こんな『違い』があったんだ!

「音読み」と「訓読み」の違いとは? 見分け方と覚え方をわかりやすく

日本

「麦酒」と書いて「ビール(bier /オランダ語)」、「頁」と書いて「ページ(page / 英語)」、「煙草」と書いて「タバコ(tabaco / ポルトガル語)」、そして「本気」と書いて「マジ」!
日本

外来語を日本語で表そうとすると、上記のような、もうほとんど「当て字」のような文字が出来上がります。

これらは「外来語を訓読み」したもの(または熟字訓)。

それに対して、元々の英語やオランダ語やポルトガル語がいわば「音読み」です(「本気と書いてマジ」は除く)。


これは簡単!
日本語と外国語の違いじゃないか!!(何度も言いますが「マジ」は別)


……残念……本当に残念です……

「音読み・訓読みの世界」は、そんなに甘くはないのです。

「音読み」「訓読み」、2つのそもそもの違いも含め、わかりやすい見分け方、覚え方を紹介いたします。

皆さまのスッキリ! に多少なりとも役立てましたら幸いです!!
目次

「音読み」と「訓読み」の違いって何?

上記の例でいきますと「bier」は「麦でできたお酒」ということで「麦酒」、もともとの言葉を日本語に訳した当て字です。
これが「訓読み」。わかりやすいです。


「車」だったら「音読み」は「car」。日本語に訳した「車」が「訓読み」、といった感じですね。


ただし、これはあくまで「音読み・訓読み」の関係はこう、という説明のための分け方。「『car』と『車』」を「『音読み』と『訓読み』」として捉える、ということはまずありません。「『英語』と『日本語』」で分けますね。


ですがこの「音読み」部分の言語が日本と同じような「漢字」を使う「中国語」だったら?
一般的な「音読み・訓読み」がややこしいのは、

  • 音読み: 日本に伝わった当時の中国語の発音(中国で読まれていた読み方)をもとにした読み方のこと
  • 訓読み: その漢字の意味を表す日本語での読み方
だからなのです。


訳すべき外来語が「漢字」……逆にもの凄くハイレベルな気がします。

漢字を使っていても「音読み」は「外来語」扱いのため、漢和辞典や教科書では「カタカナ」で表されます。
対する「訓読み」は大和言葉、日本固有の言葉なので「ひらがな」。


ですので「音読み」と「訓読み」の違い、または関係とは「外来語」と「その外来語の意味に、日本語として意味のわかるように読み方を当てたもの」とも言い換えられるのです。


大まかな違いですが、まずはこのことを押さえておいていただき、続いてそれぞれの特徴等を見ていってみましょう!

「音読み」の特徴は?

遣唐使や留学僧、貿易商人等により、中国から日本に伝えられ定着していった「呉音」「漢音」「唐音」などが「音読み」。

もともと中国で発音されていた読み方なのですね。

そのため「音」だけを聞いても、言葉の意味がわからない、もしくは通じにくいものが多く、また、その読み方には中国語の発音の特徴が濃く残されています。


中国語は漢字1文字を必ず1音節で発音します。その名残を受け「音読みは仮名で書くと3文字以下」となります。


3文字になることもありますが、その場合には「2文字目には『ャ、ュ、ョ』の小文字」(「仲 = チュウ」や「流 = リュウ」など)が入ります。

例えば「形(かたち)」や「志(こころざし)」のように、漢字1文字でも読み仮名が3文字以上、そして「小さい『ャ、ュ、ョ』」などの拗音が2文字目にないものは「訓読み」、ということですね。


