どっちがどっち? をあまり気にしたことはないかもしれませんが、違いはけっこうあるんですよ。
しかも、案外わかりやすいんです。
少しでも興味をもったときに“キミは陶器なの? 磁器なの?”のモヤモヤは吹きとばしてしまうのが一番。
今のうちに2つの違いを知っておいてしまいましょう。
── ということで、
『陶器と磁器ってなにが違うの? 見た目でわかる?
割れやすいのはどっち?』
について、作られる際の温度の違いなども含め、もろもろ紹介いたします。
皆さまの“陶磁器・どっちがどっち問題”が少しでも解消されましたら幸いです。
それではさっそくいってみましょう。
目次
「陶器」と「磁器」一番の違いは?
“含まれている成分の割合”の違いです!
土が多く含まれているものが『陶器』。
石が多く含まれるものが『磁器』。
そのためそれぞれ、
- 陶器: 土のもの
- 磁器: 石のもの
とも呼ばれます。
で、どちらも『やきもの』ですよね。
やきものというのは、
“天然の土や石を砕いたものを練って形を作り、それを焼いて仕上げたもの”
の総称です。
細かく分ければ、
- 土器
- 陶器
- 炻器(せっき)
- 磁器
の4つに。
大きく分けると、
- 陶器
- 磁器
の2つ。
これが”陶磁器“ですね。
これだけだと、なんのイメージもわかないと思いますので、もう少し詳しくみていきます。
『陶器・磁器』まずはココから!
陶器も磁器も、やきものの一種なので、
“天然の土や石を砕いたものを練って形を作り”
土や砕いた石を練ったもの、つまり“粘土”から作られます。
なので、まずは粘土づくり。
粘土ができたら形を作っていきます。
……なんですが、粘土だけだと、
- 柔らかすぎて成形(形を作ること)がうまくいかなかったり……
- 乾燥させたときに水分が飛んでしまい粘土自体が収縮して(縮んで)しまったり……
- 焼いたときにその縮みの大きさにより、割れたりヒビが入ったりしてしまうことも……
こんな感じになっちゃいますよね。
そこで、”珪石(けいせき)“や”長石(ちょうせき)“などの材料を混ぜることにより、ヒビや縮み問題をクリアしていきます。
-
■ 珪石
- 乾燥させたときや焼くときの収縮も少なく、混ぜることにより柔らかさ(粘り)も抑えられる原料
- 高温で焼くと溶けてガラス質に変質
(ガラスの原材料としても使われるもの / ただし単体では溶けにくい) - 上の特徴プラス、↓
- ガラス質になる珪石などを溶かすお手伝いも
- 低い温度でも焼きかためることができるようになる原料にも
- 粘土同士のスキマをつなぐための材料にもなる
- 珪石は1200℃までは自力ではとけることができないが、1200℃を超えると、長石が珪石が溶けるのをお手伝い
→ 珪石が溶ける
→ 長石とも結びつくことでガラス化
■ 長石
♦ 2つの関係
ヒビ・割れ・収縮を防ぐだけでなく、高温になると彼らはガラス質に変わるんですね。
粘土も含まれているので、完全にガラス化してしまうことはありませんが。
陶器と磁器では、この、
“粘土・珪石・長石”
を含む割合が変わってきます。
『陶器』の主な原料は?
陶器に使われる主な原料は、
“陶土(とうど)”
と呼ばれる粘土。
陶土は土から作られる粘土なので、色付きのものが多いです。
褐色(かっしょく)とか赤土の色とか、黄土色(おうどいろ)とか。
有機物質なども含まれた土、で色、です。
この粘土を主原料として、そこに珪石と長石を混ぜて使います。
割合はだいたい、
“粘土:珪石:長石 = 5:3:2”
くらいになっています。
柔らかくて形を保ちやすい粘土。
でも含まれる成分によって、高温で焼き固めるのが難しい……
というのが特徴です。
『磁器』の主な原料は?
