「セリーグとパリーグって、なんで分かれてんの? 東軍と西軍とか?」
のように思っている人たちもぜったい多いはず(勝手に断言)!
東とか西とか、全然関係ないんですよ~
※ 2軍は『ウエスタン(西)・リーグ』と『イースタン(東)・リーグ』に分かれてます
今年は公式戦が延期、交流戦と、オールスター・ゲームは中止が決定されています。
(※ 2020年5月15日現在 / 公式による / 状況によっては変化もあり)
ちょっと残念。
でも、これ、考えようによっては、
“もしかして、今のうちに『セリーグ・パリーグのあれこれ』を知っておけば、試合が再開されたときにドヤ顔できるんじゃ……?”
です。です。
── ということで、
『セリーグとパリーグって、なにが違うの? チーム名の意味とか由来は?
で、けっきょく、強いのはどっち』
など、あれこれのご紹介です。
ドヤ顔目指して、サクッといってみましょう。
目次
セリーグ・パリーグ、一番の違いは?
当たり前だけど、所属しているチームが違います!
とりあえず、両リーグの所属チームをあげていきますね。
-
■ セリーグ
- 読売ジャイアンツ(東京)
- 中日ドラゴンズ(愛知)
- 阪神タイガース(兵庫)
- 広島東洋カープ(広島)
- 横浜DeNAベイスターズ(神奈川)
- 東京ヤクルトスワローズ(東京)
-
■ パリーグ
- 福岡ソフトバンクホークス(福岡)
- 千葉ロッテマリーンズ(千葉)
- 北海道日本ハムファイターズ(北海道)
- 埼玉西武ライオンズ(埼玉)
- オリックスバファローズ(大阪)
- 東北楽天ゴールデンイーグルス(宮城)
ね、全然東西、関係ないんです。
じゃあ、なぜ分かれた?!
“ある球団の新規加入をめぐって、意見が2つに分かれたから”
です。
反対派が『セリーグ』。
賛成派が『パリーグ』。
2つに分かれる前までは8球団1リーグ制、『日本野球連盟(にほんやきゅうれんめい)』と呼ばれていました。
ごく簡単に、プロ野球の歴史的なモノもご紹介です。
日本野球連盟~分裂まで
それまでの名称『日本職業野球連盟』が『日本野球連盟』に変わったのが1939年。
1939年って……昭和14年ですよ……大昔です。
このころ日本は“日中戦争(1937年~)”をしていて、その後39年には第二次世界大戦をむかえることになるんですね。
そんな時代なので、1940年には、
“外国の言葉使うの禁止!”
なことにもなってます。
試合中の『アウト』とか『セーフ』とかも禁止。
- 「アウト!」→「ひけ!」「無為(むい)!」
- 「セーフ!」→「よし!」「安全!」
- 「ストライク!」→「よし、1本!」「正球!」
- 「ボール!」→「(ダメ)1つ!」「悪球!」
こんな感じだったんです。
ちなみにですが、『バイオリン』は、
『瓢箪型(ひょうたんがた)糸擦機(いとこすりき)』
に変えられました。
センスが、すごいです。
そして1945年8月15日に終戦。
その翌月の9月にはプロ野球が再開されます。
戦前・戦中と、ほとんど娯楽と呼べるものがなかった国民のハートをプロ野球はガッチリキャッチ。
球団にはそれぞれスポンサー(親会社)がついてますよね。
人気が出れば球団の経営も黒字になり、
“プロ野球 = かせげる事業”
になっていきます。
当時のチームとそのスポンサー
一応参考までに。
- 読売ジャイアンツ
→ 読売新聞社 - 大阪タイガース
→ 阪神電鉄 - 中日ドラゴンズ
→ 中日新聞社 - 松竹ロビンス
→ 松竹(映画会社) - 阪急ブレーブス
→ 阪急急行電鉄 - 南海ホークス
→ 南海電気鉄道 - 東急フライヤーズ
→ 東急電鉄 - 大映スターズ
→ 大映(映画会社)
1949年11月 代表者会議が開かれる
実は、プロ野球が盛り上がり始めたのは、戦後の復興対策のような感じで、アメリカが行った政策によるもの。
-
※ と言われていますが、詳しいことははっきりしてません
プロ野球で、国民に娯楽を! です。
が、それまではずっと、
”好きなことやってお金もらえていいよね~(とか言いつつ、けっこうバカにしてる)”
的な目で国民から見られていたのがプロ野球。
これまでの苦労がやっと報われ始めた! というところ。
もうちょっとズバッと言ってしまうと、
”やっと球団がお金を生み出す手段の一つになってくれた……今まで球団にかけてきた費用もこれでようやく回収できそうだ……”
です。
そしてその『人気 = もうかる』の図式に、未参加の企業からも注目が集まるようになってきます。
で、1945年の11月に各球団の代表者たちは、新規加入球団についての会議を開くことに。
そしてモメる
もともと野球連盟にいたスポンサー含め関係者にとっては、
“今までさんざん苦労して、やっとまともに稼げるような球団に育ってくれた……”
ですよね。
でも、これが新規加入する球団(のスポンサー)にとっては、
“もうかる事業として参加”
こんな違いが出てきます。
そして、『もうかる事業だから新規加入したい』という球団のひとつが、
“毎日オリオンズ”
これが問題だったんです。
“毎日オリオンズ”だとどうしてダメなの?
