……えっと、どの先生を差し上げれば?
「ご教授」と「ご教示」、あまり普段の会話で使われることはないかも知れません。
誰かに何かを聞きたい時、または教えてほしいことが出てきた時、メールや手紙等での書き言葉として使われる「教授」と「教示」。
う~ん、似てますね。その時の気分で書き分けてしまいそうです! 困ります!!
わかりました! なんとかしますね!
「ご教授」と「ご教示」、違いや使い分け等、解説いたします。
例文なども挙げていきますので、よろしければ参考になさってみてください。
目次
ご教授とご教示、違いはここ
わかりやすい違いのポイントは、- 誰に「何を」教えてもらうのか
- 教わった後も、それに関することをまだまだ「教わり続ける」か
先輩や上司などからノウハウや情報等を教えてもらいたい時には「教示」。
少し堅苦しい言い方ですが、「教えてください」を丁寧に言い換えた言葉です。
例えば習い事など、ピアノの先生についてプロを目指す! などでは「教授」。
ぜひ余すところなく「ご教授」いただき、立派なピアノ弾きになってください!
専門的な知識や技術等を、長期にわたって教わり続ける場合に使われる言葉がこちらの「教授」となります。
では続いて、意味や使われ方の違いをそれぞれに分けて見ていってみたいと思います。
ご教示とは?
♦インラインスケート幼児 その3
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=vVYrIU3Gx-U&w=560&h=315]「ご教示」は「教えてください」の丁寧な言い方。「ごきょうじ」と読みます。
説明書を読んでもわからない部分をすでに使っている人に教えてもらう、や、仕事上のトラブルなどで、上司から何かアドバイスを受けたい時などにはこちらの「ご教示」です。
情報を教えてほしい時に使われる言葉ですね。
- 「熱帯魚の飼い方、どなたか詳しい方がいらっしゃいましたら、どうぞご教示ください!」
→ 熱帯魚に詳しい方に、詳しい飼い方を「教えてもらいたい」。 - 「先方との話し合いが難航しています。何かアドバイス等ありましたらご教示ください」
→ 経験豊富な上司等に、アドバイスを「聞きたい」。 - 「未熟な二人ですが、力を合わせ幸せな家庭を築いていきたいと思っております。今後とも変わらぬ助言、ご教示を賜りますよう、よろしくお願いします」
→ 周りの皆さんに今後とも「何かと相談などさせてほしい」。ご結婚おめでとうございます!
いろいろな場面で使える言葉です。
教えてほしい知識や情報を丁寧に聞く場合には「教示」してもらいましょう。
ちなみに英語で言えば「tell(言う)」のようなニュアンス。「tesch(教える)」まではいかない感じです。
ご教授とは?
一方の「ご教授」。大学教授の「教授」ですね。読み方も同じ「ごきょうじゅ」です。
こちらはもう少し「教えてもらう」内容や期間に条件が付きます。
- 教えてもらうことは専門的なことか?
→ 学問・技芸を教え授けるのが「教授」 - 長期に渡って教えを受けるか?
→ 一定期間、順を追った教わり方で知識等を授けてもらうのが「教授」
生徒・先生、師匠・弟子のような関係であっても、それが教えてもらうべき専門的な技術なり学問でないこと(例えば「先生、今日の朝ご飯はなんでしたか? ぜひご教授いただきたいのですが」など)で使うのは間違いとなります。
前述のピアノを習っていた生徒さんが晴れてプロのピアノ弾きになったなら、「来たる△月□日、リサイタルが決定いたしました。〇〇先生からご教授いただけたことを本当に感謝しております。チケットを同封致しましたので云々……」などとなるわけです。
ある程度の長期間、継続して専門的な学問や芸術などの高度な知識、技術を、順序立てて教えてもらう場合には「ご教授ください」が正解です。
ですのでビジネスなどの場では、よほど特殊な分野でない限り「ご教授」は使われません。
研究職などであれば、継続して実験している事項等を、より専門的な立場の方に今までもこれからも意見を聞く、など「ご教授」を使う場面もあるかと思います。しかし、一般にビジネス上「教えてください」を丁寧に言うのであれば「ご教示」です。
「ご教授」は、期間・教えてもらう内容に条件のある場合に使われる、限定された言葉、と覚えておいてくださいね。
ご教授とご教示、詳しい違いと使い分け
より丁寧な「教えてください」の「ご教示」、学問や専門的な知識や技術、芸妓などを一定期間、体系的に教えてもらう「ご教授」。2つの違いが何となく掴めてきましたでしょうか?
では次は色々な場面ごとに例を挙げながら、違いや使い分けを見ていってみましょう。
家元! このお花の季節を教えてください!