”陶石(とうせき)“
という珪石や長石の含まれた岩石を砕いたものが主な原料になります。
パウダー状まで砕かれた陶石に粘土を混ぜて使います。
こちらの割合はおおよそ、
“粘土:珪石:長石 = 3:4:3”
磁器に使われる粘土は陶器のものとは違い、
“磁土(じど)/ 磁器土(じきど)”
と呼ばれ、ほとんどが白い色をしています。
陶土に比べ硬めでコシのある粘土なんですが、高温でないと焼きかためることができない、というのが特徴。
-
■ 陶器
- 主な原料: 陶土(粘土)
→ ここに“珪石・長石”を混ぜたものが使われる
→ “粘土:珪石:長石”の割合は“5:3:2”
→ 柔らかくて形を保ちやすい
→ が、高温で焼きかためることが難しい - 主な原料: 陶石という岩石を砕いたもの(珪石・長石を含んでいます)
→ これに“磁土(または磁器土)”と呼ばれる粘土を混ぜたものが使われる
→ “粘土:珪石:長石”の割合は“3:4:3”
→ 硬くてコシがある
→ 珪石・長石の比率が高いため、高温でないと焼きかためることができない
■ 磁器
軽くまとめてみちゃいました。
この含まれている成分の割合の違いが、陶器・磁器それぞれの特徴につながっていきます。
今度はその特徴から違いをみていきますね。
『陶器・磁器』それぞれの特徴は?
いくつかあるので順にご紹介です。『陶器』は厚い? 薄い?
陶器は、
“厚い”
です。
陶器に使われる粘土の特徴は“柔らかい”ですよね。
で、柔らかい粘土で薄いものを作るのって、かなり難しい。
形を作っている間に粘土自体の重みでフニャッとくずれてきてしまうんですね。
というわけで、あまり薄い陶器は作れません。
『磁器』は厚い? 薄い?
磁器は、
“薄い”
です。
使われる粘土が硬い(コシがある)ので、薄く成形しても大丈夫。
(※ 中には厚みのあることが特徴の磁器もあります)
- 陶器: 厚みがある
- 磁器: 薄い
『陶器』を焼くときの温度は?
磁器に比べ焼くときの温度は低く、
“800~1200℃前後”
使われている粘土の成分により、高温で焼くことが難しいんですね。
『磁器』を焼くときの温度は?
上で書いちゃってますが、陶器より高め。
“1300℃前後”
で焼き上げられます。
こちらも成分の問題ですね。
珪石や長石を含む割合が高いため、高温でないと焼きかためることができません。
陶器に比べ、焼く時間も長くかかります。
- 陶器: 800~1200℃前後
- 磁器: 1300℃前後
『陶器』の硬度は?
-
♦ 2つの関係
- 珪石は1200℃までは自力ではとけることができないが、1200℃を超えると、長石が珪石が溶けるのをお手伝い
→ 珪石が溶ける
→ 長石とも結びつくことでガラス化
先ほど粘土を作るときに混ぜるものとして紹介させていただいた“珪石・長石”の関係です。
で、陶器を焼くときの温度が“800~1200℃”。
溶けてないんです。
ガラス化してない。
“じゃあ、陶器ってものすごくもろいの? てか、結局粘土焼いただけ?”
……ってことになりますよね……
そこで登場してくるのが“釉薬(ゆうやく)”という液体です。
少し話がそれてしまいますが、簡単に陶器・磁器が完成するまでの流れを以下に挙げていきますね。
陶磁器完成までの流れ(ザックリ)
-
①粘土を作る
-
②器の形を作る(成形)
-
③乾燥させる(素焼きのときにヒビが入ったり割れたりしないように)
-
④素焼き(乾燥させた素地に強度をつけるため、低温でいったん焼く)
-
⑤釉薬をかける(磁器なら、かける前に下絵を描く)
-
⑥釉薬が乾燥したら本焼き
素焼きのあとにかけるのが釉薬です。
今度は、その釉薬の役割について。
釉薬の役目は?