また「走る」「泳ぐ」などの送り仮名がつくことはほとんどありません。
「走る / 泳ぐ」の音読みは「走 = ソウ / 泳 = エイ」となります。


つまり、中国から伝わった「走」や「泳」などの漢字を意味がわかるように日本語を当てたのが「訓読み」、その元の漢字が「音読み」として読まれるわけです。

「第一走者」や「遠泳」などと使われます。「訓読み」で日本語としてわかりやすく言えば「一番目に走る人(者)」「遠くまで泳ぐ」といった感じでしょうか。


「山」など送り仮名がない場合でも「サン」と「やま」に読み方は分かれます。

「サン」だけでは、ちょっと意味がわかりません。「三」かもしれないですし「酸」かも……となってしまいます。

「やま」なら、もう「山」ですね。


よって「音を聞いただけで日本語として意味が通じるか?」ということから「山」の文字の「音読み = サン」「訓読み = 山」となるのです。

またまた更に「読み仮名が2文字の場合、その最後の文字は『ツ、チ、ク、キ、イ、ウ、ン』になる」といった法則のようなものもあります。


「蜜(ミ『ツ』)」や「本(ホ『ン』)」、「鉢(ハ『チ』)」などです。


まだまだ続きます。

「識、職、織」「原、源」など、同じ部分を持った漢字で、「識、職、織 = シキ、ショク、シキ」のように類似、または「原、源 = ゲン」のように同じ音の読み方を持つ場合は、そちらが「音読み」、「原、源 = はら、みなもと」が「訓読み」となります。


もう少しです!
「音読み」の読み方は1種類だけ、とも言われます。

こちらも多くの「音読み」には当てはまります。


……これを全部覚えるのですか……?……やっかいです。やっかいにも程があります……


しかし、追い打ちをかけるようにやっかいは続きます。


「例外」です。


上記の法則的なものは確かに多くの場合「音読み」の見分け方に繋がっているのですが「音読みは仮名で書くと3文字以下」以外には例外が付きまとっています。


例外の例を挙げてみます。

本当に「1文字だけでは意味が通じない」?

  • 「絵(エ )」「愛(アイ)」
  • → これはそのままズバリ、意味がわかる文字。ですがこのどちらも「音読み」です。

    更に「絵」に関しては「エ(漢音の『ヱ』)」、「カイ(呉音の『クワイ』)」2つの「音」での読み方があります。
「音読みの読み方は1種類だけ」の法則まで壊してしまっています。

本当に「音読みに送り仮名はつかない」?

  • 「訳す」「信じる」「生じる」、先ほどの「愛する」
  • → これらは皆「音読み + 送り仮名」です。「~する」や「~じる」「~ずる」などでは送り仮名がつくのです。

「読み仮名が2文字の場合、その最後の文字は『ツ、チ、ク、キ、イ、ウ、ン』になる」って本当?

本当なのですが、例外は結構あります。以下はその一部です。こちらは2文字目に上記の文字を持ちますが「訓読み」となります。

→ 辰(た『つ』)/ 蜂「(は『ち』)/ 枠(わ『く』)/ 関(せ『き』)/ 灰(は『い』)/ 夕(ゆ『う』)

もちろん例外ではない「音読み」のものも。

→ 蜜(ミ『ツ』)/ 鉢(ハ『チ』)/ 幕(マ『ク』)/ 席(セ『キ』)/ 塀(ヘ『イ』)/ 塔(ト『ウ』)


また、これは「例外」というわけではありませんが、どの文字にも「音読み・訓読み」があるわけではなく、例えば先ほどの「識、職、織」では「織 = お(る)」以外は常用漢字に訓読みを持ちません。

「常用漢字に訓読みのない漢字」は40。そして「音読みのない漢字」は736(!)もあるのです。

……遣唐使!!

ちょっと文句を言いたくなってしまいます!

「訓読み」の特徴はコレ!

