……すまないが、ここの張り込みは他の奴にやってもらう。お前はヤツに面割れしてるからな。
いや、大丈夫っす。自分、こんなこともあるかと、ちゃんと仮装グッズ用意してきたっす。
?
どうしたっすか? 自分、何かヘンなこと言ったすか?「仮装」じゃない? あ、そうすね、コスプレグッズの間違いだったっす。てへへっ。
……頼む、お前、ホントに帰ってくれ……
……私からもお願いします。帰ってください。そして、話し方から何から、一から勉強し直してください!!
さて「コスプレ」と「仮装」です。
「欽ちゃんの仮装大賞」や「コスプレイヤー」。どちらも何かに扮しています。ほぼ一緒のような気もします。
ですが……「欽ちゃんのコスプレ大賞」「仮装プレイヤー」……何か違います! しっくりきません!
ですのでこちらの2つ、その愛情が深ければ深いほど、逆の呼び名で呼ばれると、本当にイラっとくるもの。それぞれに思い入れのあるものなのですね(上のダメな方の刑事さんは、違った意味でイラっとします)。
その熱い思いも含めまして「コスプレ」と「仮装」の違いを解説いたします。
最近ではハロウィンも、すっかり定番のイベントになってきました。ゾンビやアニメキャラなど、色々な衣装を着た方たちで盛り上がっています。楽しそうです。
ディズニーでもハロウィン・イベントが開催されています。
ハロウィンより大きなイベントでしたが、そういえば、安倍さん(総理の)もマリオになっていました。
これらは「コスプレ」なのか、「仮装」なのか?
まずは「コスプレ」「仮装」とは一体どのようなことを指して言うのか、またその違いはどこなのか? から見ていってみましょう!
目次
「コスプレ」と「仮装」の違いって何?
皆さんの思い入れは抜きにした辞書的な意味のみで言いますと「コスプレ」も「仮装」の一種。「仮装」とは文字通り「仮の姿に扮する」こと。普段の自分とはかけ離れた姿になって、非日常感を楽しむ、といった行為のことを指しています。
「コスプレ」は「コスチュームプレイ」の略。本来なら「ある時代の衣装を着けて演じる演劇や映画」のことを指す言葉です。それが転じて現在の「コスプレ」のような形にも用いられるようになったのですが、こちらも大体同じような意味で使われていますね。いつもとは違う格好で非日常を楽しみます。
さて、辞書的にも、また服飾関係においても明確な違いは挙げられていない2つですが、現在の一般的なイメージからも「コスプレ」は「アニメ・マンガ・ゲーム」等の登場人物に扮すること、が主とされています。
また、メイド喫茶のメイドさんや看護師や警察官、巫女さんなど、職業的な制服を着て楽しむ、といった場合もあります。これも一応「コスプレ」なのですが、キャラクターに扮する系の方たちは、こちらの職業系の方たちと同じ範疇に括られるのを嫌う傾向にあるようです。
キャラクター系の方たちが最終的に目指しているのはそのキャラクターになりきること、だからなのですね。
衣装だけではなく、メイクやウィッグなども工夫し再現、ポーズの研究も怠りません。撮影会なども行われていますね。
制服着てるだけの人と一緒にしないで! といったところでしょうか。確かに気合を入れる部分が両者では異なっているようにも思えます。
一方の「仮装」。
「仮装行列」で有名な「時代祭」。平安時代から明治維新までの過去の英雄に扮した人たちが練り歩く、平安神宮(京都)の例祭ですね。
「歴史上の人物だし、コスプレなの?」と思いがちですが、これは「仮装」。
紫式部さんや西郷さん、坂本さんなどが、登場しますが、扮している方が「いかにも、オレは龍馬である」、などと信じ込んでいるわけではありません。
格好こそ当時をそのままに再現していますが、行きつく先は、そこまでです。
「仮装」の目的は、あくまで「その衣装を着て」楽しむこと。そのキャラクター(時代祭には不似合いな表現ですが)に見えるよう、似せて着飾ることこそが「仮装」の目的、楽しみ方となっているのです。
このように「コスプレ」「仮装」はともに普段の自分とは違う格好を楽しむ」もの。そしてさらにその先に「それそのものになりきる(身も心も)」と続くのが「コスプレ」となっています。
よって「コスプレ」では、その元となるもの、なりきるための対象、つまりはアニメや漫画、ゲームの登場人物等(または既存の職業なども)の存在が必須となるのです。
このポイントをまずは押さえておいていただき、では続いては、それぞれの「仮の姿」の少し具体的なあれこれについてです。
「仮装」とは?