釉薬というのは陶磁器の表面をおおうガラス質のこと。
(※”うわぐすり”とも呼ばれます)
本焼き(完成前の仕上げ焼きのようなもの)の前にかけると、高温で焼かれた釉薬がガラス質となって器をコーティングしてくれるんですね。
釉薬には珪石や長石なんかも含まれています。
そしてこの釉薬の中の珪石・長石は、含まれているほかの成分(石灰)のおかげで、溶けだす温度も低くなるんです。
で、溶けだし、コーティング。
このことにより、
- 耐水性を高める(とくに陶器)
- 汚れがしみ込んでくることを防ぐ
- 器の強度を高める
- 器に光沢をもたせる(ガラス質だから)
- 色や模様をつけるなど、装飾の役目も
➡ 陶磁器を美しく! & 実用性もプラス!
釉薬には多くの色があり、さらにその配合によって、さまざまな風合いを出すこともできます。
ただ、見た目通りの色が出るわけではなく、配合や温度によってもできあがりはかなり変わってくるんですが……
また、焼く温度の違いにより、陶器と磁器では釉薬の種類も変わってきます。
- 耐火性の強い釉薬(強釉): 磁器
- 耐火性の弱い釉薬(弱釉): 陶器
(※ 陶器と同じ釉薬だと、高温で焼く磁器では溶けすぎてしまいきれいな仕上がりになりません)
そんなこんなで、釉薬によりガラス化はできた陶器なんですが……
それでもやはり陶器の硬度はそれほど高くありません。
高温でしっかり焼きかためられているわけではないので、柔らかめ(低め)になります。
『磁器』の硬度は?
ガラス質に変わる原料の比率、多いですからね。
ガラス化は“磁器化”とも呼ばれます。
しかも高温で長時間かけガッツリ焼きかためられているので、磁器の硬度は高め。
- 陶器: 硬度は低め
- 磁器: 硬度は高め
『陶器』の手触りは?
“ザラザラ”
した感じが伝わってきます。
陶器は低温で焼が柔らかい(焼きかためられていない)ので、粘土同士の間にスキマが多いんです。
これを『多孔質(たこうしつ)』といいます。
簡単にいうと、
“肉眼では見えないけど、小さな穴(孔)がたくさん開いてますよ”
の状態。
見えないけど穴がたくさん開いてるので、素地(きじ)が粗くなる。
で、それが表面のザラザラ感を作り出している、です。
『磁器』の手触りは?
“ツルツル、なめらかでしっとり”
した感じです。
高温で焼かれるため、磁器の素地にはスキマがなく、粘土同士はビッチリくっつきあっています。
陶器のような“穴”はありません。
そのため見た目の透明度も高くなります。
- 陶器: ザラザラ
- 磁器: しっとりなめらか
『陶器』の保温性は?
こちらに関係してくるのも“穴(スキマ)”です。
素地にスキマがたくさんある、ということは、空気もたくさん含まれているということなんですね。
全体的にあまりビッチリ粘土同士がくっつきあってない感じ。
その間にいるのが“スキマ = 空気”です。
この空気が、逃げようとする『熱』や『冷たさ』をブロック。
熱しにくく冷めにくいので一定の温度を保ちやすくなります。
たとえば、陶器でできたグラスでビールを飲むとか。
スープを飲むとか。
長い時間冷たいビールと温かいスープが楽しめますよ♪
(※ ビールとスープじゃなくても楽しめます)
『磁器』の保温性は?
陶器でできた器に入れたときと比べると、スープも冷めやすいし、ビールもぬるくなりやすい! です!!
磁器、痛恨のマイナスポイント。
これは大事です(個人的にはです)。
素地に空気を含まないためですね。
保温性・保冷性は陶器のほうが優れています。
- 陶器: 熱しにくく冷めにくい(一定の温度を保ちやすい)
- 磁器: 熱しやすく冷めやすい
『陶器』は光を通す?