”毎日オリオンズは『毎日新聞社』を親会社とする球団”
そして、当時の野球連盟のなかで、もっとも権限があったのが、
“元読売新聞社社長で、当時のジャイアンツのオーナー”
-
※ 5月13日にはコミッショナー職(プロスポーツ組織の最高権限をもつ責任者)を辞任しています
でも実際には辞めても大きな影響力を持っていました
”プロ野球事業がもうかるようになったから参加したいだと?! しかも同業(新聞社)のライバル会社かよ!”
というわけで、新規加盟を認めたくなかったんですね。
……なんですが、実はジャイアンツのオーナーさんは、
”アメリカのメジャーリーグみたいに、いずれ12チームを2つに分けた2リーグ制でやっていきたいんだよね”
のようなことを記者会見の場で言ってるんです。
しかもその2リーグのひとつにジャイアンツ(読売)を、もう一つの柱として、
”毎日新聞社なんか、いいんじゃない?”
な考えでもあったんです。
でもジャイアンツオーナーさんは、『元』読売新聞社社長。
代わりに読売新聞社の実権を握っていたのは『反元社長派(元社長さんの名前は”正力松太郎さん”)』。
反元社長派なので、元社長の言うことにも『猛反対』です。
もちろん、普通にライバル会社においしい思いをさせるのもなんか、悔しい。
元社長うんぬんは抜きにして、『中日ドラゴンズ』も親会社は新聞社です。
ライバル社にうまい汁を吸わせるのはイヤ。
ほかにももろもろの理由で賛成派と反対派に分かれ、日本野球連盟はいったん解散します。
そして、その後、
- 読売新聞社(ジャイアンツ)をはじめとする『反対派』
= 1949年日本野球連盟解散後 ”セントラル野球連盟”を結成 - 南海ホークスなどの『賛成派』
= 同じく解散後、”太平洋野球連盟”を結成
(太平洋野球連盟がパシフィック野球連盟と名前を変えるのは1980年)
→ 1950年から、それぞれリーグ戦をスタートさせています
(※ リーグ戦では、セリーグならセリーグのチーム同士、パリーグならパリーグのチーム同士が戦います)
これが、もともと1リーグ制だったプロ野球が『セリーグ・パリーグ』の2リーグ制になった理由です。
新しく加わることになった球団がコチラ!
- 大洋ホエールズ
- 広島カープ
- 国鉄スワローズ
- 西日本パイレーツ
- 西鉄クリッパース
- 近鉄パールス
- 毎日オリオンズ
それぞれのリーグの名前の意味や由来は?
