魂の叫びです! 素晴らしい! 美しい演奏でした!!
やっぱり生演奏はいいです。文字通り、音が直接体にドンっとぶつかってきます。さすが生、ライブ感最高です!
……ん? ライブ感? 「ライブ」なの? でも、これってクラシックの「コンサート」じゃなかったっけ?
え? パンフレットには「ピアノリサイタル」……?
何なの~~~!!!
……私の感動が、それどころではなくなってしまいます! 大変です!
了解です!
早いところ、「ライブ・コンサート・リサイタル」、この3つの違いをスッキリさせてしまいましょう!
きっと次回の演奏会では、同じようなモヤモヤに悶えている方たちに、こっそり教えてあげられるようになりますので、ご安心ください!
目次
ライブ・コンサート・リサイタル、ここが違う!
今では、このどれもが主に音楽の演奏会に使われる言葉。その中でも「コンサート」が、一番大きな括りで使われる言葉となっています。
ライブもリサイタルも「コンサート」と称しても問題のない演奏会なのですね。
では「ライブ」「リサイタル」は、なぜあえて分けた呼ばれ方をするのか?
「コンサート」を使って、この2つを表現するなら「ライブ・コンサート」「ソロ・コンサート」となります。
ポイントは「ライブ」部分と「ソロ」部分、つまり「生演奏」であることと「ソロ = ひとり」であることが強調されているわけです。
3つの言葉の違い、使い分けられているポイントもこの部分です。
では、それぞれの「演奏会」、比較等交えつつ、違いを見ていってみることにしましょう!
ライブとは? コンサートとどう違う?
ロックンロール! カモーン! ですね。「レトロニム」という言葉をご存知でしょうか?
ある一つの言葉が、時代と共にその意味を変化させていく、または意味する範囲が広がっていく、というのはよくあることです。
例えば「固定電話」。
これは「携帯電話」が誕生、普及したことにより生まれた言葉です。それまでは「電話」と言えば家にある電話しかなかったため、あえて「固定」をつける必要もなくただの「電話」で事足りていたのですね。
「携帯電話」と区別するために新たに名づけられた「電話 ⇒ 固定電話」のようなもののことを「レトロニム」と呼びます。
「ライブ」も、この「レトロニム」の1つ。
かつて「演奏(コンサート)」と言えば、そのすべてが「生演奏」でした。録音や録画などの記録の技術がなかったからです。何でもかんでも「コンサート(演奏)」で何の問題もありませんでした。
ところが技術は進歩し「録音・録画した音楽」が生まれます。
それらを集めみんなで鑑賞するといった趣の「レコード・コンサート」「フィルム / ビデオ・コンサート」なるものが開催されます。
では、今まで通り演奏者が生で演奏するコンサートは何と呼ぶ? といったことで「ライブ・コンサート」、つまり「ライブ」の言葉が「生演奏」を指す呼び名として誕生したわけなのです。
ほほぅ、なるほどですね!
ですが現在、日本の呼び方事情では、ポピュラー音楽の「ライブ・コンサート」は「ライブ」と略されることがほとんど。
エレキギターやドラム、絶叫系の機械音に「演奏会 = コンサート」では、何とも締まらない感じがします。
「ライブやるんで、よかったら見に来いよ!」と言いたいです。「コンサート、今度やるからさ」……なんだか穏やかそうです……ロックっぽくないです。
また「ライブハウス」で演奏する音楽、という由来もあるようです。
「ロック」などの(当時のおとなの皆さんからすれば)はみ出し者っぽい、正当っぽくない、不良っぽい音楽は「ライブハウス」がお似合いだ! な感じだったのでしょうか?
そんなことを言われれば余計に喜んでしまうロックミュージシャンたち、ならばオレたちの音楽はライブだぜ! コンサートなんてダルいことやってられっかよ!
……詳細はさておき「ライブ」とは、
- もともとは「コンサート」
- でも生ではない演奏(フィルム・コンサートやレコード・コンサートなど)と区別するために、生演奏に「ライブ・コンサート」の名前が新たに考案される
- 日本では「ライブハウス」でやる演奏、主にポピュラー音楽では「ライブ」と略されることが多い。なぜならその方がかっこいいから。
コンサート > ライブ・コンサート > 特にポピュラー音楽系は「ライブ」と略す
このような関係となっています。
コンサートとは? リサイタルとの違いはここ!
演奏会の総称「コンサート」。ロックなどでは敬遠されがちである理由は何となく穏やかで重い感じがするから。クラシックなどでは「コンサート」がしっくりきますね。
さて、この「コンサート」ですが、英語では「concert」、これは「協奏曲・協調・協力」などという意味を持つ言葉です。
そして興味深いのが、ラテン語の「concerto」に由来する言葉でもある、ということ。「concerto」には「論争する」「競い合う」の意味があるからです。ケンカが始まってしまいそうです!
