こんな『違い』があったんだ!

『リャマ』『ラマ』『アルパカ』の違い|エサや毛の処理、ツバは吐くのか本気で気になる

アルパカ
『ミラバケッソ』のCMに登場して一躍人気者になったアルパカのクラレちゃん。

(※ 本名は『はなこ』/ 化学メーカー・クラレさんのCMだから『クラレ』ちゃん)


あのなんともいえないキョトンというか、のほほんとした表情に癒された方も多いと思います。



でも……クラレちゃんは間違いなくアルパカなんですが(下の画像のも)……


アルパカ


    「わー! やっぱアルパカってかわいいよね~! 私、アルパカのことなら、なんでも知ってるくらい、アルパカ好きなの~」

    「うん、そうなんだね……でも、それ、リャマだよ……」

    「……」


こんな感じの気まずい空気の運び屋、アルパカに激似のリャマってヤツがいるんですよ!



── ということで、


『リャマ? アルパカ? で、ラマっていうのもいるの? そんなに似てるの?』


について。


その違いやフワモコの毛の処理、なにを食べて暮らしているのか(エサ)、そして最大のモヤモヤポイント、


『そんなかわいい顔してるんだから、ツバなんて吐かないよね? 吐かないよね?!』


の真実に迫ります(大げさ)!


それではさっそくいってみましょう。

目次

まずは画像で違いをチェック!


アルパカ


モッコモコでふンわふわのアルパカ。


なんとなくトーテムポールっぽくて笑えます。

あ……千と千尋に出てくるシシガミ様にも似てるかも。


アルパカ


こっちもかわいい! 

前髪ほんわりタイプの茶色いアルパカちゃん。


で、続いてこちら。


リャマ


お! イメチェンバージョン?


……じゃなくて、これが『リャマ』です。


そして、こっちが『ラマ』。


ラマ


……リャマとラマのほうが、アルパカとリャマより似てない?


ですね。

実は『リャマ』と『ラマ』は同じ動物。

呼び方が違うだけなんです。


アルパカに比べ、リャマ(ラマ)のほうがなんとなく強そうなイメージがありますよね。


だけど油断しちゃダメ。

上の4枚の写真はあえて『リャマ(ラマ) / アルパカ』の違いが目立つものを選んでます(それでも、そこそこわかりにくい)。


この2種は地元の人でも、見分けられないことも多いんだとか。


強敵なんです……

(※ 以下『リャマ』表記で書かせていただきますが、『リャマ = ラマ』とお考え下さい<(_ _)>)

『リャマ・アルパカ』の基本情報

    【アルパカ】

    ■ 南米に生息するラクダの仲間



  • 偶蹄目(ぐうていもく / ウシ目)ラクダ科 ビクーニャ属(またはラマ属) 

  • 学名: Vicugna pacos / Lama glama

  • 住んでいるところ: 南アメリカアンデス山脈の西側(主にペルー南部)
    ほかボリビアやアルゼンチン北部の3500~5000キロメートルの標高の高い高原地帯で群れで暮らす(放牧)

  • 体長(一般的な個体): 約1.5~1.7メートル

  • 体高: 約1メートル

  • 体重: 50キロ前後

  • ※ X脚です

    ※ ヒヅメはハート形

    ※ 『偶蹄目』というのはヒヅメをもつ動物のうち、脚の指の数が2本、4本など偶数になっているもの。3本、5本のように奇数になっているものは『奇蹄目(きていもく)』と呼ばれます



    【リャマ / ラマ】

    ■ 南米に生息するラクダの仲間



  • 偶蹄目 ラクダ科 ラマ属

  • 学名: Lama glama

  • 住んでいるところ: アンデス山脈の西側、標高2000~4000メートルの高原地帯の草原やヤブなどに群れて暮らす(放牧)

  • 体長: 約1.2~2.5メートル(だいたい2メートル前後)

  • 体高: 約1.2メートル

  • 体重: 約70~150キロ(200キロを超える個体も!)

  • ※ アルパカより1回り大きなサイズ(というか、南アメリカに住むラクダの仲間の中で一番大きい)


日本では『リャマ』と呼ばれることのほうが多いようです。

でも、飼育している動物園などによっては『ラマ』と表示してあることも。


学名の『Lama』、これ、そのまま読むと『ラマ』ですよね。

だから『ラマ呼称』で呼ばれることになったのではないか、とも言われています。


個人的には、馬とロバのハーフの『ラバ』という動物がいるので、まぎらわしいから『リャマ』と呼ばれることが多いのかなぁ、と思ってるんですが……(個人的には、なので気にしないでください)。

『アルパカ』について少し詳しく

さて、X脚でハートのヒヅメをもつアルパカ。

すでにこの時点でかわいいです。

アルパカのエサは?