-
■ セリーグ(セントラル・リーグの略)
→ セントラル = 中央の・中心の意味
→ 自分たちこそ正当連盟であり、主流! の意味を込めて、が由来
■ パリーグ(パシフィック・リーグの略)
→ パシフィック = 太平洋の意味
(言葉としての意味には、ほかに『平和的な・おとなしい・おだやか』などもあります)
→ 日本のプロ野球を国内だけでなく、国際的なものに! の意味を込めて、が由来
とよく言われていますし、これでいいような気もするんですが、
”太平洋野球連盟がパシフィック野球連盟と名前を変えたのは1980年”
……なので、
- セントラル = 中央
- パシフィック = 太平洋
アメリカ大陸の地域名を単純に引用した、という説がおそらく正しいと思います。
発足当時のセ・パリーグのチームがコチラ
-
■ セリーグ
- 読売ジャイアンツ
- 大阪タイガース
- 中日ドラゴンズ
- 松竹ロビンス (既存球団)
- 大洋ホエールズ
- 広島カープ
- 国鉄スワローズ
- 西日本パイレーツ (新規加盟球団)
-
■ パリーグ
- 阪急ブレーブス
- 南海ホークス
- 東急フライヤーズ
- 大映スターズ (既存球団)
- 西鉄クリッパース
- 近鉄パールス
- 毎日オリオンズ (新規加盟球団)
そのほかの違いは?
- 野球システムの違い
- 強さの違い
- 人気の違い
- 新しいシステムを取り入れる早さの違い
いくつかありますので、それぞれみていきましょう。
野球のシステムが違うの!?
違うんですよ。
ちょっとビックリですよね。
おんなじ野球なのに。
それが『DH制』と呼ばれるものの有無。
『DH = 指名打者』のことです。
-
※ 指名打者 = 打つだけの人
普通、野球は1チーム9人で闘いますよね。
セリーグ【守備のポジション】
- ピッチャー(先発・中継ぎ・抑えなどのピッチャーがいます)
- キャッチャー
- ファースト(一塁)
- セカンド(二塁)
- サード(三塁)
- ショート
- ライト
- レフト
- センター
で、9人。
自分たちが攻撃する番になったら、1番バッター、2番バッターと順番に打席に立つことになります。
4番バッターのように打撃力を期待されてる人もいれば、ピッチャーもいる。
これが、たぶん皆さまの想像する『野球のルール』かと思います。
そして、このスタイルでプレーを行うのが、
“DH制を導入していない『セ・リーグ』”
いっぽう、『DH制』を採用しているのがパリーグです。
パリーグ【守備のポジション】
- ピッチャー
- キャッチャー
- ファースト(一塁)
- セカンド(二塁)
- サード(三塁)
- ショート
- ライト
- レフト
- センター
- 指名打者
【プラス】
一人多いんです。
こう言っちゃなんなんですが、ピッチャーって、本来なら『投げるの専門』みたいな役割なので、打撃的には戦力にならないことがほとんどなんですね。
-
※ 例外もあり。かの有名な大谷翔平選手は、ピッチャーですが、打ってもすごい
だから『二刀流』と呼ばれ、今はメジャーリーグ・エンゼルスで大活躍
そこで『指名打者』。
彼が(基本的には)ピッチャーの代わりに打席に立つ。
ピッチャーは、ベンチで待機です。
※ 指名打者制はぜったいに試合中に使わなくてはいけないわけではないので、DH制を使わずに試合を行う『DH解除』もできます
が、解除されるのはまれ
が、解除されるのはまれ
DH制の有無でなにが変わる?
いろいろ変わってきます。
まずは『DH制あり』のパリーグからみていきますね。
ピッチャーは投げることだけに専念できる
ピッチャーは打ちません。
なので、バッティングの練習は必要なし。
ひたすらピッチングの腕をみがけます。
-
※ 試合中、指名打者の代わりにピッチャーが打つこともできますが、その時点でDH制は解除されます
守備があまり得意じゃない打者もスタメン(先発出場選手)起用できる
打撃力はあるんだけど、守備がちょっと苦手……という選手も『指名打者』として最初から試合に参加することができます。
指名打者は打つだけ。
守備にはつきません。
ピッチャーがピッチングだけに専念できるように、指名打者もバッティングに集中することができるんですね。
そしてさらに打撃力が上がる。
だけではなく、これは同様にDH制を導入している相手チームにも言えることですよね。
つまり、
“強い打撃力を持ったチーム VS 強い打撃力を持ったチーム”
になり、試合のクオリティ自体も上がっていきます。
また、ピッチャーもどんどんバッティングの腕をあげてくる選手と対戦することになるので、これまたピッチングの技術アップになる。
“強い守備力を持ったピッチャー VS 強い守備力を持ったピッチャー”
で、腕のいいピッチャーに対抗するために打撃陣の腕もさらにみがかれ……
いい意味でループ状態になっていきます。
選手の疲れやケガの負担を減らせる
疲れのたまっている選手や、ケガなどで『打つくらいなら大丈夫だけど、フルで守備につくのは少しキツイ』という選手が指名打者として起用されることも多いです。
試合には参加できるし、疲れやケガへの負担も減らせる。
で、すっかり回復したら、またチームに貢献(こうけん)。
『DH制』があると、ピッチャーはじめ選手の負担も減らせ、選手が試合に参加できる機会も増えるんですね。
そして、対戦相手も条件は同じ。
自然とリーグ全体の力もレベルアップしていきます。
では、続いて『DH制ナシ』のセリーグです。
ピッチャーも打撃の練習が必要
ピッチャーも打ちます!