「欽ちゃんの仮装大賞」に代表される(と勝手に思っている)「仮装」。人物のみならず、「動物」になってみたり、もはや生き物ですらない「波」に扮したりもしています。でもいいのです。ハロウィンの定番「魔女」や「ドラキュラ」も(たぶん)実存していませんが仮装OK。
「仮の装い(よそおい)」ですね。自分ではないものに扮していれば「仮装」です。
いい言葉ではありませんが「仮装売買(売買する気がないにもかかわらず、売買したように見せかける)」や「仮装行為(実は贈与なのに売買ということにしてしまう)」などといった使われ方もします。これは「相手を欺くために偽り、装う」こと。
「仮装」も、広い意味では「自分以外の(他の)ものの姿を装い、仮の自分の姿とすること」全般を指します。
先ほど思わず書いてしまいましたが、ですのでハロウィンで皆さまのされていることは「仮装」。例えアニメキャラなどに扮した格好をしていたとしても、心底そのキャラになりきっているのとは少し違いますね。
ハロウィンではありませんでしたが、安倍さんが「マリオ」に「コスプレ」のつもりで扮していたら、これもちょっと問題ありです。
目的はその格好をして楽しむこと。「衣装を着ることにより、そのものの姿に似せること」に意味があるのが「仮装」となります。
「コスプレ」ってどんなもの?
すでに、薄っすらとお気づきかと思いますが「ある方向に気合の入った仮装」が「コスプレ」です。「仮装」で真似るのはあくまでその姿、格好ですが、「コスプレ」では格好はもちろん、もういっそ真似ているのはそのキャラの「魂」と言ってしまっても過言ではないのです。そちらの方向への情熱が「仮装って言われると腹立つ! 愛情のレベル違うし」になり、逆に「仮装」に心血を注いでいる方からすれば「いや、これ、コスプレじゃないから。そっち方面の一体化じゃないから」などとなり、初めの方にも書きましたが「間違われるとイラッ」の現象が起こるわけです。
さて、そんな「コスプレ」ですが、意外と歴史は古く、日本でその言葉が使われ始めたのは1960年代末から1970年代にかけてのこと。
コミケ(日本最大の同人誌即売会 / コミックマーケット)の主催者「米澤嘉博」さんたちが、それまで「マンガの仮装」と呼ばれていたものに名付けたのが始まり、と言われています。
コスプレ人口は、1990年代から増大の一途にあるようで、コミケでのコスプレイヤーの数も1991年にはおよそ2000人であったのに対し、1997年にはすでに8000人を超えています。
「新世紀エヴァンゲリオン」により、サブカルチャーへの注目は徐々に高まっていき、1990年の初頭にはビジュアル系バンドのライブなどにも、メンバーに扮したコスプレイヤーが多く見られました。
そして、コスプレの楽しみ方の一つには「撮影会」も挙げられます。
イベントとしての撮影会だけにとどまらず、個人主催の撮影会も、現在では盛んにおこなわれています。人気のコスプレイヤーがいたり、コスプレ系飲食店(要するにメイド喫茶のこと)の店員さんや、新作ゲームの宣伝活動をするコスプレイヤーなどがその対象になったりもします。
結構凄いことになっています。
また「世界コスプレサミット」なるものも、2003年から開催され(主催は愛知テレビ)、2005年には「愛・地球博」の会場でも行われているのです。
もう、世界規模です。海を超え、コスプレの輪が広がっています。
本来の意味は「コスチュームプレイ」=「その時代のコスチューム(衣装)を着けて演じる演劇」。
転化してできた言葉とはいえ、現在の「コスプレ」とはかなり違うイメージですね。ですがこの「演じる」の部分は「なりきる(そのキャラクターに)」に通じています。
衣装を着るだけではダメなのです。舞台の俳優さんのように「その役(キャラ)に入り込む」ことこそが「コスプレ」のコスプレたる所以なのです。
「仮装」と「コスプレ」はここで分かれる!
さてさて冒頭のダメな刑事さん。言いたいことは何となくわかりますが、正解は「変装」ですね。自分の立場を隠して、かつ別人を装うことです。ほんのりと後ろめたさも漂っているような……「仮装」も「コスプレ」も、これとはまた少し意味合いが違うものです。
「仮装(もしくはコスプレに近いもの)」を実験的にしてもらった結果のアンケートでは「楽しかった」「陽気な気持ちになった」「活動的な気分」などなどの意見が多かったそうです。やはり、いつもの自分とは違った何かになるのはウキウキした高揚感をもたらしてくれるのかもしれません。非日常的な雰囲気は楽しいのです(ですので張り込みには適しません)。
そんな2つの違いを、たしなむ方たちの思いも込めてもう一度、まとめてみましょう。
簡単に言うと、どんなことをするの?
