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かつては飲みすぎると目が潰れる、などとまことしやかに囁かれていた「焼酎」。「安酒・労働者の酒・臭い酒」とも言われ続けた暗黒時代を経て「カロリーが低い」「二日酔いにならない」「血管のつまりが軽減する」などなど、健康志向の波に乗り「本格焼酎」が爆発的な人気を見せ始めたのは2003年頃のこと。現在ではむしろオシャレなお酒です。


?「本格焼酎」? 焼酎って「甲類焼酎」と「乙類焼酎」だけじゃないの?

リカーショップなんかで売ってる大容量の焼酎と「森伊蔵」みたいな「プレミア焼酎」って何が違うの?(全然違うのはわかってるんだけど……)

「甲乙」っていうくらいだから、焼酎でも「甲類」の等級の方が上?

ちょっと待て! そこじゃなくて気になるのは「二日酔いしない」の部分じゃないか?! そんなミラクルドリンクがホントに存在するなら、オレはビール党をやめる。で、焼酎を思う存分、飲みまくる!

それ以前に読み方がわかりませーん!



二日酔い


などなどなど……何となく体によさそうな焼酎。本当に悪酔い・二日酔いはしない? 読み方は? 等含めまして、「甲類」「乙類」の違いを解説いたします。


一日の終わりの大人なリラックスタイム、焼酎片手に気楽に読んでいただければ幸いです。


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「甲類」と「乙類」はココが違う!


「甲乙」といえば「優れているものと劣っているもの」を指す言葉。
読み方も同じ、それぞれに「コウルイ」「オツルイ」です。


このことから「甲類」がいい焼酎、「乙類」がそれほどでも、の焼酎、というイメージもあるかと思います。

ですが、この2つに分けられた焼酎の名称は「優劣」などの等級を示すものではなく「製造方法」による酒税法での分類上の違いなのです。


「甲類焼酎」とは正式には「連続式蒸留焼酎」、「乙類焼酎」では「単式蒸留焼酎」となります(実は2006年の「酒税法改正」により「甲類・乙類」の区分はなくなっています。現在ではラベル等には古くに製造されたもの以外は正式名称で表記されています)。


「単式」?「連続式」? なんのことやら……?


はい……「甲・乙」でさえ何なのだか不明なのに、またヘンなのが出てきてしまいました……


この「単式」「連続式」というのは2つの「蒸留方法」を指しています。

「焼酎」は「蒸留酒」なのです。どのようなやり方でその蒸留を行うか、が正式な名称でもあり、酒税法上で2つを分ける部分でもあるのですね。


「甲類焼酎」とは「連続式蒸留方法」で造られた焼酎を、「乙類焼酎」とはその製造方法が「単式蒸留方法」のものを指します。


つまり、2つの違いとは「製造方法の違い」なのです。

「甲類焼酎」とは?


ではまず「甲類焼酎」の造られ方を見ていってみましょう。「連続式蒸留方法」です。

※「連続式蒸留方法」って何?


「甲類焼酎」の原材料は主に「糖蜜類(砂糖を原料から精製する時にできるもの。中でもサトウキビの使用が多い)」やトウモロコシ。


簡単に言いますと、これに水と酵母を加え「連続式蒸留機」で蒸留、出来上がったものに水を加え、酒税法で「甲類焼酎の基準値」と定められている「36度未満」まで調整していくのですが、「連続式蒸留方法」では、不純物を取り除くための蒸留が何度も繰り返されるのが特徴。

それにより高純度のアルコールが出来上がります。


この一連の作業により造られたアルコール度36度未満の焼酎が「甲類焼酎」と呼ばれます。

※出来上がった「甲類焼酎」はどんな味?


上記のように蒸留を何度も繰り返すため「連続式蒸留機」によって造られた「甲類焼酎」は純度が高く無味無臭、雑味(クセ)のないスッキリとした味わいのものとなります。


無味無臭なので、炭酸や果汁などで割って(味をつけて)飲むのが一般的。サワーや酎ハイに使われているのも、ほぼ「甲類焼酎」です。

割ったものは口当たりがいいので、クイクイ飲めてしまいます……


本当に二日酔いや悪酔いは大丈夫なの?