打撃の戦力としてはあまり期待さていないとはいえ、バッティングの練習は必要。
ホームランとかは打たなくてもいいので、せめて今、塁に出ている選手を次の塁まで走らせるための『送りバント』ていどの技術は求められます。
守備力も打撃力もある選手がスタメンに起用される
『攻撃専門』のメンバー(指名打者)がいないので、守備がちょっと……という選手はなかなかスタメン起用されません。
スタメン以前の問題で、ドラフトのときにも選ばれにくい。
まあ、仕方ないというか、だろうね、というか……
でも、打撃力はある! オレはみんなが認める強打者だ! という選手が試合に参加しにくく、育ちづらいのはちょっともったいないですよね。
ピッチャーの負担……
ペース配分が大事。
とくにスタメン起用されたピッチャーの場合、あまり最初から飛ばしすぎると、スタミナ切れを起こします。
対戦相手の選手が打ったボールが飛んでいく先は1つ。
守備についている選手のどこかに、です。
が、その出どころは常にピッチャー(が投げたボールが打たれる)。
で、その回が終わって、即自分の打順とかだったら、もう、オニですよね。
また、試合の勝敗を左右するような場面でピッチャーに打順がまわってきた場合は、代わりに『代打』が打つことになります。
代打に変わってもらったピッチャーは、次の回からは投げることができません。
だから控えのピッチャーが必要。
ここが指名打者と代打の違いなんですが、この2つ、わかりにくいので、少しまとめてみますね。
『代打』と『指名打者』の違い
代打も指名打者も『守備力より打撃力に自信あり!』の選手が起用されることがほとんどです。
でも、はじめから試合に出場する指名打者とは違い、代打にはこれまで試合に出ていない選手が選ばれます。
DH制ありの場合は、
- ピッチャーの守備(投げる): ピッチャー担当
- ピッチャーの攻撃(打つ): 指名打者担当
のように役割分担されていますが、DH制のないセリーグでは、
- 守備と攻撃は1セット
なんですね。
どちらかだけをだれかに変わってもらうことはできません。
そして、
- 野球の試合では一度退場してしまった選手は、もうその試合には出ることができない
なので、
- ピッチャーの代わりに代打
→ 攻撃を代わってもらった
→ これからも攻撃だけ交代して
→ 片方だけはダメ
ピッチャーは一度退場したもの、とされ次の回から投げることができなくなるシステム。
代打に関しても一緒です。
- ピッチャーの攻撃を担当した
→ 守備(投げる)も担当しないとダメ
→ それはムリ
→ 控えのピッチャーに守備を交代してもらう
→ 守備を交代 = セットの攻撃も交代
→ 次の回では打てない
ただし、これはあくまで代打がピッチャーと交代した場合の話。
代打はピッチャー以外の選手の代わりにバッターボックスに立つこともできます。
たとえば一塁を守っている5番バッターの代打として出た場合には、その選手に代わり、次回以降も一塁の守備と5番の打順を引きつぐ、という選択肢もあり。
こんな感じの違いになってます。
で、話は戻りますが、DH制ナシのセリーグの場合、
- ピッチャーを打席に立たせるか、代打にするか?