通しません。
スキマがジャマしてきます。
陶器の器を手に持って蛍光灯や太陽の光などにかざしても、器の裏にある手が透けて見えることはありません。
ということで、陶器は、
“不透光性”
になります。
『磁器』は光を通す?
通します。
スキマがないのでジャマされません。
薄い磁器なら、光にかざすと、裏側の自分の指が透けて見えますよ!
- 陶器: 不透光性
- 磁器: 透光性
『陶器』を叩く(はじく)とどんな音がする?
硬度が低い陶器をはじくと『ピンッ』という音がします。
多少にごっていて低めですが、実際に聞いてみると、皆さんが想像しているよりは高い音だと思いますよ。
ただ、伸びはないです。
『ピーンッ』
ではなく、『ピンッ』。
(※ “音”なので、聞いた時の個人差で感じ方の違いはあるかも)
『磁器』を叩く(はじく)とどんな音?
『キーンッ』または『ピーンッ』という音がします。
金属みたいな音。
澄んだきれいな音ですよ。
聞いてて心地いいです。
- 陶器:『ピンッ』という伸びのない若干低めでにごりのある音
- 磁器:『ピーンッ』『キーンッ』という伸びのある金属的な澄んだきれいな音
(※ 聞こえ方にはたぶん個人差あり)
『陶器』の重さは?
重いものが多いです。
主原料は“粘土”。
しかも厚みもあります。
だから重い。
『磁器』の重さは?
磁器にも粘土は使われていますが、その比率は全体のわずか30%。
磁器は軽いのも特徴のひとつです。
- 陶器: 重い
- 磁器: 軽い
『陶器』の吸水性は?
釉薬をかけているので、水分がジャンジャン吸収されるということはありませんが、陶器は多孔性(穴がいっぱい)。
一応吸水性のある器です。
『磁器』の吸水性は?
素地にもスキマがなく、ガラス質の多い磁器はほとんど水分を通しません。
- 陶器: 吸水性
- 磁器: 吸水性なし
割れやすいのはどっち?
硬度の低い“陶器”のほうです。
が、磁器も割れないというわけではありません。
陶器よりもずっと丈夫ですが、磁器は薄いんです。
陶器は“バキッ”という鈍い音とともに大きくキレツが入ることが多いですが、磁器の場合、“パキンッ”という高い音で小さくヒビが入ったりします。
また、磁器は一点に強い衝撃を与えると欠けます。わりと簡単に。
たとえば、机の上から落としたときにはセーフだったのに、しまおうとしてお皿の一部を戸棚にガツンッとぶつける、とかですね。
欠けたり割れたりした破片はとがったものになるので、ケガには注意してくださいね。
(その前にぶつけないようにも注意です)
色の違いは?
- 陶器: 白・黒・緑・青などなど、80種類以上の色あり
- 磁器: ほとんどが白
※ 陶器にも”白”っぽい色のものはありますが、なめらかさと光沢、透明感が全然違います / 一度2つを見比べてみたら、次からはぜったい見分けられるようになるくらいのレベルで違う
風合い・器の表情の違いは?
-
■ 陶器
“何色の釉薬を使うか、どの程度かけるか(釉薬に浸けるやり方もあり)によって作られる風合いが命!“
陶器の表面は磁器に比べ粗めです。
このデコボコ具合により、かけた釉薬のつき方にバラつきが出るんですね。
で、このバラつきがいい意味での“ムラ”になって、一つひとつの風合い・表情を作ってるんです。
また、かける量によっては釉薬が垂れてくることもありますよね。
これもまた、その作品の持つ味になっていきます。
まったく同じものは作ることができない、というのも陶器の魅力のひとつです。
-
■ 磁器
“器に描かれた絵柄(や模様)・形で美しさを表現!”