しかし、単語を分けて見てみると「con」=「一緒」、「certo」=「認識・決定」なのですね。
つまり「協調するため論争する」、これが転じて、みんなで作り上げていく感じでの演奏が「コンサート」と呼ばれるようになったわけです。
ですので「コンサート」は一人では行いません。みんなで演奏する音楽を指します。オーケストラなどの演奏は王道の「コンサート」ですね。
また「公開演奏会」の意味も持つため、私的な演奏会は厳密には「コンサート」とは呼ばれません。あくまで不特定多数の聴衆を対象とした演奏会です。
演奏者の人数も多いですが、会場も比較的大きなところでの開催となります。
クラシックの他、アイドルなども「コンサート」です。
多人数が歌って踊って、見に来る(聴きに来る)人たちも不特定多数。トップ入場を目指し、何なら会場前で徹夜もします。
生出演なので「ライブ(・コンサート)」と言っても差し支えないのですが、やはり「コンサート」と呼ばれることが多いです。
さてさて、先ほども書きました「ソロ・コンサート」。
「コンサート」とは3人以上での演奏のことを指します。「ソロ = ひとり」では「コンサート」と本当は呼べないのですね。
ですので「コンサート」のタイトルでひとりの演奏会をする場合には「ソロ」の文字をつけるのです。
これは本来なら「リサイタル」と呼ばれるもの。
「コンサート」と「リサイタル」の違いは、この部分。演奏する人数の違いです。
ですが上記の「ソロ・コンサート」の他、2人以上で行う「ジョイント・コンサート」などの言葉も存在します。
「たったひとりのピアノ・コンサート」、何となくかっこいい響きですが、本来なら、厳密にいうのならこれは「ピアノ・リサイタル」です。
つまり「コンサート」とは、
- 本来はオーケストラなど、多人数による楽団の演奏会のことを指す
- 広めの会場で開催される演奏会
- 公開演奏で不特定多数の聴衆を対象とする
- 生演奏でない「フィルム / レコード・コンサート」などもあり
- クラシック系やアイドル系のステージで主に使われる言葉だが、音楽の演奏会の総称でもある
- でも尖ったロック系は断固拒否
中でも特に「リサイタル」と異なるのは、
- 3人以上の多人数なら「コンサート」、ひとりでの演奏会なら「リサイタル」
- どうしてもひとりで「コンサート」をしたいのなら「ソロ・コンサート」と銘打つこと
などが挙げられます。
リサイタルとは? ここがライブとは違うとこ♪
「独唱会・独奏会」の「リサイタル」。由来は「recite」、やはりラテン語です。「朗読する」の意味を持ちます。
かつては詩の朗読を指していたのですね。
その後、文芸や音楽等「ひとり」で行うパフォーマンスなどを公開することを「リサイタル」と称すようになります。
現在ではかつての「一人で行うパフォーマンス」ではなく、「独唱会・独奏会」を表す音楽用語として定着していますが、最初に「独奏会」を「リサイタル」の名で呼んだのは、かの有名なピアニストの「リスト」さん。1840年6月9日のロンドンでのピアノの演奏会の予告でのことです。
「独奏会」の言葉通り、主体となる演奏者はひとり。伴奏者が一緒のこともありますが、基本は「ひとり」です。
初めから2名、または3名での演奏と決まっている場合には「ジョイント・リサイタル」のタイトルがつけられます。
クラシック・シャンソン歌手の方が用いることの多い名称です。
フォークシンガーや演歌歌手の方もこちらの「リサイタル」。演歌歌手の方などは、複数の奏者がいても「リサイタル」を押し通します。
「○○三郎コンサート」より「○○三郎リサイタル」、そう言われると確かに「リサイタル」がうまくはまります。
あくまで「○○三郎」がメインなので、この際奏者に関しては目をつぶってもらおう、といった感じでしょうか。歌うのはサブちゃん一人ですし。「ディナーショー」も「リサイタル」形式ですね。
ひとりで行うクラシック演奏。
生演奏であることに間違いはないので「ライブ」といってしまっていいような気もしますが、ここは「リサイタル」です。
また一人で演奏するロックなどのポピュラー音楽を「リサイタル」と言ってなぜいけない? かっこ悪いからですね。実際ロックやポップスでは使われることのない言葉です。
つまり「リサイタル」とは、
- 独唱会・独奏会など、基本的に一人の演奏者が行う演奏会のことを指す音楽用語
- クラシック系・シャンソン歌手・演歌歌手の方によく用いられる表現
- 2人、または3人などの場合には「ジョイント・リサイタル」
- 何人もの奏者が一緒にいても演歌歌手の方などは構わず「リサイタル」
なぜ「ライブ」ではいけないのかと言えば、
- 「生演奏」だが複数名から成るバンドなどではなく、「ひとり」演奏するものだから
逆に一人で演奏するロックなど、別に「リサイタル」でもいいのだけれど「ライブ」と呼ぶのは、
- 「ライブハウス」が由来の音楽だから
- どうしてもロックンロールの精神が「リサイタル」の言葉を拒むから
となります。
ライブ・コンサート・リサイタル、詳しい違いとそれぞれのポイントはコレ!
さて、3つの「演奏会」、それぞれの特徴や違いが何となく掴めてきましたでしょうか?では「これはコンサートでいいのか?」や「ここはリサイタルで!」など、様々な演奏会を見ていきながら、具体的な比較をしていってみましょう!
