいよう、あえての派手目の配色(オレンジ、黄色、緑などが多い)。
- ハイヤー: 流し営業をしていないので目立つ配色の必要はなく、むしろ高級感を出すため多いのは黒塗り。
- タクシー: あります。それによって、乗車時間・走行距離に合わせた料金が決まります。
- ハイヤー: あります。が、見えません。「お金のことなど考えずに、どうぞごゆっくりお寛ぎください」、といったサービスの一種とも言えます。
どんな時に乗る?
- タクシー: 友達や家族同士の移動手段として / 取引先への訪問など、電車・バスより有効な場合 / ……終電が終わった
→ 普段の移動手段として一般 - ハイヤー: 法事など(タクシーの派手な色を嫌う場面ですので。また、流しのタクシーが通っていない、タクシー自体が少ない場所のお寺さんなどでは、前もって契約していることも多いです) / 大企業の役員送迎 / ゴルフなど接待用の送迎
→ おもてなし感を前面に出した場や、厳粛な雰囲気が重んじられるところへの送迎時
タクシーさん、ハイヤーさん、契約って必要なの?
- タクシー: いいえ! どなたでもお気軽にご乗車ください!
- ハイヤー: はい! 利用前に「契約書」、「審査」が必要となります。また契約時には『保証金(数十万)』もご用意ください(保証金は解約時返金致します)。
個人でも乗れる?
- タクシー: はい! ほぼ、ご利用の皆さん、そうですからご安心を!!
- ハイヤー: う~ん。上記の通りです。基本、契約が必要です。皆さん、個人で、というより法人がすでに契約しているハイヤーを個人単位で利用している、といった感じでご利用いただいておりますので……
ちょっとそこまで行きたいんですが。5千円で足りますか?
- タクシー: 初乗り料金プラス、ワンメーター。ツーメーターまでいかないですね。お釣りが出ますよ!
- ハイヤー: ごめんなさい、初乗り料金とかメーターとか、そういうシステムではないのです。申し訳ございません、無理です。
ハイヤーさん、一体どのくらい掛かるのですか?
(目安としてお考えください)- ゴルフ使用: 一日単位で45,000円~
- スポット使用: 1時間または15㎞ 6,400~11,000円 / 30分毎にプラス2,850円(回送30分毎にプラス2,500円)
- 5㎞以内: 20,000円(タクシーではだいたい2,000~3,000円)
本当に移動手段ですか?
- タクシー: はい、まぎれもなく移動手段です! 公共交通機関ですので!
- ハイヤー: はい、間違いなく移動手段です! 個別輸送機関として、格式を重んじ、乗車されたお客様に時間と空間の快適を! がモットーです。
ハイヤーとは、車だけではなく乗務員までをも含めたもの、とお捉えください!
終わりに…
タクシーを利用する乗客を「旅客」と表現する場合があります。「道路運送法」によればタクシー業務には「一般乗用旅客運送事業」、という正式名称があるからです。その経営者(タクシー会社の社長さんなど)は、事業の許認可を受けなければ開業することはできませんが、その際、『タクシー』と『ハイヤー』の届け出の条件には区別がないのです。
このことも「ハイヤーはタクシーの一種」と言われる理由の一つと言えます。
とはいっても、官公庁や一部の企業等では、誰が来るのかが配車情報として事前にチェックできるハイヤー以外、入ることを許可されていない、などというケースもあるようです。ハイヤーの突っ走っている高級さは、ちゃんと信用にも繋がっているのですね。理由のある高さなら、納得です!!
一生に一度くらいはハイヤーに乗ってみたい気もしますが、「これはハイヤーですか?」と聞きたくなるほど丁寧で親切なタクシーの運転手さんも多くおられます。
どちらの運転手さんも運転のプロ。
別にシャンパンクーラーなんていらないか、だって家、帰るだけだし……などと負け惜しみではなく思えてきました。
いかがでしたでしょう。
タクシーとハイヤー、それぞれの違いへのムズムズ感の解消に、少しはお役に立てたでしょうか?
大変ありがたい2つの車なのですが、でもやっぱり、なるべく、できるなら電車のある時間のご帰宅を! と願っております!!
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