- 仮装: 普段の生活、または普段の自分では身につけないような衣装を着け、あるもの(何か)になるため(人に限らず)それをまね、その格好をする
- コスプレ: 広い範囲では「仮装」の一種となるが、中でも「アニメ・マンガ・ゲーム等のキャラクター」に扮する(「看護師や警察官、巫女など、既存の職業」の制服等を着て楽しむことも、一応「コスプレ」に分類されています。ですが、賛否両論のため、職業系のものを「仮装」と捉える向きもあり)
目的は? 楽しむ部分は?
- 仮装:その衣装を着ることが、すでに楽しいのです!
- コスプレ: 衣装やメーク、ポーズやしゃべり方なども徹底的に研究。そのキャラになりきって仲間同士で語り合ったり、撮影会を開催したり、模倣して演じることが目的であり、最大の楽しみです!
元ネタは?
- 仮装: 自分とは違うものなら、動物でも妖精でも、魔女でもドラキュラでも、もちろん好きなキャラクターでもOK!
- コスプレ: 先ほども挙げましたが、アニメや漫画等のキャラクターが主で、何に扮しているかがわかるもの。また、強い思い入れのあるキャラが元になっています。版権のある作品の既存の登場人物であることがほとんど。既存の作品がない職業系の場合では、その制服が元。
「ハロウィン」では「仮装」?「コスプレ」?
- 「仮装」ですね。 → コスプレ的なノリでハロウィンに参加する方もゼロではありませんが、いわゆる「コスプレイヤー」の方とはやはり思い入れの強さが違うようです。
なりきることより、お祭りに参加することが高い目的となるため「仮装」となります。
ディズニーのイベント「ディズニー・ハロウィン」って?
ディズニーランドでは1997年から、ディズニーシーでは2008年(正式イベントとなるのは2009年)から開催されるようになったスペシャルイベントのことです。こちらも「仮装」の方ですね。毎年大体9月上旬から10月31日にかけて行われます。
1999年までは「ディズニー・ハッピー・パレード」とされ10月31日のみの開催でしたが、2000年代に入りスペシャルなイベントとなり開催期間も長くなりました。
2002年にはゲスト(来場者)がディズニーのキャラクターの仮装で入園できる日もアリになりましたが、ルール違反が続出したため、その後フル仮装OKの日が増えたり減っていったりします。現在では開催期間の初めと終わりの1週間程度が可能な期間となっています。
さて、そのルール。違反により、事故や事件にも繋がった、ということで年々厳しくなる傾向にあります。
以下にそのNG項目等を挙げていきますが、どのルールも、よく考えれば、当たり前なことばかり……それをわざわざ厳しく定めておかなければいけない、というのは、裏を返せば、それほどマナーの悪い人たちがたくさんいた、ということなのですね。ちょっと残念な気もします。
- ディズニーキャラクターか、パークアトラクションで活躍するキャラのみの仮装で!(だってここはディズニーリゾートだから)
- 顔が判別できないようなメイクや仮面、付け髭NG。傷跡や肌の色をペイントするのもダメ!(誰か悪い人が入り込んでいても気づけません)
- 長い棒や先の尖ったもの、モデルガンなどの持ち込みもNG。(それはもう、武器です)
- 露出の多いもの(多すぎるもの)もダメ。(小さなお子さんから大人まで、みんなで楽しみたいから
- 裾を引きずるほど長いドレス、ゲートを通れないほどの幅広のコスチュームNG。(転びます。邪魔になります)
- インラインスケートやスケボーもダメ(衝突!! ディズニーリゾートに限らず、危険です)
- 長い鎖のついたものもダメ。(何かと危ないです)
- ディズニーのイメージが激しくダウンするようなものはNG(具体的にはよくわかりませんが、間違いなくダメなのはわかります)
ディズニーキャラクターはどっち?
怒られますよ!!!彼らは「ミッキー」であり「ミニー」であり、その他、すべて夢の国の住人です!
また、期間中はパークの各エリアに「かぼちゃのバケツ」を持ったキャストが出没します。「キャンディウィッチキャスト」です。
見かけたら「お菓子くれなきゃ、いたずらしちゃうぞ(トリック・オア・トリート)!」と言ってみてください。キャンディーくれますよ!
終わりに……
同じように日常とは違う格好を楽しむ「コスプレ」と「仮装」。いかがでしたでしょう。
そこは同じでも、目指すもの、目的となる部分などなど、それぞれの熱い思いは伝わりましたでしょうか。
「今年のハロウィンは思い切ってパレードに参加してみようかな。あ、ごみ袋持参で」などと思っていただけましたら嬉しいです!
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