陶器に比べ圧倒的になめらかな表面を持つ磁器は、全体的に釉薬を薄く、均等にかけることができます。
なので、場所によるバラつき(釉薬のかかり方)や垂れもなし。
また、使われる粘土も白なので、絵なども描きやすいんです。
磁器にとっての釉薬は、風合いや表情を作り出すための物ではなく、あくまで器の強度や汚れ対策など、実用的なものとして使われるんですね。
そしてその代わりに、硬くて薄い(素地も白い)という特徴を活かし、器の形や描く絵などでそれぞれの表情を作り出しています。
※ 釉薬で色味などをつけていく陶器と違い、磁器では絵具(顔料)で絵を描き、その上に釉薬をかけていく形になります
器を裏返してチェック!
陶器の場合、溶けてくっついてしまわないよう、底の部分(置く場所に直接触れる部分)と器の台座の部分の釉薬を取り除いてから本焼きが行われます。
磁器の釉薬はかけたままです。
- 陶器: 釉薬のかかっている本体には光沢があっても、器を裏返した底の部分がザラザラしている
- 磁器: なめらかでザラザラ感なし・なめらかでしっとり
※ 器を裏返した底の部分のことを『畳付 / たたみつき』・台座にあたる部分を『高台 / こうだい』といいます
画像は全然陶器でも磁器でもないし、みそ汁まで入っちゃってますが、“○”のついているところが『高台』。
高台の一番下、器を置いたときテーブルなどにくっつく部分が(裏返さないと見えない)『畳付』です。
この違いはかなりわかりやすいですよ!
ということで、陶器・磁器、それぞれの特徴をいくつか挙げてきましたが、なんとなく、2つの違いがつかめてきましたか?
ダメ押しとして、次に画像で、
『陶器? 磁器?』
見た目の違いも確認です。
陶器といえば○○焼!
-
① 信楽焼(しがらき / 滋賀県甲賀市)
-
② 丹波焼(たんば / 兵庫県丹波篠山市)
-
③ 瀬戸焼(せと / 愛知県瀬戸市)
-
④ 常滑焼(とこなめ / 愛知県常滑市)
-
⑤ 備前焼(びぜん / 岡山県備前市)
-
⑥ 越前焼(えちぜん / 福井県丹生郡越前町)
こちらの6つは、
“日本六古窯(にほんろっこよう / にほんろくこよう)”
と呼ばれる古くからある陶磁器窯で焼かれたものです。
約900年以上の歴史があって、今でも現役で生産が続けられている日本古来の窯で、ちょっと陶芸界の中でも別格なところ。
ほかにも『○○焼』はもちろんあるんですが、せっかくなので、こちらの6つをご紹介です。
ここはサクッといきますね。
-
※ 正確に言うと、『信楽焼・常滑焼・備前焼・越前焼』は“炻器(せっき)”にあたります
ですが、“陶器”としてくくられていることが多いです
しかも六古窯だし(← 2017年に“日本遺産”に認定されています)
陶器のイメージも伝わりやすいかと思いますので……紹介しちゃいます
-
※ 炻器
陶器同様、光を通さない”不透光性”ですが、吸水性はなく、温度も約1200~1300℃と高温で焼き上げるため、『陶器と磁器の中間』のような立ち位置にある陶磁器(というかやきもの)
①信楽焼
信楽焼と言えばたぬきの置物!
“たぬき = 信楽焼“ じゃないんですが、やっぱ、これって有名すぎですよね。
あの“千利休(せんのりきゅう)”が、
『なんてお茶の精神とマッチした味わい深いやきものなんだ!』
と、信楽焼で作らせたお茶道具“利休信楽(りきゅうしがらき)”なんかもあります。
(※ 千利休: 安土桃山時代の茶人)
②丹波焼
おとなしめなイメージのある丹波焼。
でも、その分『ザ・伝統工芸』的な風格がありますよね。
普段の生活に気軽に取り入れられそうな作品もたくさんあります!
