そう、つつじです!
……たぶん、つつじです。
さつきだったかも……
似ているのですよね、本当に‼︎
どっちがどっちだったっけ?
せっかくキレイだから写真も撮ったのに〜!
大丈夫です!
2つの違いや見分け方についてご解説いたします。
よろしければ、どうぞ参考になさってみてください!
目次
「さつき」と「つつじ」の違いを簡単に言うと
どちらも同じく『ツツジ属・ツツジ科』のさつきとつつじ。見た目も咲く時期もよく似ています。けれど、その微妙な違いこそ、2つを見分けるポイントとなります。
花弁や葉っぱが大きく、開花時期も早い方が「つつじ」、小ぶりの花や葉を持ち、つつじの後に咲き始めるのが「さつき」です。
それではもう少し具体的に、それぞれの特徴を見ていくことにしましょう。
「さつき」の特徴とは?
🔶さつき展ツツジ祭り
旧暦の5月に花を咲かせることから名の付いた「さつき」は、300もの種類を持つツツジのうちの一つ『サツキツツジ』を略しての呼び名です。現在では5月中旬から7月、他の『ツツジ科』の仲間より1か月ほど遅れての開花スタートとなります。
赤紅色の花弁を、さつきのイメージとして持っている方も多いのではないでしょうか? 可愛らしい小ぶりの花を咲かせてくれます。
大きさ(高さ)は1mほど。剪定されて、きれいな生垣になっているのをよく見かけます。
花が咲くより先に新芽が出るので、剪定は少し難し目。きれいなさつきの生垣には、それなりの技術が施されていたのですね! 感心です!!
1つの株から1つの花柄だけでなく、単色や絞り咲き、覆輪と呼ばれるもの等、いろいろな花が混じって咲くことも、園芸や盆栽で人気の高い理由のひとつとして挙げられます。
また、冬になっても(ほとんど)葉を落とさない『常緑樹』としても知られています。
生垣がスカスカになってしまったら、ちょっと悲しいですものね。
花弁は肉厚で葉の表面には照りがあり、ツヤツヤしています。
枝分かれがよいため、小枝が多く、1つの蕾からは1~3輪の花を咲かせます。
よく見かけるのは真紅の花弁を持ったものでしょうか。
一週間ほどかけて、ゆっくりと開花していきます。
そんな「さつき」、俳句の季語も『夏』です。『最古の園芸書』ともいうべき(なんと!)元禄5年発行の書物にも『初夏咲き』の花として紹介されています。
開花時期の5月中旬から7月、小ぶりで可愛らしいさつきの花を、ぜひ観察してみてくださいね!
「つつじ」の特徴とは?
万葉集にも詠まれていた「つつじ」。代表的なのは長崎県平戸で改良された品種群の『ヒラドツツジ』、街路樹としてよく見かけるのは、その一種である「オオムラサキツツジ」です。
名前の通りの赤紫色の大きな花が特徴。葉も大ぶりです。樹高は1~3mですが、「オオムラサキツツジ」以外のつつじの中には5~10mになるものもあります! 大きいですね!
開花の仕方も豪快です。一気に花開く、といった感じの開花となり、全部の花が一度に開きます。
いつの間にこんなに咲いたの!?とびっくりさせられることもしばしば。
アジアに広く分布し、ネパールでは国花の地位まで上りつめています。
スケールがすごいですね! 何となく今までのイメージより、勇ましさが増しました!
樹齢800年を軽く超え、1000年くらいではないか? と推定された古木もあり「花」というより「樹」、山腹一帯に自生しているつつじの姿は実に壮観です。
よくお子さんたちが洋服に葉っぱをくっ付けてワーワー楽しんでいるのを見かけますが、つつじの葉もその一種。照りがなく、葉っぱや幹にも毛が密集して生えているため、服などに簡単にくっ付いてしまいます。
付けたくて付けた場合には楽しいのですが、気づかずくっ付いているとちょっとだけ恥ずかしいので、つつじと戯れた後などには、一応確認してみてくださいね。
蜜を吸ったご経験があるのなら、それも「つつじ」です。
街なかではあまり見かけませんが、毒性のあるものもありますので、ご注意ください!
大ぶりな花ですが、1蕾には3輪の花が基本。
開花時期は4月中旬から5月下旬にかけてです。さつきと入れ替わりのような感じですね。
先ほどの元禄の園芸書によれば、つつじは『春先花』として掲載されています。季語も『春』。春先に一気に咲き誇る様子が目に浮かぶようです!
「さつき」と「つつじ」の詳しい違いと見分け方
さて、これまでを見る限り、案外見分けって簡単なんじゃない? と思われたかもしれません。並んで咲いていてくれたなら、確かになんとかなりそうですね。
けれど開花時期が重ならない2つ、また、基準より大ぶり、または小さ目のものもあります。
花の散った後では? 写真で見せられたら?