気になるところですが、その前にもう一方の「乙類焼酎」も見てみましょう。

「乙類焼酎」とは?


ではこちらも製造方法から。「単式蒸留方法」です。

※「単式蒸留方法」とは?


まずは、主原料です。こちらは「米・麦・芋」などの穀類が主。これらを蒸していきます。そして水と一次醪(もろみ)を加え、何日もかけて発酵させることにより「二次醪」にまで発酵を進めます。


さらに「単式蒸留方法」で大事になってくるのが「麹(こうじ)菌」です。

麴菌を繁殖させるために使われるのも「米・麦・芋」などの原料。こちらも蒸します。そして蒸され繁殖した麹菌が原料の穀類から糖を作り、さらに水と焼酎酵母を加えることにより、麹菌の作り出した糖は段々とアルコールに変化していき「一次醪」となるのです。


さて、ここでやっと2つは合わさり「単式蒸留機」で1(~2)回の蒸留、濾過後水を加え、酒税法での基準値「45度以下」まで調整です。


「連続式~」に比べ、蒸留はかなりシンプルですね。

※シンプルにできあがった「乙類焼酎」の味は?


このシンプルさが生んだのは香りや深み、といったアルコール成分以外の味わいです。
米や麦、芋など、素材由来の旨味ですね。無味無臭とはなりません。

ですので、その風味を味わうため好まれる飲み方は、ストレートやロック、お湯や水で割る飲み方。造られ方も飲まれ方も、とことんシンプル路線です。


実は「甲乙」という言葉からの連想を裏切り、古くからあったのは「乙類焼酎」の方。もはや伝統レベル、500年あまりの歴史を持つ製造方法です。


一方の「甲類焼酎」での「連続式蒸留方法」は150年前に海外から伝えられたもの(150年前でも十分古い歴史があると言えるのですが)。


ですので「甲類焼酎」を「新式焼酎」、「乙類」を「旧式焼酎」と呼んでいた時期もありました。

1949年に酒税法の区分で「焼酎」に分類されるのですが、それまでは「焼酎」といえば「乙類焼酎」を指していたのですね。


もともと「焼酎」という言葉が指していたのは鹿児島など九州各地を原産地とする焼酎のこと。いわゆる「本格焼酎」です。

現在でいう「乙類焼酎」のことですね。

そして「連続式蒸留方法」で造られたものも酒税法で「焼酎」と区分されるようになり「甲類」「乙類」にも分けられた、といった感じです。


さて、ブームまで巻き起こしたこの「本格焼酎」という呼び名ですが、提唱したのは「江夏順吉」さん(当時の「霧島酒造の社長」さん)。

やはり「甲乙」でいえば「劣っている方」の意味を持つ「乙」で呼ばれるのは何とも納得がいかなかったのでしょう。

2002年の省令改正により、名乗れる基準が規定された翌年から、爆発的な本格焼酎ブームとなったのです。


冒頭にある通り「カロリーが低い」「二日酔いにならない」「血管のつまりが軽減する」といった、健康志向、機能性的にも優秀、などにも注目が集まったのですね。

「本格焼酎」の元祖、今まで普通に飲んでいた本場の九州よりも、流行りに敏感なためか首都圏での消費の方が多くなる、という現象にまで発展し、現在に至っています。


さてさて、それぞれに特徴や違いがあるのはわかったのですが……そこではないのです。

ラブ・アルコールな人たちにとって真に重要なることは「果たして焼酎とは本当に悪酔いせず二日酔いにもならない神ドリンク」なのか、なのです。死活問題なのです。


ではいよいよ本題(勝手に)。

焼酎と悪酔い・二日酔いの関係についてです。

「焼酎は悪酔い・二日酔いしない」は本当? 都市伝説?


♦醸造酒と蒸留酒 09



  • そうなりにくいのは「本当」
  • 絶対にならないなんてことは「あり得ない」

つまり「都市伝説」です。


「都市伝説」って聞いた時点でかなりショックなんですけどー!