華道ですか、優雅です。お花の季節を知るのも勉強の一つ。ぜひ家元に「ご教授」願ってみてください。→「このお花はいつが盛りの花となりますか。ぜひ『ご教授』賜りたく存じます」
夏までにあと5キロ痩せたい! いい方法を知りたい!
「教えてください」でいいと思いますが、ネットなどの質問ですと丁寧に言う方もいますね。その場合でも「ご教示」止まりで。中にはダイエットの専門家の方がおられて教えてくれるかもしれませんが、その方の教えを長きに渡って受けることはほぼあり得ません。
この場合「ご教授」は誤用となります。
→「当方150㎝、48㎏のポチャです。夏までにマイナス5㎏が目標! いいダイエット方法をご存知の方がいましたらぜひ『ご教示』願います(けっこう真剣で~す)!」(いい回答がいただけるかどうかは、また別問題です)
大学院の修士課程です。〇〇教授についています。専門は児童心理学です!
〇〇教授の「教授」のもと、頑張っているのですね。教えていただきたい内容にもよりますが、講義自体、教授から「ご教授」いただいている専門分野です。→「先日の講義内容の△△ですが、どうしてもわからないところがあります。『ご教授』いただければ幸いです。よろしくお願いいたします」
4月からこちらの道場にお世話になります! 茶帯目指して一生懸命練習します! ウスっ!
柔道ですか? あ、空手……指導者(コーチ)からの「教授」をしっかりと身に着け、強くなってくださいね! でもどうせなら黒帯目指してください!
→「コーチ、自分を強くしてください! どんな練習にも耐える覚悟ですので、どうぞ『ご教授』のほどよろしくお願いします! え? 茶帯って1級だったんすか?……そういうとこも含めて『ご教授』いただけるとありがたいです! ウスっ!」
先生の奥さんの年齢が知りたい!
……聞かないでください。こないだは貴重なご意見ありがとうございました! 今後とも変わらぬお付き合いをよろしくお願いします!
いいお友だち(先輩ですか?)をお持ちですね。これからもなにかあったら頼りになりそうです。「教えていただけますか?」や「ご意見お聞かせください」でも十分かと思いますが、メールやお手紙の書き言葉として丁寧に「聞きたい」のであれば「ご教示」になります。→「ピンチです! こっそり飼っていたウサ吉の存在が妹にバレました!! なんとか親には言わないでほしいのですが、うまい切り抜け方、ぜひぜひ『ご教示』ください!!」
もう一度まとめてみましょう
- ご教示:「教えてください」を丁寧に言い換えたもの。単純にあることについての情報を「聞きたい」などにも使われます。
丁寧な言葉ですが、範囲は広め。ビジネスシーンや普段の生活で使われるのはほとんどこちら、と思っていただいて間違いないかと思います。
また、やはり「堅い言葉」でもあるため、女性の場合など、柔らかくかつ丁寧な「教えていただけますでしょうか?」を使った方がいい場合もあります。
ほとんどが「書き言葉」として使われ、あまり会話の中に盛り込む言葉ではありません(堅すぎです)。
ちなみに完全な余談で恐縮ですが「ビジネスの場で『教示』の言葉を使っているか?」の質問には、「よく使う・使うこともある」の方は合わせて20%にも満たない少数、という結果となっています。
丁寧な言葉なのですが、やはり堅いイメージなのですね。 - ご教授: こちらも同じく「教えてください」を丁寧に言い換えた言葉。ですが、その内容には条件が付きます。
△教えてもらうことが「学問・芸妓などの専門的で高度な技術・技能・知識」であること大学の「教授」に限らず、専門的な知識を長期に渡り教えてくれる人から受ける(授かる)ものは「ご教授」いただくものです。
△順序立てた教わり方で、時間をかけて得る知識であること
→ 教える立場、教わる側の立場がそれぞれ確立している状態で「教え授かるもの」とも言えます。
終わりに……
betterとbestのようにレベルが(丁寧さの)違う言葉ではなかったのですね!最近のweb上では本来なら「ご教示」と書くところを「ご教授」と間違って書かれている方も多いようで、そこここに「それを言うなら『ご教示ください』です!」などの文章も見られます。
どちらも丁寧に言おうとして使う言葉なので、完全な間違いではないのですが間違いではあるのです。
「ご教授」はやはり「大学教授」を連想しやすい言葉。
違いがあることさえ知っておけば、いざ「どっちだったっけ?」となった時「そうだ、大学教授だ! 学問だ!」と思い出しやすくなります。
知らなければ間違えてしまうのも当然と言えば当然です。
2つは違う言葉、とまずは、ここだけでも覚えておいていただき、その後ゆっくりと「こっちがこう」と思い出していただければいいかなぁ、と思います。
いかがでしたでしょう。
「教示」と「教授」、2つの違いに少しでも「なるほどね」と思っていただけたら幸いです!
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