さて、日本固有の言葉、大和言葉の「訓読み」。

「しゃべる言葉」ではなく「書く言葉」、つまり記録等に使う文字を持たなかった、かつての日本人(大和の民)が中国からやってきた漢字の発音を「耳」で「音」として聞き、それをしゃべり言葉などと照らし合わせて作られたのが「訓読み」です。


空を飛ぶ鳥を指し「飛(ヒ)」なら「あれって『とんでる』よね、なら『飛』は『とぶ』でよし」、「草(ソウ)」なら「あれは『くさ』のことだから『草』は『くさ』ね」といった具合だったのでしょう。


ですが「草原(そうげん)」などは音読みのまま。訓読みにするなら「草の生えた原っぱ」のようになるわけですが、「草原」も普通に使われる言葉です。


熟語や慣用句として意味の通じるものはそのまま「音読み」のものが多いのですね。

古文や漢文には「返り点」というものがあります。「レ点」や「一二点」などを、漢字だらけの文章に打ち、日本語として意味のわかる文章にするためのものですね。

それに「送り仮名」をつけることで、日本語として読みやすくなるわけです。

この「返り点」「送り仮名」をあわせて「訓点」と言います。

「訓点」をつけ、読めるようになった漢文は「訓読文」、それを漢字とひらがなで書き直せば「書き下し文」となり、完全な日本語となります。

♦中学1年国語 漢文の読みかた レ点と一、二点
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=wWSfprBMr0s&w=560&h=315]
「訓」という文字がたくさん出てきました!

古文、漢文を日本語として読むための色々な「訓」。

「訓」は「教える / 諭す / 字句の説明、解釈」などの意味を持つ言葉です。

「訓読み」というのは、要するにそういうことなのですね。


中国から伝わった漢字を、日本語として意味がわかるような読みで表したものが「訓読み」です。

ですので「音読み」とは逆に、読めば意味のわかる言葉、送り仮名のつくものが多く、また先ほども書きましたが、日本固有の言葉のため漢和辞典や教科書では「ひらがな」で表されています。

「音読み・訓読み」はこうして見分ける! 覚え方のコツは?

……もう、いいや……

もの凄く、そのお気持ち、お察しします!!

でも……ここまできたのですから、もうやっつけてしまいましょう!


ではでは、例外は一旦措いておき、大多数の「音読み・訓読み」の見分け方、その覚え方のまとめです!

お互いファイトです。ゴールはもう、見えています!!

一番大きな違いは?

  • 音読み: 外来語(中国発祥の言葉)
  •   → 読んだ(聞いた)だけでは意味の通じないものが多い。漢字単体では意味を成さない(ものが多い)。

        
  • 訓読み: 日本固有の言葉。大和言葉
  •   → 読む(聞く)だけで意味がわかるものがほとんど。

送り仮名がつくのは?

  • 訓読み
  •   → 漢字に送り仮名をつけ意味を持たせたものが多いため

「読み仮名」の字数って決まってるの?

決まっているわけではありませんが、
  • 音読み: 1文字か2文字。「3文字」の場合には2文字目に拗音(小さい「ゃ、ゅ、ょ」)が入ります。
  •   → 3文字以上なら「訓読み」。

他にも「音読み」の法則を簡単に書いて!

はい! では、例外は無視でいきます!
  • 聞いただけでは意味が通じない
  •   →「キョウ(ゴウ)」と言われても「今日」なのか「京」なのか「凶」なのかわかりません。「バイ」と言われても……
    「つよい」「かい」と言われるまで、その音からだけでは「強」「貝」の文字が浮かんでこないのです。

  • 送り仮名がつかない
  •   → 上記の例でもわかる通り「強」に送り仮名をつけ「強い」とすることで意味を表しているのが「訓読み」。その元となる漢字の読み方が「音読み」です(「強」であれば「最強(サイキョウ)」など)。「最も強い」のように送り仮名がつくものが「訓読み」となります(「もっとも」や「つよい」の読み方)。

    読み仮名が2文字の場合
  • 「ツ、チ、キ、ク、イ、ウ、ン」が最後につく
  •   → 特に「ン」のつくものは音読み。「土茎いい運」や「蘊蓄(うんちく)きつい」などの語呂合わせで皆さん覚えているようです。

