1.的確
2.適格
3.適確
……なぞなぞですか?
いいえ、違います!
使い分けのポイントさえつかめば、上記のような問題にも「ふふ~ん、2(とか1とか3)に決まってんじゃん♪」などと余裕の笑みで返すことができるようになります。
「的確」「適確」「適格」、違いや使い分け方などについて解説いたします。
日々の生活の中でそうそう頻繁に登場する言葉ではありませんが、いざという時にササッと書き分けられるのは、そこそこにかっこいい度を上げてくれるものです。
かっこいい度アップと知的好奇心の満足のため、少しでもお役に立てれば幸いです!
目次
「的確」と「適確」と「適格」の違いを超簡単に
3つの「てきかく」、大雑把に分ければ「的確・適確」グループと「適格」グループ、となります。この中で「適格」だけが明らかな違いを持っているのですね。
「的確」と「適確」はほぼ同義、皆さんが思っている通りの「的を外しておらず、確かで間違いのないこと」を意味する言葉です。
「適格」だけが上記の2つと違い「資格にかなっていること」を表す言葉。
なら、「的確」か「適確」どっちかにしてよ!
……本当にそう思います。
では続いて3つの特徴や使われ方を通して、それぞれのちょっとした違いを詳しく見ていきましょう!
「的確」とは?
先ほども書きましたが、意味としては「的を外していない、確かで間違いのないこと」の「的確」。『的確な対処』や『的確な指示』などに使われますが、そう言われると何となく「それなら任せても大丈夫そうかも」と思えてくる言葉です。
的確の「的」には何かをする時の目標、という意味があり、そのことから、「うまく目標に当てる → 要点をうまくつかんだものの例え」、として「的を射る」という言葉も生まれています。「的を射る」とはまさに = 「的確に要点をとらえる」ことです。
このように『的確』とは、「大事なところをしっかりと把握した上で、間違いのないとされている」こと(またはもの)を示す言葉です。
つまり『的確な対処・指示』は、的を射た「確かに要点をとらえている」対処・指示、と言い換えることもできるわけです。
「大事な要点をしっかりと押さえた上で、間違いなし! と出された」対処や指示。なるほど、安心して従えそうです!
「適確」とは?
「的確」と書いても意味の伝わり方は同じ「適確」。むしろ「的確」の方が一般的な書き方とも言えます。事実新聞表記では「的確」に統一されていますし、「国語審議会(昭和36年)」でも「一般用語には『的確』で」ということになっています。
今では「適確」の文字が見られるのは「法令用語」くらいのものとなっていますが、「適確」での表記は間違い、というわけでもないのです。
「的確」は古くからそのまま「的確」として使われていた言葉ですが「適確」の方には、元々「適正確実」「適切確実」という言葉だったものの省略形として使われるようになったものである、という背景があります。
「適正・適切」ともに「その場の状況や目的にふさわしい、適当で正しい(この場合の適当は「てきとー」といったニュアンスで使われるものとはもちろん異なります)」といった意味合いを持つ言葉です。
ですので「適正(適切)確実の省略形」だとしても「適確」の持つ意味は「的確」のそれと、ほぼ変わらない、ということになるわけです。
法令用語から消えない「適確」の文字。
「的を射た」とは言い難いが、「まぁまぁふさわしいとは言えるんじゃない?」といった法令を表すために敢えて残しているのかなぁ、などと勘ぐってしまうのはきっと私だけだとは思うのですが……
「適格」とは?
ひとつだけわかりやすく違う「適格」。資格にかなって(適は「かなう」とも読みます)いること、必要な資格をしっかりと持っていること、の意味を持ちます。
対義語は「欠格」。資格を欠いていますね。
「彼はボスとして適格だ!」と言われるなら、その彼は、ボスとしての条件を備えた頼りになる人、ということになりますね。
また「適格〇〇」といった使われ方をし、「○○部分」の資格を備えた人や物を指す場合にも使われます。
「的確」と「適確」と「適格」の詳しい違い
「的確」と「適確」はほぼ意味が一緒で、「適確」と「適格」は「適」の文字が一緒。う~ん、困りました。やっかいな言葉たちです。
「ほぼ意味が一緒グループ」の違い
「的確」と「適確」です。- 的確: もともともこれからも、ずっと「的確」です!
- 適確: 以前は「適正確実」や「適切確実」として生きてました。省略されて「適確」に生まれ変わったのですが、今となっては昔の「適正確実」などと呼ばれていたことを知らない人の方が多いので、きっとこれからも「適確」のまま変わらないと思います。
「的」と「適」が違うのだから、厳密にいえば意味にだって違いがあるはず!
どうしても厳密に分ける必要があるのなら、ですが、- 的確: その条件を「的」とし、それを外していない確かで間違いのないこと。
- 適確: 前面に出るのは「的を外していない」の部分ではなく、あくまで「もっともよく当てはまった」間違いのないものであること。
→ 当てはまり方も的確では「的から外れていない」ことを、適確では「よく当てはまっている」こと、により重点を置いている、といったところが、微妙ではありますが違いと言えます。
「同じ文字(適)が使われているグループ」の違い
続いて「適確」と「適格」です。1文字違うとこんなに違う!
- 適確: 間違いがないこと
- 適格: 必要な資格を充分に備えていること
→ 「適切または適正で確か」な『適確』と、「適切または適正な資格」を備えている『適格』。よく見ると、意味の違いは、そのまま異なっている漢字部分の意味の違い、と言えそうですね。
「的確・適確」グループ、他にも似たような意味の言葉はある?
たくさんあります!!
・正確 / 明確 / 確実 / 確か など
→ それぞれにその言葉の持つ特徴からの使い分けがありますが、中でも「正確」の使われ方と「的確・適確」を少し比べてみましょう。
正確 VS 的確・適確
♦【あるある】血液型の詩が的確すぎて面白い。「O型の詩」[youtube https://www.youtube.com/watch?v=CG5HESWoleE&w=560&h=315]
- 正確:実情にぴったりと合っていること。
- 的確(適確): ぴったりと当てはまり、間違いのないさま。
→ 「ぴったりと合っている」と「ぴったりと当てはまっている」。違いが分かりません……
ですが、「ここからあそこまでの距離」など、正しい数値が求められる場合を考えると、「的確・適確」では、なんとも心もとない気がします。
「正確に25.6㎝ごとに、目印を立てる」ならキッチリ測れそうですが「的確(適確)に25.6㎝」とは言いませんね。
言うのであれば「的確な距離を保ち目印を立てる」といった感じでしょうか。かなりアバウトです。
このように数値的なキッチリさ、誤差なくお願いします、といった場合には「的確・適確」共に、使われる言葉ではありません。
「間違いのない」とは、言い換えれば「間違いは、ない」です。「的を射ている」とはいえ「完全な正解」というよりは「要点を押さえ、条件に合ううちの最善のもの」というのが「的確・適確」の特徴的な使われ方とも言えますね。
終わりに…
日本語にはこのような「同音異義語」が本当にたくさんありますね!その中には「的確」と「適確」のように読み方も同じで意味もほぼ同じ、といった言葉も多くあり「統一しとこうよ、その方が楽だって!」と思うこともしばしば。
けれど、こうした細かさが、物事の本来の姿をより鮮明に思い浮かべたり、微妙な心の動きを伝える役に立つことも、また事実です。
いかがでしたでしょう。
面倒と言えば面倒……ですよね。
でも、仕方ない! そんな日本語を使ってしゃべる民族の宿命です!!
こうなったら開き直って、他の「面倒くさい語」も徹底的に調べてみるか! などと一瞬でも思っていただけたなら本当にうれしいのですが……
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