なにより困るのは、街などでよく見かける「オオムラサキツツジ」が特につつじと似ている、ということです。
5mやそれ以上のつつじなら、さすがに見分けられると思うのですが……「オオムラサキツツジ」と「さつき」、最強のタッグです。
「これはつつじですか?」「いいえ、さつきです!」などの自信を持った回答のためにも、一番分かりにくく、そのくせ街なかで咲いている「つつじ・さつき」のほとんど、と言ってもいい2種、「オオムラサキツツジ」と「さつき」、この2つを比較しながら、見分け方等、さらに細かく詳しく見ていってみることにしましょう!
開花時期は?
- さつき: 5月中旬から7月
- つつじ(オオムラサキツツジ): 4月中旬から5月上旬(さつきに比べて、短いです)
花や葉の違いは?
◎さつき- 花: 小ぶり / 1つの蕾に1~3輪の花が咲き、花弁は肉厚で、光沢があります
- 葉: 小ぶり / 長さ2~3cm 巾6mm程度 → こちらも表面には光沢があります / 葉先が尖っています / 硬い葉を持ちます
- 花: 大ぶり(つつじの花の大きさは、さつきの倍ほどもある、といわれます) / 枝先に2~5個の大型の花を咲かせます。
- 葉: 大ぶり / 長さ3~8cm 巾1,5cmくらい → 狭楕円形~卵型の葉で照りがなく、毛が密集して生えています(服等にくっ付きます) / 葉は柔らかめ
オシベの数も違う!
- さつき: ほとんどが5本
- つつじ(オオムラサキツツジ): 10本
- つつじ一般: 5本以上
色で見分けられる?
◎色だけ、では難しいですが他の特徴を踏まえた上でなら、目安の一つにはなりそうです。以下、代表的な色を挙げておきます。
- さつき: 紅赤色が多い / 一株から色々な配色の花が混じって咲くのも特徴の一つ
- つつじ(オオムラサキツツジ) : 赤紫色。名前の通りです。
- つつじ一般: 白、ピンク、紫 / 中には黄色や、葉っぱのような緑色、赤、白、ピンクを咲き分けるものなども / 『つつじ色』というのは鮮やかな赤紫色のことです
花のない時期は?
◎芽や葉に生えている細かい毛で見分けられます!- さつき: (2,3例外はあるものの)緑色
- つつじ: 茶色(例のヤツです。服にくっ付くもと)
花が落ちた後の冬、葉っぱはどうなる?
- さつき: 常緑性 → ほとんど落葉しません
- つつじ(オオムラサキツツジ): 常緑性 → さつき同様、ほとんど落葉なしです
- つつじ一般: 落葉性 → 半落葉、といった感じです
それぞれの「芽・花」関係
- さつき: 新芽が出てから花が咲きます
- つつじ: 花が咲き始めてから新芽が出ます
ちょっとおもしろいこと
大雑把な言い方ですみません。でもちょっとおもしろいのです。実は、「さつき」「つつじ」、新芽が出るのは同時期の5月。上記の『芽が出るのが先か、花が咲くのが先か』の違いで開花時期が変わってきているだけなのですね!!
いやぁ、神秘です! 感動しました(私が)!!
見分けポイントを簡単にまとめてみましょう!
◎さつき- 花や葉はつつじより小さめ。でも肉厚
- 咲くのもつつじの後
- 葉に艶があり、触ると硬さを感じる
- 枝分かれが多い(小枝が多い)
- 花が咲いている時に蕾も一緒に見つけられるかも
- 植え込みなどにはさつきが多いかも
- 花や葉がさつきに比べ、かなり大きい
- さつきより先、春に咲く
- 葉っぱがくっ付く! 光沢はないが、毛が密集して生えている
- 背も若干高め
- 街路樹に使われる率も高め
終わりに…
もともと同じ「ツツジ属・ツツジ科」。それぞれの違いはあるものの、別物として分類するのはどうなの? という意見、考えもあるようです。
なるほど、これからもますます、色々な種類の『ツツジ科』の仲間は分類され、増えていきそうですね。
こうして、特徴等の違いを見てみると「もう、同じ種類なんだから同じってことでいいんじゃない?」「見分けられなくなるから、これ以上紛らわしいの作らないで~! 」などとも思ってしまいますが、色々な改良・交配等を経ていくつもの品種が生まれているのは、ただ私たちの目を楽しませるためだけだったんだなぁ、純粋に花を楽しむ、と考えれば、紛らわしくてもよし! まだまだ、たくさんの花を私たちに見せてほしい! とも……
学術的な分類はともかく、色々な種類の花と出会えるのは、やっぱり単純に和みます!
いかがでしたでしょう。
「さつき」と「つつじ」、見分けがつかない! と言われつつも、それぞれに個性を持っていた2つの花。
どっちなの? の解消に少しでもお役に立てていたらうれしいです!
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