  • 拗音を含んでいたら「音読み
  •   → 「キャ」「チュ」「ショ」などのことですね。「客」「修」「小」などなどがあります。

  • 漢字を構成している部分に同じ形があり、かつ読み方が同じ、または類似する漢字がいくつかある文字は、その同音(類似)の方が「音読み」になる
  •   →「門 / 問」や先ほど挙げました「蜜 / 密」「識 / 職 / 織」などは「音読み」が「モン」「ミツ」「シキ / ショク」となります。

  • 読み方がいくつかある場合は、どちらかが「音読み」
  •   → 例えば「中国語」の「国」。「こく(ごく)」とも読みますし「くに」とも言います。この場合「コク(ゴク)」が「音読み」、「くに」が「訓読み」となりなす。「コク」と聞いただけでは「?」、「くに」と言われれば「あぁ、国ね」となりますね。
    ちなみに「聞」「言」の「音・訓読み」は「ブン ・モン / きく・きこえる(前述の『門、問』と同じパーツを持つ文字でもありますね)」「ゲン・ゴン / いう・こと」です。

でも「例外」があるんでしょ? 結構いっぱいあるんでしょ!

……すみません。あるのです(でも私のせいではないのです)……

ですので、正確を期したい場合には、結局「漢和辞典」等で調べるしかありません。

けれど、ここまで読んでいただいた「音読み・訓読み」、王道のものについては、ある程度、見分けることはできるかと思います。


最後に、更なるいくつかの見分け、覚え方の提案がありますので、最後にそれらを紹介させていただきます。許してやってください(私を、ではなく、ややこしい「音読み・訓読み関係」を、です……)。

  • 漢和辞典を日常的に読む本として迎える
  •   → これは地味なようで、かなり役に立ちます。特に、辞典についている「音訓索引」を活用するのは効果的。最近変わったものも出てきた「歴史の年号」より、ずっと確かなものです。枕元に置いて寝る前に読めば、眠れない時など、いろんな意味で役に立ちます。

  • 「音読み」「訓読み」を、もういっそセットとして一つの文字、漢字を覚えてしまう
  •   → このような覚え方をすると、なかなか忘れにくくなるものです。何かと何かを関連付けて覚えると、記憶に定着する度合いが高くなります。

  • その文字で色々な言葉を作り、感覚的に理解する
  •   → 例えば「乗」。「ジョウ / のる」がありますが、「乗車(ジョウシャ)」「乗り場(のりば)」から「車」の「シャ / くるま」、「場」から「ば / ジョウ」など、連想ゲーム的に楽しみながら覚えてしまえばやっかいな「音・訓関係」にもきっと勝てる気がします。その時には枕元から「漢和辞典」を持ってきておいてくださいね。

終わりに……

遣唐使!! 留学僧も貿易商人も、何てことをしてくれた!!

……とも思いますが、もし「音読み」がなかったら「文章」というものが成り立っていなかったのですね。

何となく複雑な気分ですが「ありがとね、遣唐使たち……」なのです。


外来語の意訳とも言える「訓読み」。ですが、もはや日本語。

歴史は深いですね。

余談になりますが、かの有名な「万葉集」では「はる(春)」に「暖」、「寒」を「ふゆ(冬)」、「金」なら「あき(秋)」などと表していたそうです。これも一種の「訓読み」ですね(固定したものではなく、文脈に合わせ当てた漢字、「義訓」といいます)。


そう聞くと、何とも豊かな情緒を感じてしまいます。

「繊細」や「ロマンティック」というのは、案外面倒臭いことなのかもしれません。
いかがでしたでしょう。

ますますモヤモヤしてしまったかもしれませんが「音読み・訓読み」の「例外」以外の法則、見分け方、違い等、そしてロマンなどなど、ほんの一部分でも「ふーん、なるほどね」と思っていただけたらうれしいのですが……

関連記事はこちらになります。

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