(まだ試合が始まったばかり、またはそれほど重要でもない場面で、ピッチャーの調子もよく、この時点で交代させるのはもったいないなど) - 次のピッチャーはだれを起用するか?
こうした高い戦略力と監督の細かい指揮、指示が試合のカギを握ることになってきます。
野球のシステムが違うと、闘い方もなにかと変わってくるんですね。
強さの違い
それは、まあ、アレです。
投げるなら投げる、打つなら打つに集中して練習することのできる『DH制あり』のパリーグのほうが有利ですよね。
たぶん。どう考えても。
で、実際に強いものセリーグよりパリーグ。
たとえば2005年から始まった『セ・パ交流戦』の場合、2019年までの結果は、
“セリーグが勝ちこしているのは2009年のみ”
パリーグ14勝、セリーグ1勝です。
これが1950年から続いている『日本シリーズ』になると、1970年代までは、圧倒的に勝利数が多いのはセリーグ。
80年代・90年代・2010年代まではほぼ互角。
なんですが、2011年から去年(2019年)にかけて、になると、
- 2011年: ソフトバンクホークス(パ)
- 2012年: ジャイアンツ(セ)
- 2013年: 楽天ゴールデンイーグルス(パ)
- 2014年: ソフトバンクホークス(パ)
- 2015年: ソフトバンクホークス(パ)
- 2016年: 日本ハムファイターズ(パ)
- 2017~2019年: ソフトバンクホークス(パ)
『パ』だらけになるんですね。
ていうかソフトバンク、強すぎ。
いいんでしょうか、こんなに勝ってて。
強さについては、『今はやっぱりパリーグが強い』ですね。
セリーグもがんばれ!
-
※ セ・パ交流戦
→ リーグ戦は同じリーグ同士(セ VS セ / パ VS パ)で闘いますが、交流戦ではセリーグとパリーグのチーム同士(セ VS パ)が争います
※ 日本シリーズ
→ クライマックスシリーズで優勝したセリーグ・パリーグのチーム同士が競い合う、日本一のチーム決定戦
※ クライマックスシリーズ
→ リーグ戦(レギュラーシリーズ)で1位から3位に入ったチームが闘い、リーグ内の優勝チームを決めます
DH制あり・ナシの違いがあるので、両リーグが勝負するときには、
“どの球場で開催されるか”
によってその試合のDH制の有無が決まります。
セリーグサイドの球場で行われるときには『DH制はナシ』
パリーグサイドなら『あり』です。
チームの持つ本拠地球場
こちらも一応。
-
■ セリーグ
- 読売ジャイアンツ: 東京ドーム
- 中日ドラゴンズ: ナゴヤドーム
- 阪神タイガース: 阪神甲子園球場
- 広島東洋カープ: MADZ Zoom-Zoom スタジアム広島
- 横浜DeNAベイスターズ: 横浜スタジアム
- 東京ヤクルトスワローズ: 明治神宮球場
→ これらの球場で開催される場合は『DH制ナシ』
-
■ パリーグ
- 福岡ソフトバンクホークス: 福岡Pay Payドーム
- 千葉ロッテマリーンズ: ZOZO マリンスタジアム
- 北海道日本ハムファイターズ: 札幌ドーム
- 埼玉西武ライオンズ: メットライフドーム
- オリックスバファローズ: 京セラドーム
- 東北楽天ゴールデンイーグルス: 楽天生命パーク宮城
→ 『DH制あり』
人気にも差はある?
“かつては“大あり”。
『人気のセ・実力のパ』
と言われてました。
また、パリーグが強いのは、
“あまり人気がなかったので、練習に専念できる時間がたくさんあるからだ”
とも……
じゃっかんヒドイ言われようですが、人気はホントにセリーグに集中していたんです。
なぜなら! です!
