万が一、家のお米が切れても、スーパーやコンビニに行きさえすれば、問題なく手に入ります。
頼もしい!
しかも1年に1度は、お米好きにはたまらない「米フィーバー」のような期間もやってきます。
「新米」の季節ですね。
「新米」……いい響きです。
ですが、「新米」の時期ではない普通のお米は、では何なのか?
-
「新米」以外、みんな「古米」なの? ソールフードがほぼほぼ「古米」!?
というより「新米」と「古米」って、何を基準に呼び分けられてるの?
その違いって、目で見てわかる? 見分け方は?
確かに「新米」の文字を店頭で見かければ自動的に盛り上がりますが、普段の「お米」だって普通に美味しい。
「新米」と「新米以外」の違いが本気で気になってきました。
このままでは、今後「ごはんもの」を食べるたびに微妙な気分になりそうです。
しかも「ごはんもの頻度」は結構高いのです!
それは困る……
「新米」「古米」の見分け方、定義等含めまして2つの違いを解説いたします。
皆さまのお米ライフがこれからもおいしく続きていきますよう、そのお手伝いともなれましたら幸いです。
目次
「新米・古米」はどんなお米?
「新しいお米」と「古いお米」。「新米」とは、
「その年にとれた新しい米」。
「古米」とは、
「前年に収穫した米」「収穫後1年以上たった米」
を指しています。
ですが、ここでポイントとなってくるのが「その年」や「前年」などの1年間がどのように捉えられているか、というところ。
お米に対しての「1年間」は「1月1日から12月31日まで」を区切りとする一般的な1年ではないのです。
国で定められている「その年」とは、
「11月1日から収穫された翌年の10月31日」までの1年間
を指しています。
お米の多くが収穫期を迎えるのは秋。
その都合上、上記のようなサイクルを1年としているのですね。
つまり「新米」「古米」を分けているのは、
「収穫した年の翌年10月31日」
のXデーです。
「その年」に収穫された「新米」が、次の収穫期が来ても残っていれば「古米」に。
そしてその際、境目とされるのが「10月31日」ですね。
翌日の11月1には「古米」と呼ばれてしまうのです。
ただし「前年に収穫された米ではあるが、収穫後1年以上はたっていない米」も中にはあります。
同じクラスの中に「3月生まれの子」と「4月生まれの子」がいるようなもの(お米の収穫時期はそれほどバラけませんが)。
「前年に収穫」の部分では確かに「古米」。
ですが実際には「新米期間の1年間」を経過していないため「新米とは呼べなくなった」だけのお米(呼び名だけ「古米」)もあるのです。
ですので、このような定義はあるものの、境界線は曖昧。
実際に今現在、明確に「定義」とされているものはありません。
いろいろな立場からみたそれぞれの「定義」はある、といった感じですね。
「新米」の定義とは?
さて、無事おいしく収穫された「新米」はこうして店頭に並ぶことになります。その時期にも地域や品種による違いはあり、だいたい、
- 沖縄: 7月初旬頃には出荷が始まる
- 南の地域: 8月中
- 関東: 9月中
- 東北・北海道: 10月以降
また、秋の天候不順避けるため、早めに収穫時期を迎える「早場米」というものもあります。
6月から8月の夏場にすでに販売開始です。
……この時点で先ほどの定義が崩壊しているのがおわかりいただけるかと思います。
先ほどの「11月1日から収穫された翌年の10月31日まで」というのはお米の収穫期(秋)を基準にして定められた「穀類年度」と呼ばれるもの。
国の定める法律「食糧管理法」に基づいて制定されたものです。
この定義はこの定義でいいのですが、販売の際に「新米」とされるかどうかに関しては、実はまたもう一つの定義があるのです。
それが「JAS法」による定義、
「玄米及び精米品質表示基準」
です。
この定義によれば、「新米」とは、
「収穫年の年末までに精白・包装された精米に限る」
つまり収穫後、袋に詰め商品として出荷できる状態にしておくタイムリミットは12月31日。
ここさえ守れば、年が明けようが夏になろうが「新米」表示がOKなわけです。
ですが、実際に店頭に並ぶのは長くても通常、春先あたりまで。
これは米業界の皆さまの暗黙の了解のようなものなのですね。
いくら何でも秋にとれたお米を春が過ぎてまで「新米」とするのはどうなの?
というわけで、春先以降はたとえ新米であっても、新米表示はしないそうです。
よって「新米」とは、
- 「11月1日から収穫された翌年の10月31日まで」のものを指す「食糧管理法」に基づいて制定された「穀類年度」によるもの
- 「収穫年の年末までに精白・包装された精米に限る」とされた「JAS法」の「玄米及び精米品質表示基準」によるもの
「古米」とは?「新米」との見分け方は?
