……と「?」で一杯になってしまう「修士」と「博士」。
どちらも頭がよさそう、ということは分かるのですが……
お任せください!!
2つの違い、通う年数や就職でのメリット、デメリット等、ご紹介いたします。
修士や博士より「修士」と「博士」について詳しくなったりするかも……しれません。
目次
修士課程と博士課程の違いを超簡単に
大学を卒業し、大学院で取得することとなる「修士」と「博士」。上記2つは、それらの学位を取得するための課程、コースのことです。
どちらも行っているのは専門的な学術研究。必要な範囲を修得しなければ「修士 = マスター」「博士 = ドクター」にはなれません。
「修士課程」は大学卒業後、大学院での2年間。在籍できる限度は4年間までです。一方の「博士課程」は、大学卒業と修士課程修了の後の3年間。在籍は6年まで可能ですが、4年目からは「オーバードクター」と呼ばれます。
つまり大学卒業 (学士号取得) 後、
- 「修士」の称号を得るため(最低)2年かけて修業する「修士課程」(マスター・コース)
- その後さらに「博士」の学位を取得するために(最低)3年かけて修める「博士課程」(ドクター・コース)
順番と年数の違いをとりあえずは押さえておいてくださいね。
修士課程とは? 通う年数は?
「修士課程」は「博士前期課程(または 前期博士課程、博士課程前期)」とも呼ばれます。修士課程2年と博士課程3年を一括りとして考えれば、確かに「修士課程」は「博士課程」の前半部、だから「博士前期課程」。そのままです。
授業を受け決められた単位を取り、終了時点で提出する「修士論文」が教授会の審査に合格すれば「修士」の学位取得を承認されます。
実は修士論文は担当教官が指導してくれますので、ほとんどが合格、修士号は論文さえしっかりと提出すれば比較的取りやすい、と言われています。
担当した学生が不合格、となれば、指導が悪かったせい、とも取られかねないので、教官の指導にも熱が入るのですね。
とはいえ、2年で修士論文を書き上げることのできる人はそう多くありません。
なんとか在籍可能なぎりぎりラインの4年間で書き上げ、博士課程には進まずに就職、と言う人が大半です(院によっては、休学期間も含め6年の在籍が可能なところもあります)。
ただし、修士論文を書きながらの就職活動は至難の業。
頑張ってくださいね!
博士課程とは? 通う年数は?
♦86歳で博士号を取得した幡谷祐一さんが県立緑岡高等学校で講演会
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=6s6tGxzCjl4&w=560&h=315]「博士後期課程(または 後期博士課程、博士課程後期)の「博士課程」。
修士課程修了後の3年間です。
博士課程では論文を書くことがメイン。学校から指定された論文を作成、学会や学校に提出、の毎日です(もちろん必要単位の修得も)。
ここではもうほとんど「研究者」としての扱いです。
ですので「博士論文」に指導してくれる教官はつきません。自分だけの力で論文を作成・提出です。
教授会がOKを出せば「博士」の学位取得。すごいことです!
承諾されなければ、3年間の課程を終えても学位の取得はできません。そのため、4年目以降も限界の6年までかけ、論文書きを続ける人も多くいます。
彼らは「オーバー・ドクター(またはオーバー大学院)」と呼ばれ、別に費用を払い学籍を確保しながら「博士論文」が審査に合格するまで書き続けているのです。本当に大変そうです! 本当に頑張ってください!
(あくまで一般論ですが博士号は「理系の方が文系より取りやすい」と言われています)
修士課程と博士課程の詳しい違いはコレ
「修士課程」と「博士課程」、何となく想像していたよりも壮絶な学業の場のようです。では続いて、2つの課程を比較しつつ、詳しく違いを見ていってみましょう。
入学するには何が必要?
- 修士課程: 大学を卒業して得られる「学士」の学位
- 博士課程: 修士課程を修了した「修士」の学位
修了するともらえるものは?
- 修士課程: 最低2年の修業と必要単位の取得、「修士論文」が承認されれば「修士(= マスター)」の称号
- 博士課程: 最低3年の修業と必要単位の取得、「博士論文」が承諾されれば「博士(= ドクター)」の称号
いつも何をしてるの?
- 修士課程: たくさん授業を受けています。単位を取ることがメインです。担当教官の指導を受けながら「修士号」取得のため「修士論文づくり」に励んでいます!
- 博士課程: 学会や学校に提出する論文を授業の合間に書いています。さらに「博士論文」の作成。だいたい主論文として1~3報をまとめたものと、副論文数報を提出して、教授会の承諾を得なければ「博士」の学位は取得できないのですが、誰も手伝ってくれません!! もうほとんど普通の研究者として扱われています!
例外もある、って聞きました!
はい、あります!