プロ野球人気が盛り上がり始めたのは終戦後の1945年あたりから。
終戦直後です(なぜか2度言ってる)。
今みたいにネットがあるわけじゃないですし、テレビもまだない時代。
で、セリーグ・パリーグが日本野球連盟解散後結成されたのが1949年。
(それぞれのリーグ戦が始まったのは翌年1950年から)
日本でのテレビ第一号は、
“1952(昭和27)年 松下電器製(現・Panasonic)の白黒テレビ”
(※ しかもお値段当時の価格で29万円! / 初任給が5000円くらいの時代)
そんな生まれたてホヤホヤみたいなテレビが野球中継をバンバン流してくれたわけもなく、
“プロ野球の中継はほぼ巨人(ジャイアンツ)戦のみ”
という時代が長く続きました。
読売新聞社は日本テレビと同列会社なので、巨人戦。
ジャイアンツと同じセリーグのほかのチームも、対戦相手が巨人ではない限り、試合も放送されないのが当たり前。
で、どうなったかというと、
“巨人と戦ってるからタイガースとかいうのもプロ野球チームなんだな。へぇ、セリーグっていうのかぁ。野球、燃えるよなぁ~”
“だれ? 南海ホークスって? 野球チームなの? テレビに出てないじゃん。パリーグ? なにそれ、セリーグの2軍的なヤツ?”
……あくまでノリ的にはですが、こんな感じがパリーグの扱い、というか巨人以外への扱いでした。
人気があるとかないとか以前の話だったんですね。
今の人気も『セリーグ』ひとり勝ち?
そんなことはありません!
まず第一に、『巨人(ジャイアンツ)戦しか観られない』ということはないですよね。
テレビだけじゃなく、パソコンやスマホでもいろんな球団の野球中継を観ることができるようになっています。
DAZNとか、スカパー(テレビ)とか、Yahoo!プレミアム会員なら無料で見放題になる『パ・リーグLIVE』とか。
なので、セリーグもパリーグも知名度的にはそれほど変わりません。
試合だけじゃなく、SNSでも選手たちの情報を知ることができますよね。
プラス、パリーグの強みは新しいシステムをどんどんと取り入れていくこと。
そのスピードが、セリーグに比べ早いんです。
このこともパリーグの人気回復につながっていきます。
新しいシステムを取り入れる早やさの違い
“人気がないなら、なにかセリーグと違うものを取り入れて、差別化を図ろう!”
先ほど出てきた『DH制』をパリーグが取り入れたのは1975年。
アメリカンリーグ(アメリカのメジャーリーグ)がDH制なので、それにならって導入されました。
今ではセリーグにも『クライマックスシリーズ(上位3位が競ってリーグの優勝チームを決める)』はありますが、これも最初に始めたのはパリーグ。
-
※ パリーグ: 2004年から / セリーグ: 2007年から
ほかにもいくつかあるので、ご紹介しますね。
予告先発投手制度
こちらもメジャーリーグでは当たり前に行われていたこと。
試合直前のメンバー発表で、ではなく、先発投手を事前に発表、です。
(※ 前日まで / その前日に試合もあった日の場合はその日の試合の1時間前までに届け出 ← これはメジャーリーグではなく日本の場合)
パリーグが『日曜日に開催される試合』を対象としてこのシステムを取り入れたのは1985年から。
全公式戦(レギュラーシーズン)が対象となったのが1994年以降です。
(※ クライマックスシリーズのみ、2006年からの採用)
なんでこんなことを始めたかというと、どの試合を観戦しにいくか、をファンが決めやすくなるから。
毎回試合を観に行けるわけじゃないので、『お、今日の先発投手は○○か! なら行くか!』な感じになるためのファンサービスのひとつです。
現在ではセ・パともに採用されていますが、セリーグは、
- 1994年の1シーズンのみ採用
その後はしばらく、この制度はスルーされ、
- 2012年にレギュラーシーズンの全試合が対象に
(※ クライマックスシーズンが対象となるのは2018年から)
早いんですよ、パリーグ。
プレーオフ制度(前期・後期制)
今の『クライマックスシリーズ』の前身みたいなもので、1973年から1985年まで、採用されていました。
(※ 83年~85年は前期・後期の優勝チームは同じだったため、実質ナシ)
クライマックスシーズンは、
“リーグ戦の1位から3位のチームで優勝決定戦をする(優勝決定戦 = プレーオフ)”
なんですが、この『前期・後期制』は1つのシーズンを前・後半戦に分け、それぞれの1位のチーム同士で優勝決定戦を行う、というもの。
(※ 前期と後期の優勝チームが違う場合 / 先に3回勝ったほうが優勝)
似てるけど、ちょっとだけ違う。
これが見事にアタリ、観客動員数を増やすことに成功します。
ただ、けっこうパリーグ内でも賛否両論で、
“前期で勝ったチームは、どうせプレーオフに出られるんだから、それに備えて後期の試合、手、抜くよね。それってどうなの?”