③瀬戸焼
素朴なものから豪華なものまで、いろいろな種類があるのも瀬戸焼きの魅力。
瀬戸焼きの“ワインカップ”なんかもあります。
……ほしいぞ……
陶磁器のことを“せともの”って言ったりしませんか?
陶器を日本で最初に作ったのがこの『瀬戸』なんです。
だから陶磁器全般をまとめて“せともの”。
これが東日本での俗称のようになってるんですね(と、いわれています)。
西日本では“からつもの”
これは同じく陶器の“唐津焼”からきた呼び名です。
(※ でも、瀬戸焼には磁器もあるんです^^;)
④常滑焼
赤い急須で有名な、釉薬をかけずに仕上げる素焼きの陶器(炻器)です。
もしかしたら、持ってる方もいるかも。
ニセモノだと思うけど、うちの実家にもあったような気がします……
常滑焼は伝統工芸品にも指定されていますよ!
⑤備前焼
備前焼も“炻器”。
なんというか、全体の風合いが絶妙ですよね。
備前焼は、
“投げてもこわれない”
といわれるほど丈夫なんだそうです。
⑥越前焼
越前焼も”炻器“です。
越前焼のマグカップ。
かわいい。
コーヒー、おいしくなりそうです。
しかも冷めにくい(※ 陶器には保温性あり)。
こんな今風の作品もありますが、越前焼も“伝統工芸品”に指定されています。
以上6つの陶器をご紹介しましたが、
“こんな感じのが陶器か!”
な気分になっていただけましたか?
ではでは、続いて“磁器”です。
『磁器』といったら○○焼!
陶器に比べ、少なくて申し訳ないのですが、
-
① 有田焼(ありた / 伊万里焼とも / いまり / 佐賀県有田町)
-
② 九谷焼(くたに / 石川県加賀地方)
-
③ 砥部焼(とべやき / 愛知県砥部町)
3つをご紹介です。
①有田焼
なんか全然陶器と雰囲気、違いますよね。
画像からもスベスベのなめらかさが伝わってきます。
というか、陶器とは別物って感じがします。
いや、別物なんですが(磁器だから)、そこを強調したくなるというか……
軽くて薄くて、透明感がものすごいことになっている有田焼。
こんなに繊細な顔つきをしているのに、磁器だから陶器よりも硬度・強度があるんですね。
②九谷焼
九谷焼の特徴は、まず黒い絵の具で絵の線を描き(下絵付け)、その後釉薬をかけて本焼き。
さらにそのあとで、今度は赤・黄・緑・紫・紺青の絵具を使って“上絵”を描き、もう一度低温で焼き直すこと。
そうすることで、画像のような独特の色合いと模様をもった作品ができあがるんですね。
きれいです。おみごと。
③砥部焼
絵柄の筆さばきにも特徴のある砥部焼。
普段気軽に使える食器類から、使うのがもったいなくなるような繊細な絵が描かれているものまで、いろいろな作品があるのも砥部焼の魅力です。
最近では女性の作家さんも増えてきているそうですよ。
磁器の紹介が全部“お皿系”になってしまいましたが、もちろんお皿以外にも作られているものはたくさんあります。
ご家庭で使われているものの多くは磁器のほうだと思います。
丈夫で軽いし、使い勝手がいいんですね。
陶器は和食器。
磁器は洋食器として使われることが多いです。
たとえば、湯飲みには陶器。
コーヒー用のマグカップは磁器。
パスタのお皿も磁器、みたいな感じで。
高いものから比較的安価で購入できるものまでさまざまですが、気に入って買った食器などは、いつまでも使い続けたいですよね。
とくに陶器は使い込むうちにだんだんと風合いも変わってきます。
いい味出してくる。
ということで、最後に、
“陶器・磁器の扱い方の注意点!”
