で、マネージャーって……芸能人のお世話係的な人じゃなかったでしたっけ?
テレビ業界などをイメージすると、マネージャーさんだけ、ちょっと別物な気がしちゃいますよね。
でも会社などの組織で、なにかのプロジェクトを成功させるために重要な役割を果たしているのもマネージャーさんと呼ばれる人たちなんですよ。
ただ、実は「プロデューサー・ディレクター・マネージャー」という呼び名は、会社や職種などによってかなりバラバラ。
この役職にはこの名称を、というはっきりした決まりはないんです。
なので、ある会社での「プロデューサー」さんの仕事を、違う会社では「マネージャー」と呼ばれている人が受けもってたりすることも。
……でも、大丈夫。
ちゃんと『一般的な』違いはあります。
そこを押さえていきましょう。
── ということで(あくまで一般的には、になりますが)、
「『プロデューサー・ディレクター・マネージャー』ってどんなことをしてる人たち?
この中で一番偉いのは?(ついでにお給料が多い役職も知りたいのですが……)」
について、言葉の意味なども含めご紹介です。
それではスッキリ目指してみていきましょう。
目次
プロデューサー・ディレクター・マネージャーの関係と役割の違いは?
-
【プロデューサー】
→ プロジェクトの発案者
→ 全体の『総責任者』
【ディレクター】
→ プロジェクトの目標達成に向け、現場をまとめつつ製品化を進めていく『現場責任者』
※ マネージャーがいる場合、ディレクターは『プロジェクトディレクター』や『プロジェクトリーダー』などと呼ばれることも ← とくに広告・CM制作会社に多い
【マネージャー】
→ 主にプロジェクト達成のためのさまざまな『管理』を担当
→ 通常、いくつかのプロジェクト、またはチームをまとめて担当することが多いので『統括(とうかつ)責任者』の立場でもある
(※ 統括: 別々のものを一つにまとめてくくること)
➡ プロデューサー: 企画を考える人
➡ ディレクター: その企画を現場で実行する人
➡ マネージャー: その企画に関するいろいろな管理をする人
簡単にまとめるとこんな感じの役割と違いになっています。
……が、イメージが微妙にしかつかめないので、
『とある音楽好き青年がロックスターになるまで(レコード会社編)』
で、彼らの役割を具体的にみてみますね。
プロデューサー
-
■ 今の時代にウケそうな音楽はなにかを考える
→ そんな中、あるミュージシャンの作品と出会う
■ その音楽・ミュージシャンの魅力を最大限に引き出す方法を考える
→ CMなどで大々的に宣伝を打つか、ネットの配信のみにし、その代わりド派手な演出でコアな音楽ファンのハートをガッチリつかむ作戦で行くか
→ アイドル的なロックスターとして売り出すか、必要最低限しか話をしないような、とがったイメージを売りにするか など
■ プロジェクトの方向性を決め、目標達成のための大まかな枠組みを作る
→ 予算はどのくらい出せるか
→ プロモーションビデオ作りにはどのくらいの時間をかけられるか など
■ 交渉
(ここをディレクターの仕事としている業種や会社などもあります / が一般的にはプロデューサーが行うことの方が多い)
→ ミュージシャン本人とコンタクトをとり、自社での売り込みの許可、その後ギャラなども交渉
→『売り込み大作戦(プロジェクト)』を成功に導いてくれそうなメンバーを決め、こちらも報酬など含め交渉
(ディレクターを選ぶのもプロデューサーの役目)
→ 外部に宣伝などを依頼する場合は、そちらとも交渉 など
➡ その音楽が売れるかどうかを含め、プロジェクトに関わるすべてに対しての権限を持ち、同時に責任を負う =『総責任者』
ディレクター
-
■ プロデューサーの考えた枠組みに沿って、売り込みに向けた具体的なスケジュールを立てる
→『売り込みプロジェクトチーム』のメンバーそれぞれの得意分野なども考えながら、各自に仕事を割りふっていく
■ メンバーをまとめていきつつ、目標達成を目指す
→ スケジュール通りに仕事は進んでいるか
→ 現場の雰囲気はどうか
→ 予算オーバーしてないか
→ 納期に間に合いそうか など、状況を細かくチェック、メンバーへ的確な指示を出し、現場を上手にントロールしながら実現のために動く
■ メンバーからの相談や、質問、要望などにも自分の判断で的確な回答が求められる
→ 解決できない問題点や伝えるべき改善点などがあれば、プロデューサーに報告(プロデューサーも、これにより、現場の進み具合や状況を知ることができる)
マネージャー
-
■ ディレクター同様で現場で指揮をとるが、主に『目標達成のために必要なさまざまな管理』に目を配る
→ 予算の管理
→ 納期に間に合うよう、時間の管理
→ 品質の管理
→ スケジュール管理
→ メンバーの配置などにも気を配る
➡ 管理する対象により『プロダクトマネージャー』と『プロテクトマネージャー』に分かれる
プロデューサー・ディレクター・マネージャーが役割を分担・協力し合いながら、プロジェクトは進んでいきます。
そして決められた納期(期限)をもって終了。
ひとりのロックスターが誕生するわけなんですが、まだまだ油断はできません。
もしかしたら『一発屋』で、あっという間に世間から消え去ってしまうかも……
このロックスター(現時点では)が今後どうなっていくかのカギを握っているのが、
『プロダクトマネージャー』
です。
(※ マネージャーの役職がない会社の場合は、このポジションをディレクター、もしくはプロデューサーが担うことになります)
続いて『マネージャー』について、少しくわしくみていきますね。
役職・『マネージャー』の意味や仕事内容は?