“前期で、ダメっぽい、ってわかった時点で前期は捨てて、後期にそなえるよね。前期のヤル気、なくなるよね?”
そう言われれば、そんな気もしますね……
けっきょく、このシステムは10年ちょっとで廃止となり、すでにあった『日本シリーズ』で各リーグの優勝チーム同士が日本一を目指して闘うことになります。
そして1990~2000年代。
この時期の日本シリーズでの勝敗はセ・パともに互角だったとはいえ、交互に勝っていたわけではないので『パリーグの負けが続く』という状況になることもありますよね。
“これはマズい……!『実力のパ』、ですらなくなってしまう……”
“『人気のセ・実力のセ』状態になってしまうと、パリーグ自体がとくにいらない存在として扱われてしまう……”
で、2004年『クライマックスシーズンとして、優勝決定戦(プレーオフ)の復活』です。
パリーグ、
“けっこう、必死 → でもそれがあんがい人気回復に役立ってる”
なのですよ。
マンデー・パリーグ
今は行われていませんが、こんなのもありました。
その名の通り、
“月曜日に試合を行う”
です。
“普通のことじゃないの?”
と思うかもですが、月曜はプロ野球お休みの日。
カラダを休めたり、移動をするためにあてられた曜日なんです。
だからもちろんセリーグの野球中継もない。
“今日は月曜日か……(ションボリ)”
と思っている野球ファンに対し、
“パリーグの試合だったら月曜日でも観られますよ!”
とアピールするために取り入れられたシステムです。
(※ 代わりに木曜日がパリーグのお休みの日になりました)
普通の曜日だと、セリーグ・パリーグ合わせていくつも試合が開催されているので、だれもがパリーグの試合を観てくれるわけじゃないですよね。
確率は『開催されてる試合数(最大6)分の1』。
でもセリーグの試合がお休みの月曜日なら、試合開催リーグは100%パリーグ。
で、これも狙い通り、けっこう人気の企画(?)だったんですが……
2001年に始まり、2005年には廃止になっています。
2005年は、セ・パ交流戦がスタートした年。
開催日は(セリーグが月曜休みなので)火曜日から日曜日、ぶっ通しで6日間です。
これで月曜日も“マンデー・パリーグ”で試合をするとなると、休みゼロ。
ブラック企業みたいなことになっちゃいます。
なので、廃止。
また、
移動が異常に大変……
野球ファンの“野球の試合が観戦できない日が1日でもあるのは切なすぎる”という思いにこたえてくれたナイスなシステムだっただけに、ちょっと残念です。
でも、パリーグ、人気回復のためとはいえ、いろいろとファンサービスを考え、実行にうつしてくれているんですね。
こうしたファンを喜ばすさまざまなアイデアとその試みは、現在も健在。
イベントなどもたくさん行われていますよ!
パリーグのファンサービス的イベント類
-
■ 埼玉西武ライオンズ LIONオンラインインタビュー
ライオンズの今井投手がオンラインでファンからの質問に答えてくれるイベント。
……イベントっていうか、ファンとの交流会?
2020年4月28日に行われました。
♦ 【今井投手が出演!】 「LIONS オンラインインタビュー!」(2020/4/28実施)
今はコロナ関連で、球場で野球観戦っていうのがムリな時期なので、ネット上で選手と交流できるのはファンにとってうれしいですよね♪
-
■ 楽天ゴールデンイーグルス ボールパーク
スタジアムの中に観覧車やメリーゴーランドのある遊園地を開設。
野球観戦だけでなく、子どもから大人まで、いろんな人が普通に楽しめるようになっています。
(※ 開設当時は『楽天Koboパーク宮城』でしたが、2019年より現在の『楽天生命パーク宮城』に名称が変更されています)
-
■ ダイジェスト版の配信
たまに球場に行って試合を観るていどのファンではあるけど、有料チャンネルにお金を払ってまで試合を観るほどでもない。
または、いいシーンだけ観られれば満足という、かる~いパリーグ・ファンの方向けに、『試合のダイジェスト』『ヒーローインタビュー』などを集めた動画の配信も2019年から始まってますよ!