医学部・歯学部・獣医学部・薬学部に関しては特別扱いで「4年制博士課程」となります。
上記の学部は大学が6年制となります。。卒業時に取得する「学士」は「修士に相当」とされ、その後大学院に進む場合には「修士課程」はなく、特別に4年制の「博士課程」のみ、となります。
他にもまだ例外がある、って聞いてます!
今、書こうと思っていたところです!
「論文博士」のシステムですね!
博士課程を中退して、まだ数年ほどしか経っていない人や、著書が高く評価されている人などを対象とし、「博士課程」の修了なしに、教授会に提出した学位論文(博士論文)の承諾のみで与えられた「博士号」のことを、大学院での課程を経た「課程博士」に対し「論文博士」という名で呼びます。
ですが博士課程内で学位を取得できるよう、体制が徐々に整えられてきている現在、教授たちも学内の学生だけで手いっぱいとなり「論文博士」は少なくなる傾向にあります。また時期は不確かですが、その方法での取得自体をなくそう、とする動きもあるようです。
さらに「専門職学位」と呼ばれるものもあります。
専門職大学院を修了すると与えられる、それぞれその専門の「〇〇修士」としての学位のことです。
「法務博士」のように「博士号」の取得もあります。
また大学によっては、設備や教員数、開設講座の不足により、博士課程が開設されていないところもあります。
またまた、大学院の中には、個別に入学資格審査を設け、認められれば高校卒業からひと足飛びに大学院へと入学可能、といったところも。大学を飛ばして、頑張れば修士や博士の学位を取れるのですね。大学院のシステムもすごいですが、入れてしまうその人の学力が半端ではありません!
それぞれの課程、修了したらどうする?
- 修士課程: 博士を目指し「博士課程」に進む人と、就職する人に分かれます。
- 博士課程: 「博士」の学位がああれば、大学の先生になれるので、大学教員になる人も多いです。また、国の研究者として活躍する人も多くいます。
就職は有利なの?
そうなのです。そこが気になるところです!
上記のように「修士課程」「博士課程」は、共に「専門分野を研究」する場です。
「博士課程」では特に、本当にたくさんの研究をします。その分野での専門家、として「博士」になる頃には大抵20代後半~30代になっているのです。
では採用担当者の立場から、面接に来たそれぞれの修了者を見てみましょう。
△一般企業の場合
- 修士課程修了者: 大卒より修卒! 基礎学力に期待できそうだ!
- 博士課程修了者: えっと、なぜうちの企業に? その専門分野での知識は、うちの会社で役に立ちますか?働きながら育てていく、と言っても、年齢的な問題も……今回はご縁がなかった、ということで……
(中途採用扱い、となるため、新人というより実務勝負の人材となります。担当採用者を納得させる「博士課程まで進んだのに、なぜ一般企業にし就職するのか」の理由、メリットがないと厳しいです)
→ 「修士」は新人としての期待度と、しっかりとした基礎学力がプラスとなりますが「博士」ではその年齢に見合う職歴のなさなどがネックとなり、一般企業への就職では苦労しそうです。
研修してきた専門分野関係の仕事の場合
- 修士課程修了者: へぇ、頼りになりそう。でも、もっと即戦力になる新人が現れるかもしれないから、とりあえず保留で。
- 博士課程修了者: 待ってました! 明日からよろしく!!
→ さすが「博士号」です。入社後の昇給や出世などにも繋がる傾向があるようです。
大学や国の研究機関の場合
- 修士課程修了者: 応募条件をもう一度読んでみてくださいね。
- 博士課程修了者: 狭き門ですが、今までの経験を生かし、一緒に研究を進めていきましょう。期待してます!
→ かつては、論文は通らなくても「博士課程」は修了した(「単位取得退学」「満期退学」などと呼ばれます)人にも研究の実績によっては正規研究員の道は拓けていたのですが、現在では応募条件に「博士の取得」が含まれたものが多くなっています。
終わりに…
なるほど。「博士課程」に進むのは、ほとんどが研究者としての道を志す人、なのですね。とはいえ、「修士」もかなり専門的な知識を持っていますし、大学卒業の「学士」だって立派なものです。
2つを分ける一番の違いとは「何を目指しているのか」というところのようです。
普通に就職するのが目的なら、「博士課程」は、無意味に時間を食う課程となってしまいます。
「修士課程」を履修している間に、その企業でのスキルを身に着けておいた方がいい、という考え方もできます。
「どうしても、この研究がしたい!」また「大学教員になるのが夢です!」、などと言う事情があり、学力、経済面共に許されるなら、ぜひ「博士号」を取得し、住みやすい世界づくりに貢献してほしいところです!
いかがでしたでしょう。
「修士課程」と「博士課程」、いろいろな「?」の解消、少しはお役に立つことができたでしょうか?
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