私だってショックです……


先ほども書きました通り、焼酎は「蒸留酒」。

酒税法で決められている「アルコール」=「度数1%以上のもの」には、

  • 醸造酒: 清酒、ビール、ワインなど
     → 原料(穀類等)を発酵させアルコールを生成
  • 蒸留酒:「焼酎」、ウィスキー、ウォッカなど
     → 醸造酒をさらに加熱し蒸留させたもの
  • 混成酒: 梅酒、リキュール、味醂など
     → 上記2つに果実、香辛料、砂糖等を加え、浸透させたもの

があり、それぞれに分類されています。

ですが、「混成酒」は別にしても、「蒸留酒」と「醸造酒」とでは圧倒的に「蒸留酒」の方が飲んだ後のアルコールが残らないのは事実


なぜ?


摂取したアルコールが体内から体外へと排出されるまでをちょっと見てみましょう。

  • アルコール摂取 → 肝臓で分解 → 一旦「アセトアルデヒド」という物質に変化
  • アセトアルデヒド → さらに分解 →「酢酸」となり、肝臓から血液中に
  • 酢酸 → さらに分解 → 炭酸ガスと水になり → 汗や尿、呼気となり体外へ

時間が経てば、アルコールはこのような流れを経て体外に出て行ってくれます。問題なし。

問題なのは、この時の肝臓の働き。処理能力にあるのです。


この能力には個人差がかなりありますが、処理のスピードを遥かに超えた飲み方をしたら?

「悪酔い」状態になります。


処理能力を超える量を摂取した場合は?

翌日まで分解されないアルコール(アセトアルデヒド)が残り「二日酔い」になります。


肝臓は頑張ってくれているのですが、さすがにその肝臓でさえ「おい、ムチャだろ」と思うようなスピード、量には対応しきれないのですね。


「アセトアルデヒド」は、その分解がなされるまで「酢酸」になることもできず、そのまま血中に流れ出ます。そして分解が果たされるまで血中からまた肝臓に戻り、まだ分解されず血中に……をくり返すわけです。これが「悪酔い」の原因。顔が赤くなったり青くなったり吐き気がしたり。

「アセトアルデヒド」は毒性が強いのです。


結局「悪酔い・二日酔い」を左右するのは、この肝臓の処理能力です。分解する酵素の量によるもの。個人差があります。

そしてどんなアルコールでもこの分解の過程は同じ。ただし「醸造酒」と「蒸留酒」では、その分解すべきアルコールの数が違ってくるのです。


「醸造酒」とは果実や穀物などを発酵させたもの。「蒸留酒」は、それらをさらに加熱蒸留させたものですね。

この「蒸留」により、99%以上が水とアルコール(エチルアルコール)になるため、肝臓は、この1種類のアルコールから生まれた「アセトアルデヒド」だけをやっつければいいのです。

一方の「醸造酒」には複数のアルコールが存在しています。つまり、そこから生じる「アセトアルデヒド」も複数に。肝臓、大忙しです。当然分解にも時間がかかります。


処理能力が一定であるなら、処理する対象(アセトアルデヒド)の種類が少ない方がスムーズなのは確か。

この違いが「焼酎」は悪酔い・二日酔いしない、と言われるゆえんです。


ですが、ビールやワインですぐに悪酔いしてしまう肝臓の持ち主が「焼酎」に変えたとたんにアルコールに強くなる(悪酔い等しなくなる)というわけではないのです。おそらく、同じく悪酔い・二日酔いはくり返されるかと思われます。


分解作業は早まりますが、分解作業自体は「醸造酒」などを飲んだ場合とは変わらないのです。

くれぐれも飲みすぎには注意です! 悪酔い・二日酔いはキッツいです!!

(※また、含まれる不純物の量も悪酔い・二日酔いに関わってきます。
少なければ少ないほど、なりにくくなります。

ですので「値段が高いものほど悪酔いしない」は一般的には本当(ビールは別)。不純物を取り除く作業の手間も値段を上げている要因だからです)

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「甲類・乙類」の違いを比較!


飲みすぎなければかなり優秀な「焼酎」。

その製造方法により分けられた「甲類」「乙類」の呼び名、ですね。

ではここでもう一度、おさらいも兼ねまして2つの違いを比較していってみましょう!

正式名称は?