-
【管理しているもの】
- プロダクト: 生産・製品・制作物・商品 など
- プロジェクト: 企画・事業開発・研究計画 など
- 支配人・経営者・管理人・監督
- 選手の世話をする人
- 芸能人のスケジュールを調整・外部との交渉・連絡などの世話をする人
-
① プロダクトマネージャー: 製品・商品など制作しているモノ自体
(上記のレコード会社の場合なら“売り出そうとしているミュージシャンの作品”)
-
② プロジェクトマネージャー: プロジェクト全体
【それぞれの意味】
【マネージャーの意味】
意味からそのまま考えると、マネージャーは、
『制作しているモノやプロジェクトに対していろいろお世話してくれる人』
すごくいい人そうです。
……さて、実際のマネージャーのお仕事ですが、プロデューサー・ディレクター職と似ている、というか、かぶる部分がたくさんあります。
なので、先ほど書いた通り、プロデューサーやディレクターが兼任していて、とくに『マネージャー』という役職を置いていない場合も多いんです。
が、いた場合で話を進めてしまいますね。
プロデューサーからの『このミュージシャンを売り出したい計画(プロジェクト)』を受け、まずプロダクトマネージャーが考えるのは、
- そのためにはなにをどうつくればいいか(を、より具体的に)
- どんな工夫をすれば、消費者に喜んでもらえるか
- そもそもこのミュージシャンの作品って、売れるのか?
- 売り出すために考えた方法は、今の技術力で実現可能か など
➡ 視点はプロジェクトの目的とその達成のためにできることに向けられる
➡ 結果『よし、いける!』のGOサインを出す
ここまでが、製品化に取り組む前の段階。
そしてここからがプロジェクトマネージャーの出番です。
- 目標達成のために必要なメンバーは?(メンバーを集める)
- 納期に間に合わせるようなスケジュールを考える
- 決められた予算内におさめるための予算管理を行う
- 求められている品質の確保はできているか(品質管理)
- メンバーが働きやすい現場を作るための細かな調整
→ プロジェクト全体の進行を管理
→ 予算内・期日内に製品を作り上げるための管理(ここに重点が置かれる)
➡ 無事に製品ができあがればプロジェクトは解散・そのプロジェクトの担当から外れる
この段階で『ロックスター誕生(一応)』。
プロジェクトは終了し、メンバーたちも解散となりましたが、プロダクトマネージャーの仕事はまだまだ終わりません。
- できあがった製品(音楽とミュージシャン)の売れ行きはどうか
- どうすればもっとみんなに認知されるようになるか
- 売れてない……もう、この製品にコストをかけるのはムダか? 市場から製品を撤退させるか?
➡ 製品化された後も、その製品とのつき合いは続く
どちらも役職名に『マネージャー』の文字は入っていますが、
- プロダクトマネージャー: より『プロデューサー』寄り
- プロジェクトマネージャー: より『ディレクター』寄り
の仕事内容になっています。
では、このときの『プロジェクトディレクター』の立ち位置は?
役職・『プロジェクトディレクター』について
『プロジェクト』がつかない場合のディレクター職とほぼ同じです。
役職・『ディレクター』の意味や仕事内容は?