「古米」とは「前年に収穫された米」、そして「収穫して1年以上たった米」。要するに「新米の定義から外れたもの」ですね。
ちなみに「古」の数はそのまま「何年前か」を表わしています。
-
「1年前」だから「古米」
「2年前」なら「古古米」
「3年前」なら「古古古米」
どこまで「古」を重ねられるか、自宅で試してみたくなりますね。実際にはもったいないのでやりませんが。
さて、そんな「古米」ですが、昔と違い今は保存技術も飛躍的に進歩。
見た目では違いを見分けるのはほとんど不可能、と言われています。
専門家は「成分分析計」なる機械を使うのですが、それでさえ見分けはなかなか難しいのだそうです。
また、かつては梅雨時期になるとお米が変化しやすくなることから「梅雨明け」を境に「古米」と考えられていたこともあったようですが、現在の技術をもってすれば、そこも難なくクリア。
低温倉庫の普及ですね。
ただし、味はやはり若干落ちるのです。
お米は空気(酸素)と触れることにより「酸化」を起こし、徐々に味が悪くなっていきます。
また、温度が高いほどそのスピードも早まります。
米櫃(こめびつ)などに入れ、風通しのいい冷暗所に置くか、ペットボトルや密閉容器などに移し、冷蔵庫に入れると、劣化のスピードが抑えられます。
米櫃の場合でしたら「備長炭」や「鷹の爪」を一緒に入れておくのもおススメ。虫も防いでくれます。
「古米」の特徴は含む水分量が少ないこと。
とれたての「新米」は多くの水分を含みますが、空気に触れながら長い間置かれている間に、だんだんと乾燥していってしまうのですね。
ですので「新米」を「せっかく手に入れたのだから、何か特別な時に食べよう」などと(うちの母のように)言っていると、いつの間にか「古米」になってしまうわけです。
もったいない……
期間の目安は1か月。封を切ったらもったいながらず1か月で食べ切るのがベストです。
そして、それぞれのお米が含む「水分量」の差が、炊く際の水加減や炊き上がりの味や食感の違いとなってくるわけですが、
その前に見分けておかないと、そもそも炊くことすらできない……
まぁ……実際には袋の裏に書かれた「年産表示」である程度わかるのですが、見た目ではなく見分ける方法もちゃんとあります。
見た目の違い、または重さなどでも違いの分からない(「水に浮かべる」などでも変わりなし)「新米」「古米」。
専門家は何で判断するか、と言いますと「新鮮か新鮮でないか」なのですね。
つまりは「酸化」の具合から決着をつけているのです。
お米は酸化すると「白い粉」をまとうようになります。
お米の袋なり米櫃なりに手を入れて白い粉がつけば「酸化」の証拠。
つまりそのお米は「古米」か、限りなく「古米」に近づいているお米、ということになるのです。
また「水分含有量が少ない」のも「古米」の特徴。
ですので、ちょっと原始的ですが生のままのお米を噛む。
「新米」では柔らかくつぶれる感じで割れますが「古米」もしくは「古米化」進行中のお米ではパリッと裂けるように割れます。
-
「手を入れて白い粉を確認」
「噛んでみて割れ方の違いで判断」
もしかしたら今後、何かまた別の画期的な判断方法が出てくるのかもしれませんが、現状ではこれのみ。
ある意味「古米」、すごいです。
というか、保存技術が、ですが。
また「新米」「古米」が両方中途半端に残っている場合、混ぜて炊くことはできるのか?