△△交響楽団の演奏会を聴きにサントリーホールに行ってきます!
王道の「コンサート」ですね!→ 何種類もの楽器が美しい音楽を奏でます。クラシック音楽で、ある程度以上の大きさの会場で行われ、聴きに来る人を特定していません。
もし、「ビデオ」などを流し△△楽団の演奏をみんなで観賞しよう、という趣向の鑑賞会であっても「コンサート」です。ただしその場合「ビデオ(フィルム)・コンサート」とするのが正解です。
<h3>かつてゴーストライターだった方が、一発奮起して、ソロで演奏会を開くんだって! 「リサイタル」です。もしかしたら「ソロ・コンサート」とするかもしれません。
→ 奇をてらって、ほんとにもしかすると「ソロ・ライブ・コンサート」かもしれませんが、生演奏ですし演奏者はひとりなので、それも間違いではありません。ですがタイトルが長すぎです!
俺はジャイアン、ガキ大将!
……本人は「リサイタル」のつもりです。→ 殴られるのが怖いのと、映画の時は別人のようにかっこいい男気を見せてくれることで、みんな何とか我慢しています。
○○ひろし・ワンマンショー、最高のイブになりそうだわぁ
「ディナーショー」ですね。→ ですが「リサイタル」でも可。その場合「□□ひろし」さん以外の奏者には目をつぶります。歌ってしゃべるのは専ら「ひろし」のみ。
または「□□ひろし・ソロ・コンサート」もありです。
ドブネズミみたいに、美しくなりたい……
「ライブ」です!→ そして「ブルー・ハーツ」は最高です! もちろん「ライブ・コンサート」でもいいです。ですが、やっぱり「ライブ」の言葉通り、その臨場感がたまりません。ぜひ「ライブ」で!
……すみません、何だか楽しくなってきてしまいました。
ではここで、ポイントごとにもう一度まとめてみましょう。
3つの「演奏会」、それぞれを分けるポイントは?
「ライブ」ポイント
- もともと「演奏会」といえば生演奏だったが、録画・録音技術の発達により「ビデオ」などを鑑賞する「フィルム(ビデオ)・コンサート」などが登場。それら「生演奏でない」ものと、今までの「生での演奏」を区別して呼ぶために新たに考案された言葉。
- 正式には「ライブ・コンサート」だが、大抵「ライブ」と略されて呼ばれる。
- かつてライブハウスで演奏された音楽がそう呼ばれていたという由来もあり、現在でもロックやポピュラー音楽ではよく使われる音楽用語。
- ヘビーメタルやハードロックなどの演奏にはそれ以外似合わない。
- さらにかっこよさを追求するなら「ライブ」ではなく「ライヴ」。
「コンサート」ポイント
- 音楽を演奏するイベントの総称。
- 「生演奏」にはこだわらない。
- 比較的大きな会場での演奏会。
- 比較的多人数での演奏(もとはオーケストラなどの楽団音楽のこと)を指す。
- 特定の誰かに向けて、ではなく不特定多数の聴衆に向けた公開演奏会を指す。
- ラテン語の「concerto」に由来する。皆さん、協調を求め、論争をするかの如く音楽の質を高めることに意欲的に取り組んでいる。
「リサイタル」ポイント
- もともと「詩の朗読」から始まり「ひとりで行う文芸や音楽の公開パフォーマンス全般」に使われるように。
- 1840年6月9日、リストさんがロンドンで行ったピアノ独奏会に「リサイタル」の言葉を使ったことから、現在の「独唱会・独演会」を表す音楽用語として定着。
- 基本、演奏家はひとり。
- でも2人や3人の「ジョイント・リサイタル」などもある。
- クラシック・シャンソン・演歌などでよく使われる表現。
- 演歌などの場合、複数の奏者が一緒に出演しても「リサイタル」のタイトルは譲れない。
- ディナーショーも「リサイタル」の一種。
- ジャイアンは本当はいいヤツ。
終わりに……
厳密にいえばそれぞれに定義はあるものの「どうしてもこう!」といったルールがあるものではないようですね。どちらかと言えば、開催者のセンスやこだわりやタイトルの響きに関係しているような気もします。
ですが「ふーん、あえての『コンサート』ね」など、違いの基本を知っていることは開催者の意図など、もう一つの演奏会の顔を垣間見られることになったりするかも……しれません。
ロック以外、もう全部「演奏会」でいいじゃん!
でも、わざわざ「コンサート」「リサイタル」、何なら「ソロ」をつけてでも「コンサート」にこだわりたい! の気持ちも何となくですが尊重したくなります。
ジャンルに関わらず、いい音楽を聴くことは日常のあれこれをきれいに洗い流してくれます。
せっかくのいい音楽、「なんでこれが『リサイタル』じゃなく『コンサート』なんだ?」などのモヤモヤで、余韻が薄まりませんよう、そのお手伝いに少しでもなっていれば幸いです!
♦サプライズ 感動 実はプロのオーケストラ集団だった!! surprise harmony
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=GQ4ejC47dKY&w=560&h=315]どんなジャンルでも音楽って美しいですね!!
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