-
【ディレクターの意味】
- 支配人・理事・重役
- 演出家・映画監督
- テレビ・ラジオの番組担当者
- 楽団などの指揮者
- 方向・方角・傾向
- 道順
- 使用法・説明
- 指導(映画・劇などの)監督・演出、音楽の指揮
- 目標・目的
- 演奏指示
【ディレクションの意味】
先ほどおおざっぱに書きましたが、ここでもう一度ディレクターのお仕事をまとめていきますね。
現場責任者で『現場監督』『リーダー』などとも呼ばれるディレクター。
プロデューサーの決めた大まかな枠組みに沿ってそのプロジェクトを進めていく実行部隊の隊長のような存在です。
みんなが信頼してついてきてくれるようなリーダーでいるためには、単にリーダシップを発揮するだけでなく、周りとのコミュニケーションを取りあっていくことも大事になってきます。
メンバーみんなのことをよく知っていないと、その人に合った仕事を割りふることもできませんよね。
また、プロジェクトを成功させるには、いろいろな『やるべきこと(To Do / タスク)』もあります。
これらをこなしていくのに『大まかな枠組み』のままだとどうしようもないので、細かくスケジュール化して、実現可能な計画を立てていきます。
そのためにはとにかく現場で起こることを細かくチェック。
時間も予算も限られています。
現場の隅々にまで目を配りながら、チーム全体をまとめ、目標達成のために動くのが『現場責任者』でもあるディレクターのお仕事です。
- 期間内に仕事が終わるよう、進み具合をチェックして管理
- 予算内におさまるよう(予算を)管理
- チームメンバーのモチベーションのチェック
- メンバー同士の雰囲気は?
- 作業への具体的な指示・指揮、いざというときの判断力も必要
- メンバーからの相談や質問・要望などにも応える
- クリエーターに近い視点も大事 → でもそこはあまり強調せず、チームみんなとモノを作り上げていく
- プロジェクトの進み具合や問題点、現場にいるからこそわかる改善点の提案などをプロデューサーに伝える
➡ メンバーへの指導・指揮、プラス制作現場で日常的に必要となってくること(時間や予算など)についての管理
プロデューサーとチームメンバーの間に入って調和を保つのもディレクターの大切な役割(板ばさみ状態とも言う)。
そして業務内容。
プロジェクトマネージャーと、思いっきり似てますよね。
実際かぶる部分も多いです。
でも、『マネジメント』というのは現場での業務を数多くこなすことで得られる知識だけでは足りなかったりもするんです。
- プロジェクトで使われる技術への知識
- 経営管理の知識
- そのプロジェクトに関するものだけでなく、クライアントがいれば、その企業の仕事内容等についての知識と理解 などなど
必要とされるスキルがたくさん。
なので、マネージャー、ディレクターを分けて配置している場合には、
- プロジェクトマネージャー: 時間や予算(コスト)などの管理業務担当
- ディレクター: メンバーへの指示・コミュニケーション・意見をまとめるなど、主に現場での指揮系統を担当
といった役割分担になっていることがほとんど。
というか、小さなプロジェクトでは、やはりプロデューサーかディレクターが、マネージャーの役割も兼任、という形になっていることが多いと思います。
(ここは会社や業種、プロジェクトの規模によって、本当にバラバラです)
── では、最後の役職です(今回の3つの中では)。
『プロデューサー』についてもサクッとみていきましょう。
役職・『プロデューサー』の意味や仕事内容
-
【プロデューサーの意味】
- 制作者(映画などの制作・上演を行う場合の立案・人事・予算などの責任を負う人)
- 制作責任者
- 業務の管理・統括・調整をする人
- (広告制作会社の場合)企画から完成までの全作業の管理責任を負う人
- 映画・演劇・テレビ番組などを企画制作すること
(制作者がプロデューサー)
【プロデュースの意味】
なにか新しい商品やサービス、システムなどを開発して、それが世の中に出回るようになるには、まずは企画(= プロジェクト)が必要。
その企画を考えるのが『プロデューサー』ですよね。
-
※ 辞書的な意味では『映画・演劇・テレビ』関連が中心になっていますが、それ以外の業種でも共通
※ ディレクターやマネージャーも、映画・演劇など限定のポジションというわけではありません
そしてプロジェクトを成功させるために集められるのが専門的なスキルをもったメンバーたち。
この専門家集団が『プロジェクトチーム』です。
会社などで普段行われている業務(定常業務 / ていじょうぎょうむ)は、その会社や組織全体の目的のために行われているモノなので、とくに期限は決められていません。
が、プロジェクトとなると、話は別です。
決められた期限や予算などの制限つき。
それらを守りつつ、成果をあげることが求められます。
その代わり、組織とは独立したもの、とされ、チーム単位での責任や権限が与えられるんですね。
プロジェクトに関わる全てのことに関しての責任もチームにかかってきます。
とはいえ、チームメンバーはそもそも招集されて参加した人たちなので、
- そのチームに参加するメンバーや予算などを決めるなどの全権限
- なにかがあったときの責任をとる
という大きな役割を担(にな)っているのは、当然そのプロジェクト自体を考えた『プロデューサー』ということになります。
- プロデューサー: 企画(= プロジェクト)を考える
→ そのプロジェクトのすべての責任を負う = 総責任者
プロデューサーのお仕事や求められるものは、主に、
- なにをつくりたいのかを戦略的に考え、企画を通す
→ 今、世間に求められているモノはなにか?