についてです。
サクサクっとまとめていきますね。
『陶器』の扱い
陶器は繊細。
扱いには十分注意して、末永くおつき合いしていきましょう。
長く使えば使うほど、愛着が出てきますよ♪
買ってきたらまずしておきたいこと
買ってきたら、まず水かぬるま湯につけて、十分に水分を吸わせてあげてください(半日くらい)。
すでに陶器の土の成分などがたっぷり水を吸っている状態になっているので、汚れや料理で使う調味料などの色、油、臭いなどが入り込んでくるスペースが少なくなります。
大切な器を守ってくれるんですね。
これは大事。
水分を吸ってない状態でそのまま料理を乗せたりすると、料理に使われた醤油やソースなどの色のついた水分や、油、臭いがダイレクトに陶器にしみこんできてしまいます。
陶器がシミだらけに。
しかも臭いつき。
できれば購入時だけでなく、毎回使う30分くらい前から水やぬるま湯につけておくのが理想です。
シミ対策は忘れずに!
また、陶器の高台・畳付には通常、釉薬がかけられていません。
吸水力・アップな箇所。
なので、底を上にするなどして、その部分に水分が触れないようにして乾かしてあげてくださいね。
○○禁止!
つけおきは禁止。
カビの原因になります。
熱湯をかけるのもダメ。
腐食の原因に。
洗うのはやわらかいスポンジなどを使ってください。
タワシとか、硬いのを使って洗うのもダメです。
絵柄(模様)などがはがれてしまうこともあるので注意です。
収納するのは完全に乾いてから!
生乾きのままだと、カビ、生えます!!
重ねずにしまうのが一番いいんですが、スペースがないときは、食器同士が触れないように、布や紙などでバリアをはりましょう。
陶器の硬度を舐めてはダメです。
硬度低し、なので、傷がついてしまいます。
ヘタしたら、それが原因でバキッと割れたりもします。
電子レンジは基本OK
ただし、“伝統工芸的“なもの(金銭的にも見ため的にも)は万が一のことを考えて、レンジでの加熱はさけときましょう。
陶器に含まれている水分がレンジ加熱によって膨らみ、ヒビやキレツ、場合によっては割れてしまうこともあります。
普通の食器として売っているものはたいてい大丈夫ですが、器に”注意書き”のようなものがついていたら、それに従った使い方をしてくださいね。
(※ レンジだけでなく、食器洗浄機NGとかオーブンはダメとかも・これは磁器の場合も)
絵柄に金や銀が使われているものは電子レンジ・食洗器ともにNGです。
絵柄部分が燃えます!
『磁器』の扱い
陶器より丈夫ですが、陶器はなんといっても薄い! です。
買ったら水につける?
つけなくて大丈夫です!
磁器には吸水性がほとんどありません。
なので、調味料や油のシミ・臭い対策として水につけておく必要もなし、です。
でも、外から買ってきたものなので……
ホコリや汚れを取るために、一度ぬるま湯で洗い流してから使ってくださいね。
電子レンジは?
磁器もレンジ、基本OKです!
ただし、陶器同様、絵柄に金や銀が使われているものはレンジ・食洗器ともにNG。
陶器に比べ、磁器の“金・銀使われ率”はけっこう高いです。
ここだけは本気で注意!
磁器は丈夫で軽くて扱いやすいんですが、欠けると破片が鋭くなります。
ケガをすると、陶器が割れたときよりも痛い(……傷が深くなる)ので、丈夫とはいえ、ていねいに扱ってあげてくださいね。
終わりに……
陶器っぽい磁器や磁器っぽい陶器もあります。
でも、たいてい見た目でわかるものが多いです。
あと触ってみた感じでも。
ぜひぜひ、いろんな器と触れ合ってみてくださいね(お店の人に怒られない程度に)。
というわけで、
“陶器・磁器、どっちがどっち?”
についてでしたが、彼らへのモヤモヤは薄くなりましたでしょうか?
少しでもスッキリしていただけていたらうれしいです!
ではでは。
最後までおつき合いいただきありがとうございました。
皆さまと陶器・磁器とのステキな出会いがありますように♪
関連記事はこちらになります。
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