エサは、


『草・干し草・コケ・樹皮』


など。

完全な草食性の動物です。


アルパカには上の歯がありません。

歯の代わりにあるのは『硬くなった皮ふ』。


下には立派な牙のような歯が生えています。


下あごの歯


かわいいけど、面白い。


で、上の硬い皮ふと下の歯で草などを挟んで、ちぎって食べてるんですね。

アルパカってどんな動物?


主に被毛を利用するために飼われている動物です。


ラクダの仲間ですが、コブはありません。

背中はちょっと丸みをおびています。

全体的に丸っこいイメージがありますよね。


ただし、短い耳だけは先端がとがっています。


アルパカはみんな飼育された家畜種。

野生種のアルパカはいません。


飼育目的は皆さんご存知の、あのフワモコの毛ですね。

ウールの中でも最上級の品質とされています。


被毛を刈りとって衣類などに加工するため、大昔からアルパカの品種改良が行われてきました。


アルパカの毛はなんと直径わずか0.02~0.03ミリ。


しっとりしたなめらかさが感じられるので、じゅうたんやマフラーなんかにも利用されてますよ。


アルパカが暮らしているのは、アンデス山脈。

標高の高い山なので、寒さが厳しいんです。

1年中てっぺんに雪がかかってるような山もたくさんあります。


そんな過酷な自然環境にも耐えられるよう、アルパカの毛は柔らかいのに保温力もバッチリ。

脚の先まで柔らかい毛が密集して生えています。


アルパカにとっても『最上級の品質』をもつ被毛は、寒さから身を守る、大事なものなんですね。

アルパカの被毛


毛の種類は大きく分けて2つ(毛の質の違い)。


  • ワカイヤ: ストレートの立った毛で、イメージ通りのフワフワ・モコモコの毛質

  • スリ: 長い縮れ毛(ツイスト)で、サラサラ、ワカイヤよりも細い毛質


より細い毛質をもつスリですが、神経質なコが多く、繁殖が難しいため、その分被毛の希少価値は高くなっています。


天然の毛の色は25種類ほど。


白・黒・茶・灰色、くらいしか思いつきませんが、25種!(なぜか2度言った)

さらに、その25種が混じって組み合わさった色も含めると、もう数えられないほどの種類になるそうですよ。


人気カラーは『白』。

染められるから。

というか、それ以外の色はあまり人気がありません。


いろんな色があるのにもったいない……


毛はリャマよりも長く、刈りとらない限り一生伸び続けます。

2年間放置で地面にまで届く長さに。


アルパカ

http://labaq.com/



毛の処理は大事……


通常刈りとりが行われるのは1年から2年に1回。

1年で2.5~4キロもの毛がとれます。

けっこうな量です。


また、日本の動物園や牧場などで飼育されているアルパカは、通常毎年梅雨がくる前に刈りとりが行われています。


アルパカの住むアンデス地方は寒い地域なので、暑さには弱いんですね。

だから暑い夏が来るまでにサッパリさせてあげる。


アルパカの『毛刈りビフォー・アフター』はかなり衝撃的です。


あの特徴的なフワフワ・モコモコの毛がなくなって、


Array
……もはや別物ですね……

サッパリしすぎな感じになっちゃってます。


でも、暑さ対策・熱中症対策は絶対必要。


カラダにアートな模様を残しつつ毛を刈る『アート・パカ』なんていうのもある!


Array

被毛以外のアルパカの役目は?


主な役目は被毛の利用ですが、


  • 皮をなめして革製品をつくる

  • 食物繊維たっぷりの『フン』を乾燥させ、肥料や燃料として利用

  • 食用として利用されることも


現在でもアンデス地方ではこうした利用もされています。

アルパカの祖先は?


実はアルパカの由来ははっきりしてないんです。


  • 『偶蹄目(ウシ目)ラクダ科 ビクーニャ属』なのでビクーニャ(野生種)の仲間で、ビクーニャを家畜化したもの

  • 同じく『偶蹄目 ラクダ科 ラマ属』の野生動物『グアナコ』の仲間で、グアナコを家畜化したもの

  • 今はもう絶滅してしまっているほかのラクダ科の野生動物が先祖では?

  • 人間が作り出した動物


いろいろな説が存在しています。


ということで、


アルパカの祖先かもしれない『ビクーニャ』『グアナコ』ってどんな動物?


についても、かる~く、ご紹介しますね。

『ビクーニャ』ってだれ?


  • 体長: 約1.5メートル

  • 体高: 約85センチ

  • 体重: 60キロほど


ビクーニャ

https://suya2.com/




アルパカ同様、アンデス地方(アンデス高地)に暮らすラクダ科の野生種です。


首元の長い毛が特徴的ですよね。


そして彼らの毛! 世界の動物の中で一番細いんです!