→ その製品(作品・サービスなど)を世に出すにはどうすればいいか?
→ どのようにすればより多くの人にその製品を買ってもらえるか(利用してらえるか)? - チームメンバーを決める
→ ディレクターを選ぶのもプロデューサーのお仕事 - 目標達成のための大まかな枠組みをつくる
→ それをディレクターと共有(達成に向けた細かいスケジュールをつくるのはディレクター) - 経営やマーケティングの知識も必要
- 社外との交渉も行うので、コミュニケーション能力は不可欠
→ 相手(クライアントなど)とのかけ引きに必要な『それなら納得』と思ってもらえるような商品説明などの話術 など - 全体を見る目
- 世の中の動きに敏感であること
- それを製品に反映させることのできるアイデア・発想力
- それを企画に活かせるプレゼン能力
- コミュニケーション能力
➡
プロデューサーさんも大変そうですね。
でも、やりがいありそうです。
偉いのはだれ?
役割分担が違うので、『だれが一番偉い』とは言えないんですが……
- プロジェクトがポシャった場合、その責任をかぶるのはプロデューサー
- ディレクター含め、プロジェクトチームのメンバーを選ぶのもプロデューサー
ということで、その責任の重さ、権限の大きさなどを『偉さ』に置きかえるなら、
“ プロデューサー > マネージャー > ディレクター ”
になります。
お給料が多いのは?
単純に、
“責任重大・権限も大きい = 偉い”
として考えたら、お給料が多くなるのも偉い順ですよね。
“ プロデューサー > マネージャー > ディレクター ”
同じ。
参考までに、ですが『プロデューサー・ディレクター』の役割が比較的はっきりと分かれているテレビ業界の場合、
- キー局: どちらの給料もほとんど変わらない
→ 年齢や経験の多さにより給料は上がる傾向にあり、40代ではプロデューサー・ディレクターともに1500万円(年収)を超えることもあるようです
(※ キー局: 日テレ・テレ朝・TBS・フジ・テレ東の民放放送局 / 準キー局は大阪にある局 / キー局があるのは東京) - 地方局: プロデューサーのほうが高い
→ キー局と同じ40代のプロデューサーは1000万円を超えることもありますが、ディレクターの場合はキー局の7割程度であることがほとんどのようです
終わりに……
上記のテレビ業界での話ですが、
“プロデューサーとしては優秀だけど、ディレクターとしては使えない”
“最高のディレクターだったのに、プロデューサーになったとたん残念な人に……”
よくあることだそうです。
全体を大きな視点で見る『プロデューサー』。
現場の細かいところまでしっかり見ていく必要のある『ディレクター』。
必要とされる部分も真逆。
マネージャーも、
『プロダクトマネージャー = プロデューサー寄り』
『プロジェクトマネージャー = ディレクターと仕事内容が似ている』
人それぞれ、向いてる役職ってあるんですね。
“ぜひこの仕事はあの人に任せたい”
どのポジションについていても、こんなふうに言われるようになったら最高かもです♪
── ということで、『プロデューサー・ディレクター・マネージャーの違い』でしたが、いかがでしたでしょう。
なんどもくり返しになり恐縮ですが、この呼び名は統一されてるわけではありません。
『一般的にはこうなのね、という違い』の参考にしていただければ幸いです。
そして皆さまのスッキリに少しでも役立てていたら、さらにサイコーにうれしいです!
ではでは。
最後までおつき合いいただきありがとうございました。
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