こんな『違い』があったんだ!

「徹」と「撤」の違いとは? 意味や使い分けはどうなの?

あくび
Q1.一晩中起きているのは「徹」? 「撤」?
 2.頑固な親父さんは「徹」? 「撤」?
 3.障害物などを取り除くのは「徹」? 「撤」?

見た目も似ている「徹」と「撤」。どちらを使うのか迷ったときは、細かい文字だし左の部首部分を崩して書けば……
あくび
……何とかなりそうな気もしますが、せっかくなので、きれいな字でも書けるよう、2つの「てつ」、意味や使い分けも含め解説いたします。

意味を知ると「てつや」「がんこいってつ」「てっきょ」など、ただの言葉ではなく、その時の状況までが見えてくる言葉になったりならなかったり……するかもしれません。


少しでも「面倒くさい漢字」に親しみを持っていただけたらうれしいです。
目次

「徹」と「撤」簡単な違いはこちら♪

文字としては、もうほぼ同じようにしか見えない「徹」と「撤」ですが、部首の部分がかろうじて違います。「行人偏(ぎょうにんべん)」と「手偏(てへん)」ですね。


行人偏の「徹」:△突き通す・貫く・とことんまで行き届く等の意味があります。

行人偏は「道、または行くこと」に関する文字を作ります。人の腿、脛、足が繋がっている形を表したもので、歩く、行くなど、道や歩行、脚の動作に関わることを示します。また「前に進み出ること」などの意味も持ちます。

→ 方向性のある文字に使われることが多く、例えば先ほどの「てつや」はただ単に起きているのではなく、朝にかけて夜通し、とことん起きている、というわけで「徹夜」です。

→「がんこいってつ」の親父さんの頑固さは、上から下まで、右も左も、もう全方向に貫かれているのです。ですので「頑固一徹」、こちらも「徹」ですね。
手偏の「撤」:△その場から何かを取り除く・取り下げる、といった意味を持った言葉です。 

 「手」に関係しているものが多く手を使って物の通りをよくする、または手を使って何かを行う、といった意味でよく使われる漢字です。

→「Q3」の「てっきょ」は手を使い何かを取り除く作業ですので「撤去」。前の発言を取り下げる「撤回」なども「撤」となります。

「徹」の意味とは?

「突き通す」「貫く」、何となくかっこよく思えてきた「徹」。
「徹する」という言葉ありますね。その意味を見てみると、

      1.主義や態度など、一旦こう、と決めたら最後まで変わらずに貫き通す
      2.休みなく続ける、ある時間をすべてその一つのことに当てる
      3.奥まで沁み透る(心の奥まで深く感じる)
「徹」でいいんだたっけ? と迷う際には、この「徹する」の3つの意味、それに先ほどの「徹」の「突き通す」「貫く」を思い出してみてください。

その言葉が、上記のようなニュアンスで使われる言葉であるのなら、その「てつ」は「行人偏」の方、こちらの「徹」となります。

「撤」の意味とは?

続いての「撤」。取り除いたり取り下げたりします。何か問題が起きた時には、重宝しそうな文字ですね。


こちらの文字を使った「撤する」もあります。


1「取り払う」「取り除く」


「する」がついても、意味はほとんど変わりません。


「撤」は、何かを「取り除い」たり「取り払」ったり「取り下げ」るなど、退かすような意味に特化した言葉とも言えそうです。まさに「据える(動かないように置く、の意)」の真逆の言葉ですね。


このような動作を思い浮かばせる言葉に使う場合は「撤」、「手偏」の方が使われます。
(「撤」に責任はないのですが、どうしてもいいイメージが湧いてきません!)

「徹」と「撤」どっちがどっち? 詳しい違いと使い分け

2つの「てつ」、使われ方の違いが何となく掴めてきましたでしょうか?


では、色々な場面ごとに、使われる文字を挙げていって見たいと思います。

その前に、繰り返しになってしまい恐縮ですが、先ほどの意味のまとめをもう一度書いておきます。

◎「徹・徹する」
突き通す・貫く・とことんまで行き届く
      1.主義や態度など、一旦こう、と決めたら最後まで変わらずに貫き通す
      2.休みなく続ける、ある時間をすべてその一つのことに当てる
      3.奥まで沁み透る(心の奥まで深く感じる)
    ◎「撤・撤する」
    その場から何かを取り除く・取り下げる
      1.取り払う・取り除く

私は初心を貫きます!

♦初志貫徹 はるとよ、勝者になれ!!
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=E-fSH6saA3U&w=560&h=315]
・初志貫徹、「徹」ですね!
→「徹・徹する」の1のパターンです。初志(最初の気持ち・志)を最後まで「貫き通し」ます。

安心して眠ってください。今夜一晩、私が見張り役を引き受けますので!

・夜を「徹」して、見張りをしてくれるのですね!
→ シチュエーションがいまいち分かりませんが、「徹・徹する」の2のパターン、「今夜一晩」という時間を「休むことなく」見張りに捧げています。

とりあえず……逃げとこうか

「撤」退です。
→ きっとまずい状況なのでしょう。その場を「撤」して(取り払って)退去です。「撤・撤する」のパターンですね。

寒い、骨の髄まで寒い……

・寒さが心底、骨身に「徹」しているようです。エアコンやヒーターはないのですか! 心配です。
→ 「徹・徹する」のパターン3です。凍えるほど「沁み透って」しまった寒さが伝わってきます。

お疲れさん! また明日よろしく!

「撤」収ですね。お疲れさまでした。
→ その場から皆さんを「取り去る」手段、といった感じでしょうか。「撤・撤する」のパターンです。

違うんです、私が勝手に勘違いしてただけ……

・すごいです! ある意味、善意に「徹」していますね。
→ 「徹」と「徹する」の1パターン目の混合のような感じでしょうか。人から何を言われようと、とことん「貫いて」います。「主義や態度が微動だに」していません。ですが信じる者が救われるかどうかは、案外その信じる対象によって変わってくるものだったりします。

「徹」ポイント

その文字が示すものは、何かに対して「徹底している」か? また、気迫を感じるほどに「沁み透っている」様子か? などを「どっちだ?」と悩んだ時には思い浮かべてみてください。

その通りであれば、その「てつ」には「徹」を!
(星 飛雄馬のお父さんを思い出すのも手っ取り早い方法の一つです)

「撤」ポイント

「撤回」「撤去」「撤収」「撤廃」「撤退」など、「撤」の部分を「取り除く」や「取り下げる」に置き換えて考えてみてください。少し分かりやすくなりますね。

置き換えても大体の意味が伝わるような「てつ」には「撤」です!


終わりに

形もそっくりで、読み方に至っては全く同じ「徹」と「撤」。でも意味には結構な違いがあります。


「部首部分を何気なく崩して書く」以外にも、「いっそカタカナかひらがなで書く」という裏技もありますが、できればキッチリと使い分けたいものです。

いかがでしたでしょう。
漢字を見て「こんな状況になってるんだな」などと思えると、ただの平坦な文章にも色がつく気がしませんか?

漢字って、面倒くさいけどちょびっと面白いかも、などと思っていただけたら本当に幸いです!

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