1ミリの100分の1。


それって一体何ミリなのか、考えるの放棄したくなる細さです。


1回の毛刈り(刈りとり)でとれるのはわずか250~300g程度。

アルパカは1回で、2.5~4キロですよ。


どれだけ希少かよくおわかりいただけるかと思います。
(もちろん最上級の品質)


刈りとりも2年に1回だけ! と厳しく制限がかけられています。


300gですからね……

そうそう刈れないです。


で、このビクーニャが家畜化されたものがアルパカなのではないか、というのが一説。

※ ちなみに、ビクーニャは『ビクーナ』と表記されたり、呼ばれたりすることもあります。

『リャマ / ラマ』どちらの呼称もあるのとおんなじですね。

『グアナコ』は?


  • 体長: 約1.5メートル

  • 体高: 約1.6メートル

  • 体重: 約60キロ


グアナコ

http://www.interestingfunfacts.com/



え? これビクーニャでしょ? ってくらい似てますよね。

でも、グアナコには首の下の毛がありません。


こちらもアンデス高地に住む野生種。

ラクダ科ラマ属に属します。


この野生のグアナコが家畜化されたのがアルパカ、の説。


そして、現在のグアナコ(画像のようなの)とは別種の、かつて存在していたグアナコが『リャマ』の祖先ではないか、とも考えられています。

アルパカの平均寿命は? 赤ちゃんは?


平均寿命はだいたい15~20年くらいです。


生まれてくる赤ちゃんの数は1回の出産につき1頭。


11か月ほどの妊娠期間を経て、7~9キロ程度の赤ちゃんを産みます。

その後半年から8か月間くらいはおっぱいをあげて育てます。


繁殖期というのはとくにないので、運とタイミングががよければ動物園や牧場に遊びに行ったときに赤ちゃんを見ることができるかも。


メスのほうが早熟で、1年くらいで大人の女になります(性成熟します)。


オスはもう少しゆっくりめ。

3年くらいかかけて男になっていきます。


ついでにですが、アルパカは一夫多妻制。

イケメンアルパカ(顔以外にも魅力あり)は5~10頭のメスとハーレム暮らしをしているそうですよ。

アルパカの性格は?


好奇心旺盛なんだけど、怖がりで警戒心が強い。


案外やっかいな性格をしています。


怖がりで警戒心が強いなら、おとなしくしてればいいと思うんですが、あちこち気になって首を突っ込んじゃうタイプです。

で、結果勝手に恐怖を感じてパニクる。


フワモコで丸っこいカラダつき(毛刈り直後は除く)。

ほんわかしたヒョウキンな顔つき。

CMにも出て人気急上昇のアルパカ。


でも実は人に懐きやすいとはいえない性格なんですね。

それでもアルパカが好き! 個人でも飼える?


飼えます!


ただ、めちゃめちゃ高いです。


1頭180万円~200万円……
(※ 毛質や血統などによってはもっと高い)


その他、飼育に欠かせないいろいろなグッズもプラス。


しかもアルパカは群れで暮らす生き物です。

最低でも2頭飼いが必要になってきます。


初期費用で、ざっと500万円以上はかかりますね……


さらには1頭につき、こちらも最低2畳分の広さの(草の生えた)スペースを確保です。


クリアすべきカベがドカンっとそびえていますが、『どうしても一緒に暮らしたい!!』という方は、アルパカを飼育している牧場等に問い合わせてみてください。

普通のペットショップでは取り扱ってません。


飼育するなら、


  • 草食動物用のペレット

  • 干し草(牧草)


これらを1日に約1キロ。


そのほかにも、


  • ミネラル補給のための塩のキューブ

  • 補充食としてトウモロコシや麦などの穀類


なども必要。


定期的なブラッシングも欠かせません。


家にアルパカがいるって……夢かよ、とも思いますが、けっこう大変です。


※ 現在、アルパカの販売を行っているのは『那須アルパカ牧場』のみ

『リャマ』について・アルパカとの比較

ではでは、続いて『リャマ』です。


アルパカとアレコレ比べながら、彼らの特徴とアルパカとの違いをみていきましょう。

リャマのエサは?


ラマのエサ


リャマも完全草食性の動物です。

アルパカ同様、


『草・木の葉・植物の種・根・コケ類』


などを食べています。


アンデス地方って、もともとそれほど草木が豊富じゃないんですね。


なので、アルパカもリャマも好き嫌い言わず、食べられる植物がなんでも食べるそうですよ。


    【エサ】


  • アルパカ: 草やコケ類、樹皮など植物全般

  • リャマ: 同じく完全な草食性


上あごに歯がないのはリャマも一緒です。

リャマってどんな動物?


主に山岳地帯で荷物を運ぶ家畜として飼育されています。


アンデス山脈は7000メートルを超える山が連なる、かなり標高の高い場所。

空気も薄いんですね。


♦ マチュピチュのリャマ

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