これも気になるところ。
-
「古米」だけだとちょっと……
「新米」も残ってることだし、何とか「古米」を「新米」チックに食べられないかしら……
この場合の黄金比は、
「古米7」「新米3」。
ただし、新・古は別々に洗ってください。
現在は精米技術も発達したため、ゴシゴシと研ぐ必要はありませんが「古米臭(酸化による)」のもとともなる「ヌカ臭さ」を取るためにも「古米」ではしっかり目に。
水も3回ほど替えます。
お米は水に触れた瞬間からその吸収を始めます。
乾燥している「古米」では手早く洗うのもポイント。
その後30分程度水につけておいてから、優しく洗った「新米」と合わせて炊飯スタート。
水加減は通常通りで(炊飯器の目盛通り)でおいしく炊き上がります。
おいしいうえに「古米」も消費。素晴らしいです。
かつては「新米」よりも高価だったこともある「古米」。
なぜなら「新米」より圧倒的に膨らむから。
水分量が少ないから吸収がいいのですね。
おいしさを求めるのは当然なのですが、お腹がいっぱいになることこそ価値のある時代、また、現在にあってもそれが一番重要である場合も多々あります。
何せ主食。
そしてまた「新米」と比べさえしなければ「古米」もそれなりにおいしいのです。
ポイントは「水分量」と「酸化具合」。
「酸化」はヌカを伴いますが、洗うことによりその「臭さ」はある程度ですがなくすことはできます。
また、オリーブオイルや日本酒(料理酒でOK)を入れて炊くことでも防げます。
ツヤ出しに「蜂蜜」を入れることもありますね(これは少し注意が必要。ツヤは出ますが炊飯器を痛めてしまう原因ともなりますので、できればやめた方がいいです)。
そして「水分量」の問題。
そこを逆手にとれば、「少ないことがメリットとなる料理には適している」ことになるのです。
例えば「チャーハン」。
夢のパラパラチャーハンには断然「古米」の方がおススメです。
また、水分量が少ないということは、他からの「水分吸収率が高い」ということ。
味を染み込ませたい「炊き込みごはん」や「酢飯」に古米はうってつけなのです。
さすがソウルフード。
転んでもただでは起きない感に気迫を見せますね。
日本では炊きたてのつやつやホカホカの柔らかいお米が好まれますが、東南アジアや南アジアでは「新米」よりも「古米」の方が好まれる率は高いようです。
「ピラフ」や「リゾット」などにも「古米」は適しています。
こうなってきますと「好み」ですね。
(※完全に限定的な話ですが、うちの父は硬いお米が好き。
新米をありがたがりすぎて古米にしてしまう「母」とそういった意味では「お米相性」はいいのかもしれませんが、以前米不足の時に出回った「タイ米」とのブレンド米が「今までの人生の中で最高においしかったお米」と言っております。
最終的には「好み」なのです……)
「新米」「古米」の違いアレコレ ♪
日本のソウルフード「古米」……なぜか別にそれでもいいような気がしてきました。
でも「新米」、おいしい……
どちらがおいしいかの結論はさておき、では、ここでもう一度おさらいにいってみましょう。
「定義」は?
-
新米
-
①「食糧管理制度」に基づく「穀類年度」による
→ 11月1日から翌年10月31日までに収穫されたもの
-
②「JAS法」に基づく「玄米及び精米品質表示基準」による
→ 収獲年の年末までに精白・包装された精米に限る
→「新米」の規定から外れた米
適した料理は?
-
◎新米: 水分量の多さが自慢!!
- 炊きたてごはんをそのまま味わいたい時に
- 冷めてもおいしい! おにぎりなどにも ◎古米: 水分量の少なさを活かす!!
- チャーハンならパラパラに
- 浸透率が高いので「酢飯」や「炊き込みごはん」など
- 「リゾット」や「ピラフ」にも
混ぜて炊く時の比率は?
- 「古米7」「新米3」が黄金比
→ 水加減は通常通り
「違い」をまとめる!
-
◎柔らかさ
- 新米: 粘りもあり柔らかい
- 古米: 粘りはなく硬め ◎ツヤの有無
- 新米: ピッカピカ
- 古米: なし ◎香り
- 新米: 噛めば噛むほど香りと甘みが増す
- 古米: 人によりお米独特のにおい(古米臭)を感じることも ◎炊く時の水分量
- 新米: 通常の水加減より少なめの水量で
→ お米が水分を含んでいるため - 古米: 通常の水加減より多めの水量で
→ お米が乾燥しているため。炊き上がりは「新米」の2,3倍に膨れます
どっちがおいしい?
そりゃあ……- 一般的・総合的には「新米」ですが、「古米」を愛す方もいます
→ 最終的には「好み」です。
終わりに……
-
「新米」はおいしい。
「新米表記」がなくても、収穫後1年間は「新米」。
「古米」は「新米」の定義から外れたもの。
でも人としての「新米」が成長しても「古米」とは呼ばれない……
そこはさておきお米の場合、「古米」も言うほどおいしくないわけではない……
そして、時間が経てば「若い」が「若くはない」になるのは当たり前。
なるほど。
言われてみればそれほど難しい違いではありませんね。
現在では保存技術も炊飯器も格段に進歩しています。
パサつきが若干気になる「古米」も、調理法などによっておいしくいただくことができそうです。
さてさて、いかがでしたでしょう。
「新米」「古米」のモヤモヤは少しは薄れましたでしょうか。
皆さまの食卓で湯気を立てる「白米」。
これからもおいしい毎日が続くことを、併せて願っております!!
関連記事はこちらになります。
コメント