※ スマホなどの無料アプリ『スマートニュース』をダウンロードすれば観ることができます
検索窓に『パリーグ』と入れると、いろいろ出てきます!
試合のあるときは動画・ないときでも関連ニュースが読めます)
などなど。
パリーグは地域密着型のファンサービスなどにも力を入れてきたため、最近では、
“セもパも人気の差はそれほどない”
になってきています。
といってもセリーグの人気が落ちてきているわけではないので……
どちらかというと、まだセリーグのほうが少し人気があるかなぁ、なんじゃないでしょうか。
でもほんのちょっとの差。
セリーグとパリーグって、今でも仲悪いの?
2リーグ制になったきっかけは“意見の違い”ですが、今は全然仲、悪くないですよ!!
仲悪かったら、『交流試合』なんてしません!
今はもう全然、
“2リーグで日本の野球を盛り上げていこうぜ!”
な感じになってます。
ついでに言うと、分裂が生じた当時のチームって、とくにパリーグでは一つも残ってないんですよ。
スポンサーが変わってます。
たとえば、分裂のきっかけになった『毎日オリオンズ(毎日新聞社)』。
-
→ 後に『大映』と合併して『大毎オリオンズ』に
→ その後、実質的な経営権を握ることになった大映のオーナーがロッテをスポンサーに迎え業務提携
→ さらに大映の社長が球団経営から離れ、正式にロッテが球団を買収。
➡ 『毎日 → 大映 → ロッテ』
最後に、かつてのチームとの関係をあげていきますので、よかったら参考にしてみてくださいね。
現在のセ・パリーグ所属チームと、かつてのチームの関係
-
■ セリーグ
- 読売ジャイアンツ
→ もともと読売ジャイアンツ - 中日ドラゴンズ
→ もともと中日ドラゴンズ - 阪神タイガース
→ 元大阪タイガース
→ 大阪に球団事務所があった → 事務所の移転とともにチーム名も変更 - 広島東洋カープ
→ 特定の親会社のない市民球団”広島カープ”としてスタート / 現在のスポンサーは東洋水産 - 横浜DeNAベイスターズ
→ 設立当初は大洋漁業を親会社とする”大洋ホエールズ” / 現スポンサーは”DeNA” - 東京ヤクルトスワローズ
→ もともとのスポンサーは国鉄で球団名は“ヤクルトスワローズ” / 現スポンサーは”ヤクルト”
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■ パ・リーグ
- 福岡ソフトバンクホークス
→ 元は南海電鉄を親会社にもつ”南海ホークス” / 現在のスポンサーは”ソフトバンク” - 千葉ロッテマリーンズ
→ 元は毎日新聞を親会社に持つ”毎日オリオンズ” / 現在のスポンサーは”ロッテ” - 北海道日本ハムファイターズ
→ 元は東急電鉄を親会社にもつ”東急フライヤーズ” / 現在のスポンサーは”日本ハム” - 埼玉西武ライオンズ
→ かつての”西鉄クリッパーズ”がのちに“西日本パイレーツ”を吸収合併し、球団名が”西鉄ライオンズ”に変わる
→ さらに球団の売却、提携などを経て、1978年に”西武ライオンズ”に / 現在のスポンサーは”西武鉄道” - オリックスバファローズ
→ 2005年 ”大阪近鉄バファローズ”と”オリックス・ブルウェーブ”の合併により誕生 / 親会社は”オリックス” - 東北楽天ゴールデンイーグルス
→ 2005年に設立された一番新しい球団 / スポンサーは”楽天”
終わりに……
野球、けっこう奥が深いんですね。
個人的には『戦前からやってた』っていうのと『英語禁止当時の“瓢箪型糸擦機” = バイオリン』が一番の衝撃でした。
── ということで、『セリーグとパリーグの違い』でしたが、いかがでしたでしょう。
最近野球に興味をもち始めた方、単に2リーグの違いが知りたかった方、皆さまのスッキリに少しでも役立てていたらうれしいのですが……
ではでは。
最後までおつき合いいただきありがとうございました。
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