  • 甲類焼酎: 連続式蒸留焼酎
     →「連続式蒸留機」を使い「連続式蒸留方法」で造られた焼酎 / 36度未満のもの
  • 乙類焼酎: 単式蒸留焼酎
     →「単式蒸留機」を用い「単式蒸留方法」で造られた焼酎 / 45度以下のもの

味の違いは?


  • 甲類焼酎: クセのないスッキリした味わい / 無味無臭
     → 蒸留を繰り返すことにより、高純度のアルコールが生まれます
     → 炭酸や果汁などで割り、味をつけて飲むのが一般的

  • 乙類焼酎: 香り、風味ともに豊か
     → 蒸留の仕組みがシンプルなため、香りや深み、といったアルコール成分以外の、原料となる穀物等の素材の旨味が感じられます。
     → 個性的な香り、風味のものが多数あるため、それを味わい尽くすならロックやお湯・水割りなどがおススメです

古くから作られていたのは?


  • 「乙類焼酎」の方です。
     → こちらは日本古来の伝統的な製造方法(単式~)がとられています。歴史は500年余り。
     → その後150年ほど前に海外から「連続蒸留方法」が伝えられ、酒税法により「甲類」も焼酎として仲間入り。

 ➡ ですのでかつては「甲類焼酎」を「新式焼酎」、「乙類焼酎」を「旧式焼酎」と呼んだ時期もありました。

「本格焼酎」ってどんなもの?


大前提にあるのは「乙類焼酎」であることです。

そして、単式蒸留機で蒸留されたものであれば「穀類・芋類」以外を使用した焼酎であっても、決められた条件さえクリアしていれば「乙類焼酎」を名乗って問題なし。「本格焼酎」ではNGとなります。

本当に昔ながらの焼酎、といった感じのもの。

ですので、本格トマト焼酎、などといった変わり種は存在しないわけです。


「乙類焼酎」であり、さらに細かい規定をクリアしたものが「本格焼酎」と呼ばれています。

焼酎ってホントにこの2種類だけ?


スルドイです!!


実は焼酎にはもう1種類「混和焼酎」と呼ばれるものがあります。

これは文字通り「甲類」と「乙類」を混ぜたものを指しています。


味や臭み(匂い)のないピュアさが特徴の「甲類」に「乙類」の風味をプラス。または「乙類」の風味の強さを「甲類」を加えることにより抑える、など、それぞれの長所を掛け合わせることで、さらなる「おいしい」の相乗効果を狙ったものです。


2つのうち、50%以上使用されている方をベースとし、その種類を先に記すのがルール。

「甲類」が50%でベースとなっているのなら「甲乙混和」。逆であれば表示も逆の「乙甲混和」ですね。
ラベルには「混和率」を明記するよう、業界内で自主規制が敷かれています。

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終わりに……


やっぱり、悪酔い・二日酔いは避けられないのね……


いや、飲み過ぎなければいいんですって!!


少量(適量)のアルコールは大脳を麻痺させ、気分爽快、小さな悩みも消し去ってくれます。いいヤツ。「酒は百薬の長」などとも言われます。


ただし、飲みすぎるとアセトアルデヒドが牙をむき、交感神経(自律神経)を刺激、独特の不快感が襲ってくるのです。


わかっちゃいるんだけど、その「大脳麻痺で爽快 → 気持ち悪い……」の境目が!!


凄くよくわかります……

でも、何とか自分の許容範囲を知って楽しい時間のみ満喫したい……互い頑張りましょう……!


さてさて、いかがでしたでしょう。
「甲類」「乙類」の違い、悪酔いとの関係等、多少なりともスッキリしていただけましたでしょうか。

皆さまのアルコール愛が、悪酔い・二日酔いに負けずいつまでも続きますよう、祈っております!!

(なお、初めの方にチラリと書きましたが2006年の酒税法改正により現在では「甲類」「乙類」の区分はなくなり「連続式蒸留焼酎(法令などの公式文書には「焼酎」がひらがな表記の場合もあり。2010年まで「酎」の文字が常用漢字外だったため)」、「単式蒸留焼酎(同じくひらがなで「しょうちゅう」表記もあり)」とされています。

呼び方としては「旧甲類」「旧乙類」になってしまいましたが、内容は同じ、製造方法が2つを分